刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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脇差トリオの決着、新たな三振り 


雨の降る庭7

 

 

 

結局、三振りの脇差たちは、他の本丸に行く事を決めた。それも、バラバラの本丸に引き取られる事になるらしい。まあ、赤鴉はそういう細かい情報は知らないのだけれど。

そうして、晴れやかな顔で、新たな決意と共に去っていった脇差と入れ代わりにやってきた三振りは、陰鬱な目をしていた。

「…太郎太刀と申します」

「岩融だ」

「…日本号だ」

「僕は赤鴉だよ。太郎さん、岩融さん、日本号さん、と呼んでいいのかな?」

「…それで構いません」

「ああ」

「…おう」

「滞在中に使う部屋はネームプレートのかかってない所から好きに選んでくれ。それと、式を一体ずつつけておこう。…鵠戸(くぐいど)、斑鳩、鶚井(みさごい)、頼む」

赤鴉に呼ばれ姿を現したのは、何処か鳥を想わせる姿をした式たちだった。赤鴉の言葉に頷いた後、太郎たちに向けて会釈する。

「…見張り、ですか?」

「ん?いや、客室として最低限整えてある部屋ならともかく、何も置いてない空き室が使いたかったら、寝具なりなんなり、他から運んでくるか新しく用意するかしないといけないだろう。まあ、そういう手伝い役だな。…といっても、君らは腕力的な手助けはいらなさそうだが」

後、飯時の伝達とかだな、と赤鴉は付け加えた。そこに彼らに対する警戒心は見られない。

 

 

 

 

「あいつらめっちゃ空気重いんだけど」

「主さまは恐らく読んでいらっしゃらないでしょうが、彼らに関する報告書を読む限り、あの態度もむべなるかな、という気もいたしますが」

「なにそれこわい」

かといって、赤鴉には積極的にその報告書を読もうという気はないのだが。この辺りはもう、主義主張の領域である。

「まあ、いずれもこの本丸にはいない刀剣との関わりでのことですから、深刻な問題は起きないのではないでしょうか」

「ふぅん…?」

まあ、実の所、赤鴉はその辺あまり興味がない。嫌なものをわざわざ必要もないのに見に行く趣味はないのである。

「おそらく、主さまに積極的に危害を加えてくることはないとは思いますが…念のため警戒は怠らないでください」

「…つっても、別に俺を害しても何らメリットはないよな?」

「何を望んでいるかによりますね」

例えば、折られることを望む刀があったとすれば、己を折るように仕向ける方法は相手へ危害を加える事になってもおかしくはない。

「…まあ、価値観の違いは如何ともし難いからなあ」

赤鴉の基本姿勢は受容である。浄化という苛烈な属性を持ちつつも、その気性から彼女の浄化は彼女がそういう意思を持っていない限り攻撃性はない。本人が厭うものを忘却させることに特化していると言い変えてもいい。

 

 

 

彼は審神者というものに対して不信感を持っている。勿論、人の全てがそう(・・)だとは思っていない。彼らが今此処にいるのは、付喪神と成立しているのは、人に愛されてきたからだからだ。

だが、彼を降ろした審神者は刀剣を虐げることに喜びを見出す変態だった。その手から逃れたとして、次の審神者がそうした性質を持っていない可能性は如何程だろう?

元より、人には悪人と善人といることは承知している。審神者なるものは、善人だけを選んで務めているわけではないのだろう。ただ、その能力のあるものを手当たり次第にかき集めているだけなのだ。ある意味でその審神者も不幸な身の上なのだ。現世から何処ともつかぬ場所に連れられ、己以外に人のいない場所で、刀を降ろし戦場に送りだす。現世に自由に行き来することはできない。他の審神者と会う機会も乏しい。それで、精神的に追い詰められることのないものは僅かだろう。

彼を喚んだ審神者はそういう趣味嗜好をもっていたというのが大きい気はするのだが。それでも、現世ではその嗜好と正しく付き合えていたはずなのだ。流石に、犯罪者は審神者になれない。審神者が彼らにしていた事は、現世で人相手にしていたら間違いなく刑事事件になっていたようなことである。現世でも同じような事をしていたとは考えづらい。

とはいえ、やはり審神者本人に問題があったことは否定できない。全ての審神者が遅かれ早かれそうなる、というわけではないのだから。

 

 

 

 

 

 




仲間斬りをさせられた経験のある三振り
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