消し飛ばした。
何一つの比喩無く。嘘偽り無く。
万物万象、それこそ『平等』に。
消却の光は悪の王を呑み込んだ。
アウゲイアスの牛舎のように。
だが、その希望さえ、愚弄したのがエイル・ピースという者だった。
そう、化け物は耐えたのだ。絶えなかったのだ。
「かっ……はっ……!!いやまさか……これ程とは思っていなかった。言いぶりからして『元々のステータスから減少している分の何倍かを攻撃力にして放つ』ものと思っていたが……あぁそうか、【探偵】がバフを解除して何かしらしていたかと思えば……【デルピュネー】で奪った分から、追加で引き去るとはな……よくやる」
カタルパは舌打ちする。自分達が放てる最強の一撃を耐えられる……事は予想していたにせよ。満身創痍とは程遠い訳では無いが、五体満足という事には、自分の元々のステータスの低さに落胆せざるを得なかった。
アイラを押し倒して《天地均し響け、終末の笛の音よ》を使わせるよう頼むべきだったか。それは愚策にも程があるのだが。
そんな事よりも、重要なのは耐えたという点だろう。
《
似て非なるスキル。追加されたのかどうなのかは本人にしか分からないが、第3形態到達時に、秘匿されていたスキルがあったのだろうか。
それらがどうあれ、今みるべきは事実。
《仰げば尊き正義の断片》が発動されたと言う、事実だけ。
肩で息をするエイル。暴龍同士の喰らいあいが、一旦停止する。エイルが【アジ・ダハーカ】を呼び寄せ、アルカが【イグドラシル】を――《
「そうそう、私の必殺スキル、《
――【龍幻飛後 アジ・ダハーカ】はTYPE:ラビリンス
TYPE:ラビリンス・ギア。
迷宮にして、これは騎乗用のモノだと言う。
「まぁ、答えは神のみぞ知る……いや、それだとそこの鎖の少女は知っていなければならないかな?否、
答えを聞かせない。エイルの一人語りが止まらない。
「さて、答え合わせだ。勿論『どうなるか』が問題だ」
悪寒が四人に駆け巡った。
ある者はデバフを解除して味方全体に強化をし、ある者は下半身で上半身をエイルに向けて轟速で蹴り飛ばし、ある者は暴龍をけしかけ、ある者は刀剣2本を手に駆け出した。
――だが、遅い。
「《
暴力が、目を覚ました。
□■□
ゲームにはよくある事だが、ストーリーのラスボスというものは大抵、第2段階が存在する。
今回はたまたま、その第2段階が、【龍幻飛後 アジ・ダハーカ】
それが、どれ程の意味を持つのか――それを正義の味方が知る由もない。
□■□
吹き荒れる暴風。そこにエイルの姿は無い。【アジ・ダハーカ】の中に、彼はいる。
《
迷宮にして騎乗の道具。
然らばエイル・ピースはさながら、クノッソス宮殿の牛の王。
だが彼等にアリアドネの糸は無い。
【イグドラシル】の暴龍でも拮抗がようやっとだった化け物が、生物的な意志を持ったのだ。
動物的直感でのみ動く今までの【アジ・ダハーカ】とは違う。
思考する敵。
正義の味方の
正義の味方に敵対するには、物理的にも精神的にもその存在は大き過ぎた。
『さて、エクストラステージ……否、第2ステージ、かな?』
響く声が平静を削ぎ、狂気の淵へ立たせる。
苦痛、苦悩、そして死。
それらが意志を持って、カタルパ達をゆっくりと。
だが確実に食んで。食んで。
食い殺した。
( °壺°)「次回の為に今回は短め!」