刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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監査部サイド
対策課の長義(裁伐)、骨喰・鯰尾(二つ名なし)と保安課の南泉(影追)と白山(天鬼)あと情報部の肥前(二つ名なし)そして人間の職員


小鳥の巣7

 

 

「というわけで、当該本丸の特定からの監査の必要があるんだよね」

「バグってるお頭って案件に俺を巻き込むなよな…にゃ」

「本丸のことなら情報部じゃなくて総務か内務に持ち込むべき案件だろ…それか、戦闘部か?」

「いや、相談室に話を通したら君を紹介されたんだよ。ついでに、他の凍結本丸の不正アクセス案件も調べてくれって」

「何でそれで俺に来るんだよ!」

「正確に言うと相談室から情報部に話が行き、分析課長からあなたが紹介された、というべきかと」

「先生ッ…!」

「情報部ってそんなホウレンソウできてない感じでよく回ってるな…にゃ」

「俺は今回正式な辞令とかじゃなくて"なんか人手が必要みたいだから手伝ってやってきてくれるかい?"くらいのノリで送り出されてきたからな。てっきり、また何処かのオフィスで紛失した証拠物品を捜索するための大掃除でも始まったのかと」

「俺の同位体によると山鳥毛的には切腹案件らしいからそんな愉快な案件ではないよ。戦闘になるかはわからないけどね…」

「お頭が切腹案件、って…道理で呼んでないわけだ…にゃ」

「場合によっては呼ぶけどね。多分、本丸の特定が出来たら術師の子を呼ぶ必要があるだろうし…二つ名案件だろ、これ」

「俺はぜったい突入組には同行しにゃいからな」

「猫殺しくんが参加しないなら、それこそ山鳥毛殿を呼ばないと」

「お前は審神者に心を励起されなかったのか、にゃ?!」

「いや、上杉縁の刀に頼むには、案件が案件だし…」

「あ゙~~~~」

「概念拘束のためには、標準的な同位体との差異を明らかにする必要がありますからね」

 

 

 

「とりあえず、この半年の審神者候補生のデータを洗ってみたんですけど、号・小鳥が複数いる上にデータ不備が他の子も含め多いですね…これはまた黒派閥が活性化してるやつですよ」

「山鳥毛が降神に応えるようになってから、非推奨名になっていたはずですが…」

*ややこしくなりがちなので

「なんというか…まあお呪い程度ですけど、良い言霊の宿る名前ってあるんですよ。"小鳥"は、"声"がよく通る子が多いですね。非推奨って意味じゃ、小烏丸さんの時にも視認性が…って言われてましたし」

「号被りはまあ、よくある話だからいいとして…今回のメイン案件の小鳥ちゃんはどの子かな」

「俺がこの子かなー、って思ったのは、半年前就任した大和サーバーの子と、四か月前の相模サーバーの子、ちょっと直近過ぎて微妙ですが二か月前に就任直後に失踪した扱いになってる美濃サーバーの子、あと期間的にその件とは別でしょうけど、二週間前未着任になってる備後サーバーの子も案件的に怪しいですね」

「三人なら丁度いいかな。写真はあるかい?直接顔を合わせた同位体に面通ししたい」

「それが、大和の子と相模の子はあるんですけど、美濃の子はないんですよ。というか、美濃の子に関しては養成所に入ってないみたいなんですよね。データ上は一月で卒業したことになってますけど、改竄の形跡もあって」

「…身元は分かってるのかい?」

「こちらも改竄でないのなら。一般人みたいですよ?データ上は」

「ふむ。では、俺が手早く訪ねてこよう。端末に情報を頼めるか?」

「了解」

「凍結本丸の方だが、山鳥毛が枠外案件になっているものは7件、その内、単独で残っていそうなのは2件だ。どちらも不正アクセスの痕跡があると五虎退が言っていた。現在秋田たちと手分けして、他に不正アクセスの形跡のある凍結本丸のリストアップをしている」

「とりあえずその二件に対する監査申請を出してくれ。それと、訪問コードが取れ次第、術師の手配。猫殺し君は訪問の心の準備ないしはすぐ抜刀しなさそうな山鳥毛殿を呼んでくれ。俺は美濃の子の住所を訪ねてくる」

 

 

 

 

「(…本当に普通の民家だな。多少懐古(レトロ)趣味ではあるけど)ごめんください、お家の方はいらっしゃいますか?」

玄関から呼びかけると中から声がして、少しして見目は長義より少し年上くらいの青年がタオルで頭を拭きながらやってきた。風呂から出てきたばかりらしい。

「どちらさん?」

「陸軍の方の者だけれど…美浦さんの家はこちらで良かったかな?」

「…ああ、あんたが審神者に手を貸すっていう、刀剣男士とやらか」

「…まさか、一目でそこまでわかるとは。実は術師だったりするのかな?」

「あーちゃ…姉がなんか陸軍の審神者の募集になんとなく応募したら受かった、って何か月か前に…あー、二か月くらいだったか?で、出かけて以来音信不通なんだが。詐欺ではなかったらしいな」

「…それは、一般応募に受かったのが二か月前、ということかな?三か月前でなく?」

「三か月前?…いや、12月じゃない。年越しの時は家にいたし」

「…それだと、合格直後にいなくなっているということになるんだが」

「そう言っているんだが」

頭を抱える長義に、青年は目を細めた。

「うちの姉がまた何か厄介な案件に巻き込まれてるのか?」

「ちょっと機密に関わるから説明はできないかな。また、とは?」

「うちの長姉、"見えない"わりにヤバいもんに好かれるからな。本人は一切気付かない間にちょっかいかけたのが自滅したり何らかの要因で排除されたりするけど」

「それは…すごいね?」

「あの人は見えない方がいいんだ。律儀だから、確実に付け入られる。猫に膝に乗られただけで動けなくなるし」

 

 

「うちの人みんな写真嫌いだからな…俺の端末にはあーちゃんの写真は入ってないな。母さんは持ってるかも」

青年はクロックスをつっかけて長義についてくるよう促す。

「母さん、あーちゃんの写真ってある?」

隣の家に入りながら青年は家の奥に呼びかける。猫たちが玄関まで出てきて長義の様子を伺いだす。

「軍の方だそうですが、うちの子が何か…?」

「ああ、いえ。そちらの娘さんは、被疑者ではなく、被害者の可能性がありまして…直接顔を合わせた者に面通しをしたかったんですが、こちらに写真がなくって」

「そうですか…」

女性は端末を操作して画像を一枚出す。

「住み込みの仕事らしいから、落ち着くまで連絡が滞るかも、というので出かける前に撮った写真なんですが、これでよかったでしょうか」

「あ、はい。顔立ちも確認できますし、こちらにデータを送ってもらって大丈夫ですか?」

「はい…」

データを受け取り、長義はこっそり青年に問いかける。

「弟くん、御母堂のことなんだけど…」

「…霊力とかわかるんなら多分姉と直接顔を合わせたらわかると思うんだけど、俺たち兄弟の霊力、みんな両親からの遺伝じゃなくて、後天的に開花したやつだから。俺が生まれるより前の、姉の被った厄介案件の余波というか…だから二番目の姉は一般人よりちょっと多いかな?くらいだし」

「…君の家系は本当に一般人なのか?いや、彼女は見るからに一般人だが」

「生きるためにちょっと強くなる必要があっただけで一般人だよ」

「よく見ると君、一般人よりちょっと強い、ってレベルじゃないんだよね…!」

「まあ、双子の兄は去年提督枠で防大の方に行ったし。俺は普通に就職したけど」

「…その霊力を活かすつもりは?」

「俺はそういうの向いてないから」

 

 

 

 

「あー、うん。この子だと思う。二枚目の子。もうちょっと幼い雰囲気してたけど」

「…となると、該当本丸はおそらく美濃か」

「美濃か…ちなみに小鳥ちゃん、実年齢どれぐらいだったの?」

「…弟くんの双子の兄が去年防大行ったらしい上に、更に間に兄弟がいるらしいから…少なくとも二十代前半?」

「わお…」

少し考えた後、本丸の方の長義が真面目な顔で言う。

「つまり…俗にいう合法ロリ?」

「これから俺が疑惑の本丸に乗り込むと知っててそう言うこと言ってるのかい」

 

 

 

「…山姥切、監査申請が通ったの、両方とも美濃じゃないぞ」

「えっ。…山鳥毛の枠外案件で、美濃サーバーのは?」

「…一件ある。…が、これは妖変のようだから当該本丸じゃないんじゃないか?荒御魂なんだろう」

「ううん…あ、そうだ。美濃の小鳥ちゃんの写真、丁度出かける前のらしいんだ。当日に不正アクセスがあった凍結本丸は」

「……該当一件。追加の監査申請に入る」

「よし、先に申請出した本丸の監査に行くよ、猫殺しくん、鯰尾くん」

「マジかよ…」

「はいはーい、お供しますね」

 

 

 

 

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