主殺しの刀剣もちらほらいるが、手にかけてはいないのの方が多い
限りなく黒に近いグレー本丸で主が病死した膝丸 人を恨んでいるという程ではないが、穢れはたまっている
はせべ、顕現する 躯までショタ化はしてない 表情はショタいけど
国広も近日に来る 預かってるだけのはフルネーム呼びだろうか
膝丸√の髭切も似たような経緯で来てるけど、膝丸程頑なじゃないのであっさり契約結び直している
はせべは膝丸とは別本丸
「源氏の重宝、膝丸だ。どれほどの期間になるかわからないが、よろしく頼む」
「小鳥だよ」
小鳥は膝丸の本体を見て言う。
「膝丸は太刀、でいいのかな」
「ああ。特に磨り上げなどはされていないからな。俺も兄者と同じく太刀だ」
小鳥は軽く首を傾げる。
「膝丸の旦那は髭切の旦那の兄弟刀だ」と近侍だった薬研が補足する。
「そういえば、髭切は自分にも弟がいたって言ってた」
「…そうか」
「(…
「迷惑…迷惑、なぁ」
「…多分僕の方が世話をかけてしまっている割合が大きいんじゃないかなあ」
「お嬢たちの場合、お互いの世話を苦に思ってない感じじゃないのか。似た者同士というか」
喚んでないし主従でもないのに。
「まあ、夫婦は似るって俗説もあるし、僕たちは夫婦とかじゃあないけど、それなりに一緒に暮らしてたわけだし」
相手のリズムが判ってる、っていうのかな。お互いのリズムに合わせるのが仲良くするってことだろう。
「…小鳥は、とても素直な性根をしているのだな」
「そうかな?」
「まあ、捻くれた根性はしていないんじゃないか」
その本丸は滅多に見ない程の清浄な気に包まれている。これだけ清らかな場所はそうそうないだろう。現世には余程ないに違いない。
ただ、所属している刀剣はそうでもない。まあおそらく膝丸と似たような事情を持っているのだろう。
「…この本丸は小鳥に顕現された刀剣の方が少ないのか?」
「まあ、お嬢は政府から鍛刀を禁じられてるからな。ドロップも少ないし偏ってるし、一時預かりかと思ったら居ついちまった奴の方が多いな。お嬢は基本的に来るもの拒まず去る者追わず、だし」
揶揄うような調子で薬研は言う。
「膝丸の旦那はどうなるかね」
「…俺は、兄者を待たせているからな。ずっと此処に留まっているわけにはいかない」
「…そうか。まあ、うちも今は人手不足って程じゃないから旦那を無理に引きとめたりはしないさ」
「まあ、縁があれば他の"俺"が来ることもあるだろう」
「…ねぇ、この書類ってどういうものなんだい?」
髭切が執務室の隅に積まれた、おそらく手を付けられていない書類の束を見て言う。小鳥はそれを見て、興味なさそうに言う。
「政府からのレポート。…ざっくり言うと、預かる刀剣に関する情報。僕は目を通すつもりはないけど」
「何故だい?」
「話してないことが知らない相手に知られてるって、きもちわるいじゃん」
「んー…内容にもよるんじゃない?僕は自分の逸話とかは知られてる方が嬉しいけど」
「それ、刀剣の逸話とかじゃなくて、元の本丸がどんなで、本刃や共に所属してた刀剣がどんな扱いを受けてて、今どうなってるか、とか纏めてるやつだから。知ってて欲しければ自分から言ってくるだろうし、知られたくない場合もあるんじゃない」
「…ふぅん」
髭切は一番上にあった書類をちらりと見る。
――XXX番本丸所属-膝丸、五虎退、物吉貞宗――
――過剰な出陣、折檻――
――審神者の病死により本丸を解体――
――折れた刀剣は、同田貫が二振り、鶴丸が一振り、髭切が一振り――
――多数の刀剣が刀解を希望、浄化の必要なもの以外は全て刀解済みであり、穢れを溜めこんでいたものは浄化を済ませ次第順次――
髭切は僅かに眉を眇めた。
「…まあ、よくある話と言えば、そこまでだけど」
彼も兄弟を喪っているのだなぁ、と思う。まあ、ブラック出身ならままある話ではある。環境の悪い本丸だから、ブラックと言われる。無理な進軍で多数の刀剣が折られたり、それ以外の理由で複数の刀剣が折れることがブラック認定の一つの指針となっている。
「よくある話かどうかと本人がどう感じるのかはまた別の話だろう」
「…そうだね」
小鳥は膝丸と共に持ち込まれた、顕現を解いている刀剣の手入れをしていた。一度
だから、彼女は殊更話しかける事もなく、ただ淡々と手入れをしていく。どの刀も等しく丁寧に。
自分の
「あるじ」
きょとんした瞳で己を見る少女に彼は問いかける。
「あるじ、おれはあなたのやくにたてますか?」
「…僕は、頑張っている子に役立たずとは言わないよ」
本当は彼にも目の前の少女が己の"主"とは似ても似つかない別人だということはわかっていた。わかっていたけれど、彼女がその手を拒む事はなかったから、それを見ないふりをした。
「あるじ、おれはあなたのためにちからをつくします」
彼はそう言って微笑した。
「…主、そいつは長谷部とも国重とも別の奴…だよな?」
「なんか懐かれた」
実際はどうあれ、小鳥の認識はそんなもんである。
「懐かれた、って君なぁ…」
「おれはあるじのはせべだからな!」
「ということらしい」
「・・・」
良くも悪くも、彼女は細かい事は気にしない。鶴丸は頭痛に似たものを感じた。
「はせべの自室とかは…長谷部に任せておけばいいかな」
「…いや、俺が差配しよう。代わりの近侍を呼んでくる」
「わかった」
「…それで、本日はこれからどうする予定となっていたのですか…?」
「特に決まってなかったけど…畑の様子でも見に行こうかな。今日の畑当番は確か、前田と後藤だったかな」
「…何か、心配ごとでも?」
「ん?そういうんじゃないけど。…けど、江雪畑仕事好きだろ?僕は書類仕事はあんまり好きじゃない」
「…鶴丸殿はじっとしている事を好まないのでしたね」
「まあ、溜めない程度にちょこちょこやってるんだけどねー」
近侍は日替わりで務める事になっており、週初めに一週間まとめて決めている。刀剣によって向き不向きがあるので、その時の近侍で何をするのかある程度決めている。
といっても、小鳥がしなければならないのは書類仕事と手入れくらいで、後は刀剣に任せてもいいのだが。
「…私は、書類仕事の手伝いでも構いませんよ」
「いや、僕が書類仕事は先送りしたいの」
「・・・」
この本丸において、近侍と白刃隊の部隊長は別枠である。審神者が戦場に出ない以上、当然と言えば当然かもしれないが。
「おや、今日の近侍は鶴丸ではなかったか?」
「…急用が、出来たそうです…」
「…珍しいな」
友成は神妙な顔をする。鶴丸は近侍でなくとも小鳥の傍に居たがる。それを、自分から近侍を外れたというのは、少なくともそうしようと思うだけの何かがあったということになる。それが何かまでは今の情報ではわからないのだが。
「…ああ、そうだ忘れるところだった」
友成は太刀を一振りと打刀を二振り、小鳥に渡す。
「こちらの打刀は二番隊と三番隊、そしてこちらの太刀は我が一番隊が拾ってきた刀だ。主がまだ顕現させていない刀だったので持ってきた」
小鳥は受け取った刀を見やる。和泉守兼定、へし切長谷部、三日月宗近。いずれも引き継ぎでこの本丸に存在している刀剣だ。それぞれ経緯は様々だが。
まあ、被っていようがなかろうが、顕現させてくれと渡されれば小鳥が拒否することはない。小鳥にとって同一の本霊を持つ刀剣でも別個体なら別の刀剣のようなものである。
「俺は和泉守兼定。かっこよくて強い今流行りの刀だぜ」
「へし切長谷部と申します。主命とあらば何でもこなしますよ」
「三日月宗近。打ち除けが多い故三日月と呼ばれる。よろしく頼む」
「兼さんとへっしーとみかちゃんだな。僕は小鳥だ」
「みかちゃん」
「みかちゃん」
友成が聞き返すと小鳥は頷いた。まあ、既に三日月と宗近はいるのだが。
「まさか、そのように可愛らしい名で呼ばれるとは思わなかったな」
「そっちの二振りは自己紹介しねぇのかよ」
「…江雪です」
「友成だ。この本丸は少し特殊だからな。少々驚く事もあるかもしれないが、まあ、細かい事は気にするな」
「主、できればへし切ではなく長谷部と呼んでいただきたいのですが」
「流石に漢字表記とひらがな表記とカタカナ表記を呼び分けられる自信ないからパス」
「は…?」
「…うん?もしや、増えたのか?」
「うん、ちょっと他の子よりひらがな表記っぽいのが」
「…ということは、鶴丸の用事はそれ関連か」
「一体何の話だ?」
「この本丸には主の喚んだわけではない刀剣が複数いてな。君たちも全員被っている。…主が自ら顕現した刀で言えば被っていないがな。それで、へし切長谷部はへっしーで四振り目だそうだ」
「…マジ?」
「…えっ」
「…ほう」
「…皆が皆、二振り以上いるというわけではありませんが…」
「あんまり増えると呼び名を考えるのが大変なんだけどねー」