幸運の子   作:水上竜華

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ヒャッハァァァー!!連日投稿だぜぇぇぇ!!




…………ゴホン、今回は主人公が立ち直るために再始動する回です、ハイ。

全体的にかなり強引になっています。私の力量だとこれが一番スムーズに進む展開なのでマジでご勘弁を

完全に余談ですが、他のデンドロ作品を見ていると展開の早さが拙作とカメと兎くらいの差があり、始める前から分かっていたことですがこれからの拙作の投稿速度について頭を悩ませているこの頃の作者であります。

それでは本編スタートです。



第五話 物語の始まり

□都内マンション 野崎花子

 

 私があの恐怖体験をしてからリアルの時間で二日程経っていた。あれから私は<Infinite Dendrogram>にログインしていない。ネット上が<Infinite Dendrogram>をプレイした人達の話によって騒然としている中、昨日、つまり私がログアウトした夜の翌日に運営から改めてゲームの内容の発表をしていた。無数にあるジョブのことや、まだ私は孵化させていない〈エンブリオ〉について、そして無限の可能性を皆様に提供すると述べていたのだ。

 

 

 

 その発表でもあった〈エンブリオ〉のことでとある掲示板に書かれていたことだがプレイを始めたプレイヤーのデ-タから大体<Infinite Dendrogram>の時間で早くても1時間、遅くても一日くらいで孵化することが今のところわかっているらしい。また、時間がかかるほど性能のいい〈エンブリオ〉が生まれる傾向も見えてきたという。分類もすでに管理AIや自身の〈エンブリオ〉に教えられたものを添付してくれた人がいて、どんなものがあるかの参考にすることができた。

 今確認されているのはこの五つの種類である

 

 

 

 プレイヤーが装備する武器や防具、道具型のTYPE:アームズ

 プレイヤーを護衛するモンスター型のTYPE:ガードナー

 プレイヤーが搭乗する乗り物型のTYPE:チャリオッツ

 プレイヤーが居住できる建物型のTYPE:キャッスル

 プレイヤーが展開する結界型のTYPE:テリトリー

 

 

 

 この中から自分の〈エンブリオ〉ができると言われてもあまり想像できない。でも、興味があるのは確かなのだがイマイチあのゲームをやる気が起きないのだ。原因はわかっている。あの狩りのことをまだ引きずっているのだ。

 

 

 別にあのゲームは戦闘要素だけが売りではないのだから、壁の内側で生産職でも商人でもなんでも自由にやればいいのだ。しかし、そうは言っても困ったことに私の中で中々決心がつかないのだ。楽しいこともあったけど、怖いことのインパクトが強すぎた。

 ある意味で自業自得な出来事であり、注意していけば今後は問題ないのかもしれないけど、違うことで自分が何をやらかすか分からないといった恐怖も出てきている。この二日間で思考がどんどんマイナスな方に傾いてきているのだ。

 

 今ではネガティブな考えしかできない私だが、このゲームを始める前の自分はいい意味であんなにも楽観的だったというのに……

 

 

 

………そういえば、結構ギャンブル好きだったな、私

 

 

 

 このゲームだってリスク覚悟で買ったのだ。

 

 

 

 そうだ、…………そう言えばだった。

 

 

 

(ゲーム内で起きたことが衝撃的過ぎて忘れてたけど、結構な大勝負に一応私、勝ってるんだよな。)

 

 

 

 宝くじは異常なほど当たったし、このゲームは本物だった。

 

 

 

 今更ゲームで失敗したくらいで何を臆病になっているのだろうか?世の中勝つこともあるが負けることもある。負けたらそれを次へとつなげる糧にすればいい。確かに今でもあの時のことを思い出したら震えが止まらなくなるし、気分も悪くなる。でも、そんなことを言ったら何も始まらない。

 

 最悪、街の中でできることをやって楽しめばいいのだ。あっちでも知り合いもできている。相手はNPCだけど私に優しくしてくれた人たちばかりだ。きっと、どうにかなるはずだ。

 

 よし、だんだんいい感じに思考を切り変えることができてきた。このまま躊躇わずに私らしく突っ切ってしまおう。

 

 勢いに任せたまま朝畳んだ布団を畳の上に再び敷くと、電源を入れた装置を頭に付けて寝転がり初めての時と違い、手を震えさせずに起動スイッチに触れた。

 

 こうして私は再びあの世界へと戻っていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

                  ◇

 

 

 

 

 

 

 

□将都安穏京 【弓武者】夜ト神寝子

 

 前回の時に逃げ出してログアウトした場所に再びログインした私は辺りから視線を受けつつ、松井さんにもらった紙に書いてある住所まで一先ず行くことにした。流石にいきなり外に出ようとするのはやめた方がいいと判断した結果である。トラウマだってそんな簡単に治るモノじゃないし、下手蒸し返せば、自分が何をしでかすか分からない。ここは慎重に行こう。

 

 松井さんのところを選んだのは生産職でどんなことをしているかを知るためだ。それにいつでも来てもいいみたいなこと言ってたし、大丈夫かなぁ~と思った次第で。

 まあ、無理のない範囲で行動あるのみです。

 

 

 

 そんなことを考えているうちに着いたようです。表札に松井って書いてあるしここだろう。なんかやけに静かだけど在宅か確認しておこう。チャイムは残念ながらついていなかったので扉をたたいて家の主を呼ぶことにした。

 

 

「すみませ~ん!松井文長さんは、いらっしゃいますか~!〈マスター〉の夜ト神寝子という者なのですけど~!いたら返事してくださ~い!!」

 

 

 しばらくしてから家の中から慌ただしい足音がしたかと思いきや、横開きの玄関の戸口が開くと先日会った歴史学者の松井さんの姿が目に入った。驚いたで様子で私を視界に入れた後に辺りに誰かいないか確認しているのか、キョロキョロと挙動不審に周囲に視線を巡らせてからこっちにおいでと言うかのように私に手招きをする。

 怪しさが全快だったが、一先ず来てしまったからには入るしかないと思いそのまま中に入らせてもらった。

 

 それから無言のまま通された部屋の中には本と紙が乱雑に散らばっており、足の踏み場が全く見当たらない、とんでもない部屋だった。

 

 

「…………」

「あははは、ごめんね。人が来ることなんて滅多にないから片付いてなくてね。今、座るところ作るから待ってて」

 

 

 少し慌てた様子を見せた松井さんは小声でそう言うと荒れ果てた部屋の片づけを始めた。人が来ないにしてもこれはひどいと思ったが言葉に出さずそのまま、紙の山を作りながら私の座る所を確保している松井さんのことを待つことにした。

 

 しばらくすると人一人が座れるくらいのスペースができたところに私は座り本題に入る前にお詫びを先にすることにした。

 

 

「急にお邪魔してしまってすいません」

「いや、いいんだよ。一応ダメもとで場所は教えたけど本当に来てくれるとは思ってなかった僕が悪いんだから。それで、何か用かい?」

「あの、実はですね…………」

 

 

 正直自分勝手な理由で押しかけてきたこともあり、事情を全部話すことにした。一先ず自分があの後どうしていったかを話していき途中までは大丈夫だったのだが、いざあの狩りのことを話そうとするとその時の恐怖が甦ったのか、体が震え、頭もくらくらして気分が一気に悪くなった。しかし、何とか我慢して苦しい表情を見せながらも何とか話し切ることができた。そして、それから外に出られなくなってしまったこと、これからどうしようかと考えていた時に知り合いの生産職の人の仕事を見て回ろうと思いここにきたことを包み隠さず話した。

 

 

「………と、言うわけで職業のことについて教えてくださいませんか?」

 

 

 途中から神妙な顔をして話を聞いてくれた松井さんはその返事を返す。

 

 

「いいよ、と言っても今は本業の方は仕事ができないからジョブに依存しない副業の方になっちゃうけどいいかな?」

 

 

 ん?

 『ない』じゃなくて『できない』とは、いったいどういうことなのだろう?

 それに副業って?本業は写本師だから、副業は歴史家のことだろうか?

 そんな疑問が顔に出ていたのか、松井さんは苦笑しながらその職業のことを教えてくれた。

 

 

 

「まあ、世間一般でいうところの小説家ってやつさ。」

 

 

 

 意外な職業の名前が出てきたので少し驚いてしまった。

 

 

「えぇ~!!すごいじゃないですか!!どんな作品を書かれてるんですか?」

「主に伝奇小説かな。過去にあった逸話とか知った後にさ、それをもとに自分の物語を想像して書くのが好きでね。ダメもとで投稿したら大当たりしちゃってさぁ~。はぁ…、一時期は浮かれてたなぁ………」

 

 

 どこか遠い目をしている松井さんにシンパシーを感じると同時に、気になっていることを聞いた。

 

 

「それで、本業ができないとはいったい?」

「あぁ、簡単な話だよ。……〆切が三日後なんだ、小説の。しかも、ほとんど書けてない修羅場ってやつ」

「え?」

 

 

それってかなりヤバいのではと思ったとき、玄関の方から扉を力強く叩く音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生ぇぇぇぇええええ!!!!原稿はまだですかぁぁぁぁ!!!!!」

「これ以上はもう待てないって僕、言いましたよねぇぇぇぇ!!!!!!」

「とりあえず中に入れてくださいよぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!!」

「いるのは分かってるんですよぉぉぉぉぉおおお!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

………間違いなく担当編集の方である。

 

(こ、これは噂に聞く、〆切前に圧力を掛けに来る担当と居留守を使う作家との攻防というやつですか!?)

 

 と、馬鹿なことを考えてる私に対して一言もしゃべらないようにと滅茶苦茶身振り手振りで伝えようとする松井さん、もとい〆切り前の先生がそこにいた。ジト目で松井さん(先生)をみる私は、一先ず(担当さん)が去るのを一緒に待つことにした。

 

 30分後、音が止み、(担当さん)が去ったことを確認すると松井さんはため息を吐き出した。

 

 

「あれ、大丈夫だったんですか?中に入れなくて」

 

 

 リアルな担当編集とのやり取りなど知らない私は先生(松井さん)に聞いてみた。

 

 

「あの人を入れたが最後、完全にモノを仕上げるまで貫徹させられます。もうッ、あれだけは、嫌だぁッッ!!」

 

 

 顔を青くさせながら心からの叫びを小声で叫ぶという器用な芸当を見せてくれた松井さんだが、一体過去に何があったのやら……。

 

 

「でも、もう流石に書かないとまずいんじゃないんですか?本当に〆切近いんですよね?」

「うん……、そうだよ。」

 

 

 一瞬にして、哀愁を帯びたような雰囲気を醸し出す先生であったが続けてこう述べた。

 

 

「でも、君のおかげで何とかなりそうなんだ」

「えっと、それってどういう」

 

 

 いきなり私の話が出てきたので、どういうことか考えていると松井さんはその根拠を私に教えてくれた。

 

 

「実は、君のさっきの話を聞いてたら不謹慎かもしれないけど創作意欲が湧いてきちゃってさ、これならいけるって思ったんだ。それで、相談なんだけど書いてもいいかな?もちろん名前とかは伏せるから、そこら辺の心配はしなくていいよ」

 

 

 なんと、私の体験談から物語を作ろうというらしい。正確には話の流れが同じ感じにした先生の妄想ではあるのだが

 書かれること自体には少し抵抗感があるが人助けにもなるし、当初と目的が少し変わっているがわざわざ仕事を見せてくれと言ったのは私の方だ。ならば致し方ないと受け入れられるが、正直聞いてて面白い話じゃなかった気がするのだが………

 

 

「いいんでしょうか、私なんかの話で?」

「うん、少なくとも僕は一人の女の子が一生懸命頑張ってる姿をつまらないって言うほど落ちぶれちゃいないさ」

 

 

 そう、何でもないように言う松井さんの姿を見て、この人は本心でいっているんだなと思った。私はここがゲームの世界であることいいことに、自分の都合に皆を巻き込んで行動しようとしている独善的な女だ。そんな今の自分のことそう言ってくれる人に物語を書いてもらえるならむしろ本望だ。

 

 だけど………、

 

 

 

 

 

「いくつか条件があります。」

 

 

 

 

 

 ここで先ほどとは裏腹に私は以下の条件を松井さんに提示した。

 

 

 一つ、最後まで書ききること。

 

 二つ、〆切は守ること

 

 三つ、最高のものを書き上げること

 

 四つ、お金は払うので、できた本を私にも読ませてほしいということ

 

 

 

 

 こう言ってはなんだが一つ目と二つ目は作家が守るべき最低ラインである。しかし、この先生には念は押しておく必要がある。三つ目は伝わるかは分からないが、別に達成できるか出来ないかは関係なく、そのくらい頑張ってほしいという意味を込めて入れた。四つ目は普通に気になるので読みたいだけだ。

 

 

「あははは、少し難易度が高くなった気がするけど、………うん!!分かった!!その条件でいいよ。三つ目と四つ目はもともとそのつもりで書く気だったし。………最初の二つも善処します」

 

 

 一抹の不安は残るがよしとしょう。後は、松井さんが書き上げるのみだ。

 

 

「じゃあ、今日はここで失礼します」

「あれ?仕事の様子は見なくていいのかい?」

「まぁ、普段見れない生々しいものも見れましたし。それに、私がいたら集中できないんじゃないかって思って」

 

 

 題材にする人の前で作品を書くのは中々勇気がいることだと私は思う。それに、言葉にはしないが自分のことを目の前で書かれるなんて、恥ずかしくて私には耐えられない。

 

 

「僕は構わないけど?」

「私が構いますよ!!」

 

 

 条件反射で答えてしまった…………

 

 

 

 

 

                 ◇◇

 

 

 

 

 

 それからすぐに玄関まで松井さんに見送ってもらったのだが、松井さんに先導してもらい玄関の扉を開けてもらうと、そこには全く笑っていない雰囲気を放つ担当編集さんが闇のように黒い渦を目に宿し口角を上げて笑っているような様子で、松井さんのことを見つめていた。

 

 

 

 

………その後先生(松井さん)、に三日間の貫徹地獄を敢行されたことは言うまでもないだろう。

 

 




ほい、と言うことで松井さんが再登場です。

自称歴史学者の松井さんですが、小説家になってからはネタ集めに死に物狂いになっています。
主人公が受けたクエストの真の目的は彼のネタ集めに協力する事だったので難易度が二と、少し高めになってました。
原作ルークのクエストより難易度が圧倒的に低いのは報酬の問題もありますが、求める情報のハードルが低かったお陰でもあります。

このクエストが失敗するとしたら余程のコミュ障か人格破綻者、話が通じない相手だとアウトです。
主人公は一応社会に出て問題なく仕事ができるくらいにはコミュニケーションが取れるので問題ありませんでした。
まあ、他にも気に入られた理由はあるのですが………

ちなみに作者の担当編集さんのイメージは某ロードレース漫画のハエ食べて栄養補給してる人の初期の姿です。
基本的に性格はいい人なのですが〆切前になると先生方に精神攻撃を仕掛けながら催促をしてきます。
ジョブ構成は【隠密】系統と【鑑定士】系統、《聴覚強化》、《持久力強化》のスキルを持つジョブとなっております。当然のようにカンスト済みのティアンで基本的に居留守が通用しない担当さんです(この事はまだ松井さんに知らされていない)。今回も松井さんがいることは分かっていたので一度住宅への侵入を試みましたが、主人公との会話を建物越しに聞き、いい感じの雰囲気になっていたためより恐怖を上げるために待ち伏せに変更した模様



松井さんはプロットの段階だと再登場させる予定のないティアンだったのですが、主人公が他のティアンと絡むパターンと比べて意外と筆が乗ってしまい担当さんが生まれたこともあって半レギュラー入りしました。今後もお世話になる予定です。



主人公のトラウマ克服はかなり力押しです。神の啓示でも受けたのかっていうくらいの不自然さになりますが、神()がアホなのでご了承ください。



次回はお待ちかねのエンブリオ登場回&??????回です

来週も、見てね!!(アニメの提供風)
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