異世界はシーカーストーンとともに。 作:愚の骨頂だよねぇ?
「依頼完了です。お疲れさまでした。こちらが報酬の銀貨4枚と、解毒剤です。依頼主さんの家で作られたものだそうですよ」
ボコブリンと謎の魔物を討伐した後、リンク達はギルドへと戻り、完了報告を済ませて報酬を受け取る。正直解毒剤は要らなかったが、万が一のことを考えて分配しておいた。
その後は、王都にある宿へと向かった。激しい戦いを終えた後なので、女性陣が休みたいと主張したからだ。リンクも確かに疲労がないと言えば嘘になるので異を唱えず、チェックインを済ませると3人は部屋へと入っていってしまった。
「……まああれだけの戦いをすればな」
リンクはそういうも、まだまだ戦えるくらいには元気だ。このまま寝てしまうのももったいない。それに……少し整理したいことがあるから、一人で離れた場所にいって、考えたかった。
いったい何故ボコブリンたちが現れているのか。そしてあの水晶の魔物は何者なのか。ボコブリンたちの出現となにか関係があるのか。そしてそれは、世界中に広がってしまっているのか。
「……相談してみるか」
ぼそりとリンクは呟く。シーカーストーンの地図機能を呼び出し、ワープを選ぶ。目的地は、《神様の家》だ。正直あまり気は乗らない。だが、何よりも世界の事情に明るいのは神様だ。頼った方が一番早い。
リンクはそっと瞳を閉じる。すると意識がだんだんと遠ざかっていき、光の糸となって散っていった。
気がつくとリンクは、この冒険の始まりの地へと、来ていた。瞳を開けるとそこには無限に広がる雲海があった。そしてそれにそぐわない木製のテーブルとタンスもそのままだ。
だが、白髪の老人だけはその場にいなかった。その代わり、テーブルに小さな置き手紙が置かれていた。リンクはじっとそれを覗き込む。
『ワシを訪ねてきたものたちへ
すまんがわしは今、女神ハイリアの元にいくことになった。何でもわしが間違って落とした雷について問い詰めたいことがあるとかなんとか。そういうわけで2、3日はここを離れるので悪しからず。
世界神より』
……なるほど。
リンクはなんとも複雑な気持ちになった。自分に雷を落としたことに対して問い詰められると言うのは悪い気がしないでもないが、肝心なタイミングでそれは困る。しかも2、3日もこんなところで待つのは正直辛い。
「……仕方ない。帰るとするか」
リンクは盛大にため息をついてシーカーストーンを取り出した。そしてマップ上に設置されているワープメーカーを指定して、異世界の地に戻った。
瞳を開けるとそこは、オルトリンデ公爵の屋敷だった。そういえばここにワープポイントを設置したのだった。とりあえず一回宿に戻ってみることにし、すたすたと家から出ていく。
だが、そんなリンクの横で、力強い蹄の音が響いた。振り向くとそこには、高貴そうな馬車が走っていた。しかも尋常ではない速さであり、早急な用であると見受けられる。しかし一体なんであろう。そう思いリンクは馬車を見つめると、ぴたっと馬の繰り手が鞭を引き、馬車が急停止した。そしてすぐに公爵が馬車から顔を出した。
しまった、こちらが引き留めてしまったようだ。リンクはすぐに謝罪をすべく頭を垂れる。
「申し訳ありません、私が引き止めてしまいーー」
「よかった、リンク殿だな!」
「は……?」
違うのか? オルトリンデ公爵はパッと顔を輝かせている。リンクはスッと立ち上がり、膝についた土を払う。
「お急ぎのようですが、何か御座いましたか?」
「実はな……兄が、いや、国王が毒で倒れられたのだ」
ーーふむ。
リンクは目を細め、話を聞くべく黙った。
「急いでいる身なので続きは馬車のなかだ。君ならきっとこの状況を打破できるだろう。さぁ、急いでくれ」
「かしこまりました。微力ながら尽くさせていただきます」
そういってリンクは馬車へと駆け込んだ。リンクが座席につくや繰り手は馬に思い切り鞭を打って、発進させた。
馬車は最高速を維持しており、そのせいか馬車のなかはひどく揺れる。そのなかで公爵は険しい顔を浮かべながらリンクに事情を説明し始めた。
「実はな、我が国ベルファスト王国と、東にあるレグルス帝国は20年前に起こった戦争の後に友好条約を結んでいる。だが、それがいつ破棄されるかわからない。そこで、南のミスミド王国と同盟を結ぼうとしているのだ」
「……レグルス帝国への牽制のためですね」
「その通りだ。その他にも交易のために是非得ておきたい場所なのだ」
他国ーーしかも相手に考えている国に隣接している国との同盟は、自国の規模を大きく見せることに繋がる。故に無用な争いを避けることもできる。
「ただ、問題なのはその同盟に反対する貴族がいるということだ」
「それは何故ですか?」
リンクが問うと少し難しい顔をする。
「ミスミド王国は、知っているかもしれないが獣人の国なのだ。故に毛嫌いするものたちがいるのだよ」
「……なるほど。私はそういうのには縁はないですが、理解できないこともないです」
いわゆる種族差別と言うところか。これは、どの国家にも付きまとう。少し理由は違うが、100年後のゾーラ族はハイラル人を嫌っていた。最もこれは、ゾーラの英傑ミファーが、リンクと関わったから死んだという誤解から生まれたものなのだが。種族差による偏見や差別は、単純すぎる理由で生まれてしまい、それは永遠に潰えることはない。多様な人間の価値観から生まれる問題であり、否定こそされるが根本から変わることはない。
「それで、本題なんだが兄上が毒を盛られ、今倒れている。周りのものがいうには、ミスミド王国の大使が持ってきたワインを飲んだ途端倒れたそうだ」
「だが、陛下はミスミド王国の大使が毒を持ったとはお思いではないのでしょう?」
「そうだ。私は獣人を嫌うものたちの仕業だと思っている。このまま兄上が亡くなられれば、王位は自動的にユミナ王女へと移る。まだユミナ王女は幼く政治に関しては疎い。それを利用してその者の息子と無理矢理結婚させれば、実質国の実験を握ることができる。故に兄上を亡くすわけにはいかないのだ」
「……スゥ様を襲ったのも関係してくるでしょうか?」
「恐らくな。奴等にとって都合の悪い人間を消すためだろう」
確かに国王とオルトリンデ公爵を消せば、王女の後見人の候補がいなくなる。そこでその者」が主張すれば簡単になれてしまうだろう。そして政治のわからない王女を言葉巧みに誘導し、思うがままに操れる。それは国政の乱れるもとになってしまう。
「兎に角兄上を死なせるわけにはいかない。リンク殿、解毒の術はないか?」
「……これはどうでしょうか?」
リンクは、シーカーストーンで一本の瓶を取り出す。報酬でもらった解毒剤だ。効果のほどはよくわからないが、いけないことはないだろう。
公爵はそれをじっと見つめる。ラベルにかいてある言葉を読み、解毒剤であることを確認するとぱっと顔を輝かせた。
「よければリンク殿、その解毒剤を使わせてくれないか?」
「構いません。では、急ぎましょう!」
リンクがそう言うと、公爵は繰り手にスピードをあげるよう命じた。繰り手はさらに鞭を打って馬を加速させ、急ぎ王宮まで向かった。
王宮にたどり着くと、公爵の案内の下王の寝室まで急ぐ。そして寝室のドアを開けると、中にいた人々からの視線を集めた。皆高貴な服装をしているが、その中には子供もいた。どうやらその子供が王女ユミナだろう。リンクは室内に入るとすっと膝をついた。
「オルトリンデ公爵様!」
華奢な女性が、切迫した表情でオルトリンデ公爵に駆け寄る。恐らくあの人が国王の妻だろう。
「義姉様、兄上の御容態は?」
「一命は取り止めているそうです。しかしそれも時間の問題です」
そういうと女性は今にも崩れそうな表情を浮かべた。
「そうですか……ですがご安心ください。ここにいるリンク殿が、解毒剤を持ってきてくれました」
公爵がリンクを指し示すとリンクは頭を項垂れた。
「真ですか……?」
「左様です。何も申さずに部屋に参る無礼をお許しください。こちらが薬でございます。どうか、お急ぎを」
そういうとリンクは、女性に薬を手渡した。女性はありがとうございますと感謝の言葉を述べると、早速夫の傍に寄り添い、瓶を開けた。
「さっ、お飲みください」
薬は横たわる国王の口へと流し込まれた。これで治るはずだ。
果たして国王の、荒かった呼吸は落ち着き始め、しばらくすると瞳が開いた。国王は起き上がり、妻子たちの涙ぐむ姿を見ると、穏やかに笑って見せた。
「あなた!」
「お父様!」
二人は思わず国王に抱きついた。国王は驚きつつも二人をなだめるようにグッと抱き締め返した。
「アルフレッドも……すまないな、心配をかけて」
アルフレッドと呼ばれた公爵はふっと笑うと顔を腕でぬぐった。
「しかしアルフレッドよ。隣に立つのは何者だ」
「この方は兄上に解毒剤を持ってきてくださった方です」
「なんと……この度は私の命を救ってもらい、ありがとう。君にはいずれお礼をしよう」
国王は娘たちを解放しリンクに向き直る。そして、頭を下げてきた。リンクもまたその場に膝をつき、頭を下げた。全くこの国の人間はどうしてトップが頭を下げるのか。ゼルダがイーガ団に襲われたことを報告しても、ハイラル王は一度も頭を下げてはいなかったというのに。
「それで兄上、確認したいのですがミスミド王国の大使が献上したワインを飲まれた途端倒れたのですね?」
公爵が質問すると、国王はやや厳しい表情をしたがコクりと頷いた。
「その通りだ。だが、私はどうもミスミド王国の大使が盛ったとは思えないのだ」
「私もそう思います。ですがそれを覆す証拠がーー」
「恐れながら、それは考えるまでもないかと」
「なに? どういうことかね?」
国王が目を見開いてこちらを見る。わずかにプレッシャーと、割り込んでしまったことへの後悔が襲いかかるが、口を動かし続ける。
「突然容喙いたしましたことをお許しください。ですが、私はその手口はあり得ないと思うのです。国王陛下、ワインを飲まれた場所は大広間や宴席でしょうか?」
「あ、ああそうだ」
やはりそうだ。大使が来たということは、そこでもてなすのが普通だ。ましてや同盟を考えているのならば、饗応の席は設けている。そして親睦を深めるために献上品を一緒に口にするのも当然だ。
「そして恐らくワインは饗応の席で注がれたと思われます。もしそうでなければ給仕のものを疑うべきでしょうがまずそれはあり得ない。饗応の場であるならば国王陛下自らが注ぐものです。故に、もしワインに毒が盛られていたとしたら、国王陛下のみならず大使やその他の方々も今ごろ倒れています。故に大使の方の謀略の線は薄いと判断できるでしょう」
長々と推理を語るリンクに、国王の寝室にいる一同は唖然としていた。
「そなた……何者なのだ? 見受けたところ旅人のように見えるが」
「元、ですが王国に使える騎士でした。故にこういったことに関して多少の知識はございます」
リンクがそういうと回りはおおとどよめく。大方どこの国の騎士だろうかと考えているのだろうが、残念ながらこの世界にはない。
だが、リンクはひとつ異様な視線を感じた。敵意ではない。が、じっとリンクを見つめる視線がある。リンクは頭をあげず、瞳だけ向けるとそこには、この寝室にいる唯一の少女だった。恐らくユミナ王女だろう。彼女の瞳を見ると妙にキラキラしている。宝石でも埋め込んだのではないかというくらいに。そしてその目は明らかにこっちを向いている。
リンクは逃げるように目をそらすとちょうど公爵陛下が声をかけた。
「リンク殿、では犯人はどのような手口で……?」
「現時点では難しいでしょう。差し支えなければ、現場を私目に見せていただけませんか? あと、お目覚めになられたばかりで申し訳ありませんが国王陛下にも、当時の状況をお伺いさせていただきます」
「構わん。犯人が解明するのならば協力しよう」
「ありがとうございます。では、国王陛下とそのご家族以外の方はお引き取りいただいてよろしいでしょうか」
そういうと、高貴な服装をした上級貴族たちは部屋から出ていった。万が一ここに犯人がいないとも限らない。話を聞かれないためにも、出ていかせた。
「あと、公爵陛下は饗応がなされた宴会場へと向かってください。場を荒らす輩がいないとも限りませんので、そこの見張りをお願い致します。王家の方にお頼みすることではございませんが」
「よい。これも兄上を殺めようとしたものを暴くためだ。悦んで務めよう」
「感謝いたします。それではーー」
リンクは国王陛下に向き直り、質問を開始した。
国王陛下によれば、リンクの推理通り、宴会場でもてなし、大使の持ってきたワインを飲んで倒れたそうだ。そしてワインはその場で注がれたのも一致していた。
それだけ確認を終えるとリンクは部屋を出ていき、犯行現場へと入る。そこには公爵陛下と、同席していた貴族がいた。国王が悶え皺になったテーブルクロスがあるのであれ以来場は荒らされていないのは確認できる。
リンクはテーブルを回ってワイングラスを確認する。すると、国王のだけグラスの表面に模様が描かれている。
「……なるほどな」
そうリンクが呟くと、貴族へと話しかける。
「同席していたあなた様にお伺いします。同席していた方は?」
「ああ、ミスミド王国の大使と私と国王陛下と、バルサ伯爵という方だよ」
「そのなかで、獣人に対して否定思想を持つ方は?」
「バルサ伯爵だ。彼は大使が来訪すると聞いた瞬間に嫌な顔をしていたよ」
なるほどな。よし。
「すみません、お手数ですが饗応の場にいらっしゃった皆さんと、公爵陛下をこの場にお呼びしたいので、集めていただけませんか?」
「え、もしかして犯人がわかったのか?」
「はい」
「わ、わかった! すぐ呼んでこよう!」
しばらくすると、公爵陛下や国王陛下、ミスミド王国の大使、そして小太りな男が現れた。恐らくあれがバルサ伯爵だろう。
「リンク殿、犯人がわかったのか?」
「はい。そして今お呼びした皆様の中に犯人がいます」
「ふん、そんな大仰な言い方せんでも、この獣人が犯人だ! こいつが国王様に毒を盛ったんだ!」
バルサ伯爵は、大使に指を向けた。なるほど、頭部に2つの耳を生やしており、歯も牙のように鋭い。
「ふざけるな! 私は決して毒などーー」
「うるさい! 黙れ! この獣人風情が! そうに決まってるんだよ!」
「いいえ、バルサ伯爵。彼女は犯人ではございません」
とっさにリンクが割り込み、口を出す。バルサ伯爵はくしゃっと顔を歪ませ、露骨に不機嫌な顔を晒す。
「なんだねこの若僧は!? 誰だこんな奴を呼んだのは!」
「私だよバルサ伯爵。何かあるかね?」
国王がにっと口角を挙げて名乗ると、伯爵の目が血走り始めるが見えた。隠し事がずいぶん下手なようだな。
「……いえ、滅相もございません。だが、先ほどの言葉はどういうことか、説明してもらおうか」
「既に公爵陛下や国王陛下にはお話いたしましたが、改めて説明させていただきます。仮に大使様が毒を盛られたとしたら、国王陛下のみならず、大使様もバルサ伯爵も倒れています。注ぐのも席で行われたとならば、なおさら可能性は薄まるでしょう。ということは、残されたものはただひとつです」
そういって、リンクは、国王のグラスを、近くにあるナプキンで持ち手を握り、ワインを注いだ。
「では、ためしに実験してみましょうか。どうぞ、バルサ伯爵」
リンクはバルサ伯爵迫り、ワインを差し出すと途端に顔がひきつり始めた。
「い、いや私は結構だ……酒はあまり嗜まないのでな」
「貴族足るものそれはいかがなものでしょうか? 国王陛下もそう思われますよね?」
リンクはにやっと笑うと、国王は意地悪な笑みを浮かべた。
「その通りだ。ここはひとつ一杯いってみろ」
「し、しかし……」
思った通りだ。奴の慌て様は尋常じゃない。これは明らかに、毒の正体が分かっている。
「では僭越ながら私が飲ませて差し上げましょう」
「や、やめろ! ふざけるな!! この無礼者!」
伯爵は大声で悲鳴をあげるが、リンクは顎に手をかけ、無理矢理ワインを口に含ませた。リンクの怪力で身動きがとれずじたばたしている様は実に滑稽だ。そしてこの場の全員が、犯人が誰かわかってしまった。
グラスの中身が空になり、リンクはグラスをそっとテーブルに置くと、伯爵は途端に喉を抑え、うめき始めた。すかさずリンクは、国王の寝室から持ってきた、先ほどの解毒剤を彼の口の中に入れる。すると、伯爵は大きく息をしながらも、だんだんと顔色を回復させていった。もはや、状況は回復できないほどに追い込まれてしまったが。伯爵は、皆の目線を見た瞬間、すべてを察してしまった。自分はもう、終わりだと。
「バルサ伯爵。あなたはワインに毒を持ったのではない、グラスに毒を塗ったのです。それにより大使に罪を擦り付け、そして王家を乗っ取ろうとしたのでしょう」
「ぐっ……く、くそっ!」
伯爵は否定もせずただ地団駄を踏む。
「こんなところで終わってたまるか!」
伯爵は皆に背を向け、この場からの逃走を図った。だが、リンクが許すはずもなかった。
すかさずリンクはシーカーストーンからボコ弓と電気の矢を取りだし、足に向けて放った。威力を極力弱めたが、矢に取り付けられている電気が彼の足を止め、どたんと倒れ、その後失神した。
周りの者からは拍手喝采が起こり、リンクはわずかに照れながら応えた。その中で一人ーーまたも少女がリンクに異様な視線を向けていた。そしてその子は一歩前に出てきて口を開いた。
「この度はお父様を助けていただき、ありがとうございます。えっと……リンク様」
この子には一度も名乗ってはいないが、公爵殿との会話を聞いて覚えてくれていたのだろう。ありがたい話だ。リンクもまた彼女に膝をついて頭を下げる。
「いえ、とんでもございません。公爵陛下にはお世話になりました。故にお兄様である国王様をお救いすることも当然でございます、王女様」
そういうとリンクは王女の顔をわずかに見る。王女の顔は明かりが点るようにパッと輝いていた。そして、すくっとたちあがり国王へと口を開いた。
「では国王陛下、彼はいかがなさいますか?」
「その辺りの処遇は早急に決める。リンク殿はお疲れであろうから、妻子と共に応接間に向かってくれ」
「畏まりました」
そういってリンクと国王の妻と王女は応接間へと向かった。その後ソファーへと座ると、リンクはそっとため息を吐いた。
その後は王妃と王女と話をした。特に王女は目をキラキラさせてリンクに質問し、そして耳を傾けていた。
30分ほど経過した辺りだろうか、国王が応接間に戻ってきた。
「お父様!」
「ユミナよ! すまなかったな、いろいろと心配を駆けて。リンク殿、此度の件の例としてこれを受け取ってほしい」
そういうと国王はひとつの箱を持ってきた。国王がなかを開けるとそのなかには白金貨が30枚ほど入っていた。
「本当に君には感謝をしている。他にも礼をしたいと思っているがとりあえずこちらを渡そう。他にも望むことがあれば何でもいってくれ」
「……これはもらいすぎではーー」
「なにをいう、これでも足りないくらいだ。しかし他にも渡したいものがあるゆえこれでとどめさせてくれないか。君専用の家なんかもーー」
「結構でございます! お、お金だけで十分でございます!」
冗談じゃない。別に俺はこの世界でずっと住む訳じゃない。家なんて要らない!
「そうか……謙虚なのだな君は。では、お金だけでも受け取ってくれ」
「……有り難き幸せです」
もう高貴な人間から大金を貰うのは慣れてしまった。そうだ、これはただの成功報酬なんだ。そう言い聞かせなければ、気が狂う気がする。
金を受け取り、密かに息をはくと有ることが脳裏に浮かんでいた。そういえばここに来る前、とあることを報告に来たのだ。そう、ボコブリンの発生と謎の水晶体の化け物との接触だ。それを伝えなくてはならなかったのだ。リンクはそれを伝えるべく口を開こうとした。
だが、不意に目の前の王女が立ち上がった。
「お父様、お母様! ……私、決めました!」
「ほう? 言ってみなさい」
タイミングを逃してしまったか。まあいい、少女の言葉が終わり次第すぐにーー
「私は、この……リンク様と結婚させていただきたいと存じます!」
ーーは?
リンクはピタッと動きを止め、頭の中から、何を言うべきか吹き飛んでしまった。
「あらあら」
ユミナを仲間にするには仕方がなかったんだ……早く話を進めたい