東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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※今回ゆかりさんと、ずん子さんのみの会話です。(きりたんが出ないとは言ってない)
あけましておめでとうございます。久しぶりの投稿です。
年末は海外に行ってたりしましたが、どちらかと言うと見る専になっていたせいで投稿遅れていました。それはそうと参加申し込みが今日までの声月、どうしようかな。



㊶元旦なゆかりさんとずん子さんと、寝正月へ突き進むきりたん

「あけましておめでとうございます、ゆかりさん。今年もよろしくお願いしますね...特にきりたんを。......お嫁さん的な意味で」

目を覚まし洗面所に行くと、先客のずん子さんが先に顔を洗っていて、挨拶をしてくれた。

 

新年初日の挨拶を返答しつつも、相変わらず私ときりちゃんをくっつけようとするずん子さんに苦笑してしまう。妹的もしくは友人的な意味なら、”よろしく”するねと返す。

 

 

「むぅ、それで当のきりたんは...まだ寝ているんですね。まあ昨日は夜遅くに起きてもらいましたし、しょうがないかもしれませんね」

昨年と同じく、年が明ける0時ちょうどからマキさん達と神社に参拝するため、夜9時前に規則正しく眠ったきりちゃんを夜遅くに起すことになった。

 

私に『今日は眠っちゃダメですよ』とか良いつつ、クピクピとコーヒーを口にしていたが結局寝落ちしたきりちゃん。初詣出発前に何とか起こすことができたが、半分寝ているのか終始私の服の裾を掴んでボーっとしていた。

この状態なら去年のように煩悩にまみれたお願いは無いと安心しつつ、時にはだっこして参拝の列に並んだ。

そして順番が来たのでお賽銭とお祈りを促すと...賽銭箱ではなく私の方を向いて虚ろな瞳で私と『ずっと一緒にいたい』とか、『抱きしめて欲しい』とか色々真正面から色々伝えられる事態に陥った。友人達含む多くの人の前で。

 

普段の半分からかうような状態ならまだしも、真摯に想いを告げてくる言葉に、私はごまかす事なんて器用な芸当はできず、必死に言葉を返した。重ねて言うが衆人環視のさなかで。

 

その後、何とか納得してくれたきりちゃんは私を抱きしめて眠ってしまった。お祈りを済ませていないが、お願いは散々聞いていたので2人分まとめて私がお祈りしておいた。まあ、似たようなお願いだから神様側で混乱するようなことも無いだろう

 

...なんて考えていたら、神聖そうな声で『その願い、受け入れました』的な返答が頭に響いた。

 

 

一瞬本気で神様に返答されたのかと焦ったが、声が頭に響くと言う手法と、聞いたことが多々ある口調に犯人が思い当たり、隣のずん子さんにジト目で視線を送った。そうすると舌をペロッと出しつつ冗談ですとか反応を返された。姉妹揃ってかわいいなチクショウめ...と誤魔化されつつ、初詣を終えた後はきりちゃんを抱きしめて帰宅して、寝巻きに着替え、そして着替えさせて就寝した。

 

まあ、そんな事があった故か朝起きても、きりちゃんはまだ夢の中だった。

 

私もきりちゃんの生活リズムに合わせて最近はそんなに夜遅くまで起きてなかったので、正直朝起きるのが辛かったのだが...今日は元旦でいつもよりも朝食の準備に手間がかかる。

それをずん子さんに全て任せるのは半分居候の身としてはできなくて、手伝うために起きて、冒頭の会話に至ったのだった。

 

 

 

「ありがとうございます。でも時間のかかるものは既に下ごしらえを済ませているので、後は食器に並べる事と、お雑煮を作れば準備完了です」

朝食の準備を手伝うことを告げつつ、2人して台所に向かう。

なるほど確かにチャーシューや黒豆なんかの時間がかかる煮込みは既にきりちゃんも参加してやってしまったのでそこまで大変では無さそうだ。

 

でも、お雑煮か...結構家ごとに具財や味付けが異なるが、まさか東北家でやけに出現するずんだ餅を入れたり...

 

 

「いえいえ、ずんだ餅をお雑煮に入れるなんて冒涜的な事はできません。色々試しましたが、ずんだ餅は生が一番美味しいと確信していますので。」

愛ゆえ、なのだろう。ずんだ餅に関しては独特の言い回しをするずん子さんと話しつつ、盛り付けをはじめる。流石にお雑煮とずんだの魔配合は無かったか。

 

でもやっぱりずんだ餅自体はあるらしいし、以前は色々試したらしい。まあ、ずんだ餅美味しいし良いけどね。

 

 

 

「ふふっ、ずんだ餅は所謂東北家のお袋の味ってやつなので、東北家に連なるゆかりさんもしっかり好きになってもらわなくてはなりません。」

連なってない...と言う反論が頭に浮かんだが、何となく声にすることはしなかった。

 

...いや、何となくと言うか、まあ、多分、私は嬉しかったのだろう。

入り浸っている東北家には愛着がずいぶんとわいていて、一員として受け入れてくれることに少し口角が上がりかけている自分に気づき、恥ずかしさに少し頬に熱を持ち視線を俯かせてしまう。

 

 

「...んー、確かにきりたんの言う通り、ゆかりさん、とってもかわいいですね。」

そんな何とも言えない表情をしているだろう私を、ずん子さんは少しかがんで覗き込んでくる。すっごいニコニコな笑顔だった...くっ、やっぱり姉妹か。仕草や挙動が似ている。

 

 

 

「褒め言葉として受け取っておきましょう。姉妹仲は良いに越したことは無いので...ね?未来の妹さん?」

そんな未来は無い...と思う。何だか断言しずらくなってる気もするが、気のせいと思いたい。

...それに前も言ったが、ずん子さんは同い年だから妹ってわけでは無いような。

 

 

「んー何と言うか、ゆかりさんってきりたんと挙動が節々で似ているんですよね。だから何となくゆかりさんも妹に見えると言うか...」

あー、なるほど。確かにそれは自覚するところが多々ある。

そういう、ずん子さん曰くの”重なる部分”とやらが、きりちゃんと一緒に過して一緒に楽しくなってしまう要因なのかもしれない。

 

 

そんな風に納得していると、朝食の準備のついででしていた会話中に、ずん子さんがキチンとこちらに体を向けて話しかけてきた。

 

 

「ゆかりさん。きりたんは...不肖の妹は、迷惑になってないですか?」

少し真剣な表情で声をかけてくる様子に疑問符が浮かぶ。急にどうしたのだろうか。

 

 

「今も、ゆかりさんは起きて家事を手伝ってくれてるのに、きりたんは起きませんし...たまに、ゆかりさんにあの娘を勧めてよいのか、不安になっちゃうんです。きりたんの想い人以前に、ゆかりさんは大切な友人ですし」

あー、うん...なるほど。

......少なくとも私は、聖人君子なんかじゃない。迷惑だと想ったら嫌だと言うし、その人から離れる。それをしていないって事は...まあ、そういうことなんだろう。

 

 

「そうですか。...では安心して2人が恋仲になれるように今年も応援頑張りますね?」

そこは頑張らなくて良いです。満面の笑顔で今年の抱負を告げるずん子さんに満面の笑顔で受け取り拒否した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、これまでのずん子さんとの会話や朝食の準備中、最初から最後まで寝ているきりちゃんが私に正面から両手両足でしがみ付いていて、だっこしながらの状態だったりする。

...だからまあ、先ほどの不安そうなずん子さんの気持ちも分からなくも無い。自分の妹が赤ん坊のようにくっついたまま、友人が家事を手伝ってくれたら、流石に申し訳なく感じそうだし。

 

 

私が引き剥がすことをしなかったのは、体重をほとんど消した上に最近はくっつく効果まで追加したきりちゃんの魔法で負担を感じないのと...何より暖かくて私自身がきりちゃんとくっついていたいと思えてしまったからだ。まあ形はどうあれ、私もこの娘を大好きになっている、と言うことだろう。

 

そんな私の独白に感づいたずん子さんのニヤニヤ顔をスルーしつつ、私の胸に顔を埋めて幸せそうに眠るきりちゃんに、朝食ができたことと、新年の挨拶をするために私は優しく起してあげるのだった。


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