正直予想の出来た結果ではあった。
「リカはこれでいいのか?」
「寧ろ、肩の荷が下りた感がありますね。和泉守とか新選組の刀剣に気を使わなくていいですし」
「俺も打刀の
「あの辺はお互いに負い目みたいなのあるみたいだから厄介なんだが」
どうも、大倶利伽羅の元いた本丸で燭台切が折れているらしい。まあ、それを言ったら、この本丸では過去に大量の大倶利伽羅が折られてるくさいのだが。
「俺には関係ない」
「うん…まあ、そうだろうね」
刀種が違うという個体差の話を差し引いても、別個体の、過去に別の審神者に喚ばれた刀の話をしても不毛である。感性もかなり違っていそうだし。
「そういえば、大倶利伽羅は特に扱いが酷かったみたいですよねー。何があったか知りませんけど」
「どうせ俺たちから見れば下らない争いだろう」
「…そう決めつけるのはどうかと思うが」
無茶苦茶な采配で折れた刀自体はそれ以外にもいるらしいが、そう片付けるには大倶利伽羅の対応のみ異常…というか、最終的に来た大倶利伽羅の全てが折られているらしい。わざわざ顕現してから。
それでいて前任の刀剣からの評価が悪くないというのもある種異常ではあるのだが。
「リカもロミも少しは"未来の自分"をフォローしてやっていいと思うんだが」
「っていっても、精神的にほぼ別刃ですし」
「あっちは慣れ合いたくないらしいからな」
「人嫌いとかとはまた違いそうだけどね。♪大切なものを失うくらいなら、いっそのことゼロのままでもいい、って所かな?」
「僕はいずれ喪うとしても欲しいものは手に入れたいですね」
「リカは図太いよね」
「主命とあらば、何であれ」
「それは、主命でなければ何もしない、ということか?」
「シゲ、多分それ突っ込んじゃいけないやつ」
「主の手を煩わせるだけなら、近付けない方が良いかと」
「この本丸に構ってちゃんがどれだけいると思ってるの。余程の問題行動があるとかじゃなきゃ、そうそう目くじら立てなくていいだろ」
「"これ"が未来の自分の姿かと思うと俺にも色々と思う所がありまして」
「わからないではない」
国重と長谷部は外見(というか服装)も性格も相当異なっている。しいて言えば、二振りとも自他ともに刀に厳しいところは同じかもしれないが。動物に例えるなら狼と猟犬かな、とツグミは思っている。
「…こちらも、太刀だった頃の己はこんな男だっただろうかと頭を捻りたくなってくるな」
「その辺りは主の影響だろう。お前たちより蓄積した経験が少ない分主からの影響が表に出やすいらしい。前の主の中に特に印象に残っているものもいないしな」
「・・・」
「ってことは多分、名前を付けてもらってから見える世界が変わってきたんだろうねー」
「かもしれませんね」
「モトは宗三と外見だいぶ違うよね」
義元は江雪や小夜と同じく碧いし、オッドアイでもない。僧服も江雪程きっちりは着ていないが、着崩していない。髪は長めで少し癖が弱い。
「あちらは二度焼けて再刃していますからね。その分僕と違ってしまっているんでしょう」
「…バミも焼けて再刃されてるんだよね。そんなに大変なことなの?」
「まあまず、再刃しても切れ味は戻りませんからね。観賞用のお飾り刀です。刃紋がきちんと再現されるとも限りませんし」
「それは…辛そうだね」
「こうして刀剣男士として降りた本体にはきちんと切れ味が備わっているようですけどね。…ある意味、概念みたいなものなのかな」
「…まあ、それを言ったら、手入れしたら付いた傷が消える時点で大概だと思うけどね。"本当は"手入れじゃどうにもならないでしょ」
「腕のいい職人ならある程度は修理できるかもしれませんけどね。それでも限界はあります。傷を隠す為に彫り物をする場合もありますし」
「♪~」
ツグミの低い歌声が響く。
「♪~」
背中あわせに座っているのは骨喰。憂鬱そうにしている。一曲歌い終えて、骨喰をちらりと見た後、ツグミはまた歌いだす。
「♪~」
歌い終わったところで骨喰が言う。
「…それは、俺より切国に聞かせるべき歌なんじゃないか」
「僕は歌いたい歌を歌ってるだけだよ。聞いた奴がどう思うかなんて関係ないね」
「…愛してるだの好きだの入ってる歌を狐やら鶴やらの前で歌わないでくれ」
「確約はしかねる」