ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 全年齢のつもりで書いていますが、念のため15禁にしておきます。




〈 みみそうじ2 〉

 

 ヒトの居なくなった宿泊施設。

 

 ベッドの上で、サーバルがかばんに膝枕をして、耳掃除をしていた。

 

サーバル 「やわらかいのと、かたいの、どっちがいい?」※

かばん  「……ぼく、奥の方、こりこりするの好きなんだ。……だから、かたいので……」

サーバル 「自分では見えない部分だけど、わたしもこんなふうになってるのかな?」

かばん  「じっくり見ちゃだめだよ……恥ずかしい」

サーバル 「赤くなってるね、かわいい」

 サーバルは端の部分をつまんで、優しく揉んだ。

かばん  「ふあっ」

かばん  「かばんちゃん敏感だね」

サーバル 「そこは、みんな、んっ、敏感……。て、今は、そこじゃないでしょ……」

サーバル 「ぬれてたほうがいいんだよね? ……じっとしててね」

 サーバルは、かばんの穴の周りをなめた。

かばん  「うあ、なにしてるの?」

 サーバルは、かばんの穴に舌の先を突っ込み、細かく前後に動かした。

かばん  「んん、やめてよ、汚い、よ」

 サーバルは、かばんの穴から舌を抜いた。

サーバル 「ごめんね、あとでふいてあげるよ」

かばん  「そういう意味じゃないよ……」

サーバル 「ぬらしたから、いいよね? ……入れるよ」

 サーバルは、かばんの穴に棒を突っ込んだ。

かばん  「うあっ」

サーバル 「動いちゃだめ、あぶないよ」

かばん  「そんな、乱暴にしちゃ、だめだよっ」

サーバル 「ごめん、やったことないから、よくわからなくて……」

かばん  「いちばん奥、わかる、かな?……それ以上は入れちゃだめだよ」

サーバル 「…………たぶん、ここが、いちばん奥だね」

かばん  「あぁっ、サーバルちゃ、すごい、そこ、いちばん、いいところ、だよ」

サーバル 「野生の勘、かな? ……こりこりって……こんな感じ?」

かばん  「いいよ、じょうず……。あっ、ああっ! ……もうちょっと、やさしく」

サーバル 「痛かった?」

かばん  「やめないで……。気持ちいいけど、あとで痛くなっちゃうから……」

サーバル 「やさしく……こりこり……」

かばん  「あっ、あっ、サーバル、ちゃん、うまいうまい……。んああ……気持ちい……」

 

 

 隣の部屋。

 

 フェネックとアライグマがベッドの縁に座っていた。隣の部屋から、かすかにかばんとサーバルの声が聞こえていた。

 

フェネック 「サーバル、やるねー」

アライグマ 「フェネック、その……」

フェネック 「どうしたの、アライさん」

アライグマ 「アライさん、ふたりの声、聞いてたら……がまん、できなくなちゃった、のだ」

フェネック 「わたしも同じ、かなー」

アライグマ 「……フェネック、この前の、あれ、してほしいのだ」

フェネック 「あれじゃわからないよ、アライさん、どうしてほしいの?」

アライグマ 「……いじわるなのだ……。その……気持ちいいこと、してほしいのだ」

フェネック 「しょうがないなー」

 フェネックはベッドの上に正座をして、太ももをポンポンと叩いた。

フェネック 「ほら、おいでー」

アライグマ 「ちがうのだ! そうじゃないのだ!」

フェネック 「何してるのアライさん、みみそうじは脱ぐ必要ないでしょ」

アライグマ 「フェネック、アライさん、される方じゃなくて、する方になっちゃうのだ!」

フェネック 「それも悪くないね。……というか、わたしも限界なんだけどねー」

 フェネックは、いつも通りの棒読みっぽい口調だった。

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 ※ やわらかいのは綿棒、かたいのは耳かきです。

 




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 ただの耳掃除です。耳かきで耳の奥の方を強くこすると炎症を起こすことがあります。悪化すると、かなり痛いので、やめたほうがいいです。


 [ 初投稿日時 2018/03/30 18:30 ]
 

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