刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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満月庭If 七星剣√ だいぶ経ってる世界線


星降る夜に1

 

 

「うわ、まっくらだ。…あ、でも星いっぱいだ。すご…」

ぽかんと口を開けて満天の星空を見上げ、審神者は星空に見惚れている様子だったが、少ししてハッとした様子で頭を振った。

「いけないいけない、えっと…たしか、まず管理者登録を更新して、こんのすけを探せばいいんだっけ」

呟いて、前方を見る。星明りのみで辺りに灯はないため、周囲は暗くてあまりよく見えない。

「やっぱ暗い。…まだ朝の筈なんだけどな。それとも本丸って時差があるのかな」

また呟いて、収納から懐中電灯を取り出した。電灯のか細い光が闇を貫く。

「足元に気を付けないと…」

恐る恐る歩いて、屋敷の戸に手をかける。

「おじゃましまーす…」

人の気配がないながらも、律儀に挨拶した時、ぱっと灯が点いた。足元灯が道を示すようにぽつぽつ点いていく。

「ほわっ」

灯りの点いた方と点いていない方を電灯で照らして見た後、審神者は首を傾げた。

「こっちに来いってこと…なのかな?レトロに見えてAI入ってるのか」

不安そうにしながらも、電灯をしまい審神者は灯を辿って歩いていく。その傍に刀剣の姿はなく、身に帯びている様子すらない。丸腰である。呪具の類もない。

「…迷子になりそ」

しばらく歩いて振り返り、背後の灯が消えていることに気付いて足を止めた。

「…いや、全然道覚えてないんだけど…帰りも案内があるか、明るくなるかを期待するしかないか」

溜息をついてまた歩き始める。覚悟を決めたのか、暗闇に慣れてきたのか、その足取りは落ち着いている。

「♪~」

審神者の唇から小さく歌がこぼれた。軽い曲調は気を紛らわせるためのものなのか。暫く歩き続け、奥まった部屋の前で足を止めた。ついでに歌も止まる。灯は部屋の前までしか点いていない。

「入れってこと…かな?」

戸が開く。中は畳敷きで、奥は一段上がり御簾が下がっている。審神者が中に入ると背後で戸が閉まり、同時に室内で星が瞬き始めた。

「はわ…」

部屋の中に広がる星空を見回し、審神者は感嘆の溜息をもらした。ぽてぽてと足を進め、また見回す。

「プラネタリウムみたいだ」

「――そういうお前はまるで幼子だな」

奥からの声に審神者は驚いてそちらを見る。御簾の中は暗く、中に何がいるのか判然としない。

「ええと…こんにちは…こんばんは?」

「この場に時間の流れはない。お前が新しく送り込まれた審神者か?」

「うん、そう…ってことになる、のかな。とにかく本丸に行ったら、こんのすけがどうしたらいいか教えてくれるって言われて来たんだけど」

「この本丸にこんのすけはおらん。以前の審神者が壊したからな」

「えっ」

「お前はおれを鎮めるための贄だ。おれがそう要求したわけではないがな」

「…つまり、僕はどうしたらいいのかな」

審神者は真面目な顔で御簾に向き直る。

「…何も。おれの気に障ること以外なら好きにしろ。今のおれから人間に求めることはない」

「そんなふわっとしたこと言われても、よくわからない。僕、あなたのこと知らないし」

「おれを知らない。…本当に何も知らされずに来たのだな」

審神者は訝しげに、首を傾げる。

「我は七星剣。はるか昔に創られた剣だ。お前達が聖徳太子と呼ぶ方の剣だった」

「僕は小鳥。…ええと、ただの小鳥だよ」

「小鳥か」

簡易的な契約が結ばれる。それが判っているのかいないのか、小鳥は沈黙に首を傾げた。

「疑問があらば問うがいい。煩わしくなければ答えよう」

「だからそんなふわっとしたこと言われてもわからないんだってば」

一拍。

「わからないことがあれば都度聞け。神域(ここ)の中であれば大概聞こえる」

「…つまり、独り言全部聞こえてた、ってコト?!」

「そうだな」

「ほわぁ…」

小鳥は目を瞬かせて、茫然と「騒がしそうだね」と言った。

「聞き流す術も心得ている」

「静かにするようにしておくね…」

小鳥はしょぼんとしている。独り言を聞かれていたことを余程気にしているらしかった。

「そう気にするようなことは言っていなかったと思うが」

「内容の問題じゃないというか…」

小鳥は肩をすくめた。

「それで、具体的にやった方がいいこととか、やってはいけないこととかってあるの?」

「神の庭ですべきでないことがしてはならないことだ」

「うーん…?」

小鳥はぴんとこないという顔をしている。

「おれは祟りだが、無差別に殺しはしない。法を守らぬは蛮族故、な」

「…つまり、ここに僕がするべき仕事は無いってこと?」

「本来であれば、本丸の維持は審神者の役目だが、ここではおれが担っているからな」

「じゃあ、何で僕此処にいるの」

「人間どもの考えは知らん。やつらにとって、本丸に人がおらんのが不都合なのだろう。初期刀の一振りでも連れていれば適当に放り出してやったのだが。…人間一人では元居た所には戻れなくなるだろうからな」

 

 

 




完全に神だし祟り ブラック審神者の本丸を見習いが乗っ取って完全に潰しちゃったやつ 善良な人間を知らない 神域化してる 常時干渉される 大侵寇報酬できてる七星剣、かなり顕現してから長い
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