刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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罪業派生If初期刀朝尊(探求) ちゃんねるネタで書いた肥前君が小鳥もとい花鶏(あとり)と朝尊双子育児になってる√ 保護したの自体は長義(盲愛) 肥前は二つ名無し 
刃事課は表の部署だろうから基本鍛刀可組のみかな…あと特命組 神秘部呪物課浄化係 のちに大慶(収恋)も加わる 五年ぐらい後


花たどる道どり1

 

「俺とこの子は相性がとてつもなく悪いことがわかったから、正式な護衛刀は他の刀に任せたいんだが、適当な者に心当たりがないか?」

山姥切長義にそう問われて刃事課の物吉貞宗は少し困ったような顔をした。

「そう言われましても…どう相性が悪いんですか?」

「俺が無限に甘やかしてしまう。最悪、神隠ししてしまうかもしれない」

「それは拙いですね…」

物吉は視線を長義に抱えられている少女に向ける。大人しく抱きかかえられたままぼーっとしている。特に何らかの自己主張をしようという素振りがない。何らかのトラブルに巻き込まれて心を閉ざしている審神者なのだろうと思われた。

「…完全に審神者の面倒を見なかったり世話される側の刀剣では駄目でしょうし…打刀か脇差から選んだ方が良いでしょうか…」

「…初期実装40振りは避けてもらった方が良いと思う。それと、この子の巻き込まれた件はまだ完全には解決していなくてね」

「そうなると、かなり条件が限られてしまいますね…審神者さん本人に希望はありますか?」

「・・・」

「小鳥ちゃんは、どんな刀と組みたい?」

長義の問いに少女はゆるく首を傾げる。

「君が、こういう相手がいいと言えば、それに沿う相手を選べるかもしれない」

「…でも、長義じゃないんでしょ」

「んっ…俺は、君を大事にしまいこんでしまうだろうからね。君も流石に神隠しは困るだろう」

「…家に帰れないなら同じだし。長義がそうしたいなら」

「それは、やってはいけないことなんだよね…!!」

「他の山姥切さんに頼むのは、それこそ山姥切さんのメンタルに悪いですしね。いっそ全然違うタイプの方がいいですかね…」

物吉は手元の端末でリストを手繰る。主フリーの政府刀は主従契約や護衛契約の希望を提出している者もいるのである。

「話が聞こえていたのだけど、それなら僕はどうかな?」

「南海太郎朝尊。…君は明らかに世話を焼かれる側では?」

「確かに僕は顕現して七日目だけれど日常生活に問題はないよ」

朝尊はにこやかに言う。長義は頭痛がするというような顔をした。

「顕現したばかりの君に、護衛が務まるのか?」

「護衛対象と敵対者次第じゃないかな?僕だって刀剣男士としての基本技能は備わっているよ」

朝尊は興味深そうに少女に触れる。頬をつつかれて少女は不思議そうに朝尊を見上げた。

「君は何故眼鏡をかけていないのだね?矯正できないわけではないだろう?」

「…見たいものがないし、困らない」

「審神者の仕事に必要なのではないかね」

「…審神者の仕事」

「まだこの子は本丸か、政府の何処かで働くのか、決まっていないよ」

「…俺にできることなんて」

「小鳥ちゃんなら、その気になればどちらも務まるよ」

長義は少女の頭を撫でる。横から別の、刃事課の長義が口を挟む。

「浄化が得意なら神秘部に所属するのはどうかな?積極的に外に出ていきたいなら怪異課、案件の方からやってきてほしいなら呪物課がおすすめだよ」

「…俺は幽霊とか見えないよ」

「博愛の。…いや、まあ、確かに…政府職員になるなら、小鳥ちゃんの適性は神秘部か医療部あたりになるだろうけども」

「真名を握られていないなら、号を変えれば多少は攪乱できるだろうし」

「それも考えてはいたけれどね…」

「僕もまだ所属については浮いている状態でね。単身で置いておけないと言われたものだから」

審神者号の変更は手続きの必要なことなので、あんまり気軽にできることでもない。人員の管理としてはIDで行われているので、被りも許容されているが。小鳥というのもありふれた号ではある。

「多分自分で決めた号じゃないだろう?君自身で決めたらいいんじゃないかな」

「………アトリ。花に、鶏で花鶏(アトリ)

「花鶏、可愛い名前だね」

「いくらか皮肉も入っていそうだけれど」

「野暮ですよ、朝尊さん」

閲覧していた端末を置いて、物吉が言う。

「案外悪くない選択肢かもしれませんよ」

「どのあたりがだい?」

「彼が契約するなら、もれなく肥前くんがついてきます。今組んでいなくても、肥前くんのコミュニティに情報を流せば面倒見のいい方が来ます」

「それはわからないではないけど…」

「それにこの朝尊さんは二つ名持ちなので、政府としても彼が自分から首輪をつけてくれるならそれに越したことはないところでありますから…」

「…あー」

長義自身二つ名持ちなので政府からの見解はある程度わかっている。潜在的危険分子、である。まあ枠を外れる可能性があるのは確かだ。そうならないための二つ名ではあるが。

「僕は今のところ特に政府に翻意を持っているわけではないのだがね」

「それでも、経緯が経緯ですから…」

物吉が苦笑する。この朝尊は本刃が問題行動を起こしたわけではないが、顕現した人間が問題だった上にその影響を強く受けている可能性があるとされている。政府としては安心できないのである。

「そもそも、君は何をもってこの子の護衛刀に名乗り出たのかな。南海太郎朝尊はあまりそのようなことに積極的な刀ではないだろう」

「うーん、そうだね…あえて言語化するとすれば…興味深く感じたから、かな」

「…何を?」

「山姥切長義が神隠しを危惧することを、だね。確か君たちの神隠し率は低めだろう。ないわけではないが」

「…一応弁解しておくと、俺が愛情を拗らせやすい個体なんだよ。情けないことにね」

「盲愛のは忌み名勢だしね」

「言祝ぎ勢の博愛のには言われたくないかな」

「どっちもどっちですよ」

あえて言うなら二つ名持ちの時点で何かしら厄介なところがあるものなのである。

「花鶏さんが受け入れなければ不採用ですから…あなたはどう思っていますか?」

「…嫌ということはないけど」

「何か気になることがありますか?」

「…どうするべきなのか、わからないから」

「配属先の仕事についてはそちらで研修などあると思います。…保護審神者用の教育プログラムは受けさせているのですよね?山姥切さん」

「ああ、基礎プログラムは二週間かけて履修してもらったよ。それ以上は本人次第と考えていたのだけど」

「…長義と一緒にいたらダメなの?」

「うぐ…君が本丸勤務にならなければ、会えなくなるわけではないんだよ。全く縁を切ろうというわけでもない。ただ俺が君と上手くやっていくには適切な距離感は今のものではないと判断したんだ。このままだと俺は、君を一人では何もできない赤子のような存在にしてしまいかねない」

「・・・」

「君を愛おしく思っているからこそ、本来なら立派な審神者になれるであろう才ある君を潰してしまうことが忍びないんだ」

「…俺は役立たずの小鳥だよ。才能なんてない」

「あの環境で生き残れる時点で何の才能もないということはありえないよ。本当に無力であればこれまでにあの本丸に送られた者のように死んでいただろうからね」

横から朝尊が口を挟む。

「君は何を根拠に己に才のない役立たずだと言っているのかね?」

「…審神者になるまで、霊力とか知らなかったし、幽霊とか見たことない。…鍛刀できない審神者は役立たずだって言われた。…本丸でも、何もしないで部屋にいなさいって言われて…最後は、勝手に出ないように鎖をつけて閉じ込められた」

「ふむ。鍛刀および顕現能に問題があるのかね?」

「ん…試験の時は、顕現自体は成功した、んだと思う。試験官の人に、すぐに還すよう言われたから、ごめんなさいして還ってもらったけど。その後は、鍛刀は禁じられたからやってないし、刀を顕現する機会もなかった」

「…確かに鍛刀禁止令は出ているけれど、鍛刀能力に問題がある、とは書かれていなかったね。そもそもかの本丸の引継ぎに回されたこと自体不審だしね」

「そもそも通例通りなら小鳥の号の付けられる審神者は鍛刀適性の高い子だよ。声の遠くまで届くことを示す()だからね。鍛刀能に問題があれば他に適性あるところを示す号か、あるいは逆に何処が問題かを示す号が付けられている。自分で決めたわけじゃないだろう?」

「決めてない」

少女は何を言われているのかいまいち理解していない顔をしている。

「ところで、役立たず、とは誰に言われたのですか?」

「…あの本丸に行くように言った人と、その前に審神者の仕事を説明してくれた人」

「前者は担当官として…後者はどのような方でしょう。何と名乗っていましたか?」

「………覚えてない。和服、だった気がする」

「…黒派閥の審神者か術師か?」

「ちなみに、審神者になるまで霊力を知らなかったなら、呪術に触れたのはその後だろう?どの程度使えるのかな」

「ビームと生成と治癒はできる。元々医学知識はあるし、使う機会も多かったから治癒は自在に近いと思う」

「うーん…君が役立たずであるというのは、反証が沢山あると言えるのではないかね?」

「うん」

「うん???」

「俺は審神者も呪術もよくわからない。自分以外の審神者や術師がどうなのか知らない。でも、俺を役立たずだと言ったからには、俺のできる位のことは、できて当然なんだろう」

「そんなことはないかな…」

「つまり、君の"自認"は役立たずではないわけだ」

「あまり高い目標を持ったことないし、やろうとしたことで苦戦したことはあまりない。人付き合いはあまりうまくいったことがないけど。邪魔されなければ、やりたいことは大体できるから、自分が不出来だと思ったことはない」

「なら、審神者の役目も問題なく務まるのではないかね?」

「何故?意思がない方がいいんでしょう」

「審神者にも勿論人権はありますが…」

少女は首を傾げる。

「人格を求められることはなかったよ」

「黒本丸だったからね…」

「確かに政府は一枚岩ではないし、他者を尊重しない者がいないとはとても言えないけれどね、君の人格を否定することが合法であるわけではないよ。…その方面でのカウンセリングが必要だったかな?」

「つまり君は彼と離れた後、自分がどんな扱いをされるかが不安なのだね。自由意思を否定されていたから」

「・・・」

少女は長義の胸に頭をぐりぐりして顔を隠した。

「…君にこの子を預けて大丈夫かどうか、五分五分というところかな」

「肥前さん次第ですかね…」

「倫理的にどうなんだい?うら若い女の子にノンデリを付けるのは」

「ははは」

 

 




このヒトは頼っていい、が募りすぎて依存になってる お互い恋情はないけど相互依存にはなりかけてる 探求は割と嘘やごまかしが通じないタイプだしノンデリ そもそも大体の朝尊はノンデリそうだけど
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