Fate/Grand Order 白銀の刃   作:藤渚

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《※始めに》
・こちらの小話は『不定期開催 銀さんと××』同様、会話形式のものとなっております。

・『白銀の刃』本編内で銀魂サイドからサーヴァントとなったキャラクターからの、バレンタインの贈り物&お返しのシナリオと概念礼装を、書いてる奴の妄想で文章にしたものです。

・こちらの藤丸立香は、小説内同様に男性でお送りさせていただきます。

・リアルバレンタインもFGOのバレンタインイベントも終わってしまいそれ以前に2月なんてとっくに終わっとるやんけという只の大遅刻投稿になってしまい誠にスイマッセェェェェン‼‼という思いで書き進めましたので許してください300円あげるので(銀さんが)

・今回第三弾となるバレンタインエピソードですが、最後のおまけに特別ゲストとして
『不定期開催・銀さんと××』シリーズにのみ登場する『彼』もバレンタインに参加したいとのことです。一体何銀さんなのやら………。

・尚【高杉晋助】の話の中でふわっと二部六章のネタが入ってる箇所がありますので、ネタバレNGの方はご注意ください。





銀さん+αと藤丸 カルデアカカオ祭り(Ⅲ)

【桂小太郎 『雪白片吟(イザベラ)絶対障壁(ブークリエ)(レプリカ)』】

 

 

  2月14日、(もはや恒例の)カルデアの廊下にて。

 

 

  ツターンッ、ツターンッ(床を蹴るSE)

 

「ん~ん~♪ンフフフフフ……♪」

 

「(………あからさまに上機嫌な桂さんが、向かいから軽快なスキップと共にやってくる。)」

 

「ん?……おおっマスターではないか。いやいやこれは、恥ずかしいところを見られてしまったな。」

 

「こんにちはヅラさ……桂さん、随分ご機嫌みたいだけど、何かいい事でもあった?」

 

「ふっふっふ……今何か言い掛けたような気もするが、気分のいい俺の耳には入らなかったことにしよう。実は先程まで食堂にいたのだが、何やら今日は何時(いつ)にも増して賑やかでな。折角なのでその場にいたモフモフ系サーヴァントや胸キュンアニマルの面々との歓談や触れ合いに、楽しく時を過ごしていたのだ。しかもここに来る途中も運のいいことにドゥムジ殿と出くわしてだな、あの黄金に輝く羊毛をモフモフさせてもらって………ああ、思い出すだけで何という至福!」

 

「あの桂さん、(よだれ)が凄いことに………。」

 

「むっ、いかんいかん(ゴシゴシ)………しかしマスターよ、カルデアとは誠に素晴らしい場所であるな。様々な時代の様々な英雄や偉人達、果ては神仏までもが同じ空間に存在し、彼らと語らうことが出来るなど、正に奇跡と言っても過言ではない………それに、それに何より、だ。」

 

「何より……?」

 

「………マスター、俺は貴方(きみ)に感謝をしている。銀時や高杉、新八君にリーダーに定春君、そして…………こんなにも(かつ)て縁を結んだ者達と、こうして英霊(サーヴァント)という形となって巡り合えたこと。そして同じ目的や使命を(まっと)うする『同志(なかま)』として、彼らと再び肩を並べられたことが出来たのも………全て君のお陰だ、本当にありがとう。」

 

「……桂さん………。」

 

「さて、では俺も行くとするか。この後『カルデアもふもふ愛好同盟』の会合があるのでな。失礼するぞマスター。」

 

「うん─────って、待って待ってちょっとだけ待って‼(ガッシィ)」

 

「痛だだだだっ‼どうしたマスター、何故(なにゆえ)俺の髪を引っ張って痛い痛い痛い抜けちゃう抜けちゃうぅっ‼」

 

「あ、ゴメンごめん…………えっとさ、桂さんに渡しておきたいものがあって。ハイこれ。」

 

 

 【シャララ~ンというSE、キラッキラのエフェクトがかかる背景】

 

 【そして渡される、黄色いリボンの赤い袋】

 

 

「………マスター、これは?」

 

「ほら、今日はバレンタインでしょ?男から渡されても嬉しくないと思うだろうけど………それは普段お世話になってるサーヴァントの皆にも渡してる感謝の印、まあひらたく言えば、感謝チョコってやつかな。」

 

「感謝の、チョコレート……マスターが俺に………………。」

 

「(あれ……沈黙しちゃった……)も、もしかして迷惑だった?ゴメンね、いきなり引き留めておいてこんなの渡しちゃって────」

 

「ハッ!すまない、あまりの驚きに固まってしまっていたようだ………迷惑なものかマスター、礼を言いたいのはこちらの方だというに………ありがとう、大切に頂くとしよう。」

 

「よ、かったぁ~……こちらこそ、お口に合えば何よりだよ。それじゃヅラさん、会合楽しんできてね!(ダッ)」

 

「あっ待てマスター!ヅラじゃなく桂、でなくてだな──────ああ、行ってしまった。」

 

 

 

「……日頃の感謝の形、か。ならば俺も、これに込められた想いに、形として応えねばな。」

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

  ───1か月後、マスターの部屋。

 

 

「失礼する、マスターはいるか?」

 

「ハイハイいますよ~……ってヅラさん?」

 

「フォウ、フォウ。」

 

「おぉっフォウ殿!今日も素晴らしきモフモフ……ンンッじゃなくてだな、まずヅラじゃない桂だ。してマスター、今は時間があるだろうか?」

 

「うん。見ての通り暇を持て余してフォウ君にマッサージを(ほどこ)してるとこだから、どうしたの?」

 

「いや何、その………まずは先に礼の言葉を言わせてくれ。先月に君から貰ったあのチョコレート、大変美味であったぞ。横から銀時やリーダーに何度も奪われそうになりながらも、自分の分はちゃんと完食出来たからな………あれだけ想いの()もった菓子、食べきってしまうのが勿体(もったい)無いくらいだった。本当にありがとう、マスター。」

 

「いやぁ……そこまで感謝されちゃうと、何か照れ臭いな。でも食べてくれて嬉しいよ、こちらこそありがとう。」

 

「うむ………して今日はアレだ、『ホワイトデー』というバレンタインに受けた恩やら仇やらをしっかり耳を揃えた上に三倍にして返す、という日なのだろう?なので俺も、君に贈りたいものを用意してきた。どうか受け取ってほしい。」

 

 

 【シャララ~ンというSE、キラッキラのエフェクトがかかる背景】

 

 【そして渡される、黄色いリボンの赤い袋───と同時に、突如暗くなる藤丸の視界】

 

 

「ふがっ⁉もごもご……‼」

 

「ドッフォウ⁉フォーゥッ‼」

 

「どうだマスター、()()()は問題無いか?」

 

「『着心地って………あれ?何このプラカード、そして何この会話形式(・・?』」

 

 

 全身が何かに覆われる違和感に、藤丸は近くにあった鏡を恐る恐る覗く。

 

 

 ────そこに映っていたのは、自分の髪形と揃いの桂、ではなくカツラを頭頂に装備し、自身の口から出る筈の台詞が記されたプラカードを掲げるエリザベスの姿。

 

 

「『な────なんじゃこりゃァァァァァッ⁉Σ(゚Д゚)』」

 

「うむ、やはりヅラはあったほうがいいな。いやヅラとは俺のことでなくカツラのことでな、(ちな)みに俺はカツラでなく桂だ。」

 

「『いや知ってますけど、てかコレ何⁉前にもこんなコトなかったっけ⁉(・・;)』」

 

「フォフォーウ!」

 

「ふふん、その通りだ。マスターは以前にもこのエリザベスを着用したことがある………この度俺が君に用意したものは他でもない、俺の宝具の一つである『雪白片吟(イザベラ)絶対障壁(ブークリエ)』……その複製品(レプリカ)だ。」

 

「『ほ、宝具の複製品……ですと(?_?)』」

 

「ダヴィンチちゃん殿を始めウラド三世殿やミス・クレーン殿、それに最近仲良くなったハベにゃん殿にも協力を頂いてな。レプリカといえど俺の宝具の着ぐるみと変わらず、繊維一つ一つに魔力を丁寧に編み込んである。性能は宝具と同様に外気温への変化と対応、また耐久度の向上に加え呪詛返しも健在だ。しかしそれだけではないぞ?何とこのレプリカ、魔力をチャージしておけば例え俺が側にいなくとも、ある程度の時間は自立行動が可能なのだ!これなら万が一レイシフト先で俺達(サーヴァント)とはぐれる事態に(おちい)ったとしても、コレを被っておけば例え敵に襲われようが隕石が降ってこようがマグマの海にダイブすることになろうが、絶対に君の身の安全を保証してくれることだろう。」

 

「『す……凄いっ‼Σ(・ω・ノ)ノ!』」

 

「フォーウ!スッゲエフォーウ!」

 

「ハハハ、そうだろうそうだろう凄いだろう………実を言うと、このレプリカの作成はバレンタインよりずっと以前から、ダヴィンチちゃん殿と合同で行っていたものでな。カルデアの崩壊に始まり、発生した特異点や異聞帯の攻略は日々苛烈を極めている。いつ命の危機……いや、前触れのない突然の死が訪れるやもしれないこんな状況下にあるからこそ、マスターを────藤丸立香を、そんな理不尽や災厄から少しでも遠ざけられたらと、そう願いを込めて作らせてもらった。バレンタインのお返し、という形になってしまったが………どうか受け取ってはくれないだろうか、マスター。」

 

「『桂さん…………勿論だよ!わざわざ俺のために、本当にありがとう!(*^^)』」

 

「!───そうか。俺も、喜んでもらえてよかった………休息中に邪魔をしたな。他にもバレンタインのお返しを持ってくるサーヴァントも訪れることだろうし、俺は退室するとしよう。ではなマスター、それにフォウ殿。」

 

「『うん、バイバ~イ(^^)/~~』」

 

「フォウフォ~イ。」

 

 

 

 

 

「『………ところでフォウ君(・ω・)』」

 

「キュ?」

 

「『この着ぐるみなんだけどさ……………どうやって脱げばいいんだろう(;´・ω・)』」

 

「マジフォーゥッ⁉」

 

 

 

 

【高杉晋助 『胡蝶の(かんざし)』】

 

 

  2月14日の朝、(お決まりの)カルデアの廊下にて。

 

 

「あっ、高杉さんおはよう~。随分早起きだね?」

 

「ん………ああ、お前さんか。」

 

「今高杉さんが出てきたところって、教授……モリアーティのバーだよね?もしかして朝になるまで銀さん達とお酒飲んでたの?」

 

「いや、銀時の野郎は先に酔い潰れて、ヅラととっくに部屋に帰ってったぜ。今にも吐きそうなヤツの顔とヅラの狼狽(あわて)っぷりときたら………ククッ、お前にも見せてやりたかったな。」

 

「もう、笑っちゃ悪いよ………それじゃあ、今までバーには一人で?」

 

「いや。途中から来た他のサーヴァント連中に絡まれてな、そこからずっと吞んだり駄弁(だべ)ったりを繰り返して、今しがた解散したってとこだ。」

 

「へぇ~………(ジ~)」

 

「……おい、言いてぇことがあんならさっさと言いな。」

 

「えっ、あぁっゴメン!気を悪くしないでクダサイ………何ていうか、高杉さんってカルデアに来てもサーヴァントの皆と積極的に話してるところってあまり見かけなかったし、一匹狼なイメージがあったからさ。ちょっと意外だなって思って。」

 

「別に驚くほどのことでも無ェだろ。好き好んでこっちから慣れ合わねェってだけで、わざわざ声を掛けてくる奴の厚意は無下にはしねえさ……………約一騎を除いてな。」

 

「約一騎?」

 

「あのライダー……バーソロミューとか名乗ってたな。今更だが何なんだ(やっこ)さんは?初対面の時から俺を見かけてはやたらと近寄ってきやがって、やれメカクレが何だのと騒ぎやがる。頭にきたから左目覆ってる包帯取っ払ってやったら、今度は呼吸荒げて余計に興奮する始末だ。」

 

「あ~………確かにそれは余計にメカクレ度が上がっちゃうだけだから、火に油どころか火事場にダイナマイト突っ込むようなものだもんなぁ。」

 

「とにかくだ、マスターとしてお前さんからも奴に注意しておいてくれ。でないと俺の周りを飛び回ってる炎の蝶(こいつら)が、いつカルデアを火の海にするか分からねェからな………。」

 

「あわわっ、厳重に注意しときますんで!だから今はちょうちょ抑えてっ‼」

 

「フン、精々よろしく頼むぜマスター。それはそうとお前さんこそ、こんな早朝から出歩いてどうしたんだい?」

 

「おっとそうだった。実はその…………こちらをお渡ししたくて。」

 

 

 【シャララ~ンというSE、キラッキラのエフェクトがかかる背景】

 

 【そして渡される、黄色いリボンの赤い袋】

 

 

「……………あ?」

 

「どうぞ!高杉さんのお口に合えばよいのですが……‼」

 

「口に、ってことは消えもの……菓子の(たぐい)か。何でまた俺に……………ああ成程、そういうことか。なんせ今日はバレンタインデーだもんなァ?」

 

「うん、その通り………中身は俺からのチョコレートで、日頃のお礼を込めた感謝チョコっていうか………あぁでも、もし高杉さんが甘いもの得意でなかったら他のものも用意するし、そのチョコは処分するなり銀さんにあげるなりしても構わないから。」

 

「阿呆、誰がそんな勿体無ェことするかよ。銀時(ヤツ)ほどじゃねえが、俺も嗜む程度には甘味くらい摂るからな………にしてもバレンタインか、鬼兵隊でも毎年この時期になると、また子が律儀に渡してきたっけな…………ともあれコイツはお前さんからの折角の気持ちだ、ありがたく受け取らせてもらうぜ。」

 

「う、うん!貰ってくれてありがとう、高杉さん!」

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

  ────1ヶ月後のホワイトデー、マスターの部屋。

 

 

「おぅ、邪魔するぞ。」

 

「ハ~イ………って高杉さん?俺の部屋まで来るなんて珍しいけど、どうしたの?」

 

「ほらよ、やる。」

 

 

 【シャララ~ンというSE、キラッキラのエフェクトがかかる背景】

 

 【そして渡される、シンプルなデザインの小さな紙袋………が(ちゅう)へと放られる】

 

 

「えっ、わっわわ!おっととと………ふう、間一髪で間に合った。」

 

「ククッ、大分反射神経が良くなってきたじゃねえか。これも日頃の訓練の(たまもの)ってやつか?」

 

「もうっ、笑ってる場合じゃないでしょ………というか、コレは何?」

 

「おいおい、今日が何日かも忘れちまったかい………前の月の今頃、お前さんから貰った感謝の(ささ)やかなお返しだ。」

 

「お返しって………わざわざ俺の部屋まで届けにきてくれたの?ってかそんな大事なもの放り投げたら駄目でしょ!折角のお返しに何かあったらどうすんの⁉」

 

「悪ィ悪ィ。だがお前さんから貰ったモンに比べりゃ、大した礼になるかは分からねえがな。気に入るかどうかはマスター次第だ。」

 

「もう………それじゃ、早速開けさせてもらってもいい?」

 

「ああ、構わねえよ。」

 

 

 高杉の了承を得て、開封されるプレゼント。

 

 明らかに高価な桐箱を開けると、そこに入っていたのは───

 

 

「うわぁっ…………凄く綺麗な蝶々の、これって(かんざし)?」

 

「ああ、簪だ。とある手先の器用な英霊(サーヴァント)に協力を依頼してな………何でも自分(てめえ)でもよくは分からねえが、どうしても髪飾りを作ってやりたい相手がいるンだとよ。俺がデザインやら装飾やらを手伝ってやるのを条件に、そいつも(こしら)えてもらったってわけさ。」

 

「その英霊って…………いや、今は何も言わないでおくよ。でも高杉さん、こんな素敵な贈り物嬉しいけど、俺結えるほど髪長くないからなぁ………そうだ、いっそこれを機に伸ばしてみようかな?」

 

「まあその辺はお前に任せるが、何も簪の役目は髪に差すだけじゃあねえさ────どれ、貸してみろ。」

 

「うん────って近!急に距離が近い‼」

 

「おっ丁度いいな、このストール借りるぞ………簪ってのはな、こうやって首に巻いたストールやらマフラーやらを留めておくのにも使えんだよ。あとは服の胸ポケットに()しといたり、帽子がありゃあそこにもアクセントとして────おい、聞いてんのかマスター?」

 

「アッゴメンナサイ、何カ緊張シチャッテ……。」

 

「落ち着け。顔も口調も銀時ンとこの下の店にいた猫耳天人みてえになってんぞ………それよりどうだ?鏡見てみろよ。」

 

「あ、ありがとう………おお~!いつも巻いてるだけのストールがお洒落(シャンティ)な感じに!」

 

「飾り一つあるだけでも違うだろ?人理を守るのも大儀なこったが、たまにはこうやって着飾ることを楽しみにすんのもいいんじゃねえか?」

 

「うん、凄くいいよ!ありがとう高杉さん!でもこんなに綺麗な簪だから、気をつけててもうっかり壊したりしたら嫌だなぁ……。」

 

「その辺は心配いらねえさ、例え象に踏まれても飾り一つ取れねぇくらい頑丈にしといてくれって頼んどいたからな。」

 

「ええ……嬉しいけど、俺ってそんなにおっちょこちょいに見えるかな?」

 

「俺から見りゃあ人類最後のマスターなんてのも、ガワを剥ぎゃあ只の生意気なガキってことに変わりゃしねえさ………それに、壊れにくくしたってのにもちゃんと理由だってある。」

 

「理由って、どんな?」

 

「いいかよく聞け……簪ってのはなあ、昔から暗器としてもよく使われてる代物だ。もしお前さんが連れのサーヴァントとはぐれた先で、もしもならず者に襲われたなんてことになったンなら………躊躇(ためら)うこたァねえ、こっちが()られる前に (それ)で目ん玉だの喉笛だの、迷わずぶっ刺しちまいな。」

 

「え────えええぇェェェッ⁉」

 

「クククッ………何だァその間抜け(ヅラ)?安心しな、ほんの戯事(じょうだん)だよ。第一過保護なカルデア(ここ)の連中のことだ、一秒一瞬でもお前さんを一人にしておくわけがねェだろうからな。」

 

「あ、アハハ、そっかぁ~冗談かぁ………あはは、は……。」

 

 

 

 

「(………あぁビックリした。高杉さんが言うと、全然冗談に聞こえないんだもんなぁ………。)」

 

 

 

【 おまけの特別ゲストサーヴァント 】

 

 

 2月14日、深夜のキッチンにて。

 

 

「ぃよっし、チョコ作り無事終わり~!」

 

 調理台の上に所狭しと並べられたチョコレート達。各サーヴァントや職員達へ贈る分も含め、その数も凄まじい。

 

「ふあ~ぁ………さて、後は全員分の包装を────」

 

 

「よ~っすマスター、こんな夜中に何やってんだよ?」

 

 

「っぎょわああァァァァァァッ‼ででで、出たァァァァァァッ‼」

 

「うわ声デッカ………流石にこんな時間に騒いじゃ安眠妨害なんじゃねーの?」

 

「あっゴメン………っていうか銀さん、そもそもアンタがいきなり天井から逆さまになって登場してきたからでしょ⁉」

 

「ハハハ、悪ィ悪ィ。たまたま厨房の前通りがかったら、俺のよく利く鼻が甘~いスイーツな匂いを感知したもんでな。」

 

「全く…………あれ?ていうか銀さん、色々疑問に思うところはあるんだけどさ……………さっきから浮いてない?物理的に。」

 

「うん、浮いてっけど。だって今お前の眼の前にいんのはさぁ、銀さんは銀さんでも─────白面()毛のお狐さん、だかんな。」

 

 

 ニヤリと不敵に(わら)う銀時。

 一本、二本と増える尾が広がり────遂には九本、銀色の九尾が藤丸の眼前でゆらゆらと揺れる。

 

 

「……やっぱり、『キャス銀さん』か。」

 

「そ。(セイバー)の俺よりちょっとだけ悪戯好きで、ちょっとだけ口も頭も回る賢いキャスターの銀さんでっす。「え?誰この亜種銀さん?」とか思ったそこのお前、詳しくは『銀さん?と藤丸+α 祝・万聖節前夜祭』を読んでくれよ。にしても本当久しぶりだよなぁ、出番としちゃ4年振りか?」

 

「だねー、この作品の更新が停滞してる間も含めたらそれくらい────」

 

「お~お~、にしても美味そうなチョコだな、どれ一個いただきっ(パクッ)」

 

「ってちょっと!何もう食べちゃってるのさ⁉あ~ぁもう、せっかく綺麗に包装してからあげようと思ったのに………。」

 

「え、そうなの?悪かったってマスター、そんな落ち込むなよ。でもほらこのチョコ、すんげぇ美味えぞ。」

 

「本当?味見もまだだったから自信無かったけど、それならよかった。」

 

「でもよマスター、何でこんな大量のチョコレート作ってんだ?小さな洋菓子店でも開く気なら、キャス銀さん通っちゃうけど?」

 

「違うよ、これ全部バレンタインの贈り物だからね。」

 

「バレンタイン?バレンタインねえ…………ああ、確か日頃の感謝やら情愛やらを菓子と一緒に送り合うイベントだろ?玉藻の(ねえ)さんから聞いたことあるぜ。ってことはこのチョコ、キャス銀さんのも入ってたってことか?」

 

「モチのロンよ。でもたった今その自分の分は食べちゃったじゃない?だからキャス銀さんのはそれっきり、おかわりとかはないんだからね!」

 

「ちぇ~………まあいいか美味かったし、ごちそーさん。」

 

「もう、本当は日頃の感謝とか色々と述べてからきちんと渡したかったのに………。」

 

「いや~あまりに美味そうで我慢出来なくてさ。でもホラ、時計見てみろよ。」

 

「時計?………マジでか、もうとっくに日付変わっちゃってたよ。」

 

「な?てことはだよ、今日はもうとっくにバレンタインデーじゃねえか。つまり俺は誰よりもどのサーヴァントよりも早く、マスターからのチョコを貰えたってわけだ。いや~お前にぞっこんなサーヴァント連中がこのこと知ったら、嫉妬の炎でこんがりフランベされちゃいそうだわ。お~怖っ。」

 

「怖いと言いつつ笑顔なとこが、流石キャス銀さんだよね……。」

 

「よ~しそれじゃ、お前からのハジメテも頂いたことだしィ?邪魔にならないうちにキャス銀さんは撤退するとすっか。」

 

「おい言い方。それ他に誰かいる前で絶対言わないでよホントに。」

 

「そうだ。確かバレンタインチョコって貰ったら、一月(ひとつき)後の同じ日に何か返さねえとなんねえんだろ?えっと確か……ホワイトデーっつったか?」

 

「いいよ別にお返しなんて、俺が日頃の感謝として皆に送りたかっただけだし。」

 

「いいやそうはいかねえ。受けた恩も恨みもキッチリ返すのが獣の矜持(きょうじ)だって、光と闇のコヤン姐さん達からも日頃から言われてっからな………ぃよっし、こうなったらキャス銀さんもホワイトデーに向けて何か考えておかねえとな。じゃあマスター、邪魔したぜ~(ポンッ)」

 

「えっ?あぁちょっとキャス銀さ────ってもう消えちゃった。まあともあれ、チョコレートは渡せてよかったな……さーて日付も変わっちゃったし、包装頑張るぞぉ!」

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

  ───1か月後のホワイトデー、マスターの部屋。

 

 

「(ヌッ)よ~っすマスター、邪魔するぜ。」

 

「のわぎゃああァァァァァァッ‼出たァァァァァッ‼」

 

「おいおい、キャス銀さん先月もその反応見たような気がすんだけど。デジャヴ?」

 

「だからもうっ‼天井からいきなりヌルッて登場してくんのやめてってば!心臓止まりそうになった、ていうか一回止まったんじゃねコレ⁉」

 

「ハハハ、悪かったって。まあそうプリプリすんなよマスター、いいモン持ってきてやったんだからさ。ほらコレ、お前にやるよ。」

 

 

 【シャララ~ンというSE、キラッキラのエフェクトがかかる背景】

 

 【そして渡される、黄色いリボンの赤い袋】

 

 

「これって………もしかしてホワイトデーの?」

 

「そ。あれからキャス銀さんが回る頭を更に回転させて、俺ン中の狐龍(バアちゃん)とも考えた逸品だぜ。」

 

「へえ………でもキャス銀さんの考えることだから、袋開けたらお化けとか飛び出してくるとかは無い?」

 

「ナイナイ。ほらほらいいから開けてみろよ~、キャス銀さん早くお前のリアクションが見たいなぁ。」

 

「それじゃあ遠慮なく………お、また袋が出てきた。中に何かコロコロ丸いものが入って…………」

 

 布袋の中身を手に取り、まじまじと観察する。

 透明なセロファン紙に包まれたそれは、小さな紅い飴玉。照明に掲げてみると、中で揺らめく光が、まるで炎を彷彿(ほうふつ)とさせた。

 

 

「わぁ………綺麗!」

 

「だろ?名付けてキャス銀さん特製・九尾の天眼キャンディーだ。味は断固イチゴ味、これだけは銀時(オリジナル)からの受け売りで譲れねえさ。」

 

「九尾の天眼って、凄いネーミングだね……まあ確かにこんなに綺麗だし、食べちゃうの勿体無いくらいだよ。」

 

「おっと実はそのキャンディー、只の飴ちゃんじゃあないぜ?伊達に九尾の天眼なんて大それた名前をつけたわけじゃねえからな。」

 

「只の飴じゃないって、どういうこと?」

 

「マスター、『天眼通』って知ってるか?一切の事物を見通しちまう能力でな、所謂(いわゆる)千里眼ってやつだ。カルデア(ここ)にいるサーヴァントだと、花の魔術師の兄さんとか眉間に皺寄せてる王様が持ってるみてえだがな。俺と霊基が混ざってるこの九尾がその天眼持ちのすっげえ狐様でさ、まあその影響でキャス銀さんも色々と視えちゃうんだけど………とまあそんなチートな九尾の天眼をちょいとばかし体験できるようにしてみたら面白いんじゃねえかと思ってな、んで作ったの。」

 

「作ったって………じゃあこの飴、千里眼になってるってこと⁉」

 

「千里眼つってもお試し版だけどな。そいつを包みから出して光に透かせば、少し先の未来が覗けるって仕組みさ。まあ本物(マジモン)ほどじゃねえから、数秒か数分先の出来事が視えるってだけなんだがな。使い終わったら只の飴ちゃんに戻るから、美味しく食べてくれよ?」

 

「す、凄い……何かチョコレートのお返しとはいえ、とんでもないもの貰っちゃったような………。」

 

「マスターからの愛の籠もったチョコを一番乗りに頂いちまったからなぁ?お返しも張り切らせてもらったぜ?」

 

「あ、愛っていうか感謝っていうか………でも、ビックリしたけど嬉しいよ。ありがとうキャス銀さん。」

 

「うんうん、喜んでもらえてキャス銀さんは感無量だ。閑話(こっち)の方でしか出番が無い身だが、これからもよろしくな?藤丸(マスター)。」

 

 

 

 

 

 

《礼装解説》

雪白片吟(イザベラ)絶対障壁(ブークリエ)(レプリカ)』】

 

 桂小太郎からのバレンタインのお返し。

 彼の宝具の一つである『雪白片吟(イザベラ)絶対障壁(ブークリエ)』の模造品。要はエリザベスの着ぐるみ礼装。

 レプリカといえどその性能は宝具と同様で、衝撃への耐性は勿論のこと耐熱・耐冷にも優れ、呪いや毒も弾き返してしまう。また水の中でも一定時間の生存が可能で、更には大気圏突入も一回までなら耐えられるチート要素てんこ盛りな着ぐるみなのだ。

 

 ………強いて弱点を挙げるとすれば、この着ぐるみは着用した後さあ脱ごうとなっても、そこに誰かもう一人がいなければ脱げない。否、誰かしらの手を借りないと一人で脱ぐことが出来ないというデメリットが存在してしまっている。

(※(ちな)みにあの後マスターはフォウ君に呼ばれて駆けつけたマシュに手伝ってもらい、何とか事なきを得たのだとか)

 

 

 

 

【胡蝶の(かんざし)

 

 高杉晋助からのバレンタインのお返し。

 マスターの瞳の色の石を蝶の羽部分にあしらった、お洒落な金色の簪。

 『とある英霊』の協力の元に作られ、強度にも優れちょっとやそっとのことでは壊れない逸品。因みにデザインを手がけたのは高杉自身でもあり、その『とある英霊』が『ある人物』に送りたいと望んでいた髪飾りのデザインにも(たずさ)わったのだとか。

 結わえた髪に挿すのは勿論のこと、帽子にアクセントとして付けたりマフラーやストールの留め具として使用するなど、男女兼用で楽しめるお洒落アイテム。

 

 ───ところで一説によると、簪をプレゼントする際に込められる意味には魔除けの他に、『貴方/貴女を守ります』という強い想いもあるのだとか。

 

 それを知ってのことか、はたまた()えて口から告げないのか………伊達男は素知らぬ顔で燃える蝶の灯りの元、今日も煙管を吹かしていることだろう。

 

 

 

 

【九尾の天眼キャンディー(イチゴ味)】

 

 キャスター・坂田銀時ことキャス銀さんからのバレンタインのお返し。

 自身の着物と同じ素材の布袋に入れられた、透き通った深紅の飴玉。中を覗くと炎の揺らめきのように光が(おど)っている。

 

 この飴玉、何と彼の中に宿る九尾の能力である『天眼』を実際に体験出来るというトンデモスイーツになっている。何てモノ作り出してるんだこの銀さんは。

 といっても所詮はお菓子、遥か未来の予知などという大それたことは不可能であり、

精々数秒・数分先の世界が覗けるか、後は今日の運勢を朝一に占うくらい。それでも充分凄いのだが。使用した後は能力は消失するので、只の美味しい飴ちゃんに戻る。味はキャス銀さんも大好きなイチゴ味。美味しく食べてね。

 

 実を言うと、キャス銀さん的に本当はイチゴミルク味にしたかったそうなのだが、乳成分を入れるとどうしても白く濁ってしまい、『折角の千里眼もこれじゃまるで意味無いじゃろがい』と内なる狐龍様にお叱りを受けた模様。

 

 

 

《おしまい》

 

 

 

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