ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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〈 しゃげき 〉

 

 学校の教室のような、廃墟の部屋。窓から斜めに強い光が差し込んでいた。※1

 

 かばんが自動拳銃(コルト・ガバメント)のスライドを引いた。ジャキッと音がした。

 そして、両手で銃を構えた。

 

 鋭い目で、かばんを見つめるサーバル。

 

 短い間。

 

 かばんがトリガーを絞る……。

 

 パン! という発射音とほぼ同時に、サーバルの声がした。

サーバル 「うみゃっ!!」

 発射音の直後に、ビュッ、と音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 BB弾が、床をカッカッカッと数回バウンドして、転がった。

 

 サーバルが右手を振り下ろしていた。

 

かばん  「すごい……」

 かばんが銃を下げた。

 サーバルが、足元のBB弾を見た。

サーバル 「けっこう速いねー。これ」

 サーバルは楽しげで、少しだけ驚いた様子だった。

 かばんの正面、6~7m先の壁際に、棚(カラーボックス)があり、その一番上に空き缶が置いてあった。

 サーバルは、かばんと空き缶の真ん中あたりにいた。彼女はかばんの真正面ではなく、やや斜め前にいて、射線の横から手を出していた。

かばん  「あぶないよサーバルちゃん。それに、的にあたらないじゃない」

サーバル 「こういうの見ると、さわりたくなるんだよー」

 

 

 

 かばんが、自動拳銃型のエアガン ※2 のスライドを引いて、構えた。

 サーバルは、銃と空き缶の間に手をかざした。

サーバル 「撃ってみて」

かばん  「あぶないよ。当たると痛いよ?」

サーバル 「へーきへーき」

かばん  「……いくよ」

 

 かばんがトリガーを引いた。

 

 パン! という発射音がした。だがBB弾が空き缶に当たる音も、壁に当たる音もしなかった。そして、BB弾が床に落ちる音もしなかった。

 

かばん  「あれ?」

 かばんが銃を下げた。

 

サーバル 「とったよ!」

 

 サーバルは、BB弾を親指と人差し指でつまんでいた。※3 そして、それをかばんに見せながら、楽しげに言った。

サーバル 「かばんちゃん、わざとずらしたでしょ!」※4

 かばんは、目を見開いた。

かばん  「……冗談だよね? もとから持ってたんだよね?」

サーバル 「なんで? そんなことしてないよ?」

 サーバルは不思議そうな顔をした。

 かばんは床を見回したが、BB弾は落ちていなかった。

かばん  「すごい! ほんとにすごいよサーバルちゃん!」

サーバル 「えへへー。もっとおもしろいのないかな?」

 

 

 

 かばんが、電動エアガン(MP7)※5 をパパパパパパ……と連射した。

 

サーバル 「うみゃーーー!!」

 サーバルが、目の前を通過するBB弾を、高速猫パンチで次々に叩き落としていった。猫パンチの振り幅は短めで、細かく、手が見えないほど速い動きだった。※6 サーバルがBB弾を叩く音は聞こえなかった。

 いくつものBB弾が床に落ちていった。それらはバウンドして、パチパチと音をたてた。

 パカン! と音がして、空き缶が倒れた。

サーバル 「……みみみみみゃー!!」

 サーバルは、空き缶が倒れたあとも、BB弾を叩き落とし続けた。

 

 弾切れになり、コココッ、と空撃ちの音がした。かばんは撃つのをやめて、銃を下げた。

 

サーバル 「ふたつしっぱいしたー」

 サーバルは残念そうだった。

かばん  「手、だいじょうぶ?」

サーバル 「だいじょうぶだよ。ちょっと痛いけどね」

 

 かばんが空き缶を手に取った。空き缶の側面に一つ、底面に一つの凹みがあった。

かばん  「ほんとにふたつだね……」

サーバル 「かばんちゃんも上手だよ!」

 

 

 

 かばんが電動エアガン(89式小銃)※7 をパパパパパパ……と連射した。

 

サーバル 「うみみみみみみゃーー!!」

 再びサーバルが、目の前を通過するBB弾を、高速猫パンチで叩き落としていった。

 缶は倒れない。いくつものBB弾が床に落ちていく。

サーバル 「うみみゃっ!!」

 

 バチンッ!! バチンッ!! と大きな音がした。

 

かばん  「わあっ!」

 かばんが撃つのをやめた。サーバルも猫パンチをやめた。

 

 サーバルの頭上から、ガラスの破片がパラパラと落ちてきた。

サーバル 「みゃっ」

 サーバルが後ろに軽くジャンプして、ガラスの破片をよけた。

 ガラスの破片同士がぶつかって、かすかにチリチリと音を立てた。

 サーバルが上を見た。天井の蛍光灯が割れていた。※8

サーバル 「やっちゃったー」

 サーバルは少し後悔した様子だった。

 

 かばんが振り向くと、背後の窓ガラスにひびが入っていた。

 かばんは、サーバルの方へ向き直った。

かばん  「サーバルちゃん……いま、ひゅんって音がしたよ……」

 かばんの声は震えていた。

サーバル 「ごめんね。こわかった?」

かばん  「はねかえしたの? すごいけど、あぶないよ」

サーバル 「かばんちゃん、もうちょっとで刺されるところだったんだよ?」

かばん  「……刺され、る?」

 

 サーバルは笑顔になって、明るい声で言った。

 

サーバル 「蚊がいたから、たまをあてたんだよ!」※9

 

かばん  「……冗談、だよね?」

 かばんは、若干引きつった笑顔を浮かべた。

サーバル 「ほんとだよ! それをみてよ!」

 サーバルは楽しげに、かばんの足元を指差した。

 かばんは、足元に落ちていたBB弾を拾った。BB弾は欠けていた。

 そして、それには潰れた蚊が張り付いていた。

かばん  「…………」

 

 サーバルも、蛍光灯の破片の中に落ちていたBB弾を拾った。※10

サーバル 「みてみて! こっちもあたったよ!」

 サーバルが、嬉しそうにかばんに駆け寄った。そして、拾ったBB弾をかばんに見せた。

 それにも、潰れた蚊が張り付いていた。

サーバル 「こんどはふたつ成功だね!」

 

かばん  「…………冗談……だよね……」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

※1 詳しい場所や時間の設定はありません。

 

※2 ガスガンではなく、エアコッキングガンです(ガスが無かったため)。これはふたりが廃墟で拾ったものです。

 

※3 ロボコップが似たようなことをやっていました。

 

※4 かばんちゃんは、サーバルちゃんの手から照準を外して撃ちました。

 この銃は、ホップアップがかかりすぎているのか、照準よりも弾が上にそれる傾向があります。

 

※5 電動ならもっと大きい銃の方がいいかな、とも思ったのですが、私の好みでMP7にしました。私はこれを持っていないので、撃った感じがどうなのかわからずに書いています。

 

※6 ハイスピードカメラで撮影してみたらおもしろいかも?

 

※7 これも持っていないです。後継がどうなるのか気になります。(2018/12/18)

 

※8 40W形の直管蛍光灯です。LEDではありません。けものフレンズの時代設定的には、

LEDの方が合っている気もしますが。

 

※9 サーバルちゃんは、視覚ではなく、ほとんど聴覚で蚊の位置を認識していました。

 

※10 蛍光灯の破片を触ると、水銀などが体に良くないかもしれません。

 ちょっと調べてみたのですが、それほど危険ではないようです。ただ、害はあるので、やはり触るのはやめたほうがいいです。

 




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 フレンズは、元の動物の特徴が増幅されていて、ヒトや元の動物よりも高い身体能力を持っているようです。サーバルちゃんの場合は、動体視力、聴力、瞬発力が非常に高いと思われます。でも、このおはなしのサーバルちゃんは、スペックが高すぎます。
 擬音語にこだわってみました。シンプルに、脳内再生されたままを書いたつもりです。不要そうな擬音語もあえて書いています。

 これを書いていて、「音が鳴る」って意味が重複していないか?(「頭痛が痛い」みたい)と気になりました。ちょっと調べてみたんですが、よく分からなかったです。ひょっとしたら、今まですごく恥ずかしいことを書いていたのかも……。

 「かばんが、銃を△△(擬音語)と連射した。」も、日本語としておかしい気がします。△△という音をたてていたのは、かばんではなく銃なので。正確に書くなら、「かばんが銃を連射した。銃は△△という音をたてた。」あるいは、「かばんが銃を連射した。△△と音がした。」となるでしょう。でも長いし固い……。この場合、擬音語を書かないほうが良いかもしれません。







 おまけ


 かばんが拳銃(コルト・コンバットコマンダー)のスライドを引いた。ジャキッと音がした。
そして、両手で銃を構えた。

 鋭い目で、かばんを見つめるサーバル。

 短い間。

 かばんがトリガーを引いた。


 パァン!!! という大きな音がして、薬きょうが飛んだ。

 薬きょうが床に落ちて、ゴトッと音を立てた。※




サーバル 「みみが、いたいよ……」
 サーバルは、上の耳を倒してふさぎ、目をつぶっていた。
かばん  「びっくりした……」


 かばんのそばのテーブルに、キャップ火薬の箱と、モデルガンの説明書があった。




※ モデルガンのカートは重いので、重い音がします。

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