異世界はシーカーストーンとともに。   作:愚の骨頂だよねぇ?

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ブレスオブザワイルドの小説書きたいなー→シーカーストーンって、スマホに少しだけ似てるよな→せや!イセスマと掛け合わせたろ!
みたいなノリです。


英傑、異世界へと降り立つ。
#1 英傑は死に、転生する。


「…………いよいよか」

 小さく、自身を落ち着かせるような低い声で呟くのは、一人の青年。名をリンクといい、このハイラル王国においてただ一人、世界を救う勇者の資格を与えられている。彼の背に光る、退魔の剣《マスターソード》がその証であり、それを扱える剣士こそが、由緒正しき勇者であると古代より伝えられてきた。

 だがそんな勇者でも、完全に冷静でいられるというわけではない。リンクは、魔の手に落ちたハイラル城へと突入し、数多の魔物と邪悪な魔の気を乗り越えた末に、本丸の前へと到達した。本丸には、魔物の親玉にして、ハイラル城を乗っ取った諸悪の根元《厄災ガノン》がいる。100年前は倒すことが叶わなかった敵を前にして、リンクの全身には嫌な寒気を伝わり、手汗がじわりとにじんでくる。

 だが、彼女が、姫が助けを待っている。彼女は、100年前に興った大厄災からずっと、ガノンを封印し続けている。人の一生よりも長いときの中、延々とリンクを待っている。その事実を想う度に、リンクは胸がはち切れそうになる。

 100年も休んでいたわけなのだから、もう引くことは許されない。リンクは固い決意を抱き、剣を抜きはらう。聖なる光が汚れた空気を照らし、勇者はいざ、最終決戦へと臨む。

 しかし、厄災が起こした凶事か否か、稲光がリンクの上空を走る。

「――ッ!?」

 リンクはとっさに空を見上げ、凝視する。ハイラルの雷は、近くの金属に反応し、それに吸い寄せられるように落ちる習性がある。それをリンクは思い出し、すぐにマスターソードを仕舞い込もうとする。

 だが、天雷はリンクを逃がすまいとするように、するどく宙を裂いた。躱す間もなく、雷槍はリンクの体を貫き、全てを白く染めていった。勇者の視界もまた、そのまま白く燃え上がっていった。

 

 

 

 

 

「……っ」

 頭痛がする。動く左手を手探りで頭部へと伸ばし、触る。すると、嘘のように痛みが引いていく。視界は真っ暗。何があるかもわからない。

 だんだんと瞼の当りがチリチリと痛み始める。それから逃れるように、リンクはゆっくりと瞳を開けた。瞳孔に入り込んだ光は、青と白。先ほどにはない色が現れ、困惑する。

 視界を最大まで広げてみると、その光の正体は青空だと分かった。青い画用紙に白色の模様が何個も塗られているような、何の変哲もない青空。足元を見ると、白い綿毛のような地面が見える。人間では決して乗ることのできない雲の上にいるのだろうか。

 雲の上にいるのは、リンクだけじゃない。リンクの前には小さな木製のテーブルとタンス、そして、向かい合うように座る一人の老人の姿があった。

 誰だろうか。リンクは声をかけようと口を開こうとする。

「あの――」

「ふむ、気が付いたか」

 老人はふうと息を吐くと、リンクを見つめる。

「あの、あなたは?」

「ワシか? ワシは神様じゃよ」

 神様、か。ハイラルを作った神であろうか。だが、それにしてはどうも威厳がない。直感だが違うだろう。

「やっぱり俺、寝ていたんですか?」

「そうじゃ。ここにくる死人は確かに寝るものではあるのだが、1時間以上眠ったのは相当じゃ」

「はぁ…………――え?」

 死人……?

 一つの言葉が引っ掛かった。死人ということは、死んだということか?

「ど、どういうことですか? 死人ってどういうことですか?」

「どういうこともなにもない。おぬしは死んでしまったのじゃ。おぬしはワシが放った雷に打たれて死んだのじゃ」

「なっ――」

 さーっとリンクの顔から血の気が引いていく。そういえば、ハイラル城で雷が突如現れ、有無を言わさずリンクの頭上へと落下した。体力も消耗していたし、倒れるのも無理はない。

 だが、この老人は何と言っただろうか。自らが落した雷で、リンクが死んだと言っている。

 リンクは、今度は顔が熱くなっていくのを感じた。瞳を鋭く細め、神様を睨む。

「今あなたが落したと、言いましたよね? まさか俺を殺すつもりで――」

「ち、ちがう! わざとじゃないんじゃ! まさか落とした先に人がいるとは思わなくてな。あんな廃城に人などいるわけがないと思ったのじゃ!」

 リンクの顔は、殺気にあふれており、神様も思わず口がたどたどしくなる。

「……なるほど、雷を落とす趣味は理解できないですが。それで、俺はこれからどうなるんですか。天国ですか? 地獄ですか?」

 リンクは睨むのをやめずに問う。リンクにしてみれば、使命を持って最終決戦に臨もうとしていたところを、老人の横槍で邪魔されてしまい、しかも死んでしまったのであれば、ハイラル城にはもう戻れない。

「い、いやいや今回のケースはワシのミスじゃ。故にすぐに生き返らせてやることにしよう」

「本当ですか!? ならすぐにでも頼みます! 俺はハイラルを、姫を救わなくちゃいけないんだ!!」

 望みが見え、リンクは飛びつくように頼む。だが、神様はというと、少し難しそうな表情をする。

「おぬし、まさか元の世界で行き返ろうと考えているのではないか?」

「……? まさかも何も、そうに決まってます!」

「ならば、それは無理じゃ。元の世界で生き返らせることはできんのじゃ。そういうルールでな」

「なっ……!!?」

 バカな。それができないだと……?

 いよいよ頭の中が沸騰し始める。自分勝手に人を殺しておいて、そして元の世界で生き返らせることができないだと?

「ッ――!!」

 気が付けばリンクは神様につかみかかっていた。

「ふ、ふざけるな!! あなたが間違いで殺しておいて、生き返らせることができないだと!? しかもなんだそういうルールって!? きちんと説明してくれ!!」

「し、仕方がないんじゃ! こればかりは神でもどうしようもない!! たしかにワシが悪いがこれはもうどうにも――」

「どうにかしてくれ!! じゃないと……じゃないと、もう……!!」

 リンクの手からするりと力が抜け、だらんと雲の上で両手をつき、激しく肩を震わせる。解放された神様は激しく肩で息をしながら、リンクを見る。

「姫を、もう守れなくなるんだ……限界なんだよ、姫はっ! 俺が100年眠っていた間もずっと奴を封印し続けていたんだ。俺は奴をたおし、彼女を、そして死んでいった皆を、救わなくちゃいけないんだ! なのに……なんで俺はこんなところにいるんだ!!」

 100年前、ガーディアンの大群と戦い力尽きかけた際に、彼女は封魔の力に目覚めた。そしてその力で100年の間ガノンの暴走を止め続けていた。しかし、限界は近かった。ハイラル城を進むたびに、彼女の悲鳴が途切れ途切れ聞こえてくる。それを聞くたびに、俺は魔物を屠り、速く速く進んでいく。

 だがあと一歩で、もう戦うことを放棄せざるを得なくなった。関係のない、部外者のせいで。

 絶望の海に沈んでいく。姫も、ハイラルも、リーバルも、ウルボザも、ダルケルも、ミファーも、救うことができないのか。

「俺は、貴方を許さない。たとえ神であろうと……絶対に」

 リンクは背に持つ退魔の剣を抜き払うべく、柄に手をかける。殺しても無駄なのはわかっている。だが、こうでもしなければ俺は――

「――すまなかった。おぬしはとんでもない使命を抱いていたというのに、ワシはとんでもないことをし出かしてしまったようだ。本当に、申し訳なかった」

 老人はそういうと、深く深く頭を下げた。神ともあろうものが、勇者とはいえ一介の人間に頭を下げている。それに少し驚愕し、リンクは剣から手を離す。しかし怒りをはらんだ声で静かに問う。

「だがあなたには何もできないんでしょう? 俺には違う世界に行く理由なんてない。どうしたらいいんだ――」

「――元の世界に帰る方法は、いや、可能性はある」

「なに?」

 リンクは目を微かに大きく開く。

「確証はない。だが、ないとも言い切れない。というのもだ。おぬしをどこか別の世界に転生させるのだが、魔法に関し高度なレベルに達している世界へと行けばよいのだ。そうすれば異世界転移の呪文などを見つけられるかもしれない。そして、元の世界へと戻ればよいのではないだろうか?」

「そんなことが、可能なんですか?」

「いったであろう、確証はないと。しかし、0%ではない。少なくとも、ワシの転生に期待するよりかは確率はある。では、今からその世界へと転移させよう」

「そんな世界があるんですか?」

「うむ、一つ見つかったようだ。そこは剣と魔法が発達している世界であり、きっとお主が前にいた世界と似たような感じであろうよ。だからすぐに馴染めるし、きっとお主の望みも叶う」

 胡散臭い話だ。自分を殺した人間が語ることなんて、法螺に決まっている。信じても、いいことなんてない。

 ――でも、そうはいっていられない状況だとも考えていた。

 仮にもし、可能性があるのなら、ここで駄々をこねているより良い方法があるのだというのならば、そこにかけるしか、ないのではないだろうか。

 リンクはぐっとこぶしを握り締めて、目を見据えていった。

「……信じます。俺、そこに行きます」

「よかろう。では、お主が異世界に持っていきたいものはあるか?」

 さすがにたくさんの者は持ち込めないようだ。ならば、最低限、絶対必要なものを持っていくことにしよう。

「なら、この背中にある剣と、パラセールと……」

「多いのう。本来ならば一つしか持ち出せないはずなんじゃがな。まあよいわい」

「それから……これをお願いします」

 リンクは左腰につけてある、長方形のアイテムを取り出した。神様は懐疑的な視線を向け、手を伸ばす。

「これは?」

「シーカーストーンです。これは古代のシーカー族が生み出したアイテムで、冒険に便利な機能がたくさんついているんです」

「なるほどな……ふむ、地図の機能も付いているようだな。ではこれから行く世界の地図も追加しておこう」

 それは本当にありがたい。地図があるのとないのでは、だいぶ違う。しかし、彼がやけに協力的になっている。

「ありがたいな」

「何、君にしてしまった行いの償いじゃ。ついでにワシがいる場所の位置情報も記しておいたから、ここにワープも可能じゃ」

 神のもとに用があるかはわからないが、何か役に立つことがあるかもしれないので、とりあえず受け取っておく。

「では、転生の準備が整った。さあ、そろそろ出発の時間じゃ」

「……そうか」

 リンクはシーカーストーンを左腰に差し、神様へと歩み寄る。神様はいつの間にか、魔法陣を敷いている。

「この上に乗れば異世界へと旅立てるぞ」

 リンクは重い足取りで魔法陣を踏む。すると、魔法陣の線が何重にも膨れ上がり、軽いめまいに襲われる。

「問題ない。ではな、ワシに言えたことではないが、頑張れよ」

「……はいっ」

 魔法陣の魔力が上昇し、気流がリンクのふさふさの髪を持ち上げる。そしてだんだんと光がリンクを包み始め、だんだんと視界は白く、塗りつぶされていった。

 ハイラル王国へと帰るために、英傑の異世界での冒険が始まった。

 

 




正直望月君レベルでヤバいかもしれないけど、リンクは自分の力だからセーフ。
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