第八話です
先週調子に乗って一辺に出しすぎたせいで段々ストックに余裕が無くなってきた作者である(自業自得)
全く関係ないけど、最近の原作のデンドロは重要な設定を出す回が多くてヤバイですな。
□将都安穏京 【
こんにちは、あれから自由を
あれからこちらの時間で三週間経ちました。
御覧の通り転職しておりまする。三つ目のジョブです、ハイ
え、他の二つはなんだって?
まあ、簡単に言うと最初に取得した【弓武者】の方はDEXが上がってて生産活動するのに便利なんで、まだリセットしておりませぬ。
新規で追加したのは万能性が高い東洋版の魔法職である【陰陽師】です、ハイ
広範囲探知系のスキルがあったのが決め手でした。
【陰陽術】のスキルの構成は数に限りはありますが基本的に自由で、私は遠距離攻撃に秀でた風属性と探知系のスキルを中心に取得しています。
昨日、無事にカンストしたので【式神術師】に転職した次第であります。
私のレベルアップの速さは周りの〈マスター〉のそれよりもかなり早い方なのだとか。
実はあれから一週間たった時に、ある程度装備が整ったところで一つ先のフィールドまで移動したんです。
すると、敵が強くなっているのは確実なのですがほとんど同じような手順で倒せたので、試しにその次のマップの境界線まで移動してみたのです。そこでも亜竜クラスのモンスターですら問題なく狩ることが出来ていたため、それからは街から二つ先の草原のフィールドで狩りを続けていると言うわけです。
そのおかげか今の戦い方でも経験値の入り方がかなり良くなり、ハイペースでレベルを上げることが出来るようになったのです。
さらに、私のエンブリオの特性から狩りをしていない時に【陰陽術】を封じ込めた【呪符】の製作をしていても問題がないため、狩り以外のクエストを同時進行で受けていることで経験値がより入りやすくなっていることから、周りの〈マスター〉よりも早くカンストすることが出来たのです。
それで話を戻すと、私が就いた【式神術師】は西の大陸の方でいうところの【
この情報は大陸の西側にある〈レジェンダリア〉にいる私の従兄から教えていただきました。
最近、メールで<Infinite Dendrogram>関係の連絡をよくしています。しかし、最初の内は普通にゲームのジョブの話とかをしていたのですが、だんだん彼から送られてくるメールの内容がティアンのエルフの話しか出てこなくなり、聞いてもいないのに「【
さて、余談がやけに多くなりましたが本筋に戻るとしましょう。
このジョブを選んだ理由は、ドロップアイテムの回収をするためと周りからモンスターを引き寄せるための二つであります。
まず、私たちの戦闘スタイル的に私が外に出られないのでドロップアイテムは基本的に帰りか狩場の移動の時に回収していたのですが、時々他のプレイヤーに持ち逃げされそうになったり、されたりしたので召喚モンスターに回収させようと考えたのです、……ザシキワラシが
ちなみに持ち逃げしようとした輩には一人の例外もなく《去運不返球》の連続発射をお見舞いしているのですが、AGI特化のプレイヤーにはゴキブリのように逃げられたこともあります。
「あの害虫ども、顔は覚えたのデスッ!!いずれ潰してやるのデスッ!!」と、ザシキワラシが以前言っていました。
そしていつの間にか自分よりも速い相手を捕捉する技術を独学で身に付けたザシキワラシによって、今のところ味を占めて再犯を犯した者はすべて潰すことが出来ています。
パートナーが非常に頼もしい限りです
二つ目の理由も私たちが基本的に待ちの姿勢で戦うため、獲物が来るのにそれなりに時間が掛かることから、遠くにいるモンスターをおびき寄せるために召喚モンスターを使うのが結果的に最適だったからです。
一度だけ、特定のモンスターを集めるアイテムを使ってみたのですが、効き目はいいもののニオイがかなり強烈だったため再び使うことはなく、地味に高い買い物だったので売らずに手元に残しています。
【
現在レベルは1で絶賛レベル上げ中です。
「マスター?なぜ脳内でこれまでの記憶のダイジェストをしているのデス?」
「いや、何と無くやらなくちゃいけない気がしたもので」
横で朝食のおにぎりを美味しそうに頬張るザシキワラシにそう答えたものの、特に理由はない。
自分でも分からんが唐突にやらねばならん気がしたのだ。
ふむ、謎だ
まあ、そんなことは頭の片隅にでも置いといて、ひとまず朝食も食べたところだしアイテムボックス内の荷物と装備の確認をしてから出かけることとしましよう。
まずアイテムの方は、スキルで作った飴とドロップがそれぞれ10個ほど入った袋に、【ヒールポーション】が10本、MPを500回復する【MP回復ポーション】が30本、【快癒万能霊薬】が1本、式神の媒体になる札が5枚、【陰陽術】が込められた【呪符】が30枚、緊急時のために一応持っている弓矢と前に持っていた物よりも補正がグレードアップしたナイフ、使わずに持て余しているモンスターを引き寄せる臭い袋がいくつか、暇つぶし用に松井さんからもらった本に裁縫道具、お茶菓子と緑茶、お昼ご飯の材料に調理器具、【呪符】を作るのに使う札50枚ほど………
よし、アイテムは問題ないな。
装備の方も流石に初心者装備から新調しています。自身の気配を薄くしたり濃くしたりできる《気配操作》:Lv2が付与された、袖が肩からカットされたフード付きの緑色の羽織に、MPを100増やす《MP増加》とスキルによるMP消費を5パーセント軽減できる《消費MP減少》がセットでついている巫女服みたいな色合いをした忍者装束を上下と足袋、AGIに補正がついた草履に、あとはLUCに補正がある開運系のアクセサリーを5種身に着けている。
この装備を全部集めるために掛かった費用はおよそ4万リル程である。
食費を節約して、無駄な買い物をせず、ギルドに納品する一個あたり750リルの呪符を毎日20枚前後作ることを目標にして狩りと同時進行でやったらどうにか早めの段階で手に入れることができました。
貧乏生活が身に染みついたことと、ザシキワラシの食癖が「1食で100リル以内、1日の間食は50リル以内の予算で手に入れた食品しか食べられない」というおかげもあってか、未だに生活サイクルを変えずに生活していることもあり、かなりの金額を貯蓄できています。
うん、装備の方も問題はないし、特に忘れ物もないようだ。
それじゃあ、気を引き締めて行くとしますか。
◇
「大丈夫、大丈夫。怖くない、怖くない。私は大丈夫、怖くなんかない。私はもう一人じゃない。だから大丈夫。モンスターなんて怖くない、怖くない………」
まず、最初に門を出たら
これで、進路上にいるモンスターと〈マスター〉の位置と数を把握して草原のフィールドまでに遭遇しないようにしているのだ。
そして、私は【陰陽師】とは思えないほどの緊張感と隠行をもって全力の索敵を行いながら街道を進む。
このとき、機動力と隠密行動に問題が少しあるザシキワラシは紋章の中に戻ってもらっている。
〈西鷹草原〉の方には奇襲を行うほどの物陰もないし、姿を消すタイプのモンスターもいないので、補正されたAGIを使って全力で走り抜けて一つ先のフィールドのレベル帯が比較的高い所まで進む。
そんなこんなで目的地に到着した私たちはいつも通りにザシキワラシを展開した後に近づいてきたモンスターを狩りつつ、【陰陽師】ギルドと提携している【式神術師】ギルドで発注したクエスト分の【呪符】づくりに精を出すのであった。
◇◇
それから七時間後、《バイオレンス・ファング・ボア》の群れの最後の一体に【陰陽術】の風属性中位遠距離攻撃スキルである《
現在の時間は午後の4時半、いつもよりは早いが今日の狩りはここで切り上げることにした。
「今日は大量だったね、ザシキワラシ」
『はい、式神もいい感じに活躍出来ているのでいつもより効率が良いのデス』
予想以上に《式神召喚》で召喚したモンスターが活躍したおかげでいつもより2時間も早くクエストの目標討伐数に届くことが出来た。
【式神術師】のレベルも15になって、従属キャパシティーも拡大されたし、もう少しランクの高いモンスターを購入しに行こう。
もう少しレベル上げをしたら違う町まで遠出をするのもいいだろう。
夢が膨らむというものだ。
召喚した長い布のような妖怪のモンスター【一反木綿】にアイテムを回収させた私は街の門の前でした時とは違いMPの限界まで《詠唱》をした後に《生体探査陣》を発動し、周囲一帯にモンスターがいないことを確認してからザシキワラシから出て、徒歩で街まで帰るのであった。
いつまでもログアウトとログインの連続で帰ってはトラウマ克服に進展がないので、レベルに余裕がある所ではこうして帰ることにしているのだ。
その道中で妙なものを見かけてしまい、近くにあった木の物陰に隠れて様子を見た。
どうやら、〈マスター〉三人のパーティーが50体以上の【ゴブリン】の群れに襲われているようだ。
ゴブリンの群れには多くの【リトルゴブリン】以外に13体の【ゴブリンウォーリアー】、10体の【ゴブリンアーチャー】、そして、ひときわ図体がでかい【オーガリーダー】が一体いた。
【オーガリーダー】は単体で亜竜クラスの戦闘力を持つモンスターにカテゴリーされているが、実際には群れを指揮する際には指揮系統のスキルにより配下の【鬼】を大幅に強化するため討伐難易度がさらに高めになっている。
このマップでの適正レベルと大きく違う難易度から突然変異した個体か、他の場所から移動してきた個体なのだろうと私は考えた。
それに立ち向かう〈マスター〉達なのだがよく見ると装備が初期装備のままで戦っているのを《遠視》スキルで確認した。
おそらく、新規で始めたばかりのプレイヤーなのだろう。
ここは初心者が簡単に踏破できるフィールドではないのだが、それを可能にしているのは彼らの〈エンブリオ〉のおかげなのがわかった。
ナイフで戦っている眼鏡を付けた少年の〈マスター〉はそのナイフを危なげな様子を見せながらも確実に敵の急所にあてて一撃で倒している。
おそらく急所を見抜くことに特化した〈エンブリオ〉を持っているのだろう。
地味な戦い方だが、この三人の中で一番敵を倒すスピードが速い。
もう一人のやけにビジュアルを重視したイケメンのような少年の〈マスター〉は片手に剣を持ちながら、もう片方の手に持っている酒瓶の中にある液体を相手にかけながら戦っている。
どうやら、その液体には状態異常を発現させる効果があるらしく、かけられた敵は【酩酊】、【宿酔い】、【魅了】の状態異常のいずれかを発現させられている。
相手が動けなくなったところを切りつけているのだが、火力が足りないせいか倒すのに時間がかかっている。
しかも、【魅了】の状態異常をかけられた個体も同様に倒しているので、かなり効率の悪い戦い方だと言えるだろう。
最後にそんな二人に挟まれた状態で守られている女の子らしき〈マスター〉は恐怖からか焦燥からかは分からないが目の前を見ながら顔を青くしている。
その視線の先には鍛えられて引き締まった上半身を露わにして、下半身にしか防具を着けていない体長2.5メテル程の巨人が光り輝く棍棒を持ちながら、【オーガリーダー】と正面から戦っている光景があった。
おそらくあの巨人が彼女の〈エンブリオ〉なのだろう。
しかし、すでに巨人の体には無数の傷があり、相手の【オーガリーダー】は軽傷しか負っていない。
どちらが優勢化は明らかだ。
あの巨人が倒れた時点で彼女たちの全滅が確定するのは、ほぼ間違いないだろう。
「別に知らない人達だし、助ける義理はない」と思ったその時、あの女の子の〈マスター〉が浮かべていた表情が私の脳裏に浮かんだ。
なぜか、彼女たちを放っておけない気がする
多分、この世界で初めて殺されそうになったときの自分の姿と、今の彼女の姿を重ねてしまったからだろう。
あの時の自分には助けてくれる誰かがいなかったから自力で何とかしたが、彼女にはそれを成すだけのモノがないのだろう。
このまま私が何もしなければ、モンスターになぶり殺しに遭うのが落ちだ。
なら、私がこの場を見捨てるわけにはいかない。
なぜなら今の彼女たちを見捨てることは、過去の自分のことから背を向けることと同義の行為だと今、気が付いてしまったからだ。
それにさっき、見捨てようと思っておいてなんなのだが、ここで彼らが死んでしまい、万が一にもその恐怖で前までの自分のようにトラウマを持ってしまってこのゲームをやめてしまうようなことになったら、まるで自分の所為みたいな気がして後味が悪すぎる。
うん、やっぱり助けよう
「と言うわけでザシキワラシ、いける?」
『お安い御用なのデス、マスター!!』
そう言ってザシキワラシは私の背後にキャッスルの状態で出現し、私が中に入った瞬間に《去運不返球》を空中に生成し、4連続で数十メテル先の【オーガリーダー】に打ち出した。
突然の砲撃に対応できなかった【オーガリーダー】は4発ともまともに喰ったのだが、そのHPに受けたダメージは極わずかだ。
突然、死角から放たれた攻撃に驚きはしたが、余りに脆弱な攻撃に嘲笑の笑みを浮かべ、追加で発射された《去運不返球》を完全に舐めているのか避けようともせずにその背中で受け
唐突にその巨体を地面へと投げ出した。
いきなり体から力が抜け、動こうにも体が動かしづらく、とどめに空腹感が襲ってきながら嘔吐感に見舞われるというカオスな状況に【オーガリーダー】はすっかり混乱してしまい、先ほどから相手にしていた巨人に対して完全に無防備な体をさらしていた。
この決定的な瞬間を逃さなかった相手の巨人は無防備にさらされたその脳天めがけて強烈な一撃を浴びせ、先ほどまで苦戦していた【オーガリーダー】を倒すことに成功した。
その周りでは他の【ゴブリン】たちも親玉の【オーガリーダー】と同じように、飛んでくる《去運不返球》を受けてその動きを止められているうちに二人の〈マスター〉と私が召喚した二体の【猫又】にやられていき、【ゴブリン】の群れは全滅したのであった
◇◇◆
『あのでかいやつ以外はそんなにLUCは高くなかったようなのデス。楽勝だったのデス』
「いや、逆に四発も耐えたアレのLUCが高すぎな気がするんだけど」
私のLUCは今、様々な装備の補正を受けたことで300になっている。
つまり、あの【オーガリーダー】は最低でも67以上のLUCをもつ野生のモンスターとしては結構なグッドラック野郎だったわけだ。
それにあのタフさから見るに私だけじゃあ、火力不足でかなりの時間をかけなければ倒せなかっただろう。
そんなことを考えているとザシキワラシから声を掛けられる。
『マスター、先程からあちらにいる方々がこちらの方を見てはいるのですがどうするのデス?』
そういえば放置したままだった。こちらまで連れてくるか。
こっちに来るように書いた紙を新たに召喚した【一反木綿】に手渡してあちらの人たちに手渡しに行ってもらった。
うん、わざわざあっちまでこちらが向かうためにザシキワラシを出し入れするのもめんどくさいし、あっちの人が来る方が手っ取り早い。
それに安全面的に見てもこちらの方が絶対にいい。
人を助けて自分が死ぬような目に遭うような要素は徹底的に潰さねばならん。
ここは我慢して来てもらおう。
こうして、初めて私はザシキワラシの中に人を招くのであった。
というわけで現在の主人公の状態の説明と人助けをする回でした
拙作でのレベルアップのペースの基準は廃人ゲーマーの初期クマニーサンやフィガロのデータをもとに考えています
それを踏まえて主人公のレベルアップの速度が早いのは生産と狩りを同時進行で行っていたお陰なのですが、狩りで倒す相手の数が普通に狩りを行う場合と比べてそこまで多くないので、単純に倍速にはなりませんでした。
どちらかと言うと生産をメインにしてレベル上げをしています。
原作者様公認のキャッスルの機動力の無さ舐めたらアカンで
戦闘描写があっさりしているのは文字数の問題もありましたが、大体前回と似たような感じになるので面白味がなくカットしました。
今回の話で主人公が人助けをしたのは前述にある通りなのですが、一番大きいのは人を助ける余裕ができるほど強くなったからですね。
ザシキワラシを手に入れてすぐの主人公ではまず助けません。
自分の身を守れなければ意味がないと、本能的に思っているので
次回は他人の視点からスタートです
誤字報告やおかしなところの指摘も受け付けているので、何か気になることがあったら教えてもらえると助かります。