さんちゃんは山鳥毛と南泉(影追)←クッション役
「そもそも私は元々あの本丸の刀剣ではない。私を喚んだ小鳥を殺して刀剣を強奪した審神者を殺して祟刀となった。その審神者というのがあの本丸の二代目だ。ただし、見習いとして入り込んで初代を幽閉し乗っ取ったものらしいがな。祟りとなった私は一度封じられた。だが、四代目が初代を殺したことで初代の刀剣たちが発狂し、助けを求めて四代目が私の封印を解いて顕現させた。四代目を私が殺したことで、本丸に審神者が一人もいないことになり、外に異常事態が知れ、本丸が凍結された」
「唐突に登場人物を生やすな。三代目は何処に行った」
「私が封印されていた間のことは伝聞でしか知らん。それが四代目だったというのも、殺してから知ったしな」
「…まあ、小鳥を殺されて祟りになったものに殺人者が助けを求めても、助けるわけはないな」
「…っていうか、初代はその四代目に殺されるまでずっと幽閉されてたのか?」
「おそらくな。目的は霊力の搾取と初代の刀剣たちへの人質といったところだろう。私はまともに交流が出来なかったので詳しいことはわからないが」
「…それで、凍結後は」
「刀剣は大体堕ちるか自害するか、殺し殺されるかした。そのまま皆顕現が解ければ、それはそれで、それ以上被害は増えなかっただろう。だが、初期刀一振連れただけの審神者、或いは初期刀すら持たないただの生贄が送り込まれてきた。何振りかは送り込まれた審神者の初期刀と戦って折れた。私も、ある初期刀に左腕の肘から先を落とされた」
「誰が何番目だったかは、私も克明には覚えていないが…私を手懐けようとして祟りに殺されたのが二人、特にいわれなく祟りに巻き込まれて死んだのが四人、何らかの理由で自害していたのが二人、気が付いたらいなくなっていて新たな審神者が送られてきたのが三度…ただ、行方不明の内一組は妖横町を経由して何処ぞに逃れたようなので、おそらく生きているのではないか。あの主従だけは、あの本丸で一年生き延びた」
「…めっちゃ死んでる」
「それだけ死んでいれば、余程本丸の穢れも酷くなっていただろうが…二月で随分浄化されたんだな」
「そうだな。最後に来た雛鳥は、霊力が随分浄化に特化していた上に、膨大だった。生活空間は共に掃除したというのもあるが」
「雛鳥」
「何も知らない、己の持つ力を行使することすら覚束ない。危険を危険と気付かない。…根っからの善性、お人好し。この子を殺したくはないと思った。そのままゲートから送り返せればよかったが、凍結されていたからな。こうなれば、私が自害することで、本丸内の刀剣がゼロになれば、異変が伝わって、あの子を保護してくれるかと思ったんだが、嫌がられてしまってな…」
「となると、顔を合わせた時点でお前は正気に返っていたのか」
「門の開く気配がして、向かった時は…いっそ、その場で斬殺して送り返せば軍の連中も馬鹿なことはやめるかと、考えていたんだがな」
「それは普通の祟りの所業だにゃ」
「しかしお前、その流れで雛鳥を手籠めにしただろう」
「…。…霊力が不足しているところに、甘露のような霊力が伝わってきてな…抑えが利かなかった」
「…確かに霊力が垂れ流しだったな、あの雛鳥は」
隣のブースに目をやる。丁度目が合って、小鳥は、ぱ、と笑みを浮かべて手を振る。山鳥毛も微笑して手を振り返す。
「…懐かれてるにゃ」
「懐いていたな」
「懐いているんだ。気が付いたら腕の中で無防備に眠ってくれるくらい信頼されてしまっていた」
「…幼妻じゃなく雛鳥なんだろう。惚気るな」
「お前が私の二つ名を親鳥だと言い出したからな」
「雛として扱うなら手籠めはアウトだろう、手籠めは。どちらかにしろ」
「浄化が済んでからは、いたしていない。口付けるだけならあの子は親愛表現だと思って嫌がらないから」
「(そういう問題じゃないのでは)」
「それに、あの子はどう見ても雛鳥だろう」
「まあ、私も雛判定だがな…一応成人しているらしいぞ、あの子は」
「本人が大人扱いを求めていない」
「お前が雛として扱っているからじゃなくてか」
「あの子は本当に嫌なことを黙って受け入れるような人間ではない。…まあ、少々判定が緩すぎるような節はあるが」
「あの経歴で自己観測に支障をきたしていないのだから、余程明瞭な自我の持ち主だろうが」
「話がずれてるぜ、お頭」
「…何について尋いておく必要があるのだったか。…ああ、お前とあの子の契約関係について聞いておく必要があったか。刀剣男士と審神者の主従契約ではないだろう」
「そうだな。…まあ、私はあの子を己の守るべきものと認識している」