刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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小鳥サイド
小鳥は長義(裁伐)と白山(天鬼)
温度差


小鳥の巣10

 

 

「経緯と言われても、俺もなんとなく採用試験を受けたら、なんか採用されちゃって、言われた通り(ゲート)をくぐったらあそこだった、って感じなので…」

「それなんだけど、初期刀は?正しく採用試験に合格しているのなら、最終試験で降ろした刀剣が初期刀になるはずだと思うんだけど」

「んー…なんか、拙いもん降ろしたらしくて、試験官の人たちに言われてお還りいただいたから、いないんだよね。後、鍛刀禁止だって」

「……ってことは、御大の加護が刻まれてる気がしたのは俺の気のせいじゃなかったか…」

「二か月前の美濃支部の採用試験では、二件の通常降霊しない刀剣の招来が記録されています。一件はへし切長谷部、もう一件は高位神剣という以外記載なし」

「?…やさしそうなヒトだと思ったんだけど…」

「…いや。声に応えたんだから、君には優しいと思うよ。他にはわからないだけで」

「あー」

「…ところで、仮にも男性体である俺たちが尋くことになるのは申し訳ないんだけど…霊刀だと少し注意して見たらわかってしまうんだけど、君はあの山鳥毛に、手籠めにされてる、よね?」

「んー…うん。なんか…うーん、食べられちゃった」

「…思うところはないのかい?」

「んー…俺、無性愛者なんだよね。物理的な抵抗がほぼ感知もされない筋力差は怖かったし、初めてだから痛かったんだけど、悪意とか害意なく優しく…うん、まあ…かっ飛ばし過ぎた求愛行為なのかなって…嫌悪感はないし、霊力供給で浄化されるならいいかな、って」

「…自分の身は大切にしないとダメだよ?」

「んー…どう言ったらいいかな…。…例えば、大親友に"今度のドームのチケットが二枚取れたから、一緒に行かない?"って誘われて、そのイベントに興味がなかったとして、自分がそのイベントを楽しめるかな、他の人に譲るべきかな、と思っても、一番に誘われたのが嬉しくて"うん行く!"って返すし、実際行ってみると楽しそうな大親友を見られるだけで十分楽しい、みたいな…」

「例えの心境はよくわかるんだけど、この話題で出すのはどうかと思うかな…」

「いや、俺、友達とか恋人とかいたことないし、他人と深い付き合いを持ったことないから、世間的な適切な距離感というのはよくわからないし…さんちゃんスキンシップ多いかな、とは思うけど、嫌悪感はないし、慣れたし」

「…本人が嫌じゃないなら、あんまり部外者が口出しするのも野暮だよね…」

隣のブースをチラッと見ると、真剣な話をしているらしい。

「まあ何にせよ…審神者と刀剣男士が通常結んでいるものとは別とはいえ、契約ががっちり結ばれているから、それを切らない限り君と彼は同じところに所属することになるわけだけど…審神者を続けるということでいいのかい?監査部の方に引き抜くこともできるけど」

「うん。…人が多いところは、怖いから」

「人見知りなんだっけ」

「んー…関わる人間を増やすと、悪意との遭遇率が上がるから。本丸は、人間は僕一人でしょ?…さんちゃんとは仲良く出来たけど、俺、他人と仲の良い付き合いをできた経験に乏しいから、職員やるのは人間関係の悩みを抱えることになりそうだなって」

「一応言っておくけど、恋人でない相手との性行為は基本的に不適切だからね」

「少なくとも僕から求めはしないよ、無性愛だし。好感度ゼロとかマイナスなら噛みつくぐらいはするだろうし、本気で嫌がったらさんちゃんが助けてくれる気がする」

小鳥は隣のブースに目をやる。山鳥毛と目が合ったので笑って手を振ると振り返された。

「それはまあ、彼は君への危害とか絶対許さないだろうけどね…」

「初期刀は実質山鳥毛の扱いで良いとして、鍛刀禁止令が出ているとなると、戦力の拡充に支障がありますから、保護本丸の内、継戦を希望しているところに引継ぎとして着任、ということになるでしょうか」

「できる限りトラブルにならなさそうなマッチングがあったらね…その前に、きちんと、教務課の一週間集中講義あたりを受けてもらうことになると思うけど」

「あー…俺、本来のカリキュラムを全然受けられてないことになるんだっけ」

「正直、経歴と境遇と結果が全く噛み合ってないんだよね…本当に、一般人が三時間呪術の基礎講義を受けただけで碌なサポートもなく本丸に放り込まれて一週間だって生き延びられるか、怪しいというか。講義一回聞いただけで呪術がつかえるのはそれこそ天才の所業というか」

「そうかな…?だって、できるって言うならできるんだろうし、俺はこうして生きてるし」

「いや、君の資質を加味すると、まあ、そうなるよな…ってところでもあるんだ。それを一般人と言えるのか?というだけで」

「俺は一般人だよ?」

「生まれ育ちは一般人で間違いないんだよね…」

「それこそ例外というものでしょう。小鳥さんは少々適応力が高すぎるかと」

「そうかな…?」

「まあとにかく、審神者を続けるならまず正しい知識を持ってもらわないとだね…」

 

 

 

 

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