「さてと。まずはどこに行こうかな。」
「そうですね。トナカイさんレーダーとかないのですか?」
「なに?困った人を探すレーダー?あればいいね。」
こんな感じの雑談をしながら俺とジャンタは歩いていた。
否、歩いているのは俺だけ。ジャンタは俺の頭の上だ。いわゆる肩車というやつである。なぜか無性にしたくなったので半強制的に肩にのせた。
ちょっとマイルームを出るときに頭を打ちそうになったけど…なんとか脱出。だって暴れるんだもん。『お、下ろしてください!トナカイさん!』って。
まぁ『俺はトナカイだ!サンタを運ぶのが仕事だ!あ…もしかしてジャンタは俺をトナカイとして認めてくれてない…?』と言ったらおとなしくなったが。
今では仲良く散歩をする仲だ。ふふ…可愛い。
「あ!サンタさんずるい!」
「マスターさんマスターさん!私も乗せてなのだわ!」
「私も!」
「お。ジャックにライム。どしたの?こんなところで。」
廊下を曲がると二人の子供と遭遇した。
よくジャンタと一緒に遊んでいる『ジャック・ザ・リッパー』と『ナーサリー・ライム』である。
「サンタさんがいなかったから探してたの!」
「そっか。偉いね。二人とも。」
ジャンタを乗せたまましゃがみ、二人の頭を撫でる。
目を細めてすごく嬉しそう。こういう反応をしてくれるとこっちも嬉しくなる。ずっと撫でていたくなるね。
前に一度だけなにを血迷ったか清姫の頭を撫でたことがある。その後のことは…言わなくてもいいよね…?
「こほん!」
「おろ?ジャンタ、どした?あ、撫でてほしいのか。また後でな。」
「違います!私たちは大切な任務があるのです!なのでお二人と遊ぶ時間はありません!トナカイさん、行きますよ。」
「えー…ジャンタすねてる?」
「すすすすすねてません何を言っているのですか!?」
「あー…ごめんね。」
「マスター…遊んでくれないの?」
「仕方ないわよ、ジャック。マスターさんは忙しいのだわ。また遊んでくださいな。行きましょう、ジャック。」
二人が回れ右して歩き出す。明らかに落ち込んでしまっているようだ。
せっかくジャンタを探しに来たのにこんな態度を取られてはそれも仕方ないが…
「ジャンタ…」
「な、なんですか。早く行きましょう。私にはやることが…」
あーあー…目元ウルウルさせちゃって…遊びたいならそう言えばいいのに。不器用なところは邪ンヌそっくりだね。
仕方ない。これもトナカイの役目だ。
「ほら、困ってる人がいるよ?」
「え?どこですか?早く助けてあげましょう!」
ムリにテンションをあげようとしているのがバレバレ。
首ブンブン振って探してるし。首元が柔らかい太ももに挟まって締め付けられる。首を振るのと連動してぎゅっ、ぎゅっと…良い!
「ジャックとライムだよ。」
「…え?でも…」
「二人とも残念そうだっただろ?すごい落ち込んでたじゃんか。」
「あ…」
「助けてあげようよ。」
「………」
黙ってしまった。もう一言かな…?
「かわいそうだなー。誰かが助けてあげないとなー。」
「………そうですね。待ってください!ジャックさん!ライムさん!」
「ふふっ…やっとか。おーい!二人とも待って!!」
「なに?マスター。」
「もうお仕事に行っても…」
「うん。だから…」
一旦言葉を区切り、二人の顔を見る。二人とも落ち込んでいる。顔色は暗い。こんな顔をした女の子を放っておけるか?否!できない!
「遊ぼ!」
「「……え?」」
「えっと…今日のお仕事は…その…」
「二人と遊ぶことだよ!」
顔が一気に明るくなる。可愛い!
「なにしよっか。」
「かくれんぼ!」
「よし。じゃあ俺が鬼ね。100秒で探しにいくから。いーち、にーい、さーん…」
「きゃー!逃げろ~!!」
「うふふ…どこなら見つからないかしら。サンタさんはどちらに隠れます?」
「私は…ってここで言ったらトナカイさんにばれてしまいます!行きましょう!」
声が離れていく。あ、これ寂しい…
「99…100!よし。どこかなー…とりあえずあそこにいこう。」
まずはあそこ。明日からのことを考えれば必要だし。
着いたのは給湯室。別名、休憩室。ここにはいつも入り浸るサボり魔がいるのだ。
「おーい。マロンいる?」
「ロマンだよ…どうしたんだい?てっきり今日はお休みだからみんなと遊んでるものだと思ってたよ。」
「うん。いつも遊んでるマロンとは違うからね。」
「うっ…ひどいなぁ…」
いつもお茶飲みながらお菓子食べてるあなたとは違うのだよ。たまには働いてもらわないと。
「お仕事持ってきたよ。」
「えぇ…」
「なるほど。」
「お願いできる?」
「うん。まぁそれくらいならね。」
「じゃあ五分でよろしくね。」
「鬼かな!?」
「んじゃねっ!」
さて。用事も終わったし改めて探そうかな。
どこだ…?あ…ジャック気配遮断使ってないよね…?使ってたら絶対にムリだからね…
「あれは…マシュとプーディカさんだ。料理本持ってる。料理の特訓か…な……あ!」
「あ…先輩、こんにち…」
「ライム見っけ!」
「残念。もう見つかっちゃったのだわ。一番かしら?」
「うん。よし、次行こうか」
「ま、マスターさん…あの…」
「ん?あぁ、肩車ね。よいしょ…っと。」
「きゃー!高いのだわ!」
「そりゃ良かった。次は…」
「ダヴィンチちゃんの素敵な工房へようこそ♪」
「んー…ここには…あ!ジャック見っけ!」
「あー…見つかっちゃった…」
「残念ね、ジャック。」
「あー!ずるい!私も!」
「はいはい。じゃあライムは降りてね。次はジャックの番だよ。」
「またしてくださる?」
「もちろん。」
「わー!高-い!!」
「ふふ…じゃあね。ダヴィンチちゃん。」
「うん。また用事ができたらきたまえ。」
「残りひとり!」
「ジャンタ見っけ!」
「あぅー…見つかってしまいました…」
マイルームのベッドの上、布団をかぶったジャンタを発見してかくれんぼは終了。俺の勝ち!
丁度そのタイミングでマイルームの扉がノックされた。
「はい、どうぞ。」
「やぁ。僕だよ。」
「誰だよ。」
「ロマンだよ。頼まれてたものができたからね。持ってきたんけど…」
「ありがと。どれどれ?」
一枚の紙を受けとる。そこにはこう書かれていた。
『
「なにこれ…」
「カルデア相談所の案内ポスター。作ってって言ったでしょ?」
「えー…まぁいいか…じゃあ外に貼っといて。」
「まだこき使うのかい!?まぁいいけどね…」
マロンが紙を持って外に出ていく。
それを見届けてから
「よし。ジャンタ。準備はいい?」
「…! はい!」
「明日からまた頑張ろうね!」
二人はポカーンとしているが、一旦ムシ。
「よし。やるぞ!オー!」
「「「オー!!!」」」
みんなで手を上げる。一致団結だ。
明日からは忙しくなるだろうか。とりあえず今日の手助けはしゅうりょ…
「次はなにしようか!」
「もう一回かくれんぼ!」
「トナカイさんもいるので色々できますね!」
「あー…まだ終わってないか…よし!遊ぼ!」
「「「わーい!」」」
明日は楽しみだ。でもとりあえず全力で今日を楽しもう!