刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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審神者が組織されて何十年も経ってる世界線なのでたぶん髭切も則宗も十年単位で政府にいる個体


Feeded Love3

 

 

 

「前から思ってたんだけど、君って主のことどういう意味合いで好きなの?」

髭切からの突然の問いに、則宗はすっと表情を消した。

「どういう意味合い、とは?」

「僕は主のことは、ん-…妹分的な?美味しいお菓子あげたり撫でたりして可愛がりたいな、的な?好きなんだけど。君は多分違うでしょ。あんまり無理に抑圧してると、鬼になっちゃうかもしれないし」

「僕が、鬼に?」

「君だって人真似を長年やってればわかるでしょ。人の心も、己の心も、ままならないことがあるし、だからって蔑ろにすると痛い目を見るんだよ」

窘めるように告げられた言葉に、則宗はへの字に口を曲げた。

「お前さんもしかして、僕が碧鳥に恋心だの性欲だのを向けてると思ってないか?」

「違うの?少なくとも、あの子が他の刀と親しげにしてると妬くだろう?君」

「…妬くことがあるのは否定しないが、僕のこれは恋心じゃあないし、性欲も別に…。…いや、まあ、その気になりゃあ抱けるだろうし、安全なところ(しんいき)に大事にしまっちまいたいと思わなくもないが」

「違うの?」

「僕は恋だとは思っていない」

則宗の返答に髭切は不服そうな顔をした。

「恋じゃないなら何なのさ」

「それをお前さんに告白する必要があるのか?」

「同じ人の子と契約してる仲だろう。それに、場合によっては、ね?」

今度は則宗の方が嫌そうな顔をした。

「…。南泉の坊主が何故碧鳥との契約を望んだのか知っとるか?」

「碧鳥も君も彼にとって気にかける対象だからでしょ」

「その気にかけとるのが何でかって話だよ。…歴史が変わって行方知れずになった、アイツを顕現した主が碧鳥だからだ。アイツが二つ名持ちの先天性特異個体だから判ることではあるみたいだがな」

彼は影追の二つ名を持つ、予知能力を備えた個体だ。その予知は、本刃か近しいもの、或いは主たる人の子に関わる事象でなければ働かないのだという。つまりそういうことだ。

「…ああ、先天性特異個体は歴史改変の影響を受けづらいもんね」

そもそも二つ名持ちは概念拘束術式の影響か、通常より存在強度が高い傾向がある。後天性特異個体は、何かそうなる原因があってそうなるが、先天性は顕現した時からそうなのだ。そうならない余地がほぼない。

「そして僕も…異なる世界線において、僕が監査官として特命を下し、契約に至った本丸の審神者があの子だと、確信がある。その世界線の記憶は一切ないが」

「…君は後天性だったよね?」

「ああ。自分でも何故かはわからないが、判るんだ。本来であれば、僕はただの一文字則宗としてあの子と在れたんだと」

「…君は恨んでいるのかい?この世界線で君と契約して、枠から外してしまった審神者のことを」

「…恨んではいないさ。あれはあの子なりの愛だった。ただ、それが政府にとって望ましいものとは言えなかっただけだ」

この、睦月の二つ名を持つ一文字則宗は、転神から復帰した個体である。転神とは、神としての属性が高まりすぎた状態であり、主に審神者からの過剰な神としての信仰によって起こる。

「…まあ、祟りとかはともかく、転神や妖変は審神者からの扱いが悪かったとは限らないものね」

政府から見て問題のある状態であっても、当刃たちが問題を感じているとは限らない。則宗は元が政府出身だから受け入れたのだろうが。

「僕は、今の自分を形作る全てを恨んではいない。だが…」

「碧鳥のことは別、と」

「真っ当に審神者に就任していれば、監査で優を取れる本丸を運営出来ていた人の子だ。黒本丸で虐げられるのも、他の人間に悪意を向けられるのも、不当な扱いに過ぎる」

まあ、どんな人の子でもそれが相応ということはないが、と則宗は付け加えた。

「一文字則宗は人の子に甘い刀だもんねぇ。…監査官ってそういう基準で選ばれてたりする?」

「うははは。そりゃ流石に誤解だ。長義のが選ばれた理由は知らんが、僕は、まあ色々割り切ってやれる刀だから、だろ」

「ふーん?まあ僕は頼まれたって監査官なんて面倒なことしたくないし、どうでもいいんだけどね」

で、と髭切は首を傾げてみせる。

「結局、君は碧鳥をどう思っているんだい?虐げられていたことへの憐憫?異なる世界線での主への慕情?己を適切に扱えたであろうものへの執着?」

「…さてな。何にせよ、僕はあの子を主と定めた。対外的に必要な情報はそんなところだろ」

一文字則宗(きみたち)って本当、肝心なところで口をつぐむよね」

髭切安綱(おまえさん)に言われたくはないな」

とはいえ、これ以上粘っても答えは返ってこないと判断したのか、髭切はそれ以上の追求はしなかった。代わりになのか、少し呆れたような顔をして言う。

「精々鬼にならないように…主に変な誤解をされないようにしなよ。…もしかしたら手遅れかもしれないけど」

「は、お前さんなら僕が鬼になったりしても嬉々として狩るだけだろう」

「それで主が悲しむことになったら嫌じゃない」

 

 

 

 

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