男子も学園十色です!   作:シベ・リア

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久しぶりの更新ですね!お待たせ致しました!
さて、今回は継続高校のお話。継続は未だに謎が多い印象ですね。でもテーマ曲、結構好き。
それでは、どうぞ。



プロローグ05「日向アキラ、継続高校に冒険しに行きます!」

 

 

ボクの名前は日向アキラ。富士自衛隊学校戦車道クラスから継続高校に配属された者だ。

継続高校……石川県に所在する高校。悪い言い方をすれば結構貧乏な高校だ。学園艦全体としては自然が豊かでのどかな田舎のイメージがあり、どこかフィンランドの雰囲気を感じる。所有する戦車はどの学校でも基本統一性があるが、この学校はフィンランドの戦車以外にも何ヶ国かのものも所有している。そういえばプラウダとも何か戦車関係でもめてたね。しかも使う戦車には改造が施されていて、本来のスペック以上の性能を発揮する。しかもあの黒森峰も継続を相手に「苦戦した」とまで言っているあたり、その実力は折り紙付きと言ってもいいだろう。

 

そんな継続高校に配属されたボクだけど、あの出来事は忘れもしないよ。ボクは内心ワクワクして継続の学園艦に降り立って、指定された場所で戦車道チームの子を待っていた。だけど来たのは継続の教師と思われる人だった。その人から言われたのが………

 

 

『戦車道チームのみんななら全員キャンプに出かけてるよ。ちょうどこの時期は親睦キャンプの行事があるからね。この学園艦を知るためにもみんなを探しに行ってみるといい』

 

 

───そして今、そう言われたボクはとりあえず用意された部屋に案内され、その部屋でしばらくゆっくりしてから出かける支度をしていた。そのとき幼馴染の士郎から電話があったけど、向こうも向こうで大変みたいだ。

さて、そろそろ俺もみんなを探しに行くとしますか。リュックにタオルや水筒、折りたたみ傘を入れて、あとは防寒着を着て準備完了だ。

 

「さて、行きますか」

 

そしてボクはリュックを背負って部屋を出て戦車道チームのみんなを探す旅に出た。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

ボクは学園艦の端に存在する森エリアに来ていた。ここは戦車道の戦術訓練や今戦車道チームがしているようなキャンプが催されている。

お、早速履帯の痕発見!これを辿っていけば誰かと出会えるだろう。

 

履帯の痕を追って進むと1台の戦車の横で焚き火をしている人達がいた。継続高校戦車道チームのジャージを着てるし、戦車道チームの人で間違いないだろう。

 

「っ……誰だ!?」

 

やばっ、警戒された。

 

「あ、怪しい者ではありません。ボクは今日から継続高校に配属された富士自衛隊学校の日向アキラです」

「あ〜そんな人が来るって隊長言ってたっけ?よろしくな〜」

「「「「よろしく〜」」」」

 

リーゼントの生徒達に軽く挨拶をされたボクは会話を深めることは出来ずにその場を去ることにした。

 

「自由というか、マイペースというか……」

 

ま、そこが継続の生徒の特徴であり、ボクが気に入っているところなんだけどね。

ボクはそれからもめげずに継続の生徒達を探しまくった。

 

 

 

 

 

───1時間後。

 

 

 

 

 

「貰ったリストから見るに……あとは隊長のチームだけか」

 

実は最初に出会った先生から戦車道チームに所属している生徒の名簿を貰っていた。場所は分からないのでせめてもの補助ということらしい。補助してくれるなら一緒に探してくれればいいのに……

 

 

「ん、この音は……?」

 

 

トボトボと歩いているとどこからか音楽が聞こえてきた。誰かが楽器を弾いているみたいだ。でもなんの楽器だろう?

とりあえず気になるのでその音が聞こえる方へ足を進めた。

 

 

少し開けたところに出た。

そこは学園艦の端で海が見えていて、爽やかで涼しい風がボクを出迎えた。そんな風に乗ってさっきから聞こえている音色が耳に入ってきた。

 

 

「いい音色だ………」

 

「───誰かいるのかい?」

 

「あ、富士自衛隊学校派遣された日向アキラです!」

 

「そうかい、君が……」

 

声をかけられたから返事をしたけど、その声をかけてきた当の本人の姿が見つけられない。

 

そのときだった。空をおおっていた雲が風で流れて満月が顔を出すと、月明かりがこの場を照らした。

そしてボクの目に映ったのは継続の校章がついた戦車、しかもあの黒森峰を苦しめたことで有名なBT-42だ。さらにその戦車の上には帽子を被って膝に何かを乗せている女の子がいて、その長い髪は風によってなびいていた。膝に乗っているものを指で弾いているようにも見えたので、きっとさっきの音色の正体はこれだろう。

 

でもボクは音色の正体に驚く以前に……

 

 

 

────この女の人の姿に心を奪われていた。

 

 

 

「そんなところで見ていないで君もこちらへ来たらどうだい?気持ちいいよ」

 

「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて」

 

ボクは誘われるままに戦車に足をかけて登り、その女の人の近くに腰掛けた。

するとその人は音色を一旦止めてまた違う曲を演奏した。このテンポのいい曲には聞き覚えがあった。これは継続高校のテーマ曲だ。

 

「そろそろ君の心の中で私の名前を呼んでくれるかい?分かっているんだろう?」

「いや、心の中読まないでください……ミカさん。いや、隊長とお呼びした方がよろしいですか?」

「ミカで大丈夫だよ。あまり隊長と呼ばれるのは好きではないんだ」

 

そうこの人こそ、ボクが今座っているBT-42の車長であり、現在の継続高校戦車道チーム隊長のミカさんだ。黒森峰との練習試合の時もこの戦車に乗っていた。

 

「そう言えば他の乗員の人達は?」

「アキとミッコだね。あの2人なら食料を取りに行っているよ」

「なるほど……それにしても綺麗な音色ですね」

「あぁ、これはカンテレさ。君もこの音の良さがわかるかい?」

 

あ、ちょっと嬉しそうだ。

でもこのカンテレは本当にいい音だ。楽器のことはよく分からないけど、このカンテレはきっとミカさんの愛情を沢山受けているんだろう。

 

 

「ミ〜カ〜!帰ったぞ〜」

「おかえり、ミッコ」

「あれ、その男の人誰?」

「アキもおかえり。この人は話していた自衛隊の人だよ」

「どうも、日向アキラです」

 

ミカさんがミッコ、アキと呼ぶ2人はきっとこの戦車の残りの乗員なんだろう。

見下ろしているのも失礼だし戦車から降りるか。

 

「…………」

 

「な、なんですか……」

 

「………小さいですね」

 

「初対面でそれはどうかと思います!」

「そうだそうだー!」

「あぁ、これは失礼」

 

ついつい本音が漏れてしまった。でも本当のことだ。

 

「アキ、ミッコ。しっかり食べて大きくならないといけないね」

「余計なお世話よ!」

「というかさ、こ……の人の分の食料どうする?」

「あ、お構いなく。もうすぐ帰りますから」

「そうなんだ〜」

 

お腹もすいてきたしボクもそろそろ帰ろうかと思った矢先、ミカさんが口を開いた。

 

「……焦ったって何も始まらない。まずは落ち着くことも大切だよ」

「また始まった〜。えっと、日向さん?ごめんなさい、ミカが訳が分からないこと言って……」

「うーん、そうですね。もうちょっとゆっくりしていきます」

「うん」

 

ミカさんに言われた通り、ボクはもう少しの間この場にいることにした。確かに急いで帰ることもないし。

 

「ねぇ、あの人ミカの言ってることの意味わかるのかな?」

「そうみたいだな……」

 

 

そんなこんなで、ボクはミカさん達と1食を共にした。

アキさん、ミッコさんが取ってきた食材とボクが持ってきた食料………あんな一瞬でなくなるとは思わなかった。ミカさんは見た目の割にはよく食べるし、食べるスピードも早い。だって知らない間に全部無くなっていたんだから………

 

 

 

 

 

 

「お、荷物が軽い」

「ごめんなさい、ミカがアキラさんの食料まで……」

「大丈夫だよ。非常用に持ってきたものだし」

 

帰ろうとリュックを背負うと、やはり出る時に比べて格段に軽くなっていた。食料全部食べられたらそりゃあ軽くなるよね……

 

あ、そうそう。実は食べている時にミッコに「堅苦しいのは無し。継続戦車道チームは学年関係なく軽い話し方で仲良くするんだ」って言われたんだ。だから今は継続高校戦車道チームの一員として普段通りに話すことにしたし、ミカ、アキ、ミッコのことも"さん"を付けずに呼ぶことにした。

仲良くなるにはまず普段の会話からってよく言うしね……多分。

 

「じゃ、ボクはこれで。また明日」

「またね〜」

「じゃあな〜!」

 

アキとミッコは帰ろうとするボクに手を振ったが、ミカは言葉を発さず「ポロロン……」というカンテレの音で挨拶をしているようだった。ボクは3人に応えるように背を向けた状態で手を振りながら歩いた。

 

帰る途中、ボクはミカ達と出会ってこれからの生活への不安がやわらぎ、木々の間から見える夜空の星々を見上げた。

 

 

「なんとかやっていけそうだな……」

 

────ボクのこの呟きには誰にも届くことはなくサーッと吹く風の音と共に流れていった。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

────翌日。

 

ボクは練習の様子を見ていた。いつもどんな練習をしているのか気になっていたからだ。

継続高校は雪原や湖沼などのフィールドでその真価を発揮する。身を隠して敵戦車を叩いたり、機動力を活かして迂回して叩く戦術を得意としている。だが逆に身を隠すことが出来ないフィールドは苦手らしい。戦車道大会ではフィールドはランダムで決まるらしいからそういう所での試合にならないように神に祈るしかないようだ。

 

『3分経ったから始めるよ』

 

今日の練習は各々が練習場に広がってそれぞれ戦う、いわゆるバトルロイヤル形式の模擬戦だ。

何台か飛行するカメラを飛ばしているので、モニターからそれぞれの様子がよくわかる。隠れるチームが大体だが、BT-42は練習場をゆっくりと走っていた。普通なら隠れている戦車から死角を突かれた射撃で戦闘不能を意味する白旗が上がってしまう。今回に限っては練習なので、1発でも弾が当たれば戦闘不能とみなされる。

でもこのチーム、隊長であるミカ達は違った。いきなり砲撃したかと思うと、その直後に戦車に弾が当たった音が響いた。そう、ミカ達のチームの砲弾が他のチームの戦車に当たったんだ。

 

『戦車のエンジン音が聞こえていたよ』

『す、すみません!』

 

エンジン音……カメラではその音は拾っていなかった。つまりそこまで大きな音ではなかったということだ。その場合、直接その場に行けば聞こえていたことになる。だがミカは自分の戦車の音もしている中その音を聞き分けた可能性だって有り得る。

 

それから数十分後、ミカの乗っている戦車は他の全てのチームを撃破した。

 

「強い……これが継続の隊長……」

 

だが決して他の隊員が弱い訳では無い。ミカは継続の誰よりも強い、そう思っただけだ。

そのミカが隊長としてみんなを指導しているからこそチーム全体としての練度が上がっている。

「継続高校の現隊長の実力は、西住流、島田流にも劣らない」と聞いたことがある。今までは信じていなかったが、この光景を見た今なら首を縦に振ることができる。

 

もしかしたら戦車道大会で優勝できるかもしれない。ボクの中にはそんな希望が産まれてきた。

 

「さて、車出すか」

 

ボクは動けなくなった車輌を運ぶためにその専用のトラックのエンジンを起動させた。

このトラックを運転するには戦車、並びにその関連車の運転免許を持っていなければいけないが、自衛隊学校で取得させられたボクは問題ない。

戦車道履修者はその時点で戦車などを運転する権利が与えられる。戦車並びにその関連車の運転免許証も戦車道連盟から配布されるが、期限はその学校に通っている間に限られる。大学で戦車道をするならまた別だけど。

 

『おーい、早くしてくれ〜。こっちは履帯切れてるんだ〜』

「今行くよ〜」

 

まぁ、こういう生活も悪くないかな……

 

 





ありがとうございました!
日向アキラという名前の由来ですけども、まず名前はカタカナにしようとは思っていたので男っぽい"アキラ"となりました。名字は、継続=のんびり、自由度が高い、と思ったのでひなたぼっこから"日向"となりました。
さて次回はどこなんでしょう!?お楽しみに!
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