異世界はシーカーストーンとともに。   作:愚の骨頂だよねぇ?

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#9 英傑は屠り、仲間を護る。

 リンクとソードレック子爵との激しい模擬戦はようやく終了した。リンクの回転切りをもろに喰らい、子爵はしばらくは立てなかったがリンゼの回復魔法で傷が治り、立ち上がってリンクに握手を求めた。

「なかなかに良い勝負だった、ありがとう」

「こちらこそ。久々に良い戦いができて嬉しく思います」

 そういうと二人は握手を交わし、リンクは森人の剣をシーカーストーンに仕舞った。

「それで八重よ。なにか見えてきたか?」

 子爵が問う。八重はすくっと立ち上がって、まっすぐその目を見つめ、答えた。

「はい。子爵殿が仰っていた言葉の意味、この身にしっかりと刻み込まれました。そして同時に気づかされました。今のままでは、子爵殿にも、リンク殿にも勝てぬと」

 子爵は黙って話を聞き続ける。

「故に拙者、もっと旅を続けようと思っている。模範的な剣術だけではなく、自分の剣術を見出だしてくるでござる」

「……それでいい。それでこそ重兵衛殿の娘だ。励むが良い」

「はいっ、本日はありがとうございました!」

「またいつでも来なさい。……ああそうだ、忘れていたよ。君の名を聞くのを」

 子爵はリンクを見つめた。そういえば名乗ってはいなかったな。

「リンクです」

「リンクか。強者の名を知ることができた。次会うときは負けぬからな、リンクよ」

「ええ……楽しみにしています」

 リンクがそういうと、フッと笑いながら道場を去っていった。

 道場を去った後、子爵家の家令が玄関まで出迎えてくれ、そのまま見送ってもらうと、馬車で王都の貴族エリアを出た。

「とりあえず、アタシ達は依頼報告のために一度リフレットに戻るけど、ヤエはこれからどうするの?」

 八重もリンクたちも目的を果たし、共通の目的がなくなってしまった。故に八重に聞いている。

「その事でござるがな……拙者、決めたでござる。リンク殿にこの身を捧げるでござる!」

 八重の台詞を聞いた瞬間、リンクをはじめとした人間が凍りつく。この身を捧げるとはつまり……そういうことなのか?

 皆が沈黙し八重はようやく自身が失言をしてしまったと言うことに気づき、慌てて訂正をした。

「ち、ち、違うでござるよ!? あ、あくまで旅人としてという意味であって、そ、その変な意味ではござらんよ!」

 よかった。はっきりいって本当に身を捧げられても困る。そういった願望はあまりない。

 訂正を終えた八重は深呼吸して改めて皆に意思を伝える。

「――リンク殿の計り知れぬ強さ、そして聡明さ、器用さは拙者の見本でござる。リンク殿についていけば、拙者はもっと強くなれる気がするでござる。だから、ついていこうかと思っているでござる。無論、迷惑ならばなかったことに――」

「いいに決まってるじゃない!」

 エルゼが八重の手を掴み、にっと笑った。

「せっかく仲良くなったんです、別れるのは寂しいです! 八重さんも一緒にいきましょう!」

「ほ、本当でござるか……?」

「ええ、本当よ! リンクもいいでしょ?」

 エルゼがこちらを振り返り、意思を確認する。無論こっちも異存はない。

「ああ。ヤエと一緒に旅がしたい。それに八重とはまだ手合わせしていないしな」

 リンクはフッと笑うと、八重は瞳をぬぐって無邪気に笑って見せた。そして、深く3人に頭を下げる。

「3人とも、これからもよろしくでござるよ!」

 

 

 その後4人はリフレットに戻るべく、馬車に乗った。途中八重と初めて出会ったアマネスクで馬車を返し、エルゼと二人乗りで馬で帰った。リフレットに戻り、早速ギルドにいって依頼主への手紙を渡し、完了報告をすると、ギルドカードにスタンプがもらえた。ついでに八重の分もギルド会員登録を済ませ、サービスで八重も受領完了扱いにしてもらった。その後は大移動の疲れをとるべく銀月に向かい、休息を取った。

 翌日、4人はワープメーカーで王都まで行き、王都のギルドへといくことにした。王都のギルドの方が受けられる依頼も多いので、会員のランクをあげるのにもちょうど良いためだ。早速リンクのシーカーストーンのワープメーカーで、王都に瞬間移動した。

 その後、一般人の居住区の中央に存在するギルドへと向かい、依頼を探した。リンクは一応昨日やその前の道中でリンゼに言語を教えてはもらってはいるが、なかなかまだ読めない。情けない話だが、3人の仲間に依頼内容を読んでもらい、それで選ぶしか方法がない。

「迷子の犬探しに、運び屋、それにスライム討伐か……ろくなものがないわね」

 エルゼがため息をつく。

「何でだ? スライム討伐とか手取り早くていいじゃないか」

 リンクがそう平然と言い放つ。すると女性陣がリンクへと迫り、ギロッと睨み付ける。

「ぜっったいいや!」

「です!」

「ござる!」

「……何でだよ。あんなの矢で撃ち抜けばいいじゃないか」

 もしかしてこの世界のスライムは、ハイラルにいたチュチュみたいなものではなく、もっと強力なのだろうかーーと推測していたら、エルゼからそういう問題じゃないわよと叫ばれた。そろそろ周りの視線も向きはじめて痛い。

「あいつら……特にグリーンスライムは服を溶かしてくるの!」

「そういうことか……じゃあやめておこう」

 女性の服が溶けるのは純粋に困る。戦闘に集中できなくなるし、あとで理不尽な暴力を振るわれそうだ。リンクの言葉に3人はほっとし、別の依頼を探していく。

「……そういえばこの魔物、この地でも見られるようになったでござるか」

 八重が呟き、リンクが歩み寄る。すると、依頼書にはボコブリンの絵が描かれていた。これだけでなにを意味するかはわかる。奴等は繁殖し、関係のないこの世界の住民に危害を与えているのだ。

 リンクは唇を噛み、グッと拳を握りしめる。

「どうでござるかリンク殿。この依頼にするでござるか?」

「ああ」

「決定でござるな。エルゼ殿やリンゼ殿にも伝えてくるでござる」

 八重が二人に伝え、了承を得ると早速任務受諾の手続きをする。その後皆は町の外に出て、平野の台地の下にあるというボコブリンの集落へと向かう。

 だが、集落の付近につくと、一同は唖然とした。

「こ、こんなにいるの!?」

「全部で30匹はいますよ……! 私の魔法では一掃はできないです……」

「かといって仕掛けたら囲まれてしまうでござるな……」

 彼女達はその数に驚くが、リンクは戦慄していた。もうボコブリンがこの世界で生活を営んでいる。しかも、ハイラルの時以上の大集落で。ということは、もう既に多くのボコブリンたちがこの異世界へとなだれ込んでいることになる。このまま放っておけば、ボコブリンだけじゃない、リザルフォスも、チュチュも、キースも……ライネルも現れないとも限らない。

 なにが原因でこうなっているかは、明確にはわからない。だが解決しなければ、最悪の事態になりうるかもしれない。

 ――まずはこいつらの数を、これ以上増やさせないことだ。

「リンゼ、俺がまず奴等に飛び込んで一発かます。そのあと、援護射撃を頼んだ」

「い、一発かますってどうやってやるんですか?」

「あの中を突っ込むのはいくらリンク殿でも無謀でござるよ!」

「それに関しては考えがある。見ててくれ」

 リンクは、シーカーストーンを取りだし、操作する。服のカテゴリを選択し、リンクは《ボコブリンマスク》をタップする。すると、光の繭がリンクの頭を覆いーーボコブリンの頭の部分だけのハリボテがすっぽりリンクの頭に被せられた。

「なるほどねー、それで奴等を欺くわけか」

「そういうこと。ボコブリンの奴はそこまで賢くないからこの程度の変装でも騙せるんだ」

「なんというか、ずいぶん破天荒な被り物ではござるがな……」

 このマスクは、夜になると出現する謎の男が経営する《魔物ショップ》にて売られていたものである。興味本意で買ってみたきり一度も使ったことがないが、まさか異世界の地で使うことになるとは思わなかった。

 これで準備は整った。リンクは前に歩みだし、台地から飛び降りようとする。だが、八重たちが突如腕をつかんできた。

「な、なにを考えているでござるか!? 台地とはいえこの高さから飛び降りたら大ケガは確実でござるよリンク殿!」

「そ、そうよ! あんたがいくら化け物じみててもそれはだめよ!」

「大丈夫だよ。第一何もそのまま飛び降りる訳じゃないしな」

「どういうことですか……? 落下を和らげるものを使うのですか?」

 流石だリンゼは。このパーティーで知性担当みたいなところがあるだけにすごい。

「その通りだ。まあ、見ればわかるよ」

 そういってリンクは躊躇なく台地から飛び降りた。ぐんとリンクの体が風を切り、鉛のように落ちていく。しかし、とっさにリンクはどこからか布を取りだし、両手で両端を持った。すると、ばっと布が開き、落下速度が緩やかになった。

 この道具の名前はパラセール。100年後のハイラルで目覚めたリンクを出迎えた、今は亡きハイラル王がくれたものであり、空を自由に滑空できる優れものだ。

「あいつ、こんなものまで持ってたのね。ただの布じゃなさそうだし……本当になにものよ」

「同感でござる。リンク殿の強さは底知れぬものでござるな」

 二人の感想をよそにリンクはボコブリンたちの集落へと降り立った。足音が響き、ボコブリン達は警戒する。しかし、リンクの姿を見るや、ふがふがと鼻を鳴らし、わいわい騒ぎながらこちらへと歩み寄た。そしてリンクに馴れ合おうと近くで踊ったり、笑ったりしている。

 ――よし、今が頃合いだ。リンクは背からマスターソードを抜き払い、瞳を閉じる。ぼうっとゲルドの英傑の幻影が現れると、リンクは勢いよく剣を振った。その直後、リンクの近くにいた数匹のボコブリンをはじめとした集落のボコブリンの大半が、雷に打たれて死亡した。

 突然の襲撃にボコブリン達は動揺し、物見櫓のボコブリンがほら貝を吹いた。すると、ボコブリンの家と思われる小さな洞穴からわんさか湧いてきた。ターゲットは無論、欺き奇襲したリンクである。四方八方からボコブリンたちが迫り、このままではリンチにされるのが落ちだ。

「リンゼ! 魔法を撃て!」

「えっ!? でもリンクさんが!!」

「いいから早くしろ!! 躱す術はある!!」

 魔物に囲まれ、範囲の広い魔法攻撃が空から降ってくる中どうやってかわすというのか。正直見当がつかない。だが、リンクはそんな見当のつかないことを何度もやってのけた。リンゼはコクリと頷くと、両手をボコブリンの集落にかざした。

「――炎よ爆ぜよ、紅蓮の爆発、エクスプロージョン!!」

 リンゼが両手から放ったのは、小さな火種。弾丸のようにまっすぐ飛んでいき、その軌道にはリンクがいた。リンクが爆発の中心となるのは、必至である。

 だがリンクは大人しく黒焦げになることはしなかった。リンクはその場にしゃがみこみ、瞳を閉じる。すると――今度は違う幻影が浮かび上がった。誰よりも誇り高く、誰よりも努力を重ねた翼を持つ戦士は、不敵な笑みを浮かべ、羽根を羽ばたかせる。

「っ――!」

 不意に自身の体を、激しい風が包み込む。風の方向は、上空ただ一つ。風の渦がリンクを包み込み、髪は逆立ち始める。

 ――どうしたんだい? さっさと翔びなよ。

 ――分かってる!!

 小言を言われながらもリンクはかっと目を見開く。そして勢い良く地面を蹴り、跳びあがった。上昇気流が体を纏う感覚がしたところですかさずパラセールを展開する。すると激しい上昇気流が、広げられた布を一気に押し上げていった。その直後、リンクがいたところに、リンゼの火種が落ち、激しい爆発が集落中を包み込んだ。

 リンクは上空を見下ろしつつ、再び目を瞑った。何かが聞こえた気がしたからだ。

 ――どうだい、僕の《必殺技(リーバルトルネード)》は?

 ――おしゃべりは後だ。一気に決めるぞ。

 リンクが一蹴し、やれやれと頭を振られると、すかさずリンクはオオワシの弓を構えた。バクダン矢をつがえ、一気に引くと、リンクは瞳を細める。すると――周りのものが、動きがすべて遅くなっていった。体は激しく痛みを訴え、どっと疲れが襲い掛かる。しかし、それらを無視することで、正確に射ることができる。リンクは、逃げ惑う一匹のボコブリンの頭目がけて、弦を持つ手を離した。

 三本の筋に別れ、地に落ちたバクダン矢は破裂し、爆風がリンゼのそれと重なり合う。悲鳴がさらに轟き、焼け焦げたボコブリンたちはゆうに半数を超え、生き残りは少なくなっている。

 リンクはさらにもう数発バクダン矢を放ち、スタミナが切れる寸前で矢をしまい、緩やかに降下していった。そして、リンクは台地の上にいる二人を見つめ、合図を送った。二人はだっと台地の崖を滑り降り、そしてすっかり戦意を失ったボコブリンたちを屠っていった。

「……ふぅ」

 リンクは一息つくと近くの岩に座った。まだわずかに熱を残しており、温かい。我ながら、ずいぶん派手にやったものだ。

「お疲れでござる。リンク殿、リンゼ殿の魔法を躱したあの技も、例の同胞のもののでござるか?」

「ああ。上昇気流を起こし、一気に空へと飛べる奴だ」

「すごいわね……もうアンタは何でもありな気がしてきたわ」

「そんなことはないさ」

 そうリンクは謙遜するも、3人にはとても信じられなかった。

「それよりもギルドに戻ろう。さっさとここから離れたい」

「同感ね。帰りましょう」

 そういって、リンクはワープメーカーを発動しようとシーカーストーンを操作する。だが――

「わあ――……!!」

 誰かの叫び声が小さく聞こえた。リンゼたちも気づき、声のする方へと走る。すると――

「――な、何よあれ!!」

 遠くに見えるのは、透明な皮膚をした魔物だった。フォルムはクモに似ており、手足をふるって戦っている。その虫を囲んでいるのは冒険者たちだ。だが、彼らは優勢とは言えない状況であり、そのうちの一人が地面に倒れている。

「リンゼ、あの人を頼む。ヤエ、エルゼ、いくぞ!」

「はい!」

「わかったわ」

「わかったでござる」

 リンゼを除いた三人はそれぞれ武器を構えて、その怪物へと走る。しかしかなり距離が離れている。余り冒険者側に体力的猶予は残されていないようだ。ならば――

「くらえっ!」

 リンクはマスターソードを振りかざし、わずかに溜める。すると剣が青く光り始めたので一気に振り下ろす。すると、光の刃が横に回転しながら地面を滑走し、それは魔物へと命中した。魔物の方はぎろっと、赤い目をこちらに向けてそれまで襲い掛かかられていた冒険者たちはそそくさに退避した。

「喰らいなさいっ!!」

 エルゼが一番に飛び掛かり、ブーストを掛けた拳が魔物の顔面に命中する。だが――魔物は恐るべき固さでそれを通さず、逆にエルゼにダメージを与えてしまった。

「いったぁっ! な、なんなのこの堅さ!?」

「それなら――たぁっ!」

 八重が地面を蹴って、逆袈裟斬りを放った。しかしわずかに傷をつけただけで決定的なダメージにはならない。それどころか魔物は強靭な足を振り上げ、八重へと振り下ろしてきた。八重は横に転がり、何とかかわすも攻撃に転じ返すほどの余裕はない。

「はぁっ!!」

 リンクは八重に注意がそれている隙に奴の足一本をマスターソードで叩き斬った。パリンと割れる音と共に奴の足は砕け、ぐらっとバランスを崩す。この感覚は皮膚ではない。鉱石か何かだ。しかもかなり透き通っている。これは水晶なのか。

 足をたたき割ったことで再びリンクに憎悪の視線を向ける。そして残された足でリンクを突いた。すんでのところで盾で防ぐも、わずかにハイリアの盾に傷がついた。ハイリアの盾は、ガーディアンのビームや、ライネルの剣などといった、常識はずれの攻撃力以外のものでは傷がつくことがない。それに傷をつけたのだから、こいつの攻撃はなかなかの威力を持つ。想像以上に、警戒を要する敵だと判断し、冷や汗を流す。

 リンクはばっと下がってリンゼの元へと駆ける。恐らくこの世界の魔物だ。故に、きっとリンゼなら知っているはず。そう思い声をかけた。

「リンゼ、あいつは何者だ!?」

「……わかりません。見たこともない魔物です」

「――なんだと!?」

 だとしたらまだ発見されていない魔物だというのか。もしくはハイラルから紛れ込んだ魔物ではなく、全く未知の世界から現れた奴なのか。

「しかも先ほど戦っていた方が言っていたのですが、魔法が一切効かない相手なのです」

「……エルゼの拳もヤエの剣も通用していなかった。魔法も物理も受け付けないとは、厄介な相手だ」

「そ、そんな……どうやって倒せば……」

 リンゼは顔を青ざめる。

「一応足を砕くことは成功した。そして奴の体は水晶で出来ていることも分かった。つまり、何とか物理で倒せないことはない……とは思う。それに、何となくだがあの赤い目も怪しい。俺の勘だけど、あそこが奴の弱点だと思う」

 経験上、強大な敵というのは何かしら弱点がある。その一つが目だ。目というのはデリケートな部分の一つであり、攻撃されると視界を失う。巨大な魔物のヒノックスやガーディアンはいい例だ。恐らくあの魔物は目を守るためにあんな強固な体表をしているのだろう。ということは、どうにかして赤い目のあたりを割ればいいというわけだ。

 リンクはシーカーストーンを取り出し、《巨岩砕き》を取り出す。強くたくましくおおらかな、ゴロン族の中でも男の中の男の英傑が使っていたという武器だ。岩を砕くとあらば最適な武器だろう。リンクは盾をしまい、それを両手で持つとリンゼの方を向く。

「俺はあいつを砕きに行く。リンゼは、その人を守ってくれ」

「はい……」

 リンゼが頷くと、リンクはそれを背にしまって全速力で戦場へと戻った。そこではエルゼと八重が動き回りながらも剣をふるっていた。しかし、もはや防戦一方な状態である。奴の体は固すぎて、ダメージを与え、こちらのペースに持ち込むのが難しいからだ。

 一方奴は優勢である。避けまくればいつかは隙が出る。その隙をつくだけでいい。そして――エルゼは、足が動きについてこれず転んでしまった。奴は水晶で出来た鋭利な足を彼女へと突き立てようと赤い目を光らせた。その目は、死を宣告する死神そのものだ。

 声にならない叫びをエルゼがあげ、リンクはそれに気づいた。リンクは思い切り地面を蹴り、エルゼへと駆け付ける。そして――瞳を閉じる。するとぼうっと幻影が映った。マグマのように熱いハートと鍛え上げられた剛腕、そして誰よりも広く大きな存在だった、ゴロン族の戦士がリンクに笑う。

 ――相棒、いつでもいいぜ!

 ――頼んだぞ、ダルケル!

 リンクは瞳を開ける。すると、水晶で出来た足――いや、もはや槍と化しているものが目前へと迫る。エッジがはっきりと見え、リンクは凝視する。

 エルゼは、自身と魔物の間に入ったリンクに、言葉にならない言葉を叫ぶ。

 だが、その水晶の槍は、リンクに触れる前に砕けた。

「――え!?」

 エルゼは信じられないというような面持ちで見つめる。リンクは両手を広げ、エルゼを庇うような姿勢でいるままだ。何か変わったことは――そう思った時、エルゼは気づく。リンクの周りに、赤い壁が張られているということを。

「大丈夫か、エルゼ」

「――え、ええっ……ありがとう」

「無事ならいい」

 リンクはそれだけ言うと前を向いた。魔物は、弾かれた衝撃により地面に伏す。リンクはその赤い壁を解き、背から、リンクの身長を超えるほどの巨大な剣を払って魔物へと駆けだした。そしてそれを振り回し始めた。

「はあああっっ……!!」

 グルングルンリンクが回るたびに、魔物の体は激しく音を立てる。にもかかわらずリンクの剣の勢いは衰えることはない。八重の剣を受けた時は、弾き返してしまっていたというのに。ついには、水晶の破片がリンゼへと飛んでくる始末だった。

「はぁぁぁぁーーーっ!!」

 何回転目かどうかもうわからないが、リンクは回転する勢いを利用し、剣を振り上げた。すさまじい威力を湛えながらリンクの上部に三日月を描くような軌道で剣が振り下ろされ、魔物を叩いた。何かが完全に砕け散る音と共に、突如空から雷が降り注ぎ、魔物はがくがくと体を震わせた。そして、静寂が訪れるや、魔物はがくりと脱力し、地面から起き上がらなかった。

 リンクは剣を背に仕舞い、魔物に向かって歩み出す。そしてしゃがみ込んで、何かを取り出し、こちらへと持ち帰ってきた。

 リンゼがエルゼや八重に駆け寄って回復魔法で疲労をとると、3人はリンクの下へと向かった。

「リンク殿、あっぱれでござる! ……それは?」

「ああ、恐らくこれがこいつの弱点だ。こうして取り出せることを考えるに、これは核だろうな。さっさと破壊しよう」

 そういってリンクはぽいと上空に投げ、バクダン矢で撃ち落とし、爆破させた。核はあっという間に散り、消し炭が地面へと残されていく。エルゼは、その光景をぼうっと見つめていた。

「……なんとか片付いたな。さ、王都へと戻るか」

「――あ、あのリンク!」

 エルゼがリンクの裾を引っ張った。そして少しだけ俯いて、ぼそりと呟いた。

「……あ、ありがと。あたしを助けてくれて」

「気にするな。お前が無事なら、それでいい。さぁ、いこう」

 そういってリンクは仲間たちを促した。八重とリンゼ、そしてエルゼはその後に続いた。

「……ほんと、何者なのよ。アイツ」

 リンクに聞こえない程度に小さく呟き、少しだけ口角をあげると、たったと駆け足で仲間たちを追った。

 

 




フレイズさんを巨岩砕きとウルボザの怒りぶっぱで倒しました。完全な力技且つまるで将棋でも何でもないけどいいですよね??
てか、フレイズって時のオカリナの水の神殿のボスに似ている。もしかしてパクリでは(言いがかりすみません)
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