本丸配属初日
「三日月宗近。うちのけが多い故、三日月と呼ばれる。よろしく頼む」
「俺は黒兎。よろしく、三日月」
にっこりと黒兎は笑う。
「うむ。して、主は何故そのように無粋なものを付けておるのだ?」
「え?かっこいいだろ?これ。俺が考えたのを先輩にデザイン手直ししてもらったんだ。視力補正付いてるし、防具としての用途もあるんだよ」
「…しかし、それでは主の顔が見えぬではないか」
「俺三日月みたいに美人じゃないし、あんまり顔見られてると緊張して何も言えなくなる…」
「…そうか(まあ、慣れてから外させれば良いだけの話か)」
三日月はあたりを見回す。
「ところで、この本丸には他の刀剣の気配がないが…俺以外はおらんのか?」
「うん。三日月が俺の初期刀」
「そうかそうか、俺がそなたの初期刀か。それでは、心して努めねばならんな」
黒兎と三日月がニコニコ笑みを返していると、このままでは話が進まないと思ったのか、こんのすけが口を挟んだ。
「黒兎様、それではそろそろチュートリアルを始めさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「秋田藤四郎といいます。外に出られてわくわくします」
「俺は黒兎。よろしくな」
「主君は黒兎さんって言うんですね。…あ、だから兎の面を付けているんですか?」
「うん。かっこいいでしょ」
「はい、綺麗な細工物ですね」
「でしょでしょ。なのに三日月ったらさ、これのこと無粋って言うんだよ」
むー、と黒兎は口を尖らせる。
「黒兎、そのようにへそを曲げずとも良いではないか」
「気に入りのものを貶されたら腹を立てるのは普通のことですーっ」
「(多分、細工は関係なく顔を隠していることそのものに対して無粋って言ったんだろうなぁ)主君、そちらの美しい方は…?」
「俺の初期刀の三日月」
「三日月宗近だ。そなたは俺と主が初めて二人で呼び起こした刀になる」
「そうなんですか?それは光栄です!」
和気藹々している三人を見て、こんのすけは先行きの不安を感じていた。三人とも箱入りぽやぽやマイペースだ。実力派然程心配ないが、それ以外の部分に不安が有る。本丸の中ならばこんのすけ他式神たちがサポートを行えるのだが。
「黒兎様、一部隊は六体まで配置できますので、後四回、鍛刀いたしましょう!」
「ん、わかった」
こんのすけに促されて行った四度の鍛刀で降ろされた刀は、順番に、堀川国広、薬研藤四郎、山伏国広、そして
「…山姥切国広だ。…何だ、その目は。写しというのがそんなに気になると?」
「おー、まんば君だ」
「えっ」
「カッカッカッ。これで三兄弟が揃ったのであるな」
「これで少しはバランスが良くなったかな?会えて嬉しいよ、兄弟」
山姥切は戸惑った様子で周囲を見る。
「俺は黒兎。よろしく、まんば君」
「…まんば君は、やめろ」
「えー、じゃあ…切国君」
「(君付けはやめないのか…)…それなら、いい」
「それでは、人数も揃ったことだし戦に出るか」
「おー。…あ、でもその前に刀装揃えないと。怪我したら大変だし」
「…だが、早々に切国の旦那が来てくれて助かったぜ」
「…何故だ?」
「大将の初期刀は三日月の旦那だ。この異様さ、初期刀として降ろされる事の多いあんたならわかるだろう?」
「…俺を含めた五口の打刀が降りることが多いとはいえ、それ以外の刀が降りることがないわけじゃないが、流石にあの天下五剣を、というのは…」
「大将が変わってるのはどうしようもないが、旦那がいたら旦那が初期刀で、三日月の旦那は早々に鍛刀で来たんだろう、と勝手に勘違いしてくれるだろ」
「…そう勘違いさせようって気があいつにあれば、だがな」
「俺たち全員が大将と仲良くなれば問題ないさ。…ってわけで、旦那も一人で卑屈になってないで大将と仲良くなる努力をしてくれよ。大将、引いたら引いちまうお人みたいだから」
「…善処する」
「やっぱり、この顔ぶれなら僕が頑張らないと」
堀川は一人決意する。
戦闘面では、三日月という現在確認されている刀剣男士の内で最も強いと思われる太刀がいるのだから特に心配はない。だが、これから共同生活する上で頼りに出来そうなしっかりものは、強いて言えば薬研くらいである。主である黒兎は未知数だが、三日月、秋田と同じく箱入り臭がする。山伏は神職寄りの美術品だし、切国は世話を焼くタイプではない。
刀が増えれば、また状況が変化するのだろうが。
「どうかしたのであるか?兄弟」
「え、ううん、何でもないよ。ちょっと改めて気合を入れてただけ。兄弟は?」
「拙僧も少し考え事をしていたところである。主殿は少々善人
幾つかの戦場を巡った結果、三口の短刀がドロップした。今剣、前田藤四郎、乱藤四郎だ。ちなみに今剣は三連ドロップしている。二口目以降はとりあえず保管庫に置かれているが。
「…女の子?」
「刀剣
「そ、そうだよね…」
「なぁに?主様、僕と乱れたいの?」
「いや、あの…僕、気の強い女の子と同意できない所で笑う女の子が本当すごく苦手で…」
黒兎は視線を彷徨わせる。
「気の強い人全般じゃなくて、女の子限定なの?」
「…だって、女の子は反撃したら僕が悪者にされるもん」
「・・・」
乱はそっと黒兎の手を取った。
「主様のことは僕が守ってあげるから、大丈夫だよ」
「
「っていうか、主様のこといじめたのって誰?僕が懲らしめてあげるよ」
「え、いや、もう10年以上前のことだし…あっちは多分覚えてないだろうし、そんな子供の頃のこと何時までも引きずってる俺が女々しいだけだから」
黒兎は肩をすくめた。
「主さん、料理できるの?」
「出来るって程できないけど、お手伝いくらいならできるよ。あんまり凝ったものは作ったことないけど…手順の複雑じゃないものくらいなら出来るから」
任せて、と黒兎は微笑って腕まくりをする。
「(主さん主体じゃないんだ…)それじゃあ、お手伝いお願いします。…でも、まずは今日の献立を決めないと」
堀川と黒兎は背丈で言うと堀川の方が少し高い。
「主さんは何がいい?」
「え?うーん…あ、じゃあ、オムライスがいい」
「オムライス?」
「味付けして焼いた混ぜご飯を焼いた卵でくるんだ料理だよ。えっとね…あ、キッチン端末あった。レシピ帳はー、と…あ、なんかいっぱいバリエーションがあるや」
「うーん…僕にはどれがいいか判断できないから、主さんが決めてくれますか?」
「…俺もどれがいいのかわかんない…んー…調理難度でフィルタかけて…材料…んと…じゃあ、これ」
黒兎はレシピの内一つを選んでボードに表示させる。分量を十人前に切り替えた。完成図と調理過程の画像もついている。
「…今は、随分便利なものがあるんですね」
「俺は寧ろ、ないと不便、って思うなあ…」
次の日。
ノルマをこなすための鍛刀を三回行った。最低限しか行わないのは、黒兎が人の顔と名を一致させるのが苦手なので一気に増えると覚えられないかもしれないからである。
そして、この日の鍛刀でやってきたのは鶴丸国永、へし切長谷部、一期一振の三口だった。
「わあ、一兄にこんな早く会えるなんて、嬉しいです」
「いちにいさん、秋田君のお兄ちゃん?」
「はい、私は藤四郎兄弟の長兄、のようなものですな」
「こんな早く、ってのは具体的にどれくらいなんだ?」
「昨日この本丸に配属されたところだよ」
「僕が、主君と三日月さんが初めて鍛刀した刀なんですよ」
「………なんか今、信じ難い単語が聞こえた気がするんだが…主の初期刀は一体誰なんだ?」
「俺の初期刀?三日月だよ。三日月宗近」
「…マジか」
「マジだよ?」
黒兎は鶴丸が何に驚いているのかわからないという顔で首を傾げている。
「主、此処で話し込むより、一度場所を移した方が良いのではないかと思うのですが」
「うん、わかった。とりあえず、広間の方に行こう」
後で本丸の中の案内もしないと、と黒兎は呟いた。
その日戦場でドロップしたのは粟田口ばかり四口だった。鯰尾藤四郎、骨喰藤四郎、五虎退、そして鳴狐。かなり偏っている。
「わー、面仲間だ」
「…狐は兎を狩るものだけど」
「僕はそう簡単に狩られないよ。ウサギはウサギでも、ヴォーパルバニーだからね」
黒兎はえへんと胸を張る。ちなみにヴォーパルバニーとは、某ゲームなどに出てくるウサギ型のモンスターで、牙で首を狩る即死攻撃を持つ殺人ウサギである。そしてヴォーパルとはジャバウォックを倒せるとされる架空の剣の名だ。切れ味鋭く、突き刺すのに長けているという。
「…?」
「主殿、ぼぉぱるばにぃ、とは何なのでしょか」
「えー、えっとね…首狩りウサギ!」
「えっ」
「可愛いウサギさんと見せかけて、牙で首狩りする殺人ウサギだよ。…俺は、人は殺したことないけど」
ただし遡行軍は倒している。
「つまり、すっごく強くて凶暴なウサギってことですね」
「うん、そう」
「…あまり強そうには見えないが」
「いや、黒兎は強いぞ。元より、己の力のみで俺を降ろせる者が弱いわけがあるまい」
「…?」
「三日月さんは、主君の初期刀なんですよ」
「え」
「はっはっは。まあ、そういうことだ」
「…なんか、皆驚くけど、三日月が初期刀って変なの?初期刀が打刀じゃない人は偶にいるって聞いたけど」
着ぐるみの代わりに半面(兎モチーフ、目のところにレンズ入り)
秋田は三日月近侍ALL50で実際出たやつ
先輩(性別不明)面で顔隠してるタイプの審神者 赤猫先輩 初期刀まんば君
今剣3連ドロは三日月レベリング中に実際にあった