東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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㊺選択するゆかりさんと、選択されたきりたん。

 

 

 

「ゆかりさん、心理テストを出すので解答してみませんか?」

心理テスト...うん、いいよ。

 

ベットに仰向けに横になっていた私はきりちゃんの提案に目線だけ向け即答した。

提案してきたきりちゃんは、そんな私のお腹の上に座っている体勢で...最近きりちゃんの中でマイブームらしい。

重さや苦しさは感じないので別に良いのだが、たまに上体を倒して私の顔の横に手をつき、本人曰く壁ドンならぬ床ドンとやらを繰り出して満足げなご様子なのだが...まあそれも良いか、実害無いし。

 

なんて考えている合間も、きりちゃんの話は続いていく。

 

 

「はい、じゃあ魔法でイメージ送るんで眼をつぶってください。それでは...あなたは森の中、小さな泉の畔にいます」

あんまり言葉の意味を理解しないまま眼をつぶると、広がる風景。瞼の裏にきりちゃんが話した光景がまるでプロジェクターのように映った。

小学生が出す心理テストからは想像できない超常現象が起こったことにびっくりして、何度か眼を閉じたり開けたりしてしまう。

 

...まあ、きりちゃん周りの突飛な出来事は今に始まったことじゃないか、と納得して眼を閉じておとなしくする。

最近異常な現象への耐性が高くなっている気がする。私自身の力は相変わらず一般人の域を全く出てないのだけれども。

 

 

 

「いいですか?続けますよ?その泉の中心から、白い光のエフェクトを出しつつ、女神役のずん姉さまが現れます。」

知り合いがやけに神秘的な光を携えて湖の中心から出没した。湖に女神って言うと...金と銀の斧の話しを元にした心理テストなのかな?

 

それにしても女神さん、配役的にも似合っているが如何せんさっきまで一緒に家事をしていた相手が神様っぽいオーラを出しているのは何というか...シュールだった。

 

 

「白色の布を巻くような衣装を身につけたその姿は、神聖さとエロさを兼ね備えています。下着はもちろん上下とも純白のやつです...ギリ見えませんが。あと特に重要なのですが、微風によって衣装が動いて、むっちりな太ももがチラチラと...」

きりちゃんの会話に連動しているのだろう私の視界は、ずん子さんの太ももでイッパイになっている...カメラ近い。それにネットリと映す箇所を移動させないで欲しい。いかがわしいビデオみたいだから。

 

 

「(中略)さて、まだ語り足りないですが一旦切り上げて...そんな人外のエロさと神格を見てしまったあなたはSAN値チェックです。精神で対抗後、1D4を振ってください。」

やけに長い力説の後...この前一緒にセッションをこなした影響なのか、視界の端にサイコロが出現してきた。きりちゃん、心理テストでしょ?TRPG要素が混ざっちゃってるよ?

いや、今度GMする時はこれやってもらえると楽しそうではあるけど。

 

 

「あ、はい。そうでしたね。えーとそれでは、ずんねえ様は【あなたは何を落としたのか】と聞いてきます...あっそうです、声は未実装です。何か人工っぽくなっちゃうから調整が難しくて...どうしました?ゆかりさん?」

視界下部に映るメッセージウィンドウ。どうやら音声は流れてこないらしい。そんな事をつぶやくと、きりちゃんが事情を話してくれた。

 

...何だろう。【きりちゃんがボイス調整】をしている事にツッコミをいれるべきな気がするけど、理由がはっきりしないでモヤモヤしてしまう。そんな私の様子を勘付いたきりちゃんは不思議そうな瞳を向けてきたので、頭を撫でて何でも無いと誤魔化した。

体勢的に手が届かない所だったが、すぐに察したきりちゃんが上半身を倒すようにくっついてくれたので助かった。そしてその姿勢のまま、きりちゃんによるお話しは続き...

 

 

「んっ...では続けますね。女神は質問をしてきます。貴女が落したのは金髪爆乳幼馴染の美少女...マキさんですか?」

 

女神の横にマキさんが現れた。

...ちょっと待って。私、マキさんを湖に落したの?どういう状況?殺人事件なの?

 

 

 

「あっ落したと言っても、湖じゃなくて恋愛的な意味なので大丈夫です。マキさんではないのなら、胸は控えめですが同じく幼馴染な天然系の愛くるしい少女ですか?自分色に染めれちゃいますよ?それともとっても仲が良い双子姉妹ですか?こちらは2人セットなのでお得ですよ?」

 

さらに横に現れるIAさんと琴葉姉妹。この人数を恋に落したのなら、痴情のもつれ的にも大丈夫じゃないような気がする。

 

 

 

「あっ、それと隠しキャラとしてIAさんの妹さんのツンデレさんと、ごはんを美味しそうに食べる後輩さんに、お酒が大好きらしい自称未来人さんがいますが、私会ったことが無いので黒塗りになっちゃいます...それと実は女神様自身も攻略可能です!...ゆかりさん、ちょっと節操が無さ過ぎませんか?昨今のエロゲー主人公ですら、もうちょっとラインナップ少な目ですよ?」

 

コナンの犯人みたいなシルエットになって現れる3人と、何か照れてるずん子さん。何というかカオスな視界に戸惑っていると現実のきりちゃんから、いわれのない批判を受けた。

まず昨今のエロゲー界の事情を知っている時点で問題だからね?きりちゃん、ちゃんと小学生の自覚持とうね?

 

 

「むぅ...まあいいです心理テストを続けますよ。補足情報ですが、受け受けしいゆかりさんでは、誰をお持ち帰...選択しても、お家に帰ったとたん押し倒されて貞操を奪われてしまうでしょう。そのままHシーンに移行します。仮に多くの美少女を魅了している自身の所業を正直に白状した場合は、ハーレムルートに突入します。」

 

受け受けしい言うな...なんだそれ、眼を閉じると友人とのエロ映像が流れるって新手の精神攻撃が何かなの?

 

それとまるで私がマキさん達を誘惑してる的な言い方はしないで欲しい。

 

 

 

「まあ、ゆかりさんが無自覚なのは分かってます...さて、そんな貞操の危機に直面しているゆかりさんに朗報です。さらに選択肢が一つ増えます。それは趣味が合って一緒にいると楽しくなる、とっても良い子な小学生です!」

 

私は分かってますとでも言いたげな表情のきりちゃん。ツッコミを入れる間も無く、ぽんっと言う擬音と共に瞼を閉じた視界の中央に小学生...きりちゃんが出現した。嬉しそうに手を振ってる。かわいい。

 

...いやいや、これ以上選択肢を増やされても困るんだけど。

 

 

「大丈夫です。他の人を選ぶと簡単に押し倒されちゃう恋愛クソ雑魚ゆかりさんですが、私...では無くこの小学生を選んだ場合、小学生の非力さ故に押し倒されそうになっても回避できて、良い子な故にもう少し大人になってからね...で説得できちゃうんです。つまり全年齢版ってことですね。へたれなゆかりさんにおススメの選択肢ですよ!」

ふふんっとドヤ顔で説明してくるきりちゃん(現実)と、瞼を閉じると擦り寄って来るきりちゃん(非現実)。どっちがどっちだか混乱してきた。

て言うか、そりゃまあ恋愛経験無いけどクソ雑魚言うな。ドヤ顔のきりちゃんの頬をコネコネする。

 

 

「ふぁぅ、ぅあぅ、んぃ...ほぉれで、どぉします?他の人を選んだ場合しばらく瞼を閉じる度に知り合いにエッチな事されちゃうゆかりさんの姿が映っちゃうかもしれませんよぉ...?」

頬をうにょーんと伸ばされたまま、なんか悪どい顔をするきりちゃん。選択肢があって無いようだし、まあ...うん。それならきりちゃんを選ぶよ。

 

 

「やった!...それでは早速、心理テストの結果です。あなたが選んだ女性...実は、その人はあなたが将来結婚する人なのです!」

 

酷い誘導尋問だったが、嬉しそうに抱きついてくる現実と非現実な2人のきりちゃんの様子に、何だかほっこりしてしまう...そんな大体いつも通りの一日だった。

 

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