刀剣たちと過ごす日々   作:ペンギン隊長

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見習い来る


魔法の呪文は必要ない2

 

 

(ゲート)を通ってやってきた見習いを出迎えたのは内番・手合わせを割り振られていた太郎太刀と堀川国広だった。とりあえず、と一の丸の広間の方に連れていくことにする。門の起動を感じ取って自室前の廊下からそれをずっと見ていた小鳥は肩をすくめた。

「岩戸決定」

「顔を合わせてからにしてくださいと言っているではありませんか」

「見ればわかる。相性最悪」

見習いはメイクばっちし、ネイルデコってるし御洒落に気を使ってる感じの女性だった。おそらく成人したて(18歳)くらいだろう。

「そもそも、遅刻してる時点で問題外」

予定では、刀剣たちは見習いと顔合わせをしてから業務を始める予定になっていた。一刻待って来なかったので待つのをやめて業務開始したのが二刻前の事である。

いつのまにか、小鳥の手元には鮮やかな青紫の羽を持った鳥が留まって羽繕いをしている。

「こんのすけ、後は任せた」

小鳥は()を放して室に入る。式は少し囀った後、広間に向かう。こんのすけも溜息をついてそれを追いかけた。

 

 

 

「揚羽です、よろしくお願いします」

自己紹介して、見習いは部屋を見回す。

「それで、えっと、此処の審神者の方はぁ…」

「えっと、主さんは…」

苦笑いした堀川が一拍置いて答えようとした時、部屋に式とこんのすけが入ってくる。

『こちらに話す事はない。聞くべき事があると思うならそいつらに聞け』

「…使いの式、ですか?」

「主さまに任されました、この本丸の式を統括しております管狐、こんのすけと申します」

「主は顔を合わせるつもりはないと」

「えー…仲良くできる気がしないそうです」

「主さん、気難しい人だからね…」

堀川は苦笑する。太郎は僅かに眉を寄せた。

「言葉を交わしてすらいないんですから、そんなのはわかりませんよ」

『女の子怖い』

「…あー、そういう?」

「――ふいー、戻り戻りーっと」

「おや、見習いさん、かな?」

「見習いさんって、女の方なんですねぇ…」

遠征第二部隊のカンスト三振りが顔を出した。一時間の遠征に行って来たところである。

「…主の姿がないってことは、宣言通り天岩戸しちゃった?」

「ええ、まあ…」

「ふぅん…。俺は加州清光。あんたって、初期刀はもう決まってるの?」

「いいえ、こちらで話して、知ってから選んでもいいんじゃないか、って言われています。あ、私は揚羽って言います」

「へー。…正直、うちの連中はあんまり参考にしない方が良いと思うよ?特に歌仙。うちのは主ガチ勢過激派だから。所謂亜種ってやつ?」

「主に顕現された子は過激派が多いよねぇ。…暴力的な意味で。自制心がないわけじゃないけど」

「前田の兄弟とか、武力解決に躊躇いがないんですよねぇ…」

青江と五虎退がしみじみと言う。

 

 

 

小鳥と歌仙以外、なんだかんだで見習いとの顔合わせを終えた。律儀に挨拶に行こうとした見習いを物吉と薬研がやんわり止める。

「大将は知らない人間と話をするとすごく疲れちまうお人なんだ。あんたの気配に慣れるまで待ってやってくれないか」

「歌仙さんは主様の安寧を何よりも優先していらっしゃいますから…邪魔をするのは自殺行為です」

「…そんな危険人物なんですか?」

「なんだかんだ、旦那も練度が上限に達してるし、旦那の世界の中心は大将で、大将を中心に旦那の世界は回ってるからな。敵に回したら命がない」

「でも、だからといって挨拶しないのはとても失礼ですよね…?」

「えっと、それでは。歌仙さんの方は僕たちが呼んできますから、主様に会うのは今は諦めてください」

 

 

「僕も関わるつもりはなかったから、挨拶なんていらなかったんだけどね。…僕は歌仙兼定、見ての通りの文系名刀さ。主を待たせたくないから、用があるなら手短に済ませてほしいな」

「え、あ、はい、揚羽です、よろしくお願いします」

「主は歌仙が多少長く席外しててもそう気にしないんじゃない?体調崩してるわけじゃあるまいし」

「丁度、三条の太刀二振りが主を訪ねてきてたから、今、主はあの二振りと三人でいるんだよ。心配極まりないだろう」

「…あー」

加州は神妙な顔をする。あのジジィ太刀、小鳥に対するナチュラルセクハラが多いのである。本人たちに自覚があるかわからないが。

「どちらかと二人きりよりはましなんじゃないか?歌仙の旦那、幾らなんでもピリピリし過ぎだぜ、もっと笑ってみたらどうだ」

「無理だ」

即答だった。

「主以外に微笑む意味が見出せない」

「アイソワライって言葉を知らないのかい、旦那」

「嘘がつけない性質なものでね」

肩をすくめる。

「用事がないなら、僕は主の元に戻ってもいいかい?」

「え、はい、お手数をおかけしました…」

「この本丸で学べる事なんてたかが知れているだろうし、手早く学んで自分の本丸に行ってくれよ。ではね」

「は、はあ…」

歌仙はさっさと自室の方へ戻っていった。

「…旦那の言う事ももっともなんだよなあ」

 

 

 

 

 

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