東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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⑨雪見だいふくを買ったゆかりさんと、きりたん(雪見だいふくの日)

「どうぞ!いらっしゃいです、ゆかりさん。...あれ?何か買って来たんですか?」

今日も家庭教師と言う名目できりちゃんの家にやってきた私。...名目になっちゃったのは、もうしょうがないと諦めている。

きりちゃんに指摘されたのは、私が持っているコンビニ袋。

今日は「雪見大福の日」らしく近くのコンビニの販促広告に乗っかって、いつもお世話になっている東北家全員分買ってきたのだった。

 

 

 

 

「それなら食後に食べましょう。冷凍庫入れてきま...ゆかりさん、手がめちゃくちゃ冷たいじゃないですか。」

きりちゃんに手渡しした所で手の温度が伝わったのだろう。きりちゃんの表情が心配そうに、そして少しだけ咎めるように変わる。

そのまま、きりちゃんのほっぺたに私の両手は押し付けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「緊急処置です。ほら、このまま座ってください。患者さんは先生の言うこと聞かなきゃダメです。」

誘導されるままベットに腰かけると、膝の上に乗ったきりちゃんに抱きしめられた。

抑えが無くなったが、そのままと言われているので私の両手はきりちゃんのほっぺたにくっついたままだ。

以前、手相を見てもらった時から、私の体温に敏感になったきりちゃん。

表情豊かなきりちゃんから心配していることがひしひしと伝わるので、似たようなことがあっても抵抗できずに言われるがままになってしまっていた。

 

困ったことに、あまり困ってなかったりする。...自分でもややこしい心境だが。

 

 

 

「ふっふっふっ...ひやっこくて気持ちいいです。ゆかりさんも気持ちいいですか?」

 

ずっと暖房が効いた部屋にいたからか、きりちゃんの体温は高く、こわばっていた指の感覚も治ってきた。猫のように目を細めるきりちゃんのリクエストに答えて額に手を当てる。

 

体温の交換はお互いに気持ち良いし、健全だし、問題は無い気がしてきた。

「お望みなら服の中に手をズボっとしても...ゆかりさんならOKですよ?」

私の思考とは裏腹に早速不健全な事を囁いてくるきりちゃん。

ここまで流されるままだったが、きちんと断るとこは断らないと。

 

 

「ダメですか。暖かいのは保障するのですが。...もちろん、ゆかりさんなら入れた後、色々まさぐってもOKなんですけど」

もちろんと言う言葉の使い方がおかしい気がする。

 

そして、くすくす笑うきりちゃん。こうなったら目を合わせてはいけない。

冗談目化した口調とは裏腹に、本気の色が滲んでいるだろう目は、年齢に合わずイロっぽくドキリとしてしまいかねない。

 

いくら身長差があっても今は膝に乗られている。目線があってしまわぬように注意が必要だ。

その後、きりちゃんが満足するまで手が温まった後に雪見大福は冷凍庫に入れられ、いつも通り勉強からのゲームの流れとなった。

夕食後に食べた雪見大福は美味しかったが、一本だけの串をきりちゃんに渡した結果、手で食べた私は冷えてしまった手をまた捕獲されてしまうのだった。

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