東方銃神録   作:照喜名 是空

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月人

それから三年の歳月が流れた。

かぐやは帝と文通しているらしい。

 

あの五人?奥さんなりつきあいのある女なりよろしくやってる。

 

そして十五夜の夜。

俺たちは広々とした荒野かぐやを取り囲むように陣取っていた。

といっても数キロ離れた場所から制圧射撃をする準備をして隠れている。

 

翁たちには別の場所で避難してもらっている。

かぐやは彼らに一応の別れは告げた。

 

月は燃えるように明るい。

夜の静けさを重く低い振動音が破る。

月からの使者たちが現れたのだ。

その姿はライダースーツと宇宙服を合わせたようなヘルメット姿だ。

 

中に一人、弓矢を構え赤と青に色分けされた服を着たものがいる。

あれがかぐやの言うところの「八意永琳」だろう。

 

かぐやと八意が2、3言葉を交わすと二人の姿が消えた。

あの瞬間移動だか時間停止だかよくわからん能力を使ったのだろう。

 

「足止めはこっちの仕事か。やれやれ、逃げるのはかまわんが、俺からも逃げるなよ?」

 

そこで俺たちの取った作戦は高高度からの遠隔狙撃。

連中は月から来るとはいえ、かぐやを迎える瞬間には地上に近づかなければならない。

そこを狙い撃つ。

 

重力子放射線射出装置がなぎ払った。

とはいえさすがは月の使者、大半が時間を停止したかのようなすばやい動きでよけられた。

クロックアップというやつだろう。時間を操っているのか、反射神経を強化しているのか。

 

いずれにせよただでは当たってくれない連中だ。

 

あちらからもガドリングガンのような速射性と威力のある弾幕が降り注ぐ。

 

俺はライフルに獲物を持ち替え弾丸を撃つ。

軽々とよけられるがそれも計算のうちだ。

弾丸にかけた術式は二つ、国一つ傾かせるほどの災厄を封印する術式と、自然落下するまで敵を追尾する追尾機能だ。

このいかれた弾丸を撃ちまくる。やがて弾丸たちは渦を巻いて月人たちを取り囲み、どこまでも追っていく。

 

それはさながら檻のように月人たちの行動範囲を狭める。

固まったところに重力子放射線射出装置を打ち込む。

逃げ場を失ってあせった数人が巻き込まれ撃墜されるがまだ生き残りはいる。

 

だがそいつらの命も長くない。

重力子放射線射出装置によって弾丸は吹き飛ばされた。

そう、中に溜め込んだ災厄を封印する術式と共に。

そこに残ったのは空間に残留する恐ろしく濃厚な穢れ。

 

残った連中ももがき苦しみ……やがて宇宙服すら侵食して腐り果てて消滅した。

 

残った穢れを術式によって操り、俺は一発の銃弾に封印した。

 

「終わったみたいね。何あのひどい量の穢れは。制御できるって信じたからやったんでしょうけど……

正気の沙汰じゃないわ」

 

「あんたが八意さんか。話は聞いているか?あんたらを保護する、ザミエルというものだ」

 

「信用できるかわからないわね。まあ、他に行くところもないけれど」

 

「お互い大人の仕事をしようじゃないか。こっちが信用できないなら切ればいい。

あんたらは好きに暮らしていればいいさ。時々こっちに技術を売ってくれればそれで俺らは何も束縛しない」

 

「あとはこっちの判断ってことかしら。ずいぶんと私たちに都合がいい話に聞こえるけど」

 

「あんたらの文明の価値ってのはそれだけのものなんだよ。こっちは虎の尾をふむ気はないとだけ解ってくれ」

 

「まあ、いいわ。どこへなり連れて行って頂戴。それともこんな荒野に女二人ほうっておくつもり?」

 

「まさか。地上へようこそ」

 

俺たちは彼女たちを腫れ物を扱うかのように丁重にもてなした。

とにかく、月の都の情報が聞けるのはありがたい。

 

 

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