Fate/Grand Order 白銀の刃   作:藤渚

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銀さん?と藤丸+α 祝・万聖節前夜祭

 

「ぃよーう、わざわざこんな作品(トコ)まで訪れてくれた諸君、祝・万聖節前夜祭(はっぴぃはろうぃん)!今日も不定期開催『銀さんと××(チョメチョメ)』、始まるぜぇ~………え?本編はまだ初夏だって?細けェこたぁいいんだよ、季節ネタにはこうして乗っかっておかねえと。第一カルデアの、れい……しふと?とか使いやぁ、いつの時代どの季節にだっていけんだから。今日が31日って言えば31日になんの、そういうシステムなの。それよりハロウィンだぜハロウィン!仮装すりゃどんな奴だって菓子が貰える、こんな素晴(すんば)らしい祭りがたったの一日限りだなんてな………よし、この俺が総理大臣になった暁にゃ、一週間に一回の割合でハロウィンを行うことを法律で定めてやる!どうだ?」

 

 

「クハハハハ!分かっておるではないか銀色の人。(われ)としては毎日がハロウィンでも構わぬのだが、ハレの日があまりに続けば飽いてくるもの、適度にマンネリ化せず週に一度の具合で行うというのがまた味噌よ。さあさあ、吾と共に参れ!奪い、侵し、全ての菓子を狩り尽くしてくれようぞ!」

 

 

「ちょちょちょちょ、のっけから主人公(メイン)差し置いて何勝手におっ始めてんのさ二人共⁉ていうか茨木童子(イバラギン)、ナチュラルすぎて違和感なかったけど、何でここに?」

 

 

「む、決まっておろうマスターよ。ハロウィンといえば(われ)、吾といえばハロウィンよ。既にFGO(あちら)でも一昨年から登場を果たし、そして今年のONILANDにて酒吞に似たあの護法少女とも鬼救阿(おにきゅあ)として共演を果たしている吾ぞ?こちらの小噺とて暇潰しにすらならぬものの、ハロウィンと聞いては腰を上げぬわけにもいくまい。それに、いつの間にか吾の隣にしれっといるこの銀色の人とは中々馬が合うのでな、共にハロウィンを蹂躙(エンジョイ)しようと今しがた決めたばかりなのだ。」

 

 

「そっかー、二人とも甘いお菓子大好きだもんね~…………で、銀さん。」

 

 

「おう、何だ?」

 

 

「楽しみなのは分かるけど、今から仮装するのはまだ早いんじゃない?ハロウィンパーティーは夜からだってのに、まだ昼過ぎたばっかだよ?」

 

 

「クク、よいではないかマスター、固いコトを言うでない。壮丁(そうてい)だろうと(わっぱ)であろうと、祝い事は心躍るものだ…………しかし銀色の人、(なれ)は一体何の化生の恰好をしておるのだ?額のソレは狐の面か?むむっ、その臀部(でんぶ)から生えている、モフモフとした何とも気持ちのよいモノは、()()()……にゃんと、九つもあるではないか⁉ええい、そんなにあるのなら(われ)に一本寄越せっ!(グイッ)」

 

 

「痛でででででっ‼ちょっ引っ張んなって!取れるっ取れちゃうっ‼」

 

 

「痛い、って………銀さんまさか、その尻尾本当に生えてんの⁉なんで⁉」

 

 

「お~イテテ、ホントに取れるかと思った…………んあ?なんでって、まあ簡潔に説明すりゃあ、今の俺は本来の霊基(クラス)とは違ェから。要するにアレだ、霊基(いじ)ってみたらクラスチェンジしちゃいました~ってな。」

 

 

「ええええぇっ⁉何してんの勝手にぃっ‼」

 

 

「だってせっかくのハロウィンだしぃ?仮装しようにも何着るか考えんのも衣装調達すんのも面倒臭ェし、そういや何年か前のアニくじでやった九尾のコスプレを思い出してだな。でもさ、ただ衣装を着替えるだけってのも面白みに欠けるだろ?だったらいっそ思い切ったことしてみようかと閃いてな。早速経験のあるサーヴァント連中にやり方聞いてから、ダメ元でちょちょいっと試してみたんだが、これがなんと大成功~!ってなワケ。」

 

 

「おおっ、この間の(われ)と同じではないか。やはり祭りは一時(いっとき)昂揚(テンション)に身を任せてこそ面白い。分かっておるではないか銀色の人!」

 

 

「おっとイバラギン、『こっちの』俺のことは銀狐と呼んじゃくれねぇかい?銀色の人だと(セイバー)の俺と混同しちまうからな。」

 

 

「全くもう………んで、今の銀さんは何のクラスなのさ?」

 

 

「待ってたぜ~その質問(クエスチョン)。何に見える?何だと思う?なんて文字数稼ぎなことは聞かねえよ。まあ賢い奴ぁ、九尾の狐って時点で何とな~く察しちゃいるとは思うがな。」

 

 

「あーうん大丈夫、何となくだけど俺も分かるから。」

 

 

「うむ、(われ)も分かったかもしれぬぞ。尻尾の数は異なるが、ここには銀色の……今の銀狐と同じく、尾の多いあの玉藻とかいう()狐もおるからな。」

 

 

「それじゃあハイっ、答え合わせ~!皆様お待ちかね、俺のクラスはだな………その玉藻の(ねえ)さんと同じ魔術師(キャスター)だ!とある人間(ひと)好きの狐と霊基が混ざりあってるんだが、そいつに関しての説明はまたの機会にな。もし知りたいって希望がありゃあ、書いてる奴がどっかで設定なんか記してくれるんじゃねえか?まあそれより、キャスターにクラスチェンジした俺、通称キャス銀さんは(セイバー)の時より頭も口もよく回るぜ?(ちな)みにこの霊基で本編に登場することは無ぇから。あっ、そこのお前、今ガッガリした?ガッガリしちゃった?そりゃ悪かったなぁ、お詫びに銀さんの尻尾モフるか?ふっかふかだぜぇ?」

 

 

剣士(セイバー)に続いて魔術師(キャスター)まで出てくるなんて………このまま増え続けたら、サポート欄全部銀さんで埋められそうだね。」

 

 

「む~……しかし銀狐よ、(なれ)(みずか)らを九尾だと名乗っておるというに、肝心の狐要素はその無駄に多い尻尾のみではないか。女狐や玉猫のようにピコピコッと愉快に動く耳は無いのか?」

 

 

「無駄じゃないで~す、霊狐(れいこ)にとって尻尾の数はそれだけ偉いって証なんで~す。耳に関しちゃ再臨すると生えてくるって設定になってるらしいから、どうしても見たいンならそこの藤丸(マスター)にでも頼むんだな。」

 

 

「べ、別に(われ)はそこまで関心があるわけでは………むぅ、だがしかし気にならないというわけでもない。なあマスターよ?(なれ)もそうであろう?」

 

 

「はいはい、そうかもしれないけどまた後でね。今は本題に入らなきゃいけないから。さてと、それじゃあ俺と茨木、それに銀さ───」

 

 

「キャス銀さん、な。そこんとこ間違えるんじゃねえぞ?」

 

 

「おおう、いつもの銀さんよりぐいぐい来るなこの英霊(ひと)………ええと、キャス銀さんを入れた俺ら三人は、これからパーティーの準備をしてる皆の様子を見に行くんだよ。勿論、大変そうだったら手伝いもするし。」

 

 

「うむぅ……それもマスターとしての(なれ)の務めなのか?各々(おのおの)好きにやらせればよいではないか。」

 

 

「おんやぁ?じゃあイバラギンの出番は、ここでお終いってことなんだな?小噺とはいえ、せっかく登場出来たってのに残念だなぁ。これからお前の好きな甘~い菓子を作ってるだろう、あの赤い人のとこにも行こうってのに。もしかすると、味見と称して何か貰えるかもしれねぇってのに────」

 

 

「ぃよーし!マスター、銀狐、何をもたもたしておる!このままここで駄弁(だべ)っているだけでは、読んでいる側も飽き飽きするではないか!腹ペコの(われ)に食い殺されたくなければ、さっさと足を動かせ!」

 

 

「………キャス銀さん、早速茨木の扱い心得てるね。」

 

 

「賢くかっこいいキャス銀さんだからな。ほら、俺らもとっとと行こうぜ(フワッ)」

 

 

「うわっビックリした。キャス銀さん、何普通の流れで浮いてんのさ?」

 

 

「だってせっかく神通力使えるんだし、あと歩くのダルいし。それに尻尾だって引きずって汚したくないんだよな~、九本もありゃ手入れが大変なんだよ。つーわけでキャス銀さんはずっとこの状態で移動し────」

 

 

「とーぅっ!(ガバッ)」

 

 

「のわっ⁉おいおいイバラギン、いきなり背中に飛び乗ってくるんじゃねえよ~危ねぇだろ。」

 

 

「クハハハハ!何ともよい眺めよな!狐を駆る鬼、今の(われ)は正に 荼枳尼天(だきにてん)の如しよ!んん~フカフカとした尻尾も座り心地がよい。さあ銀狐、吾の指すままに赴くがいい!」

 

 

「ったく、しょーがねーな。そんじゃ行きますかねえっと。」

 

 

「茨木、後で写真撮って酒吞童子にも見せよっか?」

 

 

「うむ!(われ)の勇ましきこの姿、しっかりと収めるのだぞ!」

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

「あっ、先輩!それに………ええと、茨木童子さんが乗っていらっしゃるその方は、銀時さん……ですか?」

 

 

「やっほ~マシュ、こちらは何やかんやあってキャスターの霊基になった銀さん、通称キャス銀さんだよ。」

 

 

「よう、この霊基(うつわ)の俺とは初めましてだな、よろしく。」

 

 

「は、はい。マシュ・キリエライトです、よろしくお願いします………始めは銀時さんの仮装だと思っていたのですが、そちらの尻尾と浮遊されているのを見ると、やはり(あちら)の銀時さんとは異なるのですね。驚きました。」

 

 

「して魔酒(マシュ)よ、貴様は何をしておったのだ?もし(なれ)が困っているようなことがあれば、(われ)らは汝を手伝わなければならぬらしいのだ。」

 

 

「今の私ですか?私は今しがた『とある方』に作っていただいたこちらの衣装を、今夜のパーティーで着るために合わせてみようと自室に向かう途中でしたので、お手伝いなどは特には………。」

 

 

「ハロウィンの衣装か………ねえマシュ、(ちな)みにどんなの着るの?」

 

 

「はい、今年は今まで着たことのないタイプに挑戦してみようかと、思い切ってみました!」

 

 

「思い切って、って………マシュ、一昨年(おととし)ハロウィン仮装(ドスケベコスチューム)だってかなり思い切ってたのに………ハッまさか、あれ以上に思い切るってことは、今年のマシュはデンジャラス・ビーストを更に上回るドスケベ礼装が、新たに加わってしまうということか………⁉まま、まさか…………今度はマイクロなビキニ調な衣装(ヤツ)、だったり………あああ駄目ダメ!そんなの(一応)全年齢向けのこの作品で(おおやけ)になったら、只でさえ普段からギリギリ運転してるってのにタグ付け替えじゃ済まなくなっちゃうゥゥゥッ‼」

 

 

「銀狐よ、マスターは先程から何をブツブツ言っておるのだ?」

 

 

「気にすんな、年頃の少年にゃよくある光景だ。それよりマシュ、どんなヤツ着るのかちょっくら見せてくれよ?」

 

 

「ちょちょっと、キャス銀さん⁉こんなところで⁉」

 

 

「はい、実は先輩の分もお借りしてきたんです。これでお揃いのコーディネートが楽しめるんですよ(ガサゴソ)」

 

 

「マシュとお揃いかあ、それは嬉しいな…………じゃなくて!思い留まってよマシュ!俺がマイクロビキニなんか着たら、似合う似合わない以前の問題が─────」

 

 

  パンパカパーンッ☆

 

 

「どうですか?桂さんとヴラドさんが作ってくださいました、私と先輩のデザインのエリザベスさんの着ぐるみです!」

 

 

「………え?」

 

 

「ほうほうコレは、よく見れば頭にちゃんと魔酒とマスターの頭髪を被っている………うむ、中々の完成度ではないか。いいな~(われ)もコレ欲しい。」

 

 

「実は、今年は何を着たらいいかずっと悩んでいたのですが、昨日職員の方々やサーヴァントの皆さんが、揃って桂さんとヴラドさんのところに着ぐるみの製作を依頼しているところをお見かけしましたので………ご存知でしたか?今カルデアでは密かに、エリザベスさんブームが起きてらっしゃるんですよ?何でも桂さんを筆頭にファンクラブも結成されているそうですし、ヴラドさんのお作りになられるぬいぐるみは、人気のあまり只今在庫が全く無いとのこと!」

 

 

「え、何その事実。俺全っ然知らなかったんだけど。」

 

 

「クックック、(うと)いな(なれ)は。言っておくが(われ)()うに知り得ておったぞ。何せあの酒吞が、『なんや、かいらしいアヒルやなぁ。歩くたんびにチラチラ目につくあの(すね)毛も好いたらしいわぁ。』とベタ褒めしておったからな!」

 

 

「脛毛が好ましい、なあ………大鬼様の好むモンなんざ、狐の俺にゃよく分からねえこった。」

 

 

「私、今まで着ぐるみを着たことがありませんでしたし、せっかくなので思い切ってお願いしたんです。それで先程、出来上がったこちらを早速試着してみようと自室に向かっていたところなんです。」

 

 

「ああ、思い切ったのってそういう………。」

 

 

「おいおい、他の連中もコレ着てくるんだろ?パーティーの会場オ〇Qだらけになんじゃねーかよ、何その悪夢みたいな光景、誰が得するの?あっヅラか。」

 

 

「あの先輩………すみません、相談も無しに勝手に衣装を依頼してしまって。もし既に他の用意がありましたら、こちらは忘れて構いませんので……。」

 

 

「いや、俺もまだ何の仮装するかも決めてなかったし、(むし)ろ助かったよ。俺の分まで用意してくれてありがとう。マシュ、今夜は一緒にコレ着て楽しもう!」

 

 

「先輩………はいっ!」

 

 

「でもよかったなマシュ、これなら寒くも無ェだろうし、藤丸とも揃いで決められるだろうからな………まあ、この露出0(ゼロ)の恰好じゃあ、一部の男連中はぶーぶー文句垂れてくるだろうが。なっ藤丸?」

 

 

「えっ、なな何で俺に同意を求めてくるのさ⁉べべべ別にぃ、助平(スケベ)なもの期待とかしてたわけじゃないし!変な勘違いしないでよねっもう‼」

 

 

「なあマスターよ、先程(なれ)が申した『まいくろびきに』とは────」

 

 

「へーいイバラギン、お口そのまま開いててね(ポイッ)」

 

 

「もがっ………うむ、うむうむ!舌の上でとろけていくこの甘さ、そして中に入っている焼き菓子(ビスケット)の程よい歯触り!やはりチョコレイトは至福の味よ!」

 

 

「ほらほら茨木、こっちに来ればもっとチ〇ルをあげるよ~………それじゃマシュ、俺達まだ皆の様子見て回らないといけないからさ、俺の分の衣装は部屋(マイルーム)に置いといて。じゃあまた後で~。」

 

 

「はい先輩、それでは頑張ってください!」

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

「さて…………どうしたものか。」

 

 

「クハハハ!トリックオアトリート!赤い人よ、お供の狐とマスターと共に(われ)が参ったぞ!さあ、悪戯をされたくなくば供物を寄越すがいい!」

 

 

「んん~食堂を満たす甘い匂い、嗅いでるだけで(よだれ)が出ちまうな。」

 

 

「やっほ~エミヤ、(はかど)ってる?」

 

 

「ああ。茨木童子にマスター、それに………銀時君、なのか?」

 

 

「どうもどうも、ハロウィンに浮かれて(あやか)って霊基を弄ってみた、キャスターの銀さんことキャス銀さんだ。ちょ~っとばかし悪戯(いたずら)好きってとこ以外は、ほぼ (あっち)の俺と変わんねェだろうから、まっよろしく頼むぜ。」

 

 

「そ、そうか。しかし九尾とは、君の尾は玉藻の前(かのじょ)と比べ随分と多いのだな。まあ彼方(あちら)の場合は、自らの意思で切り離しているらしいが……。」

 

 

「それより赤い人よ、何故眉間に(しわ)など寄せている?今日はハレの日であるというに、何をそんな辛気臭い(つら)をしておるのだ。」

 

 

「ああ、実はそのハレの日……今夜のハロウィンパーティーに出すメニューについて、少し悩んでいてな。」

 

 

「?……(なれ)の作り出す品々は全て美味であろう。何を悩む必要がある?」

 

 

「これはこれは、嬉しいことを言ってくれるな…………定番の南瓜(かぼちゃ)を使ったお菓子は、既に作って冷蔵庫に入れてある。だがあと一品、皆で(つま)めるような………そうだな、最近冷え込んできたことだし、出来たら温かいスイーツを作りたいと考えているのだが、さて何にしたらいいものか……。」

 

 

(あった)かいもの………焼き林檎、お汁粉、チョコフォンデュ、あとはフルーツグラタンとか?ん~何かしっくりこないなぁ。」

 

 

「ええい、この際しっくりこなくともよいではないか!おい赤い人、今マスターの述べたものではいかんのか?因みに(われ)はその果実のぐらたんとやらが食べてみたいぞ!あとチョコレイトの滝とやらもな!」

 

 

「ふむ、では時間が余ればそれらも作ることにしよう。しかし俺がイメージしている、摘めるものとは遠いな。何というか、こう………手掴みで気軽に食せるものがいいのだが、何か良い案はないだろうか?」

 

 

「んむむむ………ねえ賢いキャス銀さん、何かいいアイデアは────あれ?銀さん、冷蔵庫の前で何してるの?」

 

 

「ああ、ちょっとな。よっと(パカッ)」

 

 

「あっ、こら銀時君!摘み食いは許さんぞ!」

 

 

「銀狐!貴様、(われ)を差し置いて抜け駆けなぞさせぬぞ!吾も喰う!」

 

 

「こら暴れんなって!ったくどいつもこいつも………違ぇよ、俺は単に冷蔵庫の中に何が余ってんのか見に来ただけで…………お、いいモンあんじゃねえか。なあエミヤ、コレ使ったらどうだ?」

 

 

「それは………この間使った時に残った、ピザクラフトか?」

 

 

「おうよ、これにフォンデュに使うチョコとマシュマロ、あとバナナも乗せて………優秀なコック長さんなら、ここまでくりゃあ後は分かんだろ?」

 

 

「!………そうか、チャンクピザか!成程、これなら皆で摘める上に温かい。どうして今まで思いつかなんだ………ありがとう銀時君。」

 

 

「チッチッチ、だから違うって。俺はキャスターの坂田銀時、容姿からCVまで同じっつっても俺の方がちいっとばかし頭脳派なの。お分かり頂けた(アンダースタン)?」

 

 

「そうだったな……失礼した、キャスターの銀時君。君のお陰で、今夜のパーティーは上手くいきそうだ。」

 

 

「ち、ちゃんくぴざ、とな……?マスターよ、ぴざはこの前の夕餉(ゆうげ)に酒吞と食したのを覚えておるぞ。ちぃずといったか?あの牛の乳の塊を熱で溶かしたものを乗せた薄い盆のようなもの、あれは中々に美味かった。しかしこのちゃんくぴざは、あのちぃずを用いたものとはまた異なるのか?」

 

 

「チャンクピザってのはね、キャス銀さんがアドバイスしたように、ああしてチョコやらマシュマロを乗せて作るんだ。焦げ目のついたマシュマロが熱でチーズみたいになってね、そこにバナナやオレンジピールなんかが加わったりなんてしたら………ああ駄目だ、今から(よだれ)が止まらなくなる!」

 

 

「な、何と………それほどまでに美味いのか、あのぴざは……⁉ええい赤い人、(われ)に一刻も早くそのちゃんくぴざを寄越せっ!あんな話をさせられて、夜までなど待てるわけがなかろうて!」

 

 

「まあ待ちたまえ、茨木童子。そんなに早く食べたいのなら、今からピザを作るのを手伝ってはくれないだろうか?何なら試食として、一足早く君達に焼き立てを食べてもらうことも出来るぞ?」

 

 

「うむぅ、鬼を働かせようとは………しかしその無礼、ちゃんくぴざとやらの献上で許してやらんこともない。さあっマスターよ、(なれ)とて焼き立て熱々のぴざを頬張りたいであろう?なれば手を動かせ、そして(われ)の前に甘いぴざを差し出すがいい!クハハハハ!」

 

 

「茨木ったら、やる気満々だなぁ………これが甘いモノへの執念か。」

 

 

「おうよ、糖分の力ってのは偉大なんだぜぇ?甘く見ちゃいけねえよ(モッシャモッシャ)」

 

 

「ああっこらキャス銀さん!何食べてるの⁉」

 

 

「知らねえ知らねえ、俺は冷蔵庫に入ってたマカロンなんてぜーんぜん知らねえよ。」

 

 

「そんな栗鼠(リス)みたいに膨らませた頬っぺた、今更誤魔化せないだろ!エミヤ~キャス銀さんが~!」

 

 

「銀狐!(なれ)ばかりズルいではないかぁ!(われ)にもそのマカロンを食わせろおおォォォッ!」

 

 

「待った君達!それは今夜のパーティーのために用意したケーキのデコレーション用で、数にあまり余裕はって聞いてるのかお前らァァァッ‼こらっマスターまでどさくさに紛れて食べてるんじゃない!キャス銀時君っ狐火でマシュマロを(あぶ)るな!あああ茨木そんなにマカロンを口に詰めては………っだから‼食うなって‼君達‼頼むからァァァァァァッ‼」

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

「お~痛って、夜になってもぶたれたトコがまだ痛ぇや。」

 

 

「ぐぬぬ、これほどまでに痛いと思った拳骨は母上以来だ………いや、やはり母上のほうが痛かったかな?うん、やっぱ母上の方が痛かったそして怖かった。」

 

 

「でもさ、エミヤのチャンクピザ間に合って本当によかったよ。色々トラブルもあったけど、試食のピザは凄く美味しかったし、最後は『ありがとう』って言ってくれたしさ。」

 

 

「うむ、アレは真に美味であった。是非今宵の宴にて酒吞にも…………む?ところでマスター、ハロウィンの宴はいつ始まるのだ?」

 

 

「ええと、ちょっと待って…………げっ、もう開始の時間過ぎてる!」

 

 

「にゃにゃんとぉっ⁉いかん、(われ)は酒吞と待ち合わせていたのであった!マスターに銀狐、吾は先に会場へと向かうぞ!(ダッ)」

 

 

「うん、茨木~また後でね~あと前見ないと転んじゃ───」

 

 

「(ズシャッ!)へぶっ‼」

 

 

「あ、やっぱりコケた。」

 

 

「大丈夫だろ、ホラまた起き上がって走ってった。」

 

 

「あはは………それじゃキャス銀さん、俺達も準備しようよ。もうマシュ達も会場にいると思うし。」

 

 

「あ~……その前にさ、藤丸。ちょっと手ェ出してくんねぇ?」

 

 

「へ?はい、何かくれるの?ああ分かった、お菓子かな?」

 

 

「ぶっぶー、残念ながら菓子ではないな。」

 

 

「えー?じゃあ何を────」

 

 

  ギュッ

 

 

「!……うわ、何⁉令呪が熱く……っ⁉」

 

 

「……うし、これで契約完了っと。これでキャス銀さんも正式にカルデア(ここ)のサーヴァントの仲間入りだ。」

 

 

「え………ええぇっ⁉だってキャス銀さんって、元の銀さんが霊基を変えただけの存在じゃあ……⁉」

 

 

「ああ、『俺』は銀時(やつ)の浮かれた心から生まれただけの存在。今日限りのこの祭りが終われば、自動的に消滅するだけの存在だ………でもな藤丸、お前やイバラギン、それに他の奴等と今日を過ごして思ったんだよ。ああ、やっぱりまだ消えたくないなって。俺ン中に居座ってる狐も、俺にしか声は聞こえないだろうが、ずっとそう言ってる。」

 

 

「キャス銀さん………。」

 

 

「だから、強引だがこうしてお前と契約を結ばせてもらったんだ。こうすりゃ俺は魔術師(キャスター)クラスの俺として霊基を確立出来るし、(セイバー)の俺とは別の存在としてここにいられるってこった。ここまで無茶苦茶出来んのも、俺と統合してるこの狐の霊力とかのお陰らしいけどな。なんせコイツ、徳積みまくって九尾になった上、狐龍とかいう凄ぇ存在になったらしいからよ。」

 

 

「別の存在ってことは………あれ?じゃあ俺の知ってる銀さんの方は────」

 

 

 

 

「お~い藤丸~、なぁにやってんだお前?もうとっくにパーチー始まってんぞ?」

 

 

「あっ、銀さん………ええと、こっちはノーマルの銀さん…………だよね?」

 

 

「はぁ?ノーマルじゃねえ銀さんってなんだよ?アブノーマルな俺とか存在すんの?」

 

 

「銀さんは元からアブノーマルでしょ。それよりこの人、知ってるよね?あーたから分離した別の霊基の銀さんで、クラスは─────」

 

 

「何言ってんだお前………誰もいねぇじゃんか。」

 

 

「……へ?やだなあ銀さん、何を言って─────あれ?いない、何で……そんな筈ないよ、だって銀さんが来る少し前まで、俺と話してて、それに契約だって………え、あれ?」

 

 

「………どうしたんだよ藤丸?ハロウィンだってのにジャック・オ・ランタンじゃなく、狐にでも化かされたか?」

 

 

「狐………………その通りかも、しれないね。あ、アハハハ……。」

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

「よっ、と………うんうん、南瓜(なんきん)のランタンに灯す狐火も中々乙なモンじゃねえか。」

 

 

 

「え?折角契約もしたのに、藤丸(マスター)達に混ざらなくてもいいのか、だって?いいんだよ別に、俺賑やか過ぎんのあんまし好きじゃないし。」

 

 

 

「ああでも、どうせならエミヤに稲荷も作ってくれるよう頼めばよかったなぁ。お稲荷さんの中に牡丹(ぼた)餅入れるヤツ、俺アレが一番好きなんだよ………あ?そんなゲテモノでなく、稲荷はちゃんとお揚げとして食わせろだと?うっせーなテメェ!狐龍だか何だか知らねえけど、この霊基(からだ)は銀さんのだからね!あんまし我儘(わがまま)言うと追い出すぞコノヤローッ!」

 

 

 

 

「………さてさて、一日限りの万聖節前夜祭(ハロウィン)も、もうそろそろ佳境だな。祭りの後ってのは何とも嫌なモンだ、何つーかその、ブルーな気分になっちまう………『お前』も、そう思わねえか?」

 

 

 

 

「さてさて、次はいつキャス銀さんに会えるんでしょーか?それは賢い銀さんでも、まだ分かんねぇよ………そうさな、書いてる奴の気紛れ次第ってとこだな。そん時ゃまた、『お前』の(ツラ)を俺に見せにきてくれよ。俺は気分のままに過ごしながら、この小噺(カルデア)で待ってるから、さ。」

 

 

 

 

「それじゃ、別れの挨拶代わりにキャス銀さんから、『お前』に一言くれてやるよ。」

 

 

 

 

 

「───祝・万聖節前夜祭(はっぴぃはろうぃん)!なーんつってな!」

 

 

 

 

 

 

 

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