刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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存在証明√の終庭軸If 睦月がさにーを見つけるやつ 管理者登録は更新している 
別にメイン本丸の時は恋心持ちじゃないんだよなあ 


快晴にいつかの空を仰ぐ

 

 

「今回のやつ、睦月の御前を連れていった方がいい…にゃ」

「睦月殿を?確かにデータによるとこの本丸は道誉一文字が祟りに堕ちたことで封じられた本丸だけれど。道誉一文字と一文字則宗はそこまで、じゃないのかい」

「いや…道誉の叔父貴がどうってより、御前に早めに関わらせといた方がいい気がするっていうか…」

「ああ、対処じゃなくて君の"予知"、影追の方か」

長義は考え込む。

「…でも彼が縁を持った本丸って此処じゃなかったよね?既に審神者が引退している可能性はあっても…」

「そこは違うはず、にゃ」

 

「此処が守夜城本丸…のはず、だけれど」

祟りを出して封じられた本丸にしては空気も環境も清浄に見える。

「審神者様に接触しませんと」

「ああ、あちらさんの方から来たようだぞ」

玄関から少女と姫鶴が様子を伺っている。いや、様子を伺っている、という様子なのは少女だけで、姫鶴の方はやや彼らを警戒している様子なのだが。

「君がこの本丸の審神者かな。俺たちは監査部の方から調査のためにやってきたものだ」

「かんさぶ?」

「政府に所属してるやつってこと。…小鳥のこと保護しにきたってんなら、だいぶ遅いと思うけど」

「その子の初期刀、とかってわけでもなさそうだね。この本丸に元々所属していた刀かな。その子の保護は、場合によってはするし必要ないと判断されればしない」

「おれとしては追い返したくもあるけど…門の凍結を解除してくれるならいいかな」

ふと長義は則宗が一切喋っていないのに気付いて目をやる。そして驚いた。則宗は少女を茫然と見つめて、無言でぽろぽろと涙を零していた。

「睦月殿?」

「あ、ああ…」

自分が泣いていることに気付いて戸惑っているような、ぎこちない動きで乱暴に目元を拭おうとする則宗に少女が歩み寄ってハンカチを彼の目元に押し当てる。

「だ、大丈夫?擦ると余計に痛くなっちゃったりするから、やめた方がいいよ」

則宗は目を丸くした後、感極まったように少女を抱きすくめた。

「この子は僕が保護する」

「えっ」

「睦月殿?!」

「一文字則宗、審神者の保護は本丸運営の継続が困難とされた場合の措置です。現状、運営不可能と判断されるような事象は観測されていません」

「…いや」

姫鶴が何か言おうとした時、猛然と道誉が駆けてきて少女を奪取した。猫の子のように持ち上げられきょとんとしている少女をしっかりと抱きしめて道誉は言う。

「俺の、妻に、余計なちょっかいを出さないでいただきたい」

「道誉」

「…事案?」

「審神者さまの照会が済んでいませんので何とも」

姫鶴が頭を押さえている。

「…いや、僕はそういう目で見てないぞ。傍において大事に守って幸せにしてやりたいとは思っているし契約も結びたいが主従だぞ。邪な目を向けた覚えはない」

「・・・」

「何もしてない…」

「まあ、あれがきっかけって言われたらちょろ過ぎになるから違うと思うけども」

黒本丸被害者とかならまだしも、相手は政府刀である。あれぐらいはままある範囲のはずである、たぶん。

「…睦月殿は一度本丸にいって自主的に出戻りしたとはいえ、数十年政府で働いているベテランだよ。好意のはき違えなんて今更しないと思うけれど」

「彼女は僕の本来の主だ」

「何を言っているのですか、一文字則宗。あなたが契約していた審神者は既に死亡していますが」

「匂菫とは関係ない。山姥切は影追の件で知っているだろう。彼女が一から本丸を作った時、特命で担当したのが僕で、その場合僕は出戻りする必要がなかったんだ」

「改変の余波による事象のズレか…」

少女は何それ知らんという顔をしている。

「……他にもいてもおかしくはない、か」

「道誉?」

「…いや。他生の縁があったところで、俺が彼女を譲る理由にはなりえないが」

「この本丸が存続するのであれば、堂々と移籍してくるとも。政府勤めに執着がある訳じゃないからな。うはは」

挑発的に笑ってみせた後、則宗は鞘走りしない本体の石突で道誉の顎を押し上げる。

「そんなことより、お前さんの方こそ、幼気な主に何をしとるんだ。健全な交際じゃないだろう絶対」

「祟りが一目惚れした相手に自制できるとでもお思いですか?ご隠居は、恋情というものを甘く見ておられるらしい」

「開き直るんじゃない」

「…まあ自己紹介より前に押し倒されてキスされたけど」

少女はこいつら何争ってるんだろうみたいな顔をしている。

「そっちも自己紹介まだだし、一文字って名乗るより先に距離詰める派なの?」

「違うから。あったとしても個体差だから」

「あ。あー…うん。今のお前さんにとって僕は初対面の刀だというのが頭からすっぽ抜けていた。すまない」

則宗は少し悲しげにする。

「ともかく、城内を調査させてもらうよ。全体がこのような状態であるなら、正常な運営が可能であるとみなされると思うけれど」

「まあ、門が凍結されている以外、問題ない状態にはしたからね。…資材がないから他の刀の手入れはできてないけど」

「兵糧攻めみたいなものだからね、凍結処置は」

「あなたの概念拘束も必要になるだろうけどね…」

 

「僕は一文字則宗。睦月というのは概念拘束の為に付けられた二つ名で、同位体が多く働いている政府内で区別をつけるための識別の呼称に過ぎないから、お前さんは則宗と呼んでくれ」

「僕は小鳥だよ。概念拘束って何?道誉にも必要らしいけど」

「概念拘束というのは、まあ平たく言えば枷だ。刀剣男士という枠から外れたもの、外れかねないものを枠の中に戻すためのな。その道誉は明らかに枠を外れとるから、野放しにはしておけん、というわけさ」

「そういえば本丸の所属刀剣リストの道誉のところが盛大にバグってるんだった」

「十中八九、変質によってシステムから正常に認識されなくなってるな。枠外個体によくあることだ」

「よくあるってほどいるんだ…」

 

 

 




匂菫はたぶん則宗以外も神寄り男士を転神させて軍に指導されてる
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