刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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刀剣視点 
セクハラ被害はないが、暴力はあった 動物嫌い主 前任は監査で引っ張られてる、美女 見習いとしてどっかでしっかり教育受けた新人だと思われている
こんのすけは引き継ぎだと思ってる 呪具で契約結べないようになってるし、既にある縁も見えなくなっている


知らぬは一人ばかりなり2

 

 

 

こんのすけに誘導されてやってきたのは年若い少女の姿をした審神者だった。緋袴の巫女装束に黒いマントを羽織っており、おそらく肩下くらいの長さの髪を鯰尾のように下の方で括っている。その立ち姿、まとう霊力だけでも彼らの主だった女とは全く違う人間だとわかる。

少女は彼らを一瞥すると傷を負っているものから順に手入れを受けるように言ってすぐ退出していってしまった。こんのすけが慌てて、少女の号を呼んで追いかける。

「…どうする?」

「…手入れを受ける事自体は、悪くないと思う。どう動くにしても、怪我をそのままにした方が有利ということはないだろうし」

自分たちがどうなるのか、彼らにはわからない。他の審神者の元で再び戦う事になるのか、それとも刀解されるのか。この本丸に、レア刀剣と呼ばれる類のものはいない。より正確には、いなくもないのだが、皆条件を満たせば必ず手に入れられるという状況でやってきたものだ。鍛刀でもドロップでも、珍しい刀剣が仲間になったことはない。だから、政府は此処を残す事に拘りはしないだろうと思う。

 

 

 

少女は手入れ部屋に向かったのかと思ったら、違った。奇妙な姿の式たちと共に厨で料理をしていた。食欲をくすぐる甘い香りと、宙を舞う料理。正直、お前は何をしているんだ、と問いただして良い状況だと思う。

 

 

 

少女、碧鳥は善良な人間だ。少々天然というか、行動の読めないところはあるが、少なくとも悪辣な人間ではない。それが、彼女の作ったもの…霊力から伝わってくる。本人に自覚がなさそうなので、見せかけということもないだろう。

「…で、俺たちの手入れをしてどうするんだ。また出陣させるのか」

「今からは出陣しないよ、面倒くさい。僕は時間外と不必要な労働はしない主義なんだ。まあ、ノルマは回した方がいいかもしれないが…俺はノルマ聞いてないしな。暫くはぶっちしてもいいんじゃないか?」

碧鳥はそう言って肩をすくめてみせた。

「面倒くさい、って…」

「戦いに備えた練度上げと頭数揃えるのは必須事項の内だろうが数は四隊…昼戦隊と夜戦隊二つずつあればなんとかなるし、練度は少なくとも隊ごとに揃えた方が効率的だからな。無暗に戦に出ればいいというもんでもない。見た所、君ら練度バラバラだし、部隊編成からしっかり考えないといけないだろう。いい加減にやったら怪我をさせる事にもなりかねないからな」

「…珍しい刀を集めなくていいのか」

「そりゃあ、レア4以上は刀装三つ持てる分有利だしスペック高めかもしれないが、遡行軍と戦う分には練度さえ上げれば誤差みたいなものだしなあ。まあ、演練や演習なんかだとその誤差が響く事もあるが」

碧鳥は本当に興味なさそうにそんな事を言う。

「それに、やっきになって探してると余計に来なくなるもんだよ、ああいうのは。物欲センサーってやつだね」

 

 

 

碧鳥は自分が刀剣たちに警戒されていると思ってか、もっぱらこんのすけを構っている。正直な所、それを見てそわそわしているのは少なからずいるのだが、自分から近付く踏ん切りはつかないようだ。前の主の時は、主が動物嫌いでこんのすけの扱いが悪かったので、この状況そのものはけして悪くないのだろうと思う。式神もまた、人の役に立つ事を喜びとするものである。

「…あの子は、珍しくない俺でも、大切にして、可愛がってくれるのかな」

「…それはわからないよ。珍しい刀に殊更執着は持ってないみたい、としかわからないし。実際に実物を前にしたら態度が変わるかも」

「…主も、最初からああ(・・)だったわけじゃないからね」

 

 

 

 

 

 

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