今回戦闘描写がありますが、作者の力量的に微妙に思えるかもしれません。
今回の話でタグで隠してるチートの片鱗が明かされます(当社比)
タグはAnswerが出たら変更しようと思います。
あと、あとがきの方を変更しました。ネタバレにならない程度に書いていたのですがかなり適当になってしまっていたことに後々気が付きまして……。タイトルから察せるくらいの内容に書き換えました。
予定を早めて投稿したくなる今日この頃の作者であります。いずれ「ヒャッハァァァ!!もうガマンできねぇ!!連投ダゼェェエエエ!!」とかヤるかもです。
では、前書きもここまでにして本編をお楽しみください。
□将都安穏京 南門前 【弓武者】夜ト神寝子
このあたりに生息しているレベルの低いモンスターの討伐クエストを冒険者ギルドで受注し近郊で出現するモンスターの詳細を調べた私は、このあたり周辺の地図と【ヒールポーション】を数本購入し、壁の外の世界に出る準備を万端にして門の前に立っている。なんだかんだで初期に渡された資金のほぼ全てを使い果たし、無一文になった私はこれから行う狩りで消費した分の資金を取り戻すことを心に決めていた。
というか、もう後に引けなくなっとる。
現在、<Infinite Dendrogram>内の時間はお昼をちょっと過ぎたくらいである。
私がプレイを始めてから大体三時間ほど経っていたので先ほど慌ててログアウトしてきたのだが、驚くべきことに現実の時間では約一時間しか経過しておらず健康状態もこれと言って問題はなかった。運営が宣伝していたように、ゲーム内での時の流れを三倍にしているというのは本当だったらしい。そうと分かると時間が勿体ないので兄に無事を知らせるメールを送ったらすぐに再ログインした。
再びログアウトした地点からスタートした私は、念のため武器や【ヒールポーション】が取り出しやすくなっているかを確認した後、ついに町から出発するのであった。
◇
南部にある街道に沿って歩き始めてから数十分後、モンスターとの戦闘を道中でこなしていきレベルが3になったところで目的地である〈
この森では主にウサギ型のモンスターが群れを成して生息しており、奥に行けば行くほどレベルが高くなり森の中心部には亜竜クラスのモンスターが群れを作って多数生息している。何も知らずにどんどんモンスターを倒していき、調子に乗って森の奥にまで進んでいった身の程をわきまえなかった低レベルのティアンのパーティーが毎年それなりに森の餌食になっているらしい。
ここまでの話を聞くと明らかに私のような初心者が来るような狩場ではないのだが、あくまで森の奥にまで行くと危険というわけで、大体の個体は自分の縄張りから出て行動することがほとんどないため、奥にいる個体が森の入り口付近に出現することはまず滅多にない。
そのため、引き際さえわきまえれば初心者でもそれなりにいい狩り場なため、初心者も行ける狩り場として認知されてるのだ。この辺の詳細は冒険者ギルドにいたティアンの冒険者の人から教えてもらった。最近、この辺りのルーキーの冒険者の死亡率が例年に比べて高いらしく、熟練の冒険者がこれから貴重な戦力になるルーキーたちに注意喚起をするようにとギルドから言われているらしい。
道中では、モフモフ好きの私が動物型のモンスターを倒すことができるのか若干不安に思っていたのだが、街道で初めて【パシラビット】を見たときには可愛いよりも先に怖いと本能的に感じ取り、倒すことに躊躇いはなかったため無用な心配であったと言える。他の人にも分かるようには簡単に言うと現実の街中で飢えた野生のライオンに遭遇したようなものである。さすがの私も確実に襲ってくることが分かっているモフモフ相手に気軽なことはできなかったようだ。
早速、森に入り木陰に隠れながら慎重に歩みを進めていくと15メテル先にモンスターがいるのを《遠視》で確認した。名前は【パシラビット】という街道ですでに何回か遭遇し倒してきたモンスターだ。
矢がいいおかげかもしれないがこれまでの戦闘では私の持つ粗末な弓の一射でも相手の胴体にさえ命中すれば、ほぼ一撃で倒せるくらいかなり弱いモンスターだ。今まで三匹までは何とか正面から相手ができたのだが、視認できる敵の数は二体でこちらに気付いた様子はない。
いける、と確信した私は息を殺しながら木陰に隠れ二本の矢を背中の矢筒から取り出しそのうちの一本を自分が手にする弓の弦にかけた。そして、背中を無防備にさらしている方の【パシラビット】に向けて狙いを定めて第一射を放つ。勢いよく放たれた矢はまっすぐに飛んでいき、狙い通りに【パシラビット】の頸部に命中した。矢を受けた個体が倒れたことを確認するとすぐに、こちらに気付いたもう一匹に狙いを定め、向かってくるそれに対し第二射を放ち肩に命中させその進行を止めた後、矢筒から取り出した新たな矢で私の半径8メテルにいれる前にとどめを刺した。最初に射抜かれた方の【パシラビット】はすでに死んでしまったらしく光の粒子になって消えていた。
増援も確認できないことからこの戦闘には勝利できたのだろう。警戒心を維持したままドロップアイテムを回収した後、一先ず森の中でも今までの戦法で問題ないことを確認し安堵した。
私の戦闘スタイルは、基本的に自分から敵に近づくことはせずに矢で攻撃し、間に合わないと判断したときにのみナイフに切り替えるというものだ。今のところナイフを使ったのは街道で【リトルゴブリン】4体と戦った時に最後の一体に矢が命中し、私の足元に転がり込んだところにとどめを刺したときだけである。相手を襲う基準として、まず奇襲前提で3体まで同時に相手をすると決めていたので、そこまでピンチになるような場面が少なかったことも要因の一つだろう。
当然、敵を見逃したことは惜しいとは思ったが、それも仕方ないことなのだ。
なにせ矢とナイフを買ったせいでほとんどお金がなくなり初期装備で突入することを余儀なくされたことと、ENDがそこまで高くない【弓武者】であることも相成って、現在の私はほぼ初期値そのままの紙装甲なのだ。近接戦闘になれば死ぬ確率がとんでもなく跳ね上がるので、基本は狙撃がメインにして戦うことにしているのだ。
それに相手を直接手にかける感覚が嫌にリアルで気持ち悪かったことも近接戦闘をしたくない理由の一つである。
ここまで何とか今のスタイルでどうにかなっているので私はこの戦い方で狩りを継続することにした。本日の標的である【
◇◇
なんとか、クエストで依頼された討伐数まで【角兎】を倒すことができた私はドロップアイテムと使用した矢を回収した後、周囲を確認し息を整える。
あの後も暗殺者さながらの隠形を続け、群れを作っていないモンスターであれば危なげなく倒せることができた。どうやら矢を買い替えたのは成功らしく大体のモンスターなら初撃の奇襲で倒すことができたし、仕留められなくてもそれなりに重い傷痍系状態異常にすることで戦闘を優位に進めることができたのも助かった。それに加えて途中でレベルアップしたときに新たに得た、遠距離射撃の命中率を上げるスキル、【飛燕落とし】を獲得できたことも大きいだろう。おかげでここまで私は相手の攻撃を受けることなく進むことが出来ている。
今のレベルは10になり、必要な経験値が多くなっているのかしばらくレベルが上がっていない。現在のゲーム内時間は午後五時丁度で、狩りを初めて4時間ほど経ちあたりも暗くなってきている。もう少し狩りを続けたいが、ステータスが上がっているとはいえ夜になればモンスターの行動パターンも変わってくるし、完全に暗闇の中となると不安がある。
(今日はこれで街に戻ってクエストの報告をしてから夕食をとって、いったんログアウトしよう。)
そう決めた私は森の出口を目指してなるべく音を立てないように注意しながらで移動していった。
数分後、途中で何回か戦闘と隠行をこなしつつ進んでいくと森の外の光が視線の先に見えてきた。やっと、森から出られると思い安心し私は体から力を抜くと、
突然、
この世界に来てから初めて感じたその
(痛い!痛い!いたい!イタい!イタイッ!!……)
◆
当然のことながら、プレイヤーには痛みになれていない人や、それに恐怖を感じる人がかなり多く存在する。そのことを見越した運営側によって、そんな人たちでも楽しくプレイできるようにこの<Infinite Dendrogram>では初期設定として痛覚の遮断が施されている。
もちろん、今、痛みで悶え苦しんでいるプレイヤー、夜ト神寝子にも施されていた処置である。
ではなぜ、彼女は痛覚設定をONにしてまったのか?
一部の物好きなプレイヤーには体の感覚の微妙な違いが気になり、敢えてONにしているものもいる。
しかし、彼女の場合は違う。
寝子は痛覚設定がどの程度まで自分の感覚に影響を与えるかを知るために、松井さんに奢ってもらった食べ物を食べる際に一度痛覚設定をONにしたのだが、話をしてるうちに感覚が現実のそれと変わらなかったこともあり、
しかも、幸か不幸か今に至るまで一度の被弾もしていなかった彼女にはそれに気付くことができなかったのである。
実は、今まで彼女がモンスターの索敵を専用スキルなしで問題なくできていたのは本人の才能もあるが、痛覚の設定をONにしていたおかげで風の流れやモンスターが起こす微細な音など、痛覚を遮断している時には感じられないモノを肌で感じる事ができたためであった。
しかし、今この場においてその感覚の鋭さが仇となり、彼女に常人では耐えられないほどの痛みを味合わせることになったのである。
◇◆
痛覚設定のことを思い出すこともなく、ただただ『痛い』という思考に捕らわれていた私は、残っていた
そして、視線を後ろ側に移動させると、攻撃を仕掛けた敵が起き上がる様子が目に入る。
そこには、先程まで私が狩っていたモンスターの一種、【角兎】が木でできた棍棒を手にした姿でいたのだ。
体を起こし、私の姿を捉えたその眼には必ずお前を殺すという野性的な感情を込められており、私は一瞬痛みを忘れてこう思った。
(こ、殺されるッッ!!)
これはゲームであり実際にプレイヤーが死ぬことはないのだが、この世界のことを「本当は実在する世界なのではないか」と、一度でも考えてしまったことがある私にとってこれはあまりにも生々しく受け入れがたいことだった。もう辛いという言葉さえ生ぬるいほどの痛みよりもこの世界での死への恐怖がギリギリのところで勝り、私はまた敵に立ち向かうことができた。
なぜかは分からないが転んでいた相手の体勢が整う前に、私は左肩から伝わる痛みを耐えながら体を起き上がらせようとする。
しかし、その願いはかなわず【角兎】の方が先には立ち上がり私が生まれたての小鹿のように震えながら膝を付けた状態で起き上がろうとしている姿を視界に入れながら、私との間の距離、約三メテルをただ何も言わずに一瞬で跳んで私へと襲い掛かる。
そして、その棍棒を大きく振り上げおそらく私の頭部へと狙いを定めたそれが一気に迫りくるを見ながらもう回避することはかなわないと悟り、
もとからさほど離れていなかった距離はすぐに埋まり、【角兎】の姿はもう目と鼻の先にある。
【角兎】はそのまま恐怖によって青ざめる私に向け、棍棒を振り下ろし、
私が持つナイフで喉を貫かれた。
相手がこちらを目視する前にナイフを抜いていたこと、さらに丁度私の体で手元にあるナイフが相手から見えなくなっていることに気付き、ギリギリのタイミングで腕を振り上げることでカウンターを【角兎】に繰り出したのだ。
偶然できた状況を利用した奇襲である。
本来の私のステータスではSTRが高くてもAGIが足らずに迫りくる棍棒に反撃が間に合わずにやられていただろう。しかし、今の私は武器職人謹製の装備した者にAGI+50の補正を与える【速足のナイフ】を装備している。これにより、ステータスの差を詰めた私は【角兎】が避けられないタイミングでナイフを突き出すことができたのだ。これがもし私の下半身を狙った攻撃だったとしたら、反撃できずに下半身の痛みも合わさり戦うことを放棄していただろう。
そして、ナイフに急所を貫かれ徐々に小刻みに震えながら動かなくなった【角兎】はそう長く時間をかけずに光の粒子になって消えていった。敵が消滅したことで緊張が解けた私に、途中から感じなくなっていた肩の痛みが再び襲いかかる。
ステータス画面には傷痍系状態異常を知らせるアイコンが出ていた。息を荒くさせながら震える右腕で腰につけていたアイテムボックスから【ヒールポーション】を取り出し、ふたを開けて肩にかけた。するとHPが回復し、左肩の痛みも少しだけ引いた。しかし、どうやら手持ちの回復薬では完全に治すことはできなかったらしく、まだ状態異常が残っていた。
先ほどより痛みはましになったため、まだ少し痛む肩の傷を我慢しながら私はただ安全な場所を目指して一心不乱に走り出した。
森から出た後の記憶はあまり残っておらず、ただ夢中で走り続けていたのか足に疲労感を感じる。気が付いたときには将都の南門が私の目の前にあった。
安全な場所に辿りついたおかげか体から力が抜けていく。
私は門番の人が駆けつけてくるの目にしたのを最後に、意識を手放した。
シリアス展開入りま~す()
余談なのですが、今作の天地ではあの森以外の初心者用の狩場は全域でランダムに亜竜クラス(上級戦士職並み)のモンスターが出るのでそこまで安全とは言えません。まあ、滅多なことがなければエンカウントしませんが()
エンブリオの登場はもうしばらくお待ち下さい。現在は主人公のパーソナルを解析してる段階ですのでご容赦を
あと、チートの正体がわかったら感想とかに書いてもらうと嬉しいです。
……作者のモチベーション的に
次回は…………