ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

15 / 100
 
 まえがき

 このおはなしには、特に「いつ」という設定がありません。ただし、黒い巨大セルリアンとの戦いよりも後です。かばんたちが島の外へ旅に出る前かもしれないし、帰って来たあとかもしれません。

 改行位置などを調整しました。スマホ等、環境によっては表示が変になるかもしれません。一行全角44文字とします。



〈 しょくざい 〉

 

 ロッジの食堂。※1 

 

 かばん、サーバル、アリツカゲラ(以下アリツ)が、立って会話していた。タイリクオオカミ(以下オオカミ)が座ってテーブルに向かい、漫画の原稿を書いており、隣にはアミメキリン(以下キリン)が座って作業を手伝っていた。

アリツ  「よくわからない部屋があるんですが、かばんさんならなにかわかるのでは、と」

サーバル 「なんかおもしろそうだね。見てみようよ」

 かばん、サーバル、アリツが、食堂の隣の部屋に入った。

 そこには、ステンレス製のテーブル、三口のガスコンロ、、フラットグリル(鉄板)大きなレンジフード、油の入っていないフライヤー、オーブン、大きくて深いシンク、業務用食洗器、冷蔵庫と冷凍庫、食器を収めた棚……などがあった。

かばん  「料理をつくる場所、じゃないかな? ここは昔のままなんですね」

アリツ  「やっぱりそうですよね。頑丈なつくりで改装できなかったんです」

サーバル 「なんだろう、これ」

 部屋の奥に、人が通れる大きさの、密閉式の扉が二つあった。扉には、横向きの、棒状の取っ手がついていた。

かばん  「とびら、だね」

アリツ  「そう、それなんです。一番わからないのは。開けてみたら、へんな音がするし、

      においもおかしいんです。それに、つめたい……」

かばん  「冷たい?」

アリツ  「こわくなってすぐに閉めて、そのあとは、一度も開けていません」

かばん  「ちょっとこわいけど、あぶないものではない気がする」

サーバル 「見てみないとなんだかわからないよ」

 サーバルが、扉の一つの、取っ手のあたりをぺしぺしと叩いた。

サーバル 「これ、どうやって開けるのー?」

かばん  「サーバルちゃん、ちょっとどいてね」

 かばんが扉の取っ手を掴み、引っ張った。ガチャリ、と取っ手が手前に動き、扉が開いた。

サーバル 「開いた! わわっ! つめたい!」

 扉の先には、小さな物置小屋ほどの部屋があり、段ボール箱がいくつか置いてあった。かばんと

サーバルが部屋の中に入った。

かばん  「ここだけ空気が冷たいんだね。ふしぎ」 ※2

サーバル 「ぶーんって音がするよ。ここだね。……風が出てる?」

 サーバルは、壁の高い所にある吹き出し口を見た。

かばん  「レタス? 野菜が入ってるのかな?」

 段ボール箱の一つには、レタスの文字があった。

サーバル 「これがにおいのもとじゃないかな」

 かばんが箱を開けた。その中には、傷んで茶色く変色したレタスが入っていた。

かばん  「これは食べられないね。アリツさん、あぶなくないですよ」

 アリツも追って中に入り、ほかの段ボール箱も開けてみた。ほとんどが野菜や果物だったが、痛みが激しく、食べられそうなものは無かった。中には青果物以外のものもあった。

かばん  「プリン?」

 その段ボール箱の中には、カップ(密封容器)入りのプリンがたくさん入っていた。

サーバル 「なにそれ! 食べもの?」

かばん  「おいしそうだけど、古いから……」

 パキっと音がした。サーバルが、プリンのカップにかみついていた。

サーバル 「うみゃみゃみゃ」

かばん  「うわあっ! 食べちゃだめだよ!」

 プリンのカップが潰れて、ぶちゅ、と中身が飛び出した。

 

 ウォークイン冷蔵庫の外に出た三人。かばんがサーバルの顔をペーパータオルで拭いていた。

サーバル 「甘くておいしかったよ! ※3  かばんちゃんも食べてみなよ!」

かばん  「ぼくは遠慮しておくよ……。おなかこわすから、サーバルちゃんも、食べるのは

      やめようね」

サーバル 「えー」

アリツ  「食材をたくわえるための場所だったんですね」

かばん  「冷たいのは、長い時間保存するためなんだと思います。でももう古すぎて食べられ

      ないものばかりですね。もうひとつのとびらも開けてみましょう」

 もう一つの扉も、先ほどと同じようなつくりだった。かばんが扉の取っ手を掴み、引っ張ると、ガチャリ、と取っ手が手前に動き、ベリっと音がして、扉が開いた。

サーバル 「みゃっ! もっとつめたい!」

 扉の先は、先ほどと同じような部屋だったが、たくさんの段ボール箱が詰め込まれていた。

かばん  「せまいね。ひとりしか入れないかな? ……さっきより寒いね……」

 かばんが先に中へ入った。それを追ってサーバルが入った。

サーバル 「わたしも! ……みゃあっ! なにこれさむい!」

 サーバルが、中に入った勢いで、かばんの背中に抱き着いた。

かばん  「わっ!」

サーバル 「……かばんちゃん、あったかい……」

かばん  「出ればいいじゃない。サーバルちゃん寒いのにがてでしょ?」

 サーバルは、かばんを強く抱きしめ、かばんの肩にあごを乗せて、ささやいた。

サーバル 「……もうちょっと……このままで……」

 サーバルは、頬をぐりぐりとかばんの頭にこすり付けた。

かばん  「…………もう……しょうがないな……」

 

オオカミ 「いいネタ頂いたよ」

かばん&サーバル「え?」

 かばんとサーバルが振り返ると、ウォークイン冷凍庫の外に、オオカミとキリンが立っていた。サーバルはかばんを離した。かばんの顔は少し赤かった。

アリツ  「邪魔しちゃだめですよ……」

キリン  「だめよ! このまま放っておいたら、ふたりはとんでもないことになっていたわ!」

かばん  「とんでもないことってなに!?」

オオカミ 「ここから先は……そうだね、偶然扉が閉まって真っ暗になり、へんなふんいきに

     なって、かばんが振りかえって、サーバルを壁に………無理やり……を……して……」

 オオカミが、小声で何かをしゃべり始めた。サーバルが顔を赤くしていった。

オオカミ 「サーバルの……を、………………」

サーバル 「かばんちゃんはそんなことしないよ!」

かばん  「なにを言ったんですか!」

オオカミ 「逆のほうがよかったかな?」

サーバル 「……それはできな! ……いいかも……」

かばん  「よくわからないけど、ここではやめようね」

 かばんが顔を赤くして、サーバルの方を向いて少し笑った。

キリン  「先生、突破口が開けましたね!」

アリツ  「やっぱり邪魔しないほうがよかったんじゃ……」

 

 かばんがウォークイン冷凍庫に置いてあった段ボール箱を開けると、中には真空パックに入った冷凍食品がたくさん入っていた。

かばん  「つめたい……雪みたいだよ」

サーバル 「みせてみせて!」

 かばんはサーバルに、真空パックを渡した。それには赤と白のまだらの平たいものが入っていて、表面に霜がついていた。

サーバル 「なにこれすっごくつめたい! これも食べものかな?」

 サーバルが真空パックにかみついた。

かばん  「食べちゃだめだってば!」

サーバル 「うみゃー、開かないよ! これでどうだ!」

 サーバルが真空パックを爪で引っ掻いて破いた。そして中身のにおいをかいだ。

サーバル 「くんくん……わからない……なにこれ……」

 サーバルの表情が消えた。

かばん  「サーバルちゃん?」

 サーバルは真空パックの中身を一口食べた。シャーベット状になったそれは、しゃく、と音を

たてた。

サーバル 「つめたくて、おいしくないね……。でも、なつかしい味……」

 サーバルはそれを咀嚼した。

サーバル 「とけてきた……」

 サーバルは、溶けてやわらかくなって弾力を増したそれを、二口、三口とかみちぎって食べ始めた。その横顔は普段より大人びて、美しく、唇が艶やかに見えた。

かばん  「サーバルちゃん……ほんとうに……おなかこわすよ……」

 かばんは、いつもと違うサーバルの様子に戸惑っていた。

オオカミ 「そういえば、こんな話を聞いたことがあるね。死んだフレンズをヒトが回収して、

      その体をバラバラにして、研究のためにどこかに保存していたらしいよ」

サーバル 「…………」

 サーバルが固まった。

オオカミ 「ひょっとしたら、これが!」

サーバル 「おええぇ!」

 サーバルがひざをついて、赤くてどろどろしたものを吐き出した。

かばん  「サーバルちゃん!」

サーバル 「けほっ、食べちゃった! わたし食べちゃったよ!!」

キリン  「ほ、ほんもののホラーだわ!」

オオカミ 「ふふ、うそうそ、冗談だよ」

サーバル 「…………」

 サーバルは放心していたが、いつものサーバルに戻っていた。

かばん  「ひどいですよオオカミさん!」

オオカミ 「ごめんごめん。ちょっとたちの悪い冗談だったね。いまの顔は使わないよ」

 オオカミが真空パックの中身を見た。

オオカミ 「まさかこんなものが残っていたとはね」

 

 

 図書館。

 

 かばんとサーバルが、はかせと助手に向き合っていた。

かばん  「箱には、豚ロースって書いてありました」

 はかせが机の上を見た。そこには、真空パックに入った未開封の肉が置いてあった。それはすでに解凍されており、少し傷んでいて、端の方が黒っぽい茶色に変色していた。

はかせ  「これは、料理に入れるととってもおいしいのです」

サーバル 「わかるよ。なんとなく、だけど……」

助 手  「ふたりとも、これがなんなのかわかっていますね?」

はかせ  「わざわざ聞きにくるまでもないのです」

かばん  「でもこれは、パークにあってはいけないものなんじゃないですか?」

サーバル 「たぶん食べたかったんだよ。どうしても」

かばん  「でもこれ、ほかのみんなが見たら……」

はかせ  「…………助手、ハンターはいまどこにいるですか?」

助 手  「……おそらく、森の西のほうの見回りをしているのです」

はかせ  「ふたりとも、ちょっとここで待つのです……助手」

 はかせと助手は、図書館を出て飛んで行った。

サーバル 「どうしたんだろう?」

かばん  「何しにいったのかな?」

 

 

 10分ほどあと。

 

 はかせと助手が図書館に戻ってきた。

ヒグマ  「すぐに終わるんだろうな?」

はかせ  「仕事の邪魔はしないのです」

ヒグマ  「すでに邪魔してるんだが……」

 はかせと助手といっしょにヒグマもやってきた。

ヒグマ  「ふたりとも、ひさしぶりだな」

サーバル 「ヒグマ!」

かばん  「どうも、おひさしぶりです」

 

 図書館の中に集まった5人。

はかせ  「サーバルと我々は肉食ですね。ヒグマはなにを食べるですか?」

ヒグマ  「なんでも食べるぞ。魚、果物、けものとか。今はジャパリまんとりょうりだな」

かばん  「けもの……」

はかせ  「ヒグマ、これを見てどう思うですか?」

 はかせが、真空パック入りの肉を持ち上げてみせた。

ヒグマ  「そのにおいは……ほんものの肉じゃないか! ……うまそうだな……」

助 手  「さすがですね」 ※4

 はかせは真空パック入りの肉を机に置いた。

はかせ  「では、かばん、あなたはなにを食べるですか?」

かばん  「……ヒグマさんと同じで、なんでも食べる、のかな?」

はかせ  「ヒトは雑食で、食べられるものは何でも食べるのです。それだけでは飽き足らず、

      本来は食べられないはずのものまで、加工して食べるのです。そして、よりおいしく

      食べるために、無数の料理を生み出したのです」

サーバル 「わたし、野菜やくだものがおいしいなんて知らなかったから、びっくりしたよ」

助 手  「フレンズ化したことで、元の姿では食べられなかったものが、食べられるようになっ

      たのですね」

はかせ  「ヒトの食性は、とても変わっているのです。地域、時代、考え方、好みなどによって

      食べるものが変わるのです」

助 手  「変わる、というより、変える、というべきでしょうね。途方もない種類の食べ物の

      中から、食べるものを選んでいるのです」

ヒグマ  「贅沢ないきものだな……」

 ヒグマがちらりとかばんの方を見た。

ヒグマ  「悪い! おまえのことを言ったんじゃ……」

かばん  「いいんですよ。たぶん、贅沢なのは合っているんです」

はかせ  「贅沢なおかげで、我々はジャパリまんや料理を食べられるのです」

助 手  「肉食のフレンズ向けのジャパリまんは、肉に近い味で、肉とほぼ同じ栄養分を含んで

      いるのですが、野菜から作られているので、植物質なのです」

サーバル 「やっぱりヒトってすごいんだね! おかげで、わたしがほかの子を食べちゃう、

      なんてことがなくなったもん」

はかせ  「それがいいことなのか悪いことなのか、我々にはわからないのです」

サーバル 「えー、いいことだよ!」

はかせ  「かばん、ヒグマがヒトを食べた話を知ってるですか?」

かばん  「え?」

ヒグマ  「やめろよそんな話!」

助 手  「たしかにそのような記録があるのです。ただ、ほとんどの場合、ヒトを食べたヒグマ

      は、ヒトに殺されたようです。ヒグマの身体能力はヒトよりはるかに上ですが、ヒト

      には刃物や銃などの武器がありますから」

 助手は、ちらりと、ヒグマが持っている、熊の手の形をした武器を見た。

助 手  「ヒトがヒグマを食べた、という記録もあります」

はかせ  「かばん、かばんは今目の前にいるヒグマがこわいですか?」

かばん  「……こわくないです」

ヒグマ  「かばん、それは本心か?」

かばん  「……えっと、ちょっとだけこわい、かも。でもヒグマさんはとってもやさしいし、

      ぼくを助けてくれたから、だから、こわくないです」

ヒグマ  「そうかよ……」

はかせ  「ヒグマは、かばんがこわいですか?」

ヒグマ  「こわいわけないだろ」

助 手  「それは、フレンズ化したからこその関係なのです」

サーバル 「わたしも、おなじようなこと考えたことあるよ。もしかしたら、いまのお友達の家族

      を、わたしが食べちゃったのかもしれないって」

助 手  「ワシミミズクは体が大きく、小型のフクロウなども食べるのです。つまりわたしが

      はかせを食べる可能性もあったのです」

はかせ  「こ、こわいこと言わないでほしいのです助手……」

助 手  「動物がフレンズ化すると、自然の摂理からはずれるので、こういった “ ゆがみ ”

     が生じるのです。この肉に対する違和感や嫌悪感も、そういったものの一つでしょう」

 はかせは、机の上に置いてあった肉を持ち上げて見せた。

はかせ  「これはけものの体の一部なのです。そして、食べ物なのです。ただの肉なのです」

サーバル 「そんなのあたりまえじゃない」

ヒグマ  「いまさら言われなくてもわかってるよ」

かばん  「そうですね。あたりまえのこと、ですよね」

助 手  「ただ、ちょっと刺激が強いので、ほかの子たちには内緒にしておくのです」

かばん  「うーん、それでいいのかな……ヒトやフレンズは、肉を食べなくても生きていけるん

      ですよね。だったらこんなものは必要ないんじゃないですか?」

はかせ  「生きていけるかもしれませんが、それは肉食動物にとっては不自然なことなのです。

      それに、ジャパリまんの原料の野菜も生き物なので、命を奪っていることには変わり

      ないのです」

助 手  「ヒトの、食べていいもの、悪いものの分け方は、じぶんに近いものは食べてはいけな

      い、という考えかたです。ですが、どこまで食べていいのか、という境界線は個体に

      よって大きく違うようです」

はかせ  「ですからかばん、これを料理してみせるのです」

助 手  「我々は肉食なので、これをつかった料理が食べてみたいのです」

かばん  「ええー! そうきましたか……」

サーバル 「わたしも食べてみたーい!」

ヒグマ  「ほんものの肉なんて、フレンズ化してから食ってねえな……じゅるり……」

かばん  「みんな肉食だね……」

はかせ  「ヒグマは料理のしかたをおぼえるです」

ヒグマ  「それで呼んだのかよ……」

 

 

 サーバルとかばんが、図書館を出ようとしていた。

かばん  「じゃあ、また来ます」

サーバル 「わたし、きょうはちょっとへんな気持ちになったな。お肉を食べたいって思うの、

      悪いことなのかなって」

助 手  「純粋な肉食動物が、そんなことを言うのですか?」

かばん  「サーバルちゃん、罪の意識を感じる必要なんかないんだよ」

 

はかせ  「いのちをもらった分、生きればいいのです」

 

 

 

 数日後。

 

 図書館のトイレ。 ※5

 

 ドアをドンドンと叩くはかせ。

はかせ  「はやく! はやく出るのです助手!!」

助 手  「……もうすこし、お待ちを……うう……」

 

 

 草原。

 

 中型セルリアンと対峙するハンターの3人だったが、ヒグマとリカオンの様子が変だった。

リカオン 「……おなかが、痛いです……」

 リカオンは苦しそうな顔をして、手でおなかをおさえていた。

キンシコウ「これは無理ですね……。いったん離れましょう!」

ヒグマ  「……お前らなに言って……ぐっ」

 ヒグマが顔をしかめて、おなかをおさえた。

ヒグマ  「……だめだ、撤退する!」

 

 

 ロッジの一室。

 

 ベットにオオカミが横になっていた。その傍らには、椅子に座ったキリンがいて、オオカミの顔を見下ろしていた。

オオカミ 「そろそろかな」

キリン  「先生…… “ ひこうじょう ” が未完のままです……」 ※6

オオカミ 「そんな顔をされたら、困ってしまうよ……未完のままも、悪くないさ……」

 オオカミが目を閉じた。

キリン  「先生! 先生!!」

 

 

 砂浜。

 

 アライグマとフェネックが、並んであおむけに倒れていた。ふたりは手をつないでいた。

フェネック 「アライさん、当たっちゃったみたいだねー」

アライグマ 「大当たり、なのだ……ううう」

 アライグマが、苦しそうな顔をして、フェネックと手をつないだまま体を丸めた。フェネックは体を横にして、アライグマの方を向いた。

フェネック 「よしよし……」

 フェネックが、つないでいない方の手で、アライグマの頭をやさしくなでた。

フェネック 「……う」

 突然、フェネックがつないでいた手を離した。

アライグマ 「フェネックう?」

 フェネックが立ち上がって、手でおなかをおさえた。

フェネック 「ごめんねアライさん。ちょっとまっててねー」

 フェネックが、アライグマから離れて、松林の方へ走っていった。

アライグマ 「フェネック! どこへいくのだ! フェネック!」

 

 アライグマの近くで、サーバルが横になっていて、その傍らにはかばんが座っていた。

サーバル  「わたし、先走っちゃった……」

かばん   「サーバルちゃん、だいじょうぶ? ……じゃないね……」

サーバル  「さいごに……ほんもののお肉が、たべられて……よかった……はっ……」

 サーバルが意識を失った……ように見えた。

かばん   「サーバルちゃん!」

 

かばん   「ちゃんと火は通したはずなのに……どうしてこんなことに……」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

※1 TVアニメ1期10話でキャラクターが集まって会話していた場所です。食堂ではないかもしれません。

 

※2 キッチン(冷蔵庫・冷凍庫)の電源は、温泉の地熱発電によって供給されています。

 

※3 ネコ科の動物は甘味を感じないとされています。フレンズの体は基本的にはヒトと同じで、ヒトと同じものを食べることができるので、サーバルちゃんは甘味を感じられるのではないかと思います。サーバルちゃんにとって、甘味は新鮮で魅力的なものだったと思います。

 

※4 クマの嗅覚はイヌの7~10倍くらいと言われています。真空パックに入っていても中身がわかるかもしれません。

 

※5 フレンズがトイレをどの程度理解しているのかは謎です。個体差があるかもしれません。

 

※6 時系列が合っていない気がしますが、深く考えていませんごめんなさい。

 




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 こういう話はTVアニメ1期の放送直後くらいにはもう出尽くしていて、何を今さらという内容です。また説教くさい話になってしまいました。嫌なんですけど書いてしまうんです。

 仮に、島にジャパリまんを製造配布するシステムが無くなったとしても、島には畑があり、フレンズたちには料理を作る知識があるので、フレンズたちは自力で植物質の食べ物を作れるんじゃないかと思います。

 ただ、上ではかせが言っているように、植物も生き物なので、殺していることに変わりはないんですよね。果実を取るのは殺していない、とか、痛覚や心がないから(植物にも心のようなものがある、という説もあります)、とかいうのは逃げでしかないと思います。結局、人間ほほかの生き物を食べないと生きていけないのです。牛乳や無精卵、培養肉(人工肉)はどうなるんだ? という問題もありますが、それだけで生きていくのは困難です。(培養肉は別の問題もあります)
 おおざっぱに言えば(宗教的な理由は別ですが)、自分に(遺伝的・心情的に)近いものは食べてはいけない、ということになるのですが、これは人間が勝手に決めたルールであり、どこで線を引くかは人それぞれです。自然界では共食いも珍しくないですからね。

 また、ジャパリまんが無くなった場合、フレンズたちは、フレンズ化していない動物を食べ物にする、という可能性もあります。でもそうすると自分の友達の家族や親戚を食べてしまう可能性が出てきます。それ以前に、上でサーバルちゃんが言っているように、自分の家族や親戚を食べた相手が、今は友達・仲間になっている、という可能性もあります。そういった場合、フレンズは食べた相手を恨んだり憎んだりするのでしょうか? 私は、しないと思います。

 フレンズ化するのは、ほ乳類・鳥類・爬虫類・両生類で、魚類・甲殻類・昆虫などは、フレンズ化しない(例外あり)ようなのですが、フレンズは、これらのフレンズ化しない動物を食べるのか? という疑問もあります。

 これらの問題や疑問は、「けものとは何か?」「ヒトとは何か?」「フレンズとは何か?」という問題につながっています。考え出したらきりがないです。よくわからないので、全部サンドスターのせいってことにしよう、と思ってしまいます。

 そういえば、ブタやイノシシのフレンズっていなかったような。私が知らないだけでしょうか?
 (2018/11/22追記)いました。豚・鶏・牛がそろいましたね。ブタのフレンズと食用豚肉が同じ世界に存在するのは、問題かもしれません。でも漫画版(フライ版)では普通に肉を食べていますし、案外だれも気にしないのかも?(漫画版のアニマルガールは、かなり人間寄りに描かれているのですが)

 フレンズはいろいろな矛盾を抱えた存在だと思います。私はそれを批判したいわけではなく、むしろそれはけものフレンズの魅力だと考えています。



※0 食中毒になったフレンズは、全員一週間ほどで回復しました。



 [ 初投稿日時 2018/06/10 21:20 ]
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。