追記。
訂正しました。順番が違った。
■或る未来の話。〈DIN〉ギデオン支部屋上
其処には、3人の〈マスター〉が居た。厳密には
「なぁ、あれは結局どうなるんだ?」
3人の内の1人が問いかける。
「僕は知らないよ」
「私も〜」
3人の内の、残った2人が答える。
3人の内の1人、カタルパ・ガーデンは地平線の果てに居る何かを見据える。
3人の内の2人、「双子社長」は自身の役目を果たしている。
「知らない?ならまたジャバウォックかよ。あいつ以外いねぇけどさ。クイーンは有り得ないし。……相変わらず性質が悪い」
「性格の悪さ、だったら」
「貴方も同じなんだけどね〜」
失礼な、とカタルパは苦笑いするが、否定はしなかった。自覚している証拠だ。
そうして3人は揃って、地平線の向こうを見る。
「……もうそろそろ、【三極竜】が」
「蹂躙を始めるよ〜」
「最初に〈SUBM〉と対峙するのは……あの位置だと〈バビロニア戦闘団〉か。ご愁傷様。
因みに■■■■■■兄妹。誰が勝つ?……あれは誰なら倒せる?」
「挑戦者が1人だけ、なら」
「貴方くらい〜」
「数人いるなら」
「フィガロは有り得ないの〜」
「おい、抑ソロプレイでフィガロじゃねぇなら複数プレイでも無理じゃねぇか」
そう肩をすくめるカタルパ。自分なら倒せる、と言われたのに、動く気配は無い。物理的にも、精神的にも。
「貴方の《秤は意図せずして釣り合う》で写し取れるでしょ〜?」
「且つ君の《
2人は目も合わせず支部の屋上で作業を続ける。それでも2人の息の合ったセリフの継ぎ方は、正直驚く。カタルパは、左手の甲をチラリと見てから、2人のセリフの続きを待った。
「「それでも、我々はそう易易と倒される事を望まない」」
「……ああ、知っている」
カタルパは特に気にする風もなく、〈DIN〉ギデオン支部の屋上から、【三極竜 グローリア】の行く末を見る。とても遠く、点のように小さい(どころか「見えない」と言っても差し支え無い)グローリアを、3人は傍観していた。
3人の内2人は『参加するわけには行かず』、1人は『参加してはならない』。
〈UBM〉を討伐しないでほしい、と。カタルパは言われているから。
〈SUBM〉も〈UBM〉だ。
「まあ、僕らとしては」
「倒されるのも面白いかな〜なんて思うんだけど〜」
「それでジャバウォックが怒るのは明白だ」
「怒らせるのは面倒なの〜」
「バンダースナッチも意味ねぇしな。
ったく。あの進化バカはどうしてあぁも……」
「バカならさ」
「私達の目の前にも1人〜」
「…………うっせぇ」
カタルパはバツが悪そうに双子社長に向けていた視線をグローリアに向ける。先程から双子社長と往復している視線は、誰とも交錯しない。
「にしても。お前らでも不確定か」
「……何がかな」
「内容によっては〜」
「落ち着け。ただ単に、『アルテアが安全かどうか』分からなかったんだなって事だ。
俺が来る事を察しておきながらアルテアの支部ではなく
「「……回答を拒否しよう」」
「……そうかい」
それ以降は、お互い何も話さなかった。ただ戦闘の開始を、待った。絶望の始まりを。一方的な虐殺を。
――カタルパは、待つ事しかできない。
待たなければ、【三極竜】を倒してしまう恐れがあるから。
《
《
《
《
《■■■■■■■■■■■》も。
そして《
全てが、【三極竜】を殺し得る必殺の技。
……だからこそ、もう〈UBM〉を殺さないでくれと、ジャバウォック自身にも言われたのだが。
「非戦闘職だからいいと思うんだがな」
「問題は非戦闘職なのに、という所だよ」
「戦闘職の超級と並ぶ程じゃバランスブレイカーなの〜」
それもそうか、とカタルパは頷く。
カタルパは非戦闘職でありながら、〈エンブリオ〉と絶大なシナジーを生み、結果戦闘職より戦闘職染みた非戦闘職になった。
計算スキル特化型超級職【
数値改竄や計算速度の上昇など多彩なスキルを操る化物。
本来、【演算士】も【会計士】も、そして【数神】も、AGI特化職である。
AGIは運動速度だけでなく、思考速度にも働く。
超速で計算させる為の高AGI。計算以外させるつもりが無いからこその低スペック。
それが売りだった、が。
カタルパ・ガーデンの【絶対裁姫 アストライア】がそれをぶち壊してしまった。
非戦闘へ進む職業に相反するように戦闘へ引き摺りこんだ鎖は、カタルパを化物にしていた。
高AGI故の超速移動。王国最速までは残念ながら至らなかったが、五指に入る程度には速かった。相手のバフを写し取る《秤は意図せずして釣り合う》から【絶対裁姫 アストライア】の全てのスキルを同時発動出来るようになった第7形態で放つ《不平等の元描く平行線》のコンボは、計算時のみ、下手をすれば30万を超えるAGIを代入させる。
カタルパ・ガーデンは、〈マスター〉にして〈イレギュラー〉のようなものだった。
双子社長、或いはジャバウォック、或いは■■■はそんな彼を危険視している。バランスブレイカーではあるが、『それ』として機能した事は一度もないという事実には少し、彼ら彼女らは安堵していたが。
「君が態々ここに来た理由は」
「話し相手と観戦場所が必要だったからでしょ〜?」
「勿論」
「「■■■もロクな〈マスター〉を創らないな」」
「
そうして3人による観戦の元――――始まるのだった。
その物語は、彼が介入する余地のない、誰かが語る物語――――