当分は月曜の18時に更新をデフォルトにしようと思います。
この話では公式設定の確認をする回です。
冒頭で作者の独自解釈も含んだ原作のネタバレが含まれています。
この回からは原作に出ていない地域の名称やスキル、ジョブ、そのルビが多数出てきますが、全部作者のねつ造です。
原作で情報が出たらなるべく合わせようと思います。
ほとんど、デンドロのパラレルワールドみたいなものだと思ってくれて構いません。
………原作に合わせて変えられない部分もありますので
今回新キャラがチラッと、だけ出てきます。
それでは本編をお楽しみください。
□??? 管理AI十二号ラビット
「はぁ、やっと一人終わったか」
先程までラビットの目の前にいた、出てきた瞬間に自分の体をもてあそんだ女性プレイヤー夜ト神寝子を、彼女が選んだ国家の上空に投下し終えたラビットはため息をつきながらそう呟いた。
次の瞬間、そのつぶらな瞳をまるで親の仇を見るような目へと変貌させ、言葉に呪詛でも込めるかのように自分以外に誰もいない空間でこう言い放った。
「あの女、絶対、今度会ったらPKしてやるッッ!!」
もし怒りの感情に飲まれたウサギがいるなら、今のラビットのような顔をしているのだろう。どうやら、ファーストコンタクトの時に揉みくちゃにされたことを余程恨んでいるようだ。その眼には、揺るぎのない闘志が宿っていた。
しかしながら、運営側であるラビットが特定のプレイヤーを害することは本来ならば不可能である。そんなことをすればユーザーに反感を買うこと間違いなしだろう。
だが、このラビットに限って言えばその心配はない。
ラビットの本来
つまり、彼は仕事一環としてプレイヤーの立場で<Infinite Dendrogram>の世界へ行き、圧倒的な力を持った“プレイヤー専門”のPK職というプレイヤーの超えるべき壁の一つとして存在することが許されているのだ。
このような立場を得ているため、彼は本来運営側が侵してはいけない特定のプレイヤーへの干渉を彼はある程度まですることができ、先ほど彼が吐き捨てるように述べたセリフもあながち妄言ではないのだ。
しかし、幸か不幸かそれが実現するのはかなり後の話になるだろう。
なぜなら、彼らがこの<Infinite Dendrogram>の世界で出会うには
◇
□天地・将都
どうも、こんにちは。
先程、チュートリアルを担当してくれたウサギ様にイキナリ超上空からの紐なしバンジーを敢行させられた、夜ト神寝子です。
なんとか……、生きてます………。
「し、死ぬかと思ったぁ~」
地上の様子が分かるくらいの距離まで落下し、「あぁ……、もっとあの毛並みをモフモフしたかったな……」と、思いながら目から殆どの生気が失われてきた頃になって、どういう原理かは分からないが徐々に減速していき怪我一つせずになんとか着陸することができた。
しかし、あのままの速度で落ちていたらと思うとゾッとする。落下中に死を覚悟したプレイヤーは私だけではないだろう。その証拠に私の近くには顔を青くして震えながら四つん這いになっている人が何人かいた。
もしかしなくても私以外のプレイヤーだろう。どうやら、あのウサギ様が個人的に意地悪でやったことではなく、そういう仕様だったらしい。
ちょっと疑ってました、はい。
一先ず、こんなところに突っ立ってないで街の中に入ろう。
門の前にいる門番らしき人たちから異様なものを見る目でジロジロと見られはしたが特に問題なく入門することができた。
あと、念のため門番の人の前を通り過ぎる直前でここがどこなのか聞いてみた。一瞬驚いた様子を見せたがしっかりと返事を返してくれた。
どうやら天地で間違いないらしい。
まぁ、門番の人がいかにもお侍ですと言わんばかりに、チョンまげや和装をしていたのでそうだろうとは思ってましたけどね。
そして門の内側に入った瞬間、
…………私は驚きのあまり言葉を失った。
私の視線の先には、腰に刀を差したお侍さんの集団に胡麻を擦る商人らしき人の姿、三味線を弾きながらきれいな歌を歌う女の人とそれに聞き惚れる道行く人々、昼間から飲んだくれた浪人らしき男たちの喧嘩とそれをはやし立てるやじ馬たち、ベイゴマで遊ぶ着物姿の子供たちの楽しそうな姿など、如何にも和を思わせるような人々の生活の様子が広がっていたのである。
それがどうしたのだという人がいるかもしれないが、この世界がゲームであることを前提にしてよく考えてみてほしい。
いくらなんでも活気づき過ぎではないだろうか?
私の想像ではもっと閑散とした灰色の世界が広がっているのだと想像していた。人々に感情があるように見えてよく見ると作り物じみて見える、そんな作られた
彼らはNPCであり、プレイヤーにとってただのドットの塊に過ぎない、居てもいなくても関係ない存在のはずなのだが、私には彼らのことをそんな風に見ることができなかった。
他人から「こいつは何をトチ狂ったことを言ってるんだ」、「そんなの複雑な行動パターンをさせることで、そう見せてるだけだ。」、「二次元と現実の区別もつかなくなったのか、可哀そうに」と、言われるかもしれない。でも、彼らの姿や言葉、そしてその表情一つ一つが作り物には見えないくらい自然体に見えるのだ。そんなことを考えてるうちに私の中で“
まあ何はともあれ、ここは私の想像をはるかに超えた世界なのだということが分かったわけだ。
深く考えるのは後にしよう。
今すべきことは他にある。
「まずは、情報収集かな?」
今の私はこの世界ではあまりにも無知すぎる存在だ。
最初はタカがゲームと思っていたが、ここまでリアルだと何が地雷要素になるかが予測不可能だ。いつの間にかこの世界での、もしく天地独自のルールを破ってしまい、取返しのつかないことを仕出かしてしまう可能性だってある。今のうちに情報を集めておいて損はないはずだ。
そうと決まれば、聞き込みから始めよう。
◇◇
□天地・将都安穏京 夜ト神寝子
情報収集を始めて2時間、今私は【
なぜ、そんなところにいるか。
これを説明するために、まずこれまで手に入れた情報を整理する必要がある。
一つ目は、この<Infinite Dendrogram>の世界ではプレイヤーのことを〈マスター〉、NPCのことをティアンと総称していることである。
〈マスター〉とは『〈エンブリオ〉に選ばれし者』を示す名称であり、この世界の歴史上において時折その存在が確認されている。
さらに、〈マスター〉には一つの共通点として、強大な力を持つ制約として
これはプレイヤーでいうところのログインとログアウトのことである。
この設定はティアンにこの世界がゲームであることを自覚させないようにしているという、運営側の背景設定の本気度が分かる要素の一つだ。
まあ一応、アホみたいに長い公式設定の中にも書かれていたことなので確認みたいな感じではあったが無駄にはならないだろう。
ちなみにこの設定をこの世界で教えてくれたのは道端で声をかけてきたティアンの歴史学者さんの松井
なんでも、〈マスター〉が出現したことを知り、一度会って話がしたいと思い南門を目指していたところ情報収集中の私を見つけ、これ幸いにと声を掛けてきたらしい。
その時起きたことなのだが松井さんが「君、〈マスター〉だよね?ちょっと、一緒に話をしたいのだけどかまわないかい?それ相応のお礼もするけどどうかな?」と、私に聞いてきたところ次のインフォが私の目の前に表示された。
【クエスト【歴史学者・松井文長のお茶の誘い 難易度:二】が発生しました】
【クエスト詳細はクエスト画面をご確認ください】
これが二つ目に知った、クエストのランダム発生である。
この後、当然誘いを受けて松井さんと一緒に近場の団子屋まで移動した。
ヤバそうな雰囲気になったら、あまり使いたくはないが自害システムがあるから大丈夫だろうと踏んでの行動だった。
最終的に無用な心配ではあったのだが。
この現象について松井さんに聞いて分かったことなのだが、どうやらこれは〈マスター〉にのみアナウンスされるシステムらしく、ティアンには馴染みのないモノだったらしい。
ティアンにとってのクエストとはジョブ専門ギルドで受注できるジョブクエストと冒険者ギルドで受注できるギルドクエスト、あとは特殊なジョブに付くときに必要な転職クエストの三つのことである。
この時出てきたジョブというのが、私が今ギルドにいる理由である。
この世界はジョブレベル制であるらしく、ジョブに付かない限りモンスターと戦い勝利しようと、特定の生産活動をしようと、レベルが上がることはないらしい。
その種類は幅広い分野に対応しており、戦闘に関わる戦士職や魔法職、アイテムや武具を作ることに特化した生産職、商売をする上で便利なスキルを使うことができる商人系統、モンスターの改造や調査に特化した研究職など、一度に説明しきれないほどの数があるらしい。
また、ジョブには下級職、上級職、超級職の三つの
下級職と上級職にはレベル上限があり、前者はレベル50、後者はレベル100までが限界である。
さらに、ジョブは複数選択することができ、下級職は六つ、上級職は二つまで取得が可能だ。
超級職には最大レベルが存在せず実質無限にそのレベルを上げることができ取得数の制限も存在しないが、取得するのにある程度の才能と絶え間ない努力が必要になるため複数の超級職を持つ人間は極稀だという。
上級職と超級職には転職条件があるため就くのが難しくなっており、そういうこともあって長年存在が確認されていないジョブも珍しくないもないのだとか。
ちなみに、松井さんは下級職に【
普段はそのスキルを利用し、写本師として生計を立てているらしい。
当然ログインしたばかりの私は何のジョブにもついていないのでレベル0である。
一先ず、ジョブに就かなくてはと思い、松井さんに弓に対応したジョブに付くためにはどこに行けばいいのかを聞いたところ【弓武者】ギルドを紹介してくれたわけである。
松井さんとはそれからしばらく話を続けていたのだが、数分後に何か用事を思い出したのか慌ただしく荷物をまとめ、私に誘いを受けてくれたことへの感謝の言葉と共に「何かあったら僕のところに来るといい。力になれるかもしれないからね。」と言いつつ、私に住所の書いた紙を渡し、私の分のお茶と団子の代金も払い、そそくさと店を後にしていた。
しばらくその場で呆けているとクエスト達成のアナウンスが流れ、先ほどのクエストが達成したことを確認した後、教えてもらったギルドの場所まで向かったというわけである。
これは完全に余談だが、奢ってもらった団子はかなり好みだった。
また今度個人的に行こう。
そして、今まさにジョブに就くために私はジョブクリスタルの目の前にいる。
ジョブクリスタルとは、その名の通り触れたものにジョブを授けることができるクリスタルである。
クリスタルごとに対応しているジョブが違うため、転職するにはそれを保管しているジョブ専門ギルドまで行く必要があるのだ。
私がこのジョブクリスタルを使って選択するジョブは、この天地において弓を使う者の大半が取得していると思われる下級職の一つの【
このジョブはSTRとDEXの高いステータスを与えるとともに遠くのものを見ることが出来る《遠視》を保有している。
レベルを上げることでスキルは追加されることもあるらしいので、どんなスキルを覚えるのか楽しみである。
ジョブクリスタルに触れた私は数ある選択肢の中から【弓武者】を探し出し選択した。
ステータス画面を確認するとちゃんとジョブとレベル、スキルやステータス値が更新されていたことを確認する。
これで晴れて私も無職からおさらばである。
………まあ、リアルが無職なのは変わらないけどね
そんなむなしいこと考えた後、ギルド内にいた人に武器屋と装備屋の場所を教えてもらい、そこで護身用のナイフと質のいい矢を三束ほど購入した。
ちなみにお値段は合計で3820リルである。
ナイフが地味に高かったが必要経費だと思えば気持ちも楽になるだろう。
松井さんにお茶を奢ってもらったときに大体のお金の基準を聞いていたので、なんとか序盤でぼったくられずに済んだ。
まあ、店員のおじさんは騙すどころかむしろ気前が良く、「初めてうちに来た〈マスター〉のお客さんだから」と、言いながらサービスとして私が購入したものよりやや質が低いものの私が初期装備として持っていた矢よりも強度の高い矢を二束おまけしてくれた。
さすがに悪いので遠慮はしたのだが、「余りもんだから気にしなくていい」と言われ、かなり強引に渡されてしまった。
若干お得な買い物ができて満足だったが、懐が寒くなっているのも確かだ。
おかげさまで装備屋には冷やかしに行っただけになってしまった。
今日の狩りである程度稼がねば近いうちに野宿をすることになってしまうだろう。
その時が来たらログアウトすればいいだけなのだろうが、どのみち元手がなければ何もできなくなってしまうのも事実だ。
よし、それじゃあ冒険者ギルドまで行って丁度いいクエストを探してから外に出るとしょう。
頭の中で予定を決めた私は、当初抱いていた違和感など気にせず順調に冒険の準備を進めていくのであった。
主人公は修羅の国へと行きました。ハード修羅ルートは避けられません(無常)。
変態の国に行った場合ハードモフモフルートでした(主に理性を抑える意味で)。
主人公は典型的な「世界派」の〈マスター〉です。
ティアンの人たちと話していて「やっぱおかしいわ、このゲーム」とか、最初のうちは思っていたのですが、だんだん考えるのが面倒になってきてそういうものだと半ば自分に言い聞かせているうちにすっかりこの世界に溶け込んでます。
ちなみに主人公が想像してたNPCの反応はドラクエ風の定型文だけを話している感じです。NPCの門番さんとのやり取りの時点で違和感を覚えていた模様
首都の名前は原作の方で正式な名前が出たら直そうと思います。
次回は狩りの時間です(愉悦神父風)
追記:下級職の取得可能な数を修正