刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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隊長は人の話を~偽ロリ√


嘘吐きロリータ1

 

「まあ、自己データ書き換えに耐えられるって、それだけ強固な自我を持ってるか、元々己の肉体に対する意識が薄いかの二択だよネ」

ちなみに僕は後者である。

おかげで偽ロリになる羽目になった。ロリの無力具合で刀剣男士の警戒度を少しでも下げよう作戦らしい。そんな危険なのか刀剣男士。先輩のとこの歌仙さんは普通にいい人だったと思うんだけどなあ。

しかし、この年頃の自分がどんな子供だったか、殆ど覚えていない。多分、七歳、八歳、ってところだから、いじめとか知らない、暴虐ロリータだったんじゃないかって気はするけど。まあ、精々肉体に精神が引きずられないように気をつけよう。

「小鳥ならぬ子鳥、ってところかな」

ああ、嫌な予感がするなあ。

 

 

 

「新しい審神者の方でございますか?」

「うん。小鳥だよ」

「子鳥様でございますね。私はあなたのサポートをさせていただきます、こんのすけと申します」

「こんのすけだね。…触っていい?」

「構いませんがさして気持ちよくないと思いますよ」

「何か抱えてる方が落ち着くんだよね…」

「そうでございますか」

こんのすけは式だからか軽い。あんまり抱き抱えてる感じがしない。精々ぬいぐるみだ。若干生ぬるいが。

 

 

とりあえず、手近な部屋から覗いてみるが、人気がないし、何か埃っぽいというか、使われてない感じがする。

「…こんのすけ、この本丸、刀剣がいるんだよね?」

「は、はい。ただ…」

「ただ?」

「…ひとところに集まって、籠城のような状態になっておられます」

「…どういうこと?」

「ええと、ですね」

こんのすけの話を聞いた私は思わず下品なハンドサインをしてしまった。怪我の放置、よくない。しかし、まっすぐいって即殺されてもあれなので、一応見て回ってから接触することにする。

 

 

とりあえず食材その他消耗品は手配、畑が荒れてるのは現状手の出しようがないので後回し…馬小屋も…とりあえず開けておいた。放牧状態の方がマシだろう多分。掃除の必要のない部屋はどうやらなさそうだ。前の審神者の私室/執務室らしき部屋もあったが、どうも気が合わなさそうだ。手が空いたら書き換えてやると決めた。

まあ、本格的に手を出すには人手が不可欠だし、このロリータボディではきつい。いや、元の姿でも俺体力ないからあれだけど。

「…さて、人手も必要だし、接触を図るか」

「えっ」

「えっ、って何だ。とりあえず顔を合わせないことにはどうにもならないだろ。で、何処にいるの?」

 

 

 

こんのすけの先導でたどり着いたそこからは、血の匂いが感じ取れた。何処の野戦病院だ。

片手にこんのすけを抱え、先制攻撃とばかりに戸を開きながら叫ぶ。

「たのもう!」

ピッチャー、振りかぶって、投げました!

「ぎゃっ」

こんのすけが叩き落とされ、俺の顔の横を通って刀が後ろの壁に突き刺さる。…うわお。

「…子供?」

「怪我をされている方がいるのでしたら、手当てさせてください。というか、血の匂いがぷんぷんしてますし、怪我人一杯いるんですよね?」

えっと確か、刀の方が本体だから、そっちを手入れすれば人体の方も治るんだよね?この刀も…手当てした方がいいのかな?

壁に刺さった刀を引き抜こうと手を触れると、左腕に痛みが走った。ちらりと見ても何をされている様子というわけでもない。刀に触れたことが原因、か?

「はらいたまえ、きよめたまえ」

霊力を流し込んで"手入れ"をすれば痛みが鈍くなっていく。よくわからないがこれでいいようだ。

「次はどなたですか?」

さあ、さっさと刀を差し出すがいい、ハリーハリー!

「…どうします?」

ヒソヒソ話すんな。やめてください。

一番戸の近くにいたお兄さんを見上げて言う。

「手当てさせてください」

「…。…ああ」

渡された刀を受け取った途端に右肩に痛みが走る。それを表に出さないように手入れをする。手伝い札はありったけ引っ張り出してきたし、どうにかなるはずだ。

 

 

体の色々なところから鈍い痛みを感じる。どうなってるんだろ。見るの怖いなあ…。

場の浄化のために祝詞を口ずさむ。そして、本当はあんまり近づきたくないけど、禍々しい気配の漂ってくる方へ歩みを進める。

「…上も、いよいよ人材不足なんだな。君みたいな子供を寄越すなんて」

「私は、あなたが思っている年嵩ですよ」

明らかに重傷なのが二人。ギリギリ中傷で踏みとどまってるのが一人。喋れる人から先に手当てさせてもらおう。

「手入れさせてください」

刀に触れた途端、全身に痛みが走る。薄々わかってきていた。何分の一に希釈されたものかはわからないが、この痛みは触れた刀の負っている痛みだ。この痛みに耐えてきた彼らの前で、弱音を吐くわけにはいかない。

「…はらいたまえ、きよめたまえ」

後二人。

「触れるな」

「痛いのは、よくないです。手当をさせてください」

俺を警戒し、遠ざけようとしているのだろう。…ああ、反吐が出る。この状況をもたらしたもの全てが、腹立たしい。

「狐」

一応意識はあったらしい。

「しかし…」

巫女(・・)よ、お前に俺がなおせるか?」

「なおします」

「…く、く、よきかな、よきかな」

「なおせるのなら、なおしてみせよ」

刀を受け取ると、全身に刺すような痛みが走り、視界が滲む。

「…はらい、たまえ、きよめ、たまえ」

痛みはある程度治まったが、右目の視界が怪しい。

「あなたで最後、ですよね」

「その状態で、私の穢れまで引き受ける気ですか?!」

「仲間はずれはよくない、です。それに、私がしたのは応急処置みたいなもので、後でちゃんと手入れの式神さんたちに仕上げをしてもらわないと、だし」

態度の一貫しない人だ。俺が気に入らないというのなら、そう簡単に俺の心配などしなくていいだろうに。

「僕は人間ですから、痛いのも怪我も、時間が経てば治ります。でも、刀剣はそうじゃないんでしょう?ちゃんと治させてください」

治らなかったとしても、人は痛みに慣れるものだ。

「・・・」

彼がどんな顔をしているかはよく見えないが、とにかく刀を受け取って手入れをする。何か視界が暗い。

「これで、一通り終わりましたよね?」

改めて、入った戸の前まで戻り、廊下に座る。

「名乗りもせず、不躾に失礼しました。本日からこの本丸に配属されることになりました。銘を小鳥と申します。先輩のシゴキを一週間程受けただけのインスタント審神者(というより呪術師かもしれないが)です。新米ですので、皆様、ご指導ご鞭撻の程をお願いいたします」

そう言って頭を下げる。

…反応が薄いな。どうするべきだろ。…ふむ。

「といっても、僕の役目はこの本丸の機能と戦線の維持のためのサポートですので、式の一つとでも思ってくださって結構です。見ての通り、無力な人間に過ぎませんから」

精一杯微笑ってみせる。ちゃんと表情筋が動いているかどうか、自信がないが。

「…いや、おかしいだろそれ」

「そうですか?」

「刀剣より主である審神者の方が上だろ?」

「私は知らないことばかりで、とても命令などできる立場ではありません。少なくとも、暫くはご自身で判断していただかないといけないと思います」

計算は苦手だし、戦略とか知らないし、俺の基本作戦は"いのちをだいじに"と"レベルを上げて物理で殴れ"だから。危険な橋は渡らない。近づかない。

「殊勝なことを言っているようだが、俺がこの刀の錆となれ、と言ったらどうするのだ?巫女(・・)

「僕を斬り殺すのは構いませんが、斬った後はきちんと手入れをして錆のつかないようにしていただかないと困ります。この身をもってあなた方の怒りを鎮めるよう務めるのも私の役目の内かもしれませんが、あなたがたの身を損ねるのは問題になりますので」

別に死にたいわけじゃないけどね。先輩があの人とお話しさせてくれたしね。あれもう心残りなくして死んでこいってことだよね。実際死んでも死にきれないような大きな心残りはないんだけど。

ひやり、と冷たい感覚が首に触れる。

「己が死ぬのは構わぬと?」

「人はいずれ死ぬものです。それがこの時だったというだけのこと。…欲を言うのなら、苦しまぬよう殺してください。罰せられる程罪深い人生だったとは思っていませんので」

本当は痛いのも嫌だけど、そこはどうしようもないだろうな。まあ、切れ味はいいはずだし。

すっと、冷たいものが離れる。

「…冗談だ。殺しはせぬよ。…少なくとも今は、な」

「そうですか」

「っていうか、女の子が顔に傷つけるもんじゃないし、そうやって穢れを取り込んだままでいる方が問題だからね!禊ぎしないと!」

「はあ。…では、滝に打たれてきます。こんのすけ、ナビゲートお願いできますか?」

「その状態で滝行なんてしたらそれこそ倒れますよ、子鳥様?!」

「穢れ(と煩悩)を断つには滝に打たれるのが一番だと先輩は言っていたのですが」

「それは間違ってはいませんが、己の状態を省みて行ってくださいと言っているのです!」

「ちゃんと思考も行動も会話もできますから問題ありませんが」

まあ、滝に打たれるのは初体験だけどね。どうにかなるっしょ、多分。

「石切丸ぅぅぅ!」

「僕の祈祷で祓いきれるか、怪しいところだけどね…!」

「私も協力いたします」

「俺も、手伝えるかな」

「わ、私も補助を…」

「はっはっはっ、知っておるぞ、こういうのをマッチポンプ、というのだろう?」

「わかってるならあんな穢れを湧かせるなよボケジジイ」

なんか騒がしいけど何?席外しちゃいけない系?

「おっと、ちょっと大人しくしててくれよ、お姫さん」

「…お姫さんはやめてください。柄じゃないので」

「そうか?…俺には、何処かの蝶よ花よと育てられたお姫さんに見えたんだが」

「見る目がないんですね。僕はただの一般人ですよ」

箱入りなのは否定しないが。就労経験ないし。

「こんのすけ」

こんのすけを抱きかかえて歩き出そうとすると腕を掴まれた。痛い。

「だから、大人しくしてくれって言ってるだろ?その頬の傷もちゃんと手当てしなきゃならないしな」

「頬?」

 

 

一言で言うとアレだ、解せぬ。

人間不信オーラぷんぷん出してた癖に何?か弱いロリなら警戒する必要がないとでも?まあ、僕が何をしようとしたって抵抗されれば失敗に終わるだけだろうけども。

「次郎太刀も言ってたが、女の子が体に傷を残すのはよくないだろ」

うん、誰?

「うわ、すごい痣になってる。痛そ…」

「巫女としての感応能力で僕たちの負傷を己の身に引き受けたんだね。全てでないにしろ、この人数というのは普通なら自殺行為になると思うんだけど」

「そんな大層なことをした覚えはありませんが」

俺は教わった通り、回復の術を使っただけだ。別に相手の傷を代わりに引き受けようなて欠片も思ってないし試みた覚えもない。何言ってんだこいつら。

「つまり、満身創痍の状態ってことだよな」

「行動不能ではないので問題ありませんし、満身創痍という程でもありません」

「あのな、俺たちには手当てしろって言った癖に自分は気にしない、って相当無茶苦茶だぞ。わかってるか?」

「焦れば治るわけではありませんし、人間ですので放っておいてもその内治ります。流血があれば止める必要がありますが、そういうこともありませんし。何をしてもしなくても、今すぐどうにもなりませんよ」

薬だって即効性はない。自然治癒が少し早まるとか、痛みを感じない状態になるとか、緩ませるとか、そういうことだ。どうせ効くまでは痛みが続く。

「そういう問題じゃないだろ」

「ではどういう問題ですか」

「…少しは自分を大切にしろ、ってことだよ」

別に粗末にしているつもりはないが。

 

 

井戸水を頭から被って、わいわい大太刀の祈祷で祓いたまえ清めたまえされて、多少は禊ぎができたらしい。痛みと視覚は多少マシになった。ちなみに大太刀たちは祈祷の前に身を清めないと、とささっと手入れ式神の仕上げを受けてくれたようだ。まあそれはそれでいいんだけど、俺は別に滝行してくるってからに。

「…そんなに滝行がしたいのであれば、私も付き合います」

「えっ」

「少なくとも、一人で行くというのは認められないからね」

「…刀は水気を嫌うのではありませんでしたか」

「本体はそうですが、この現身(うつしみ)は平気です。風呂にも入りますし」

「そうそう、それで露天風呂に入りながらの一杯とかも乙なもんなんだよねー」

「俺は風呂上りの一杯の方がいいと思う」

…なんていうか、

「…俺よりよっぽど人間らしいな」

いや、俺が人間性に欠けてるだけかもしれないが。

「では、参りましょうか」

 

 

 

滝に打たれたら視界すっきり、若干躯が重かったのもなくなった。すごいな滝行。まあ、痛みは地味になくもないんだけどね。衣装に染みた水を絞り、屋敷に戻る。あ、ちなみに滝は裏山にあった。普通に行って帰ってこれる感じの場所。次は一人で来たい。

「…穢れはきちんと流せたようですね」

「はい。問題ありません」

しかしあんたも一緒に滝に打たれなくても良かったのでは。いや、本人がいいならいいんだろうけど。

「今回のような無茶はもうしてはいけませんよ」

いや、だからそんな無茶をした覚えはないんだってば。俺別にそんな自己犠牲の人じゃないし。

「…善処します」

「…しかし」

腕を掴まれる。痛い。

「…こちらは、これではダメだったようですね」

「別に放っておいても大丈夫だと思いますけど」

大袈裟に反応しすぎなのだ。これぐらい、物の数に入らないだろうに。

「呪傷は放っておいても回復しません」

「…というか、多分ですけど、皆さんがちゃんと手入れの仕上げをしてもらえばいいと思います」

原因からして、そういうことだと思うのだ、多分。

「・・・」

ひょい、と抱き上げられる。

「ふぇっ」

「…風邪を引く前に戻りましょう」

「アッハイ」

っていうか、基本全身触ると痛いんですが。…耐えられない程ではないけども。

 

「あ、兄貴、子鳥ちゃんと和解したの?」

してない。というかだね、僕まだ誰からもちゃんと名前聞いてないからね!…歌仙さんとあの人は先輩のとこで顔合わせて知ってるし、歌仙さんから名前だけ聞いてる要注意/安全牌刀剣もいるんだが。まあ、そもそも一発で名前覚えられるかっていうとまず無理だからなあ。

「他の者たちは手入れの仕上げをしましたか?」

「え?まあ順次、って感じかな。全員一気に、とはいかないし、五分もあれば終わるって言っても人数がいるからね」

「そうですか…」

「どうかしたの?」

「穢れは祓えましたが、呪傷は消えていないのですよ」

「ってことは、別物なんだ?」

「そのようです」

ところで、そろそろ降ろしてくれないだろうか。飛び降りるわけにもいかないし。

「立ち話をしていないで中に入ったらどうかな」

 

「「っ」」

頭をぶつけた痛みが伝わってきたようなのですがこれは。僕は別にぶつけてないのにね!

「何やってるの兄貴」

「油断していたようです…」

本当にな!…てかこの仕様、もし僕が叩いたりしたら僕も痛くなるってことだよね?酷くない?

 

 

「だから大丈夫だと言ったじゃないですか」

全員手入れの仕上げが済んだことを確認したら痛みがなくなった。まあつまりそういうことである。

「…この場合は、そうだな」

「でも、主さんは触れた相手の痛みを共有しちゃうってことは、俺たちもう怪我するわけにはいきませんねぇ」

「そうだな」

「子鳥ちゃんに痛い思いをさせたくなかったら無茶は禁物、ってことね」

ところでこの人たち何時自分が僕に名乗ってないことに気付くかな。俺が聞くまで気付かないかな。どうかな。俺は困るまで聞かないつもり満々だけど。

 

 

 

俺も短刀に混じって作業しつつ、本丸の掃除だの畑の整備だの馬小屋の掃除だのを総出で行った。

何か元より今の方が体力ある気がする。まあ、引きこもりニートよりも内に外に遊び回ってるロリータの方が体力があるもんかもしれない。腕力とかはお察しだけど。

「♪~」

現在は審神者ルーム改装中。基本構造から書き換えるのは色々面倒なので、とりあえず壁紙の色を変更。私室が洋室なのはまあそのままでいいや。出入り制限できるし引き篭れる。前任の私物らしきものが残ってるからそれもどうにか…っていうか、捨てていいかな?

「♪~」

「――お手伝いいたします、主」

「え、あ、はい」

まあ、棚の上の方とか背が届かないから助かるけども。助かるけども。お前何時入って来たん。

「こちらのものを降ろせば良いのですか?」

「はい」

…何で固まりやがってんです?エロ本でも入ってたの?

「どうかしましたか?」

「…いえ、こちらの品は俺が責任を持って処分しておきます」

「何が入っていたんですか?」

「お目汚しになるので見せられません」

どういうこっちゃ。

「一応、前任の方がどのようなことをしていたのか、どのように接していたか、などがわかるものがあったら見ておきたいのですが」

「主が穢れるのでダメです!」

すごく気になる。そんな必死に隠すものって何なの?っていうか、俺を何だと思ってるの?

「そんなに隠されると気になります。見せてください」

「っ、主命であっても、それは…」

「ていっ」

「?!」

…何これ。

「…?なまこの模型でしょうか」

あ、何かスイッチがついて…る。………あっ(察し)。大人のおもちゃってやつですねわかります。

「主が知るには早いものですので」

いやあ、僕一応中身は成人してるから知ってるよ。実物は初めて見たけど。二次元はともかく、三次元で使いたいと思ったことないし。

「でも何か必要なものも紛れ込んでるかもしれ「私が確かめますので主は触れないでください」ふぇ」

…いや、別に俺サイコメトラーじゃないよ?分別も一応つくよ?多分。

「………これと、これもそうですね。すぐ撤去します」

ダン箱三つ分の大人の玩具(推定)…逆に尊敬するわ。プライバシーほぼないと覚悟しとけって先輩言ってたぞ?…いや、もしかしてアレか。刀剣と一緒に楽しんでた()のか。なにそれこわい。…見なかったことにしよう、うん。

とりあえず手が届くところを見よう。

クローゼットの半分が女物で半分が男物な件。んん、俺別に二人目じゃなくて、俺より前に複数いたんだっけか。前任だけじゃなくて前々任以前の私物もあるのかな。前任面倒くさがりかな?となると、さっきのも前任以前の可能性もあるのか。…まあ、どうでもいいか。同じことをするつもりは毛頭ないわけだし。

サイズ的にアレだし、趣味合わないし、他人の服着るのって何かアレだし、全部廃棄していいかなあ。場所空けても入れるものは今のところそうないけど。

「――君にはまだまだサイズが合わないんじゃないかな?」

「ついでに言うと趣味も合いません。廃棄してもいいでしょうか」

「うん、まあ…いいんじゃないか。…とっておきたい、ってやつもいないだろうし」

「では」

リサイクルボックスにぽーい、かな。リソースぐらいにはなるだろ、多分。

「豪快だな」

「縄張り意識が強い方なので」

他人のものが手元に有るのは落ち着かないし、その逆もまた然りだ。最低限寛げる場所を一つ確保しておきたい。…布団派だけど、ベッドどうしようなあ。でかいから落ちなくて済むかなあ。俺昔寝相がかなり悪かったんだよなあ。一回試してみるか。

「おっと、これは子供には見せられないものだな。俺が処分しておこう」

「何ですか?」

「…この場にいない刀の尊厳にも関わるから、知らないままで終わってくれるか」

「よくわからないですが、承知しました。あなたに任せます」

「悪いな。…主殿は何を思ってこんなもんを残しておいたんだか…」

何なのかすごく気になるけど、まあ、好奇心は猫も滅ぼすって言うしね。知らない方がいいことってのもあるからね。

 

 

私室を使える状態にしたところで、眼帯の人が入ってきた。

「夕餉の時間だよ。子鳥ちゃんも食べるよね?」

「え、あ、はい」

サイズ的に台所使うの難しいから、自分で用意しようと思うとレンチンレシピにせざるをえない。一応レトルト系のアレも用意してはみたけど、好きじゃないんだよねー。

「君の口に合うかはわからないけど…遠慮しなくていいからね」

「最低限カロリーと水分が取れれば用は足りますから大丈夫です」

ちゃんとバランスよく栄養取らないと不健康だけど、ぶっちゃけ今更の話だしな。

「ご飯はちゃんと食べなきゃダメだよ」

別に食べないとは言ってないが。

 

 

騒がしい食卓だった。悪くない。話に加われる気はしないが。片付けたらまた私室を弄ろう。ユニットバスついてたから風呂はそれでどうにかなるし。

「あ、子鳥ちゃん、ご飯は美味しかった?」

「はい、美味しかった、と思います」

少なくとも、もう食べたくない、とはならなかった。食べようと思えばもっと食べられる。まあ、食べ過ぎはよくないのでおかわりはしないのだが。

「それは良かった」

嬉しそうだな。彼が作ったんだろうか。いや、別にいいんだけど。伊達政宗料理好き説とか聞いたことあるし。刀剣は持ち主の影響受けるもんらしいし。

 

 

 

「♪~」

さしあたってこの部屋はこれでいいかな。後でベッドはいじるかもしれないけど。っていうか、寧ろいじらないで済む気がしない。執務室は…明日でいいか。疲れたし。お風呂入って寝よう。うん。

「♪~」

ところでユニットバスって何処で体洗うんだろ。外じゃまずいよね、ね?中で洗うの?使い終わったら流す系?んん、よくわからない。まあ、今日は適当に流すだけにしよう。ロリになったら髪も短くなったしね。そういえば、昔は短く切りそろえるのがデフォルトだった。

「♪~」

なんというか、自分の立ち位置がよくわからない。歓迎…されて、る?ない?人間不信オーラ出してるかと思えば、何か世話焼きたがるし。なんだろうね。個体差かな。まあそれぞれ別の人格持ってれば別々の行動になるのも当然ではあるのだけど…どうもなあ。

「♪~」

とても、引き篭りたい。僕が手出ししなくても普通に回りそうだし、引き篭っていたい。何かすごいストレス値が上がりそうだし。歩み寄る気があるのかないのかよくわからないし。…あるのかなあ。どうなんだろうなあ。

「♪~」

そういえば、この本丸何口の刀がいるんだっけか。降ろしてない状態で保管されてるのを含めれば今のところ確認されてる刀は揃ってるってこんのすけは言ってたけど。それってつまり、実際動いてるのはそれより少ないってことだよね?…何人と顔合わせたのか、覚えてないんだよなあ。

「…ぅぁ、長風呂しすぎた、かな…」

まあ、暫く大人しくしてればおっけーだし…うん。

「――此処か?…って」

「…えっと」

「だ、大丈夫か?」

「考えごとしていたらのぼせてしまっただけなので、大丈夫です」

というか、何の用だ。ロリだからって女の子の裸見ていいと思ってんのかてめぇ。ぶん殴るぞ。…いや、殴ると多分俺も痛いからなあ。くすぐるくらいの方がいいかな。

「いや、驚いたぜ。休むんなら、ちゃんと服を着たほうがいいと思うぞ」

動けねえからこうやってクールダウンしてるんだよ。

「…お風呂でのぼせたこと、ないんですか」

「ないな。俺もどっちかというとジジイだからかな」

あははじゃねえよ。

「…動くとくらくらするので動けません」

「そうなのか。…何か手を貸してやろうか?」

「いえ、結構です。暫くしたら動けるようになりますから」

放っといてくれ。

「…あんまり放っておいて大丈夫に見えないんだが」

「別にしてほしいことはありませんから」

寧ろ去ね。近づいてくるな。

「熱とかあるんじゃないか?」

冷たい、手だ。相対的なものだろうか。

「大丈夫ですから」

というか、そろそろ動けそうだけどあんたがいると着替えられない。

「女の子は不用意に肌を見せちゃダメなんです」

「お、おう、すまん」

背を向けるだけじゃなくて出てくれないかな?…。…はあ。

体を拭いて浴衣を羽織る。合わせってどっちだっけ?…まあ、そっちでもいいと言えばどっちでもいいのだが。寝るだけだし。適当に重ねて帯紐を結ぶ。

「…ところで、一体何の用ですか?」

 

 

 

 

 

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