刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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火刑の魔王5

 

本丸の管理者登録を更新した後に小鳥が顕現、契約した刀剣はこの本丸の刀剣として登録されている。しかしそれに当てはまらない実休は登録されていない。なんなら正当な刀剣男士かどうか怪しい。燃えてるし。

「というか、転移門が閉鎖されてるのに本丸を自由に出入りで来てる時点でヤバいですよね?主さんはあんまり気にしてないみたいですけど…」

「…俺に話を振るな」

「エーッ!!脇差と打刀は二刀開眼があるじゃないですか。連携は大事でしょう?」

「・・・」

睨みあった後、深いため息

「あいつが気にしていないのは、あいつなりに防衛本能が働いてのことだろう。徒労を強いられることは精神的な負荷が高いらしいからな」

まあ気にしたところでできることもないので考えないようにしているということ。平たく言うと現実逃避。

「うーんまあ、人間社会だと人間を閉じ込めておくのって罰の一種でもありますもんね…」

審神者との共有知識からは小鳥の教養がそれなりに高いものであることがわかる。しかし、彼らの知る小鳥の振舞いは、いとけない子供を思わせる無邪気なものだ。そのアンバランスさが元からのものなのか、閉じ込められていることが原因なのかは彼らにはわからない。

「ズオくん、バミくん、くーさん、どーしよー?」

「どうしたんですか?主さん」

「受け取り箱に通販で買ったものと一緒に刀が二振り入ってたの」

「刀が?」

「多分宗三左文字と燭台切光忠だな」

「…あんたの好きにすればいい。顕現するのでも、しばらく本丸内に安置しておくのでも」

太刀は薬研が、打刀は小鳥が抱えてきていた。

「だってどっちのがいいかわかんないもん…」

「うーん、本刃に聞いてみたらいいんじゃないですか?主さんも審神者なんだし、顕現してない刀の声も聞こえるんじゃありませんか?」

「…お話し、してくれるかな…?」

「してくれなかったら安置しとけばいいんじゃありません?話したくないなら顕現もしたくないでしょうし」

「…ん、そうする」

近くの部屋で、小鳥は座って打刀を膝の上に乗せて、集中するように目を閉じる。骨喰が静かに傍に控えている。太刀を手にした薬研は邪魔にならないようにか少し離れたところに立っている。

「…実休光忠だろう」

「何処かは知らないが、おそらくそうだろうな。旦那も一応、姫さんを守ろうというつもりがあるようだから、護衛のつもりで寄越してるんじゃないか」

「室内戦を想定してるなら短刀の方が適任だろう」

「都合よく丁度いいもんが見つかるとも限らんだろ」

「・・・」

本刃が話してくれるなら別だが、彼らには推測することしかできない。そしてその推測が正しいなら、この二人はややこしい場所から送りつけられている。まあ両方とも同じところから送られてきたとも限らないのだが。

そうこうしている内に宗三左文字が顕現した。

「あなた、あの男とはどういう関係ですか」

「あの男?」

「あの魔王の気配を色濃く宿した刀ですよ」

「実休光忠だ」

「実休さんと僕の関係?んー………たぶん、セフレ?」

「せふれ」

「美味しいご飯だと思われてるっぽいし」

小鳥には実休の神気がべったりついている。明らかに執着されてるし、マーキングされている。実休の小鳥への対応を知っているだけでなく、余所の本丸でどんなことをしているかも知っているものがいれば、美味しいご飯なんて対応じゃないのはわかるが、この場にそうツッコミを入れられるものはいなかった。

しかしまああの実休にこれだけ執着されてる人間に変なちょっかいをかけたら地雷なのは賢明なものであればわかるので、実休を敵に回したくないものは手を出さないだろう。本人はあまり自覚が無さそうだが。

「実休の旦那は姫さんのことご飯扱いしてるわけじゃないと思うが…あの(ひと)なりにあんたのこと大切にしてるんじゃないか?」

薬研が小鳥に太刀を渡す。

「ん-…美味しかったとか一緒にいてくれるのは嬉しいとかは言われた覚えあるけど、好きだとは言われてないし、そういうのだと思うんだけどな…」

「あー…そりゃあ旦那が悪いな」

『うちの兄が申し訳ないね…!』

「?」

「不安があるなら直接聞くのも手だと思うぜ」

「何が?」

小鳥はきょとんとして首を傾げる。

「惚れた腫れたは俺も詳しくないが、亭主の思う相手がわからんのは不安なもんだろ、嫁さんとしては」

「…?僕は実休さんに嫁いだ覚えはないし、別に惚れてるわけでもないけど。誰が好きでも彼の自由でしょ」

「え」

「貞操観念どうなってるんですか、あなた」

「嫌じゃないし、気持ちいいなら、求められて応えるくらいはいいかなって」

無邪気に返した内容がアレなので宗三は頭を押さえた。多分これ貞操観念とは微妙に違う。下手につっこむと厄介なことになりかねないのだが。

「燭台切、あなたの兄弟でしょう。どうにかしてください」

『無理じゃないかな…』

そもそも根本的な話。此処にいる刀剣男士は大倶利伽羅を除いて皆、本尊が焼けた経験のあるものばかりである。燃焼系の能力を持つ実休とはとても相性が悪い。まあある意味大体の刀剣は相性が悪いのだが…。

「僕だって本当に嫌なことなら断れ…んー…」

力づくでこられたら非力な小鳥ではどうしようもないという部分は確実にある。とはいえ、実休がそこまで強硬な手に出ることとは何ぞや、ではある。小鳥から彼らもそうだし、彼らから小鳥も信頼関係とか以前にお互いのこともまだよく知らない。出会って数日だし。

小鳥は間違いなく刀剣から見たら保護対象だ。善良で脆弱な人間。審神者の仕事についてやや知識が足りてない。相手の話を聞こうという姿勢がある。

 

 

 




実のところこの四振りもこの本丸で鍛刀されたり拾ってこられたものではなく、実休が適当に余所から拾ってきたやつ システム上はドロップ扱い 薬研はその辺認知してる 顕現自体は小鳥が初めて 宗三は一度顕現してたけど解けたやつ 燭台切もブラック産 くーさんは取得者が別の人間だった覚えはある(別の本丸から持ってこられた認識はない)ブラック本丸 
契約自体は成立してる 枠外だからカウントされてないだけ
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