刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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本丸に戻ってから
大包平を刺激しない刃選ということで 練度はそこそこ 寿命死した普通の審神者の刀


君は知らない6

 

 

 

「そういえば、あのお店で買い忘れたものって、何だったの?」

小鳥の問いに、大包平は視線を泳がせる。

「…聞いたら拙かった?」

「いや…そういうわけでは、ないのだが」

大包平はこほん、と咳ばらいをして、赤い花のついた髪飾りを懐から取り出した。

「?」

「小鳥、俺の妻になってくれないか?」

「…えっ」

大包平の発言を理解した小鳥の頬が赤く染まる。それを見て、大包平の方も更に赤面した。

「…多分、一目惚れだったんだ。お前を助けてやりたいと思うと同時に、傍にいたいとも思った。ずっと見ていても飽きないし、笑顔を見たい、俺の手で笑わせたいと思った。他の刀が近づくのが気に入らない。危害を加えるやつは絶対許さない。俺の元から奪うことは認めない」

今度は小鳥の方が目を泳がせている。

「好きだ、小鳥。お前を愛している。お前が欲しい」

「…えっと、俺も、大包平のこと、好き、だと思うけど、でも、いきなり妻って言われても困るというか、色々すっ飛ばしすぎじゃないかな、というか」

「性急に事を進めるつもりではなかったんだが…状況が変わったからな。他の刀や人間にちょっかいを出されないように、契りを結んでおきたい」

大包平は小鳥に目を合わさせる。

「今すぐ俺のものになってくれとは言わない。ただ、いずれ俺のものになると約束してくれないか」

「…うん。今すぐは怖いけど、心の準備させてくれれば、たぶん、大丈夫だと思う。大包平だし」

小鳥は髪飾りを受け取ってぎゅっと握った。大包平は小鳥をそっと抱き寄せて、額に口づけた。

「ありがとう、小鳥」

「ん…俺も、大包平が喜んでくれるのは嬉しいから」

 

 

 

「…でも、大包平が心配するようなことなんてあるのかな」

「ほんの数時間前に実例があったばかりだろう」

「それは…まあ、そうなんだけど。あれは、あの刀がおかしかっただけじゃないの?」

「…言ってはなんだが、小鳥は俺だけでなく御大にも見初められているのだぞ。お前に悪感情を抱く刀は滅多にいないだろうと思う。お前が優しくしてやったらすぐ落ちるんじゃないか」

「ええ…」

小鳥が困惑とも嫌悪ともつかない声を上げる。大包平は肩をすくめた。

「俺が愛している女が魅力的でないわけがないだろう」

「それは君にとって、という話じゃ…いや、なんでもない」

「証明が必要か?」

「何をどうやって証明するつもりなのさ」

「これからお前と契約する刀に…いや、やはりそれはなしだな。他の刀に色目を使われたくない」

「僕が簡単に他の男になびくと思ってるの?」

「お前がなびかなくとも、他の刀剣が親しげに近づくところを想像しただけで気に入らん。…俺は思ったよりも狭量だったらしい」

「でも、審神者としては他の刀剣を邪険にするわけにもいかないでしょ」

「うむ…」

 

 

小鳥は髪の結い方を変えて、もらった髪飾りをつけた。

「こんな感じかな」

「ああ。思った通り、小鳥によく似合っている」

「ん…ありがと」

小鳥は照れたように視線をそらした。

「「・・・」」

沈黙。

ほんの少しいつもと違ってかみ合わない。お互いを意識しすぎているというか。

 

 

 

 

「…?」

「どうした?」

「何か…誰か、来たみたい?」

二人そろって門へ向かう。そこには、こんのすけを抱えた少年が立っていた。

「…前田藤四郎、か?」

「はい。前田藤四郎と申します。そちらの方がこちらの本丸の審神者の方、ですか?」

「あ、うん。俺が小鳥だよ」

「本日よりあなたに仕えさせていただきます。どうか、末永くよろしくお願いします」

「え、はい、よろしく?」

「小鳥…」

お辞儀をした前田に反射的にお辞儀を返した小鳥に大包平がジト目を向けた。

「そして、わたくしが暫定的に小鳥様の担当となったこんのすけです。本丸の移動は行わないことになれば、そのままわたくしが小鳥様の担当となります」

「ってことは、二人はどうなるか決まったから来たわけじゃないんだ?」

「どうするにしても、小鳥様には審神者としての基本講習が必要だ、とのことでしたので。非正規の方法で審神者にされた方が保護されたけれど審神者を続けることを選ばれた場合と同様ですね」

「…つまり、僕はこれからこんのすけから演習を受けなければならない、ということでいいの?」

「そういうことですね」

「うえぇ…」

「まあまあ、政府施設へ通うよりは、楽だと思いますので」

「それは…そうかもしれないけど」

「…。まあ、まともに審神者をするつもりがあるんなら、学んでおいて損はないだろう。お前は知らないことも多いしな」

「わかってるんだけど、こう…勉強しなきゃって思うとテンション下がるというか…」

だって僕今特に困ってないから!

「少なくとも、式によらない刀の手入れはできるようになってもらわないとな」

「う。それは…まあ、僕も覚えなきゃな、とは思ってたけど」

「もう俺の本体をお前以外に任せる気はないからな」

 

 

 

 




問うこと自体が失礼だとわかっているので言わないが、本当に俺でいいの?とは思っている
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