担当さんに何やかんやあってアホに交代してしまった いや、相性が悪かっただけかもしれない 神隠しの危険性がヤバいと思われてる
所属刀剣ほぼカンスト 短刀初日組は極50レベルくらい
「…嫌がらせかな?」
「い、いえ、そんなことはないと、思うのですが…」
こんのすけはそう言いつつ目を逸らす。嫌がらせなのかはともかく、新担当が愚かなのは否定できない。というか、アホだ。月一で監査に来るくせに、何故わからないのだろうか。この本丸は、審神者も刀剣も人嫌いなのだと。
その点、前の担当は察しが良かった。書類だけで本丸の状態を読み取り、(こんのすけを通じて報告を受け取っていたのもあるが)実際に自分で監査に来るのは最低限だったし、見習い受け入れの話など寄越しもしなかった。この本丸はホワイト経営で優秀ではあるが、問題がないわけではないのである。こと、本丸に他者が訪れるということに関しては。
「優秀な人間は他の手本になるべき、ねぇ。俺なんて手本になるわきゃないだろうに」
「…ってかそもそも、俺の時は見習い研修なんてなしで、座学でざっと指導を受けて本丸に放りこまれましたけど」
彼女は狐面を付けた頭をかくりと傾げてみせる。
「こちらで受け入れていただく見習いも、座学はきちんと学んでから来ますので、御心配なく」
ちげぇ。
「俺は人に指導なんてできませんよ」
「御謙遜を。あなたのように優秀な方の本丸で現場の空気を知るだけでも学ぶ事はありますし、優秀な方のやり方を見る事はとても参考になりますので」
「…言い方を変えましょう」
彼女は面の下で眉間に皺を寄せる。
「俺は、優秀ではないものの気持ちはわからないし、疑問をぶつけられても説明が出来ません。優秀なやつなら説明しなくても理解するでしょうが、それができるなら態々うちで学ぶ必要などありません。つまり、どちらにしても無駄です。俺は、楽しくもない無駄な事をする趣味はありません」
「またまたー。審神者同士伝わるものもあるでしょう。それに、あなたは模擬試合にあまり参加せず、他本丸との交流が薄いでしょう。これを機会に、もっと他の人間との交流を」
「歌仙さん」
「おや、首を御所望かい、主」
音もなく抜かれた打刀が担当の首に突き付けられていた。
「てめぇの基準だけで物事が測れると思ってんじゃねぇよ。嫌だつってんのがわかんねぇか?首を物理的に落とされたいのか?」
面でわからないが、彼女の瞳孔はかっぴらいている。歌仙はニコニコしているが目が笑っていない。
「 」
「他の本丸と交流したいと思ってりゃ自分で行くし、そもそも定例会にちゃんと毎月参加してるっての。俺が何時これ以上余所と交流する機会が欲しいって言ったりそういう素振りを見せた?余計なお世話だ」
「僕らも、主を自慢したり、己の実力を示したりすることそれ自体は、吝かではないのだけれど…態々交流しなければならない理由は持ち合わせていないな」
何故そんな必要があるんだい?
「いえ、その…審神者同士の交友関係を持っていただいた方が、その、情報交換などの観点から言っても、便利ですし…」
「自分で情報を集められずに"優秀な本丸"になるとでも?」
「伝聞の情報は所詮、参考程度にしかならないよ。主が己の目と耳で集めたものに勝る情報はない」
「…審神者が、刀剣のみに傾倒することは様々な面で危険をはらんでいて…」
「傾倒?」
彼女はかくりと首を傾げ、はっと鼻で笑う。
「己の命を預ける刀を信頼することを傾倒というのか。初耳だ。なぁ、歌仙さん」
「目利きもできない人間がいたものだね。僕たちの関係で傾倒しているものがいるとすれば、僕たち
契約がどうこうという話ではない。ただ単純に、彼女は納得できる理由なしに意見を変えないというそれだけの話だ。己の刀剣の言葉であっても、無条件に聞きはしない。
「主さまが刀剣の意向で無理に神隠しされるということはまずありえませんよ、担当殿」
こんのすけは神妙な顔で言う。
「いくら強い力があり、無理に
「何処の世界に、心酔する主の信頼をむざむざ失うような事をする部下がいると思うのです?」
もっとも、彼女が最終的に現世に帰れなくなることだけは、最初から変えようのない未来ではあるのだが。これは神隠しとはまた別件の問題である。