小鳥からたっぷり霊力をもらった実休は元気いっぱい"薪"を探しに出かけていった。万屋街や演習場をぶらついて審神者がブラックなタイプのブラック本丸を見つけて侵入して物理的に炎上させた。霊力がみなぎっていたのでちょっとやりすぎた。"薪"に選んだ審神者だけでなく、虐げられていた刀剣も燃やした。
「これだけ調子が良いのは久しぶりかもしれないな」
調子が良すぎてかえって落ち着かないので、三つぐらいの本丸をはしごして炎上させた。流石に疲れたので元々の本丸に戻ってきた。本丸軸ではおよそ一昼夜経過していた。
小鳥の方は実休にがっつり抱かれた疲労というか、おそらく筋肉痛で一日ベッドから出られず寝込んでいた。式が看病したので不自由はしなかった。途中で気絶したっぽいので、何も言わずに放置するのはいかがなものかと思ったが、まあ別に恋人とかではないしな…とも思った。
別に一度抱かれたからって恋人面するつもりはない。そもそも惚れた腫れたではなく食欲(?)で抱かれたようで、好きと言われたわけではない。
「別に僕も惚れたりはしてないしな…」
悪感情はないがそれだけだ。本丸に来てから、まあ毎日顔を合わせていたものの、お互いのこともよく知らない。実質的に名前しか知らないレベルかもしれない。小鳥は元々性愛には疎いので、確信をもって言えるわけではないが、ふたりの間に恋なんて愉快なものはない。がっつり交わったので
だがまあ、ベッドから出られず寝ているしかできなかったので、考える時間はたっぷりあった。まあうつらうつらしている時間の方が長かったのだが。そして一日大人しくしていたら翌日には復帰できた。
「こんにちは、小鳥ちゃん」
「…こんにちは、実休さん」
何事もなかったかのように微笑まれたので、もしかしてこちらもそう対応するべきなのかな、と小鳥は迷った。まあ勘違いだったのだが。
「…小鳥ちゃんは、此処にいて僕に霊力をくれるというのは、まだ気持ちは変わっていないかい?」
「…ええと」
「君には結局負担をかけてしまったから、嫌われても仕方ないと思う。嫌いになったなら、そう言ってくれたらこの本丸から出ていけるようにしてあげられるけど」
「…嫌いには、なってない、けど。連日アレは、流石に躯がキツい、んじゃないかな」
「…それは、連日でなければ、またシてもいいってこと?」
「………頻度にもよるかなっ」
慣れたら一日寝こむまではいかなくなるのかもしれないが、そもそも寝込みたくはない。そしてそれは…セフレ、では?と思った。
「一日分の霊力程度なら、粘膜接触しなくても、抱っこして四半刻過ごすくらいで十分供給されると思うよ。霊力経路も通じたことだしね」
実休は嬉しそうに小鳥の顔を覗き込む。
「もう一度だけ聞くよ。小鳥ちゃんは、どうする?」
改めてそんな風に聞かれるということは、何か重大な意味のある問いなのだろう、とは思ったものの、小鳥はおずおずと頷いた。
「…僕は、実休さんと一緒にいる」
此処で過ごす時間は嫌なものではなかったし、実休としたことも、小鳥の方にも気持ちいいことではあったので。もっとライトな量にしておいてほしかったが。
「そう。それは嬉しいな」
微笑んだ実休に抱き上げられて、小鳥は何か早まったかな、と思ったが今更に過ぎた。さっきのが最後の離れるチャンスだったので。
とはいえ、今回はR18展開ではない。もう逃げられないだけである。
「でも、そうなると…渡り歩くより此処を拠点にする方がいいね。小鳥ちゃんにはこの本丸の正式な審神者になってもらおうかな」
「この本丸の」
「執務室のメインコンピューターで管理者登録を更新して…一応保管庫に依代刀とか残ってないか見に行こうか。護衛刀は置いておくにこしたことはないだろうし」
「…この本丸って上位権限で転移門の使用が制限されてるんじゃなかったっけ」
「それはその内撤回させるから」
「…へー」
管理者登録の更新はそう手間もなく終わり、本丸に小鳥の霊力が巡り始める。小鳥はその間何で自分は実休に抱えられてるんだろう、と何度か見上げたが、どうすればいいのか(手順的な意味で)困ってると思われて、こうすればいいよ、と促されただけだった。うーんまあ霊力供給のためかな、と自己完結して何も聞かなかった。不快ではなかったので。
保管庫には数振りの刀剣が残っていた。薬研藤四郎、骨喰藤四郎、鯰尾藤四郎、大倶利伽羅の四振り。顕現は無事成功した。実休に時々補足されながら小鳥が現状を説明した。
「つまり、本丸が無事に稼働するまで、この本丸の中だけで過ごすことになるんですね」
「たぶんそう」
「生活物資はメインコンピューターから通信販売を利用して届けてもらえるから、生活はできるはずだよ」
「人の身を持つのは初めてだからあまり実感はないが、実休の旦那が言うならそうなんだろうな」
「…ところで、何故主はそいつに抱えられているんだ?」
「…何でだろうね…」
骨喰の問いに小鳥は目を泳がせ、実休は無言でにっこりした。
「(触れない方がいいってやつかなこれ)とりあえず、生活基盤を整えましょうよ。主さんは離れしか使ってなかったんですよね?」
「うん。母屋には今日初めて入った」
「じゃあ、探検してみましょう、一緒に」
「うん」
小鳥は実休を見上げる。実休は目が合って微笑む。
「そろそろ降ろしてほしいんだけど」
「何故?」
「僕別に歩けないわけじゃないし、母屋の床が何か危ないとかじゃないでしょ。探検するなら自分で動き回りたい」
「・・・」
「実休さんも腕疲れないの?」
「僕は全然、平気だよ。小鳥ちゃんくらいならそれこそ鳥を肩に乗せてるくらいのものだから」
「私流石にそこまで軽くない」
拒絶されたら適当なところに連れ出して善良な審神者か刀剣に保護させるつもりだった 許容されちゃったので囲い込むことにした
魔王の怖さを何となく察知できるメンツ(コモン)