Fate/Grand Order 白銀の刃   作:藤渚

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【弐・伍】緞帳は、静かに上がる

 

 

 其れは突如として現れ、宵の江戸を照らしだす。

 

 天まで昇る程に燃え上がった(ほむら)の柱を、誰もが刮目し騒ぎ立て、街には吃驚(きっきょう)に溢れかえっていた。

 

 ある者は火事だと騒ぎ立て、ある者は災禍の前兆と嘆き崩れ落ち、ある者は神の怒りであるとその場で膝をつく。

 

 

 

 ───しかし、競競(きょうきょう)とする人々が溢れるこの国にて、朱く燃える炎の柱を嬉々として眺める、(つわもの)達の姿もまた、そこにはあった。

 

 

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

「はっ、は……っ!」

 

 所々が切れかかった蛍光灯の明かりの下を、忙しなく駆ける男が一人。同じ黒の制服を着た者達とすれ違う度、皆(おもて)を上げて彼の後ろ姿を見遣り、興味を失くすとまた視線を戻す。

 跳ねた黒髪を揺らし、勢いもそのままに角を曲がった時、ドンッと何かにぶつかってしまう。

 

「うわっ⁉」

 

 後ろ向きに倒れる体、だがそんな彼の手を掴んだ者により、無事に尻餅は回避された。

 

「っとと………すみません、ありがとうございました!」

 

 男は体勢を直し、掴んでくれたその手の主に深々と頭を下げる。

 

「…………。」

 

 手の主であるその男は、何も語らない。覆面に覆われた口元は動かされた様子も見られず、代わりに立てた人差し指を左右へと振り、気をつけるよう向かいの男に注意を促す。

 男は再度頭を下げると、再び小走りで廊下を駆け出す。彼の背中が奥へと消えていくのを、覆面の男は無言のままで見守り続ける。

 

 その男の丸く縮れた山吹色の髪が、廊下の薄暗さの中によく映えた。

 

 

 

 

 

 

 

「おーおー!こりゃすげえな!」

 

 とある室内、開け放たれた襖から見える巨大な火柱の姿に、ゴ……男がはしゃいだ声を上げる。高身長に顎髭を蓄えたゴリ……男だが、目を輝かせ嬉々とする姿はまるで、無邪気な子どもそのものだ。

 そんな彼に呆れた視線を送るのは、彼と同じ色・そして型の黒い制服を着た男。

 

「あのなあ、はしゃいでる場合かよ?警察官が喜んでいい事案じゃねえだろ。」

 

 懐から出したマヨネーズを模した形のライターで、彼は煙草の先端に火を点ける。鋭い紺青の眼光に、ゴリラ……は「ひっ」と短い悲鳴を上げた。

 

「わ、分かってるよぅ……それより、さっきから何なのコレ?名前を伏せるどころか、思いっくそゴリラって言っちゃってるじゃん?今の俺達、漫画とかアニメでいうとこの鼻から下しか映ってない状態みたいなものなのにさ、正体バレしそうな呼び方とか大丈夫なの?」

 

「仕方ねーだろ、こ………ゴリさん。敢えて名前出さねえように小説書くほど、面倒で難しいことはねえんだよ。」

 

 マヨライターの男が頷きながら語る後方で、むくりと起き上がる人影が一つ。その場にいる彼らよりは年若いその青年は、大きな目が描かれたアイマスクを外すと、欠伸をし開いたままの口を動かす。

 

「マヨライターの言う通りですぜぃ。それに今更ゴリラ呼びが何です?この時点で勘のいい奴等は、俺達がとっくに誰だかもう分かってる頃だと思いますし。ねえゴリラ局長?」

 

「だからってゴリラはなくないゴリラは⁉折角カッチョよく登場しようと、今話まで頭ン中で必死にプラン練ってたのにさ!もう地の文でゴリラだってことほぼバラしちゃってんじゃん!お前らに至っては名前ですら呼んでくれないしィっ‼」

 

 地団駄を踏み、ほぼ涙目で怒るゴリラ(もう隠すのも面倒臭い)に構うのを止め、二人は襖の向こうの空を見上げる。ただ天へと昇り、燃え盛る炎の柱。それが人の手によって生み出されたものではない事を、遠く離れたこの場所においても、彼らは理解していた。

 

「きっ、局長!副長!」

 

 パァンッ、と襖を開け放つ音と、唐突に響く声。

 三名の視線が集中する先に立っていたのは、あの廊下を走っていた黒髪の男だった。

 

「はぁ、はぁ………あれ?隊長までいらっしゃったんですか?」

 

「あ?いちゃ悪ぃのかい?つーか何だよその呼び方、違和感ありありでキモいから、やっぱりいつもみてえに呼んでくれや。ほら、おき────」

 

「ああああ駄目ですって‼この回は名前出しちゃいけないって言われてるんですからぁっ‼」

 

 危ないところまで出かけていたアイマスクの青年の声を、慌てて遮る黒髪の男。だが伝える要件が急であることを思い出すと、慌てて口を開いた。

 

「大変です!河川敷の辺りで火災があったって、何件も通報が……‼」

 

「おう、こっからでもばっちり見えるからなあ……さて、と。」

 

 不意に、ゴリラの顔つきが一変する。床に置いた上着を拾い、両の袖に腕を通した彼の纏う雰囲気は、先程までのちゃらけたものではなくなっていた。

 彼に続いて二人の男達も、刀やバズーカ砲など各々の得物を手に立ち上がる。

 

「おい、各隊の連中に急ぎ伝えておけ。現場に向かうぞ。」

 

 マヨライターの男の指示に「は、はいっ!」と了解の返事をし、黒髪の男は再び来た廊下を走っていく。

 遠ざかっていく足音を聞きながら、男達はもう一度炎の柱に目をやった。

 

 

 

 

「やれやれ、こんな大事(おおごと)起こしてくれやがったのは、一体どこのどいつですかねィ?」

 

「案外、『今の俺達と同じ』連中かもしれんな。だとすれば、かなりの苦戦を強いられる可能性もあるやもしれんぞ?」

 

「ハッ、関係ねえさ。人間だろうと()(モン)だろうと、悪人なら必ずふん縛ってとっ捕まえる……………それが俺達、『真選組』だろ?」

 

 

 

 不敵に嗤う男の、紺青の眼が妖しく光る。

 

 

 彼の両隣に立つ二人の顔にも、同じ笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

 民家や商店などが並ぶ賑やかな市街から少し離れた、とあるビルの上に彼女はいた。

 

 長い黒髪を靡かせ、対照的な色の白い隊服に身を包んだその女性が()んでいるのは、某有名なあの、もちもちしたドーナツ。足元に置いた箱の中には同じものがまだ数個残っており、それが風で飛ばされないよう足で器用に押さえながら、彼女は表情一つ変えることなく、高く上がる炎の柱を眺めている。

 

「……全く、探しましたよ。」

 

 背後から響いたのは、低い男の声。しかし女性は反応を示さない。彼が敵ではないことを知っているから。

 振り向きもしない彼女に軽く溜息を吐くと、男は静かに歩き出した。女性の着ているものと似た形の白い制服を纏った男の、右目に掛けた片眼鏡(モノクル)から眺める景色もまた、暗夜の江戸を照らす巨大な焔を映し出している。

 男は女性の隣に立つと、屈んで彼女の足元のドーナツの箱に手を伸ばす。が、「えっち」と呟いた彼女の足がそれを阻み、箱を遠ざけてしまう。

 

「えっち、って貴女ねえ……それにそのドーナツは私が買い与えたものですけど?」

 

「もう貰ったから、これは全部私のものだもん。」

 

 最後の一口となったドーナツを口に放り、もごもごと話す女性に、男は二度目の溜息。そんな彼の前で、彼女は自分の元へ引き寄せたドーナツの箱を両手で持ち上げると、男の前にずいと差し出した。

 

「だから、食べたい時はちゃんと私の了解を得て。エリートなんだからそれくらい基本でしょう?」

 

 淡々とした、しかし強い口調でそう言った女性に、一驚した男は暫しの間無言になるも、ふ、とその口元を僅かに綻ばせる。

 

「……そうですね、大変失礼致しました。ではそちらのドーナツ、一つ頂いてもよろしいですか?」

 

「うむ、よろしい。でもポ〇・デ・リングは全部私のだから。」

 

 そう念を押した女性の持つ箱の中には、四つあるうちの三つがそのポ〇・デ・リングであるため、選択肢なんてないじゃないですかと心の中で呟きながら、男性はドーナツを手に取った。

 一口食べると、口内に広がる甘味ともさもさした食感。飲み物が欲しいとまたも心の中で呟いた時、追加のポ〇・デ・リングを咥える前に女性が彼に尋ねる。

 

「ねえ、やっぱりアレ………どう考えても人の仕業じゃないわよね?」

 

 差した指が示すのは、やはりあの燃え盛る火柱。彼女の言う通り、あれは恐らく……否、確実に人間の為せる行いではないだろうと、男もまた確信していた。

 

「どうする?これだけ派手だと『あの人』にも見えてると思うけど。」

 

「そうですねえ………まあでも、とりあえず連絡はしておきましょう。それが我々が『あのお方』から与えられた任でもありますし。」

 

 男はドーナツを反対の手に持ち返ると、折り畳み式の携帯電話を取り出す。ピッピッと微小の電子音を鳴らしながらメールを打つ彼の携帯の画面を、女性は脇からこっそりと覗き見る。

 

「……またそんな読みにくいメール送るの?」

 

「読みにくくなんてないでしょう。なんせエリートが打つメールですよ?」

 

「だって私は読みにくいし。それに何て返したらいいか、考えてる間にその事なんか忘れちゃうし。」

 

「貴女の場合、返信してくれない理由はそれだけじゃあないでしょう………よし、っと。」

 

 連絡の文書を仕上げ、男の親指が『送信』のボタンを押す。データとなって飛んでいるであろう辺りを見上げながら、女性はドーナツを一口噛んだ。

 

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

「ん~……いい眺めっ。」

 

 人気(ひとけ)のない、廃屋となった建物の最上階。

 放置された机やら椅子、コンクリートの欠片やらが散らばる床の上に、数十本の団子の串が新たに追加されている。

 ここで一人団子を(しょく)しながら、江戸の空に浮かぶ紅蓮の炎を眺めていたのは、珊瑚(さんご)色の髪を三つ編みに結わえた青年。異国のデザインをした黒い服に身を包んだ彼が、もう何本目になるか分からない団子を口に含み、もしゃもしゃと咀嚼(そしゃく)する度に跳ねた髪……いわゆるアホ毛がひょこひょこと愉快に踊った。

 

「ええと、確かこういう時は何て叫ぶんだっけ……………そうだっ、た~まや~!」

 

「た~まや~、じゃねえだろ。このすっとこどっこい。」

 

 火柱の方角目掛け声を張る青年の後頭部に、突如振り下ろされる何者かの手刀。だがその手を青年が即座に掴んだことにより、奇襲は未遂に終わった。

 

「やあ、お疲れ様~。お団子食べる?」

 

「結構。俺ぁ疲れた時は、甘いもんより酒なの。」

 

 残念、と呟いた青年は、掴んだもの……大きめの番傘を肩に担いだ、無精髭の男の手を放す。一見ただ握っていただけのようにも見えるその行為が、実は骨が軋む程にとんでもなく力が篭められていた事実は、掴まれていた彼しか知りえない。

 

「で、仕事はもう片付いたの?別に俺がいなくても大丈夫そうだったから、こうしてサボ……休憩してたけど。」

 

「お前さんの休憩は一日何時間あるんだっつの…………残念だが、目標はあとちょっとのとこで取り逃がしたよ。」

 

 頭を掻きながら吐き捨てるように放つ男の言葉に、青年は団子を口に咥えたまま、丸く開いた目を彼に向ける。

 

「……どうしたの?お前が仕事ミスるなんて、調子悪かった?大丈夫?揉む?」

 

「別に、ただ予想外の邪魔が入ってなぁ………つか、揉むって何?何を揉ませる気?」

 

「やっだぁ、何想像してんの~やらし~。そんなの、調味料と白菜を一緒に入れた袋に決まってんじゃん。」

 

「おーおー、あっという間に美味しい浅漬けの出来上がり、ってか!何で仕事に疲れた挙句お手軽クッキングやらされなきゃいけねえんだよ⁉余計ストレス溜まるっての!」

 

 大声と疲れから若干痛む頭を押さえ、男は深く溜息を吐く。そんな彼を気遣うことなく、青年は団子の無くなった串を放りながら、話を続けた。

 

「にしても、失敗したのによく無事でいられたね?『あの人』全然怒ってなかったの?」

 

「怒ってなかった、っていやあそいつは嘘になる。現にこの件の報告に言った時、目の前で五人くらいの首が刎ね飛んだからな…………だが『お(かみ)』の言う事にゃ、暫くは目標を野放しにしておいてもいいんだとよ。いつの世も、上に立つ連中の考えてることってのは、まるで分かる気が知れねえぜ。」

 

「あははっ。にしても五人かぁ、いつもの『彼』にしては大分少なく済んだほうじゃないかな…………で、その予想外の邪魔ってのは何?お前があっさりと退いてくるってことはさ………よっぽどの強者がそこにはいた、ってこと?」

 

 青年の声のトーンが、徐々に落ちていくのを男は聞き逃さない。食べ終わった団子の串を手で弄んでいる彼の青い両の瞳には、既に別の色が染まりつつあった。

 

「そうさな、いきなりバラしても面白みはねえ。だからヒントをくれてやらぁ…………その連中は皆、お前さんが恐らく今一番戦いたいと願ってる奴等だよ。しかも全員、『俺達と同じ』ときたもんだ。」

 

「………!」

 

 男の言葉に、青年の手がピタリと止まる。首だけ動かしてゆっくりこちらを向いた彼の表情は、まるで長い間欲しかった玩具(おもちゃ)をサプライズでプレゼントされた時の幼子(おさなご)そのもの。まあ、今もそれと似たような状況ではあるような気もするのだが。

 

「……ふーん、そっか。『彼等』も漸くここに来たんだ………そっか、そうかそうか。ふふっ、ふふふふ……!」

 

 ばき、と乾いた音が響き、青年は自分が無意識に串を折ってしまったことに気付く。突如もたらされた驚喜に、込み上げる嬉しさを抑えきれない。楽し気に笑う彼の表情(かお)は、極上の獲物を前にした獣そのものであった。

 

「ああ、楽しみだな!早く会いたいなあ!今の俺達が『彼等』と()り合ったらどうなるんだろう?きっと簡単には死ににくくなってるだろうから、前よりも加減はしないで思いっきり死合(しあ)えるんだろうな………ああ、こんなに嬉しい事があるなんて、気紛れで『あの人』の傍に就いてて本当に良かったぁ!」

 

 満面の笑みを浮かべ、歓喜する青年。だがその瞳の中に渦巻く狂気は、益々(ますます)色濃さを増していく。目の前で徐々に変貌する青年の様子に、只どうすることも出来ないでいた男は再び溜息を零すと、青年から逸らした眠たげな眼を、遥か向こうで朱く燃える火柱へと向けた。

 

 

 

 

 

 

   *   *   *   *   *

 

 

 

 

  とくとく、とくとく。

 

 顔の大きさ程もある、大きな漆塗の(さかずき)に注がれているのは、()せ返るほどに強い、甘い香りの果実酒。

 こちらも大きな酒壺を台へと置き、長く鋭い爪の生えた手が盃を掴むと、それは主である男の口へと運ばれていく。

 喉を鳴らす音が、広い室内に響き渡る。華美な装飾が施されたこの広間にいるのは、果実酒を掻っ喰らうこの男と、彼から少し離れた位置に一人佇む、白黒の袈裟に似た衣装を纏った、(からす)面の男の二人のみ。

 彼らの足元には、首と胴体が離れ離れになった御徒士組(おかちぐみ)風の恰好をした男達の亡骸が、夥しい鮮血と共に転がっていた。

 

「……ああ、やっと来たか。」

 

 酒を飲み干し、男が呟く。盃が避けたことで明らかになった彼の頭部には、紅色の角が二本、額から突き出るように生えていた。うっすらと笑みを浮かべ開いた口には尖った歯が並んでいる。豪華絢爛な着物を纏う彼の、外見こそは人に近い姿をしているものの、どうやらこの男は『鬼』らしい。

 そんな彼の声と同時に、装飾の施された扉が開く。部屋に入ってきたのは、骸と同じ服を着た数名の者達。失礼します、と言いかけた言葉は、床に広がる凄愴な光景を目撃したことにより、悲鳴へと変わった。

 

「血生臭くて酒が不味くなる、早く片づけろ。」

 

 鬼の指示に、逆らう者も異を唱える者も、誰一人としていない。彼らは自らの震える身体に鞭打ち、時には込み上げる嘔吐感を必死に堪えながらも、無残な姿となった同朋達を抱え、冷たい石の床に零れた血を拭った。

 

「ああ、体のほうは『いつもの』ところに忘れず持っていけ………頭は捨てるなり魔物の餌にするなり、弔いの為と持ち返るなり好きにしろ。」

 

「は……はい……………失礼、致しました……っ‼」

 

 冷然とした鬼の態度と微笑に、男達は震える声で退室を述べた後、逃げるように部屋を後にした。

 

 

 

 

 ───静けさを取り戻し、再び広間を静寂(しじま)が包む。

 

 

 ふと鬼は、相も変わらず佇立(ちょりつ)している烏面の男へと目を向ける。眼前に屍が転がっていようと、『かつての部下達』が歔欷(きょき)しながら仲間の骸を片付けていようと、この男は微動だにしない。その表情の変化も、目元まで覆う面と深々と被った笠のせいで、客観的にはよく分からない。

 こんな人形のような男を観察していても、只つまらないだけだと悟った鬼は、盃を酒壺と共に置くと、開け放った窓へと赴く。

 

 彼の視線の先にあるものは………やはりあの巨大な焔の柱であった。

 

 

「………火事と喧嘩は江戸の華、とは言ったものだ。しかし、陽光(ひかり)を失ったこの国を、一時(いっとき)でもこんな形で照らそうとはな……。」

 

 

 肘をつき、眺める彼の顔に笑みが浮かぶ。その微笑が心からの感情であるのか、知りえる者はここにはいない。

 

 

 

 

 

「────さてさて、これで役者は(すべ)て揃った。お前に与えられた僅かな自由の中で、そいつ等と演じる滑稽で愚劣な『おままごと』を(おれ)に見せてくれよ………………なあ、松陽?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さあさあ、お立ち会いお立ち会い。

 

 

 次々と変異の起こるこの江戸の国にも、漸く演者が揃い踏み。

 

 

 

 

 

 

 

  ────そう。舞台(ステージ)の緞帳は、静かに上げられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  《序章・完》

 


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