刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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見習い修了 山伏降ろしてから多分一か月か二か月か経っている 
見習い期間一か月くらいかなー
鍛刀解禁された後の時間軸かなー


彼女の瞳は浄玻璃鏡4

 

 

 

結界術などいくつかの術を覚えた大瑠璃であったが、それでも霊力操作はほとんど上達しなかった。そこだけ極端に不器用だといっても間違いではない。そもそも術の行使も霊力量に任せた力技と言っていい。一周回ってすごい。相変わらず見鬼は開いていないし、自分の霊力をほとんど認識できていない。

結局、山伏国広を顕現するのは、彼女が己の本丸についてから、ということになった。術だけでなく、審神者としての務めも黒雉について学んだ。波長が合ったのか、あまり教師役に向いていないと思われた黒雉の指導も理解したようである。単純に物事を学ぼうとする姿勢を評価するなら、大変優秀な生徒である。認識が色々大雑把だが。

そんなこんなで、大瑠璃の見習い修行は完了し、監査部の用意した新本丸に配属されることになった。

「見習い修了おめでとう、大瑠璃くん。私も鼻が高い」

「ありがとうございます、師匠。私も、師匠みたいに立派な審神者になりますね」

「いや、大瑠璃ちゃん、主はあんまり参考にしたらいけない。術師としては優秀だし、審神者としての成績も優秀ではあるが、ダメな見本だから」

「でも、刀剣の皆さんにはとても慕われていますよね?」

「まあ、ダメな子ほど可愛いというやつよな」

「パパ上酷い」

「まあ、優秀な審神者も好かれるだろうが、慕われる審神者が優秀とも言い切れんということよ」

小烏丸の言葉に大瑠璃はよくわかっていない顔をした。黒雉が咳払いをして話を戻す。

「うちの一門では弟子が巣立つ時に師匠から餞別の品を送る慣習があってな。そういうわけで、これが私が君に送る餞別だ」

黒雉がそう言って大瑠璃に渡したのは、鳥を模した木製の青い半面である。

「君はどうも厄介ごとに縁がありそうだから厄除けの呪いを刻んである。気休めにしかならないかもしれないが…」

「ありがとうございます。大切にしますね」

大瑠璃は少し考え、自身の髪と同じ黒の組紐を作って半面に付け、頭にかぶった。

「師匠、本当にお世話になりました」

 

 

 

彼女を迎えに来た担当官の横に白い刀がいるのを見て、大瑠璃はとても微妙な顔をした。

「ええと…これは、あれですか?」

「ええ、あれです。正式に辞令が出ました。"誘惑"の鶴丸国永は大瑠璃さんの預かりになります」

「ええ…」

「そんなあからさまに嫌そうな顔をしなくてもいいだろう。俺は、認めた主には尽くす性質(たち)だぞ」

「そういわれましても…」

白い刀は大瑠璃の手を取り、顔を近づける。

「まあ、俺の本気はこれから理解してもらうからいいか。時間はたっぷりある」

「鶴丸国永殿、大瑠璃さんの術耐性が高いといっても、無暗に能力(スキル)を使ったりはしないように」

「俺が、主に危害を加えるとでも?」

「制御装置付けられてるくせによくそんなこと言えますね…」

「制御装置、ですか」

「彼の首の…チョーカーが常時発動能力(パッシブスキル)を抑えるためのもので、伊達眼鏡は任意能力(アクティブスキル)を制限するための魔眼殺しです。本刃に能力を抑えるつもりがあれば必要ないんですけどね…」

「…担当さんがサングラスしてるのもそれでだったりします?」

「自分は君ほど術耐性ないからね…」

もっとも、大瑠璃の耐性が破格なだけで、担当官の耐性も低いわけではない。

「っと、詳しい話は本丸に移ってからにしましょう。いいですね?」

 

 

 

大瑠璃の配属される本丸はまっさらの新品…のはずだった。

「…おやあ」

「転送ミスですか?」

「そんなはずはないのですが…」

担当は転移門を調べる。

「…指定の本丸、ですね。これは転送ミスというより配属ミス…ですかね。あるいは…」

担当官は険しい顔で本丸を見る。明らかにおどろおどろしい気配をまとっている。全くヒトの気配がないということもないが…ブラック本丸、あるいはその跡地か何かという雰囲気である。ありていに言えばものすごく身の危険を感じる。

「本部に戻ることはできないのか?」

「できるとは思いますが…」

難しい顔をして、担当官は懐から出した白いぬいぐるみのようなものを大瑠璃に渡した。

「懐にでも持っていてください。"それが何処であれ"本丸に配属されてから起動してください。場合によっては、生命線になります」

「…拙い事態が予想されるということですか?」

「最悪の場合は」

「そりゃあ穏やかじゃないな。…俺の主に、ちょっかいを出そうってやつがいるのかい」

「君の件以前に目を付けられていた可能性がありますからね…」

とはいえ、以前の担当は更迭されているのだから、それ以外の人間のはずではあるのだが。

そもそも、彼女は既に監査部の保護下にある人間である。他部署から横槍が入るのはおかしい。

 

 

 

三人が転移門を戻る、数人の男たちが待ち構えていた。

「何故戻ってきた?」

「そんなもの、IDカードが間違っていたからに決まっているでしょう。彼女はこの鶴丸を引き取ることにはなりましたが、引継ぎ任務は下されていません。そもそも、引継ぎ任務を受ける条件を満たしていません」

「その見習いは乗っ取り未遂を起こしただろう。そちら(・・・)の条件は満たしているはずだが?」

「それは監査部の管理下に入ることで決着したはずです。大体、審神者としての知識の欠片もない一般人を本丸に連れて行くことの方が重大な違法行為です」

「弁えていない新人だな。見習い、お前だって強い刀が欲しいだろう?」

「いえ、別に。他人の手垢のべったりついた中古品とか、触りたくもないです」

「 」

「…俺の前でよくそんなこと言えるな、君…」

「引き留めたいと思っていませんからね」

「塩対応」

「信用できない相手と一つ屋根の下で暮らしたくないじゃないですか」

大瑠璃は小首を傾げてみせる。

「ぐふっ…可愛いの暴力ッ…!」

大瑠璃はこいつ頭大丈夫かという顔をした。

「…どちらにしても、辞令は下っているんだ。そのカードの本丸がその見習い…新人の配属先だ。担当官もこいつに任せる」

「えぇ…」

「そんな横紙破りをして、ただで済むと思っているんですか」

「横紙破り?こちらは正式な手続きを行って此処にこうして辞令がある。文句を言われる筋合いはない」

「…後悔しますよ」

担当官は眉をしかめ、大瑠璃に「…必ず救援を寄越しますので」と小声で囁き、新しい担当と示された男にIDカードを渡した。

「さて、新人には早速本丸にいって任務をこなしてもらおうか。乗っ取りのペナルティ、慰謝料こみでな」

「噂で聞くパワハラってやつですね。罪状にまとめておきます」

「(人の手で裁けるかわからないんだよなぁ…)」

 

 

 

 




主を見つける前の夕鶴は無気力で見目通りのすぐ折れちゃいそうな儚い系頽廃的淫靡な美人 三日月なみのAPP 本刃が二つ名に縛られている
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