ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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〈 よこく 〉

 

 映画の予告風に。

 

 要所で、スタッフクレジットが入ります。

 

BGM スタート「不安な瞬間」(けもフレOSTより)

 本を読んでいるかばん、ページをめくる。

かばん    「なに、これ……」

BGM 切り替え「セルリアン」へ(イントロからBGMスタート)

 無残に殺された像の写真。説明文が映る。「象牙を取……」「……乱獲により」

アライグマ  「フェネックやめるのだ!」

BGM (イントロ終了)

フェネック、野生開放。光る手を突き出して、カメラに突っ込んで来る。※1

 コンクリートの天井。銃声。

コノハ博士  「失望したのです」

ミミちゃん助手「戦うしか、無いようですね」

 逃げる人々、襲い掛かる鳥系のフレンズ。

男A ※2   「何がフレンズだ、ふざけやがって!」

 ヘリコプター(陸自のUH-60JA)が急旋回しながらドアガン(12.7mm重機関銃 M2)を連射。

 地上のフレンズたちが撃たれて倒れる。

 サーバルが建物の高い窓からガラスを突き破り飛び出す。直後に建物が爆発。

 暗い画面。フレンズたちが野生開放を始める。カメラがズームアウト。数え切れないほどのフレンズが野生開放していく。

叫ぶかばん  「ヒトとフレンズ、共に生きる道はないんですか!」

BGM ストップ

 タイトル表示・男の声でタイトルコール ----けものフレンズ----

BGM スタート「けもの達の哀しみ」

 燃える町。サーバルのセリフが重なる。

サーバル   「かばんちゃんは好きだよ。ヒトは許せないけどね」

 

 -- 終了 --

 

 

 

 

 

 

 試写室

 

サバル 「やっぱり、かばんちゃんかっこいいね!」

フェネ 「主人公だからねー」

かばん 「へへ、そうかな……予告では出てこなかったけど、サーバルちゃんもすごかったよ。格闘シーンとか、僕にはあんな激しい動きできないよ」

サバル 「でもわたし、けいさつやくのヒト怪我させちゃって、すっごく怒られたよ」※3

かばん 「ええー!、暴れすぎだよ!」

アライ 「アライさんも大活躍ったのに、ちょっとしか出てこなかったのだ!」

かばん 「アライさん、演技すごかったです。僕、編集前の見せてもらって、泣ちゃいました」

フェネ 「いやー、あれはアライさんがほんとに泣いちゃって大変だったんだよ、撮影止めちゃってさ」

サバル 「あの時はびっくりしたよ、控室に行ったら二人とも血まみれで、アライグマ泣いてるんだもん」

アライ 「だって、フェネックが死んじゃったら…しんじゃったら…アライさん……うう…ぐす…」

フェネ 「アライさん、あれはシナリオが意地悪だったんだよ、あんなこと起きないから大丈夫だってば」

サバル 「二人ともすっごいなかよしだよね。キスしちゃうし!」

アライ 「あれはまねだけでいいって言われたのにフェネックが……舌」

フェネ 「アラーイさん、火薬使う撮影怖くなかった?」

アライ 「こわかったのだ、すっごくこわかったのだ……」

サバル 「私もこわかったよ。あの爆発はごうせい?だからジャンプするだけでよかったんだけどね」

かばん 「でもヘリコプターから機関銃を撃つところは、本物を使ったんだよね」

ボス  「自衛隊ニ、協力シテモラッタミタイダネ」

フェネ 「それ、あぶなそうだねー」

かばん 「くうほう?だから大丈夫って聞きましたよ。」

ボス  「空砲トイウノハ、弾丸ノナイ、火薬ノミノ弾薬ノコトダヨ」

かばん 「ただ音がすごくて、気絶しちゃった子も居たとか」

サバル 「やっぱりあぶないよ!みんな大変だったんだね、わたしはセリフが覚えらなくて」

かばん 「サーバルちゃんすごく頑張ったよね。夜もいっぱい練習してたし」

サバル 「かばんちゃんが台本読んだくれたからだよ。わたし夜行性だから付き合わなくていいって言ったのに」

アライ 「アライさんたちははかせに読んでらったのだ」

かばん 「ほとんどの出演者は、文字の読めるフレンズに台本を読んでもらったんですよね」

サバル 「さっきの野生開放するところ、どうやってあんなにフレンズを集めたんだろう」

かばん 「たしかに、難しいよね」

ボス  「アノカットノエキストラハ、実際ニハモット少ナクテ、CGデ増やシタンダヨ」

サバル 「しーじー?よくわからないけど、ヒトってすごいんだね」

かばん 「すごい?……すごい、のかな……フレンズのみんなは褒めてくれるけど、この映画みたいにヒトはひどいことを……」

はかせ 「気に病むことはないのです」

かばん 「うわあっ」

サバル 「はかせ!」

かばん 「いつからいたんですか?」

助手  「後ろで映写機のメンテナンスをしていたのです。あれは放置すると故障するのです」※4

サバル 「さっきからうしろのへやで音がしてたけど、はかせ達だったんだね」※5

はかせ 「たしかにヒトはひどいことをしてきたです。ですが良いこともしたのです。パークにジャパリまんを製造する設備を作り、ラッキービーストによって配布する仕組みを残してくれたです」

助手  「様々な生き物を保護する活動を行うヒトもいるのです」

かばん 「でも、食べるためや、身を守るためじゃないのに殺すヒトもいるんですよ、怒らないんですか」

はかせ 「それがわかっていれば十分なのです。……この映画のシナリオを書いたのもヒトなのです。かばんと同じことを考えているのです」※6

助手  「それに、これはあくまで映画なのです。ヒトの悪い部分を強調している所もあるのです」

サバル 「悲しいおはなしだったよね。わたし、難しいことはわかんないけど、かばんちゃんが大好きだよ」

フェネ 「まあ、かばんさんがいいヒトなのは間違いないね」

アライ 「そうなのだ、かばんさんはすごいのだ!」

かばん 「みんな……ありがとう、フレンズって本当に優しいよね」※7

はかせ 「ヒトはおそらく、かしこくなって知識が増えた分汚れてしまったです」※8

助手  「かばん、あなたはそうならないように気をつけるですよ」

かばん 「そうですね。気をつけます」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

※1 普通に撮影するとカメラが壊れちゃうので、鏡を使っています。

 

※2 名前をつけてあげたいです。ベテランの俳優さんに演じてもらいました。普段は優しい人ですが、演技に入ると豹変します。あと顔が怖いです。

 

※3 警察役のヒト(スタントマン)は、防具を着けていたのですが、サーバルちゃんの蹴りで肋骨にひびが入ってしまいました。このヒトにはサーバルちゃんのスカートの中が見えたようです。

 

※4 かなり旧式の、フィルムを使う映写機です。フィルムはデリケートですし、連動する音声機器などもあるので、メンテナンスは大変なのです。この映画の監督はフィルムを使うことにこだわりがあるようです。

 

※5 ヒトには聞こえないレベルの音ですが、サーバルちゃんは聴力が優れているので聞こえました。

 

※6 私のことです。

 

※7 優しくて、寛容で、仲間想いで、純粋で、いい子たちばかりですよね。ヒトもそうあれたらいいのに、と思いますが、無理ですね。あの降板騒動とか、フレンズだったら謝罪や厳重注意、和解で終わっていたんじゃないかと思います。衝突が起きて、双方とも正しくて、双方とも一歩も引かなかったらどうしようもないです。でもそれは、見方を変えれば、ヒトの良い部分でもあるわけで、難しいですね。

 

※8 それは自分が汚れていると言っているようなものでは?

 




 読んでいただきありがとうございます。

 「短いもの・ネタ」の中の〈 こんなけものフレンズは嫌だ 〉です。なぜかアクション映画になってしまいました。もののけ姫のパロディが入っています。「何がフレンズだ、ふざけやがって!」というセリフが気に入っています。
 予告風映像を作ろうとしましたが、BGMなどの指示が多くて、脳内再生が困難なものになってしまいました。MADみたいなものが作れたらいいんですけど、いろいろとハードルが高くて難しいです。
 これは書いていて楽しかったです。試写室の会話は「キャラが勝手に喋る」感じで面白かったです。ただ、はかせと助手が登場したあとの部分は説教くさくて嫌いです。


 [ 投稿日時 2018/03/29 01:18 ]
※ 一回削除して再投稿したため、最初の投稿日時はこれよりも前です。正確な日時は不明です。
 

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