刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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終庭軸での話


この狭い箱庭で5

 

 

 

「つ」る丸国永だ、と彼が名乗り終わるより前に、小鳥は光世にひょいと抱えられ彼から引き離された。

「・・・」

口には出さないが、その目は雄弁に語っている、これは俺のだ、手を出すな、と。

「どうした、光世」

首を傾げた小鳥の言葉にも答えず、光世は鶴丸を睨んでいる。

「いやいや、天下五剣サマは気難しいねぇ」

皮肉気にそう言って鶴丸は肩をすくめた。

「てんがごけん」

「ただでさえ顕現数が少ないんだ。使いものになってくれるんだろうな?」

「…今まで俺を封印していたのはそちらだろう」

「おいおい、俺を政府の犬と一緒にしないでくれよ。どちらかといえば君の同僚だぞ?なにしろ、今日からこの本丸に配属されることになった刀だからな」

「…何?」

「本日付でこの本丸の凍結は解かれました。可能であれば、通常通りの任務をこなすようにと」

こんのすけの言葉に光世は眉をしかめる。小鳥はきょとんとした後、光世を見上げる。

「光世ー」

「…小鳥に碌な知識も与えず此処に寄越したくせに、普通の審神者のように働け、と」

「…小鳥様の扱いが不適切だったことは認めますが、審神者は年中人手不足なのです。問題なく仕事をこなせる方を遊ばせておく理由はありません」

「面の皮の厚いことだ」

「みーつーよー」

「…何だ、小鳥」

「そろそろ降ろしてほしいんだけど」

「・・・」

「俺別に政府を恨んでたりとかはないぜ?ちゃんと先に指示してくれよ、とは思ったけど」

「へぇ、恨んでないのかい。こんな所に押し込められて」

「別に。自分一人きりってわけじゃなかったし、出歩けないことが苦になる性質でもないから」

 

 

 

「・・・」

鶴丸は訝しげな顔をする。小鳥と光世が二人で過ごしている時の雰囲気は、一線を越えた男女のそれと言っていい。しかし、鶴丸の神としての勘やなんかが小鳥は処女だと言っている。意味がわからない。

「…いや、もしかしてアレか。大典太の方が処女散らしてるのか?」

意外だが、ありえないとまでは言えない。

 

 

「で、実際のところどうなんだ。お前がネコということでいいのか?」

「ネコ…?」

本気で困惑している様子の光世に鶴丸はおや、という顔をする。

「小鳥が処女な以上、一線を越えてるならタチネコ逆転でヤったってことだろ?いや、他人のプレイにケチを付けるつもりはないがな。そういう嗜好のやつもいるだろうし」

「???…お前は何を言っているんだ。俺は太刀だぞ」

「いや、だから夜は小鳥がタチなんだろう?」

「夜になったからといって何故小鳥が太刀に変わると思うんだ。小鳥は人間だぞ」

「ん、んんー…?」

なんかおかしい。

「…君、小鳥とまぐわってるよな?」

指で輪を作って突き刺すジェスチャー

「…。…それがなんだ。というか、その手は何だ」

「…ああ、成程…箱入りなんだな、君…」

「…?」

 

 

 

「で、君は不満はないのかい」

「そもそも僕性欲ないからなあ。光世がそれで満足なら別に」

「…その反応は、知っててやってるな」

「情報化社会の現代、エロ本くらい簡単に見れるよ。ちょっと如何わしいこと書かれてると卑猥な広告も湧いてくるし」

「…欲求不満なら相手になるのもいいかと思ったんだがな」

「性欲処理ならお見世にいってどうぞ」

「いや?俺も淡白な性質だから然程溜まってるわけじゃないが…」

鶴丸は小鳥の頬に手を触れる。

「君を抱けるなら、抱きたい」

「俺非性愛者なんでカラダ目当てはノーセンキューです」

「…少しくらいぐらっときたっていいだろう」

「自信過剰だな。僕は顔だけで惚れるようなチョロインじゃない」

 

 

 

(前田に色々聞いてしまった光世)

「…切腹しよう」

「えっ…そ、それは流石に大袈裟ではありませんか?」

「…話しにくいことを話させてしまってすまなかったな、前田。小鳥のことは頼む」

「頼まないでください。あなたは小鳥様の守刀になったのでしょう?簡単にそれを放棄しても良いのですか」

「それは…」

「それに、小鳥様はなかなか苛烈な方のようですし、嫌な事は嫌とはっきり仰られるのでは?そうされなかったということは、小鳥様は大典太様を憎からず思っておいでなのでしょう」

「・・・」

前田の言いたいことはわからないではない。小鳥は本当に、自由で心の強い人間なのだ。それで己が不利になるとしても、己の気持ちを偽ることはしない。

「小鳥様のことは、僕よりあなたの方がよくわかっているはずでは?」

「…すまない、取り乱した」

「いえ。誰しも慌てることはあるものですから。…しかし、己の行動に問題があったと思うなら、きちんと話し合うべきでは?」

「…そうだな」

 

 

 

 

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