ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

43 / 100
 
 まえがき

 またこの6人です。いつの出来事なのか、という設定はありません。
 あと、筆者は心理学とかは素人なので、間違っているかもしれません。

〈 敵 〉のあとがき(追記分)の続きとも言えます。



〈 れいだい 〉

 

 かばんの研究所、別棟(ガレージ)の研究室。

 

 かばん(大人)がホワイトボードの前に立ち、サーバル、カラカル、キュルルが椅子に座っていて、その後ろにはかせと助手が立っていた。

かばん  「それじゃあ例題。状況を説明するよ」

 かばんが、ホワイトボードに人型の図や矢印を描いていった。※1

 

かばん  「CさんはKさんのことを大切な友達だと思っています。ある日、Kさんが突然行方不明になってしましました。CさんはKさんのことをとても心配しました。Cさんは、友達のSさんといっしょにKさんを探して、見つけました。ところがKさんは、始めて見たフレンズの、Iさんといっしょに楽しそうに遊んでいました。」※2

 

キュルル 「なんかそれ、どこかで聞いたような……」

かばん  「あくまでも例題だよ」

かばん  「Cさんは、この状況でどんなことを考えるかな?」

カラカル 「なにのんきに遊んでんのよ、って怒るわ」

サーバル 「わたしもいっしょに遊びたいよ、かなあ?」

キュルル 「見つかってよかった、って思うんじゃないかな?」

カラカル 「あたしもほっとするわ。でも怒りのほうが強いの」

かばん  「はかせたちは?」

はかせ  「死んでなくてよかったのです」

助手   「変わり果てた姿……」

はかせ  「バラバラのK……」

カラカル 「やめて! へんなこと言わないでよ!」

 カラカルの耳が倒れた。

かばん  「ふたりとも、カラカルが本気で怖がってるからやめてあげて」

カラカル 「そんな怖がってないわよぅ……」

サーバル 「カラカルは心配だったんだよね」

カラカル 「そりゃ心配するでしょ!」

 カラカルの耳が戻った。

助手   「まあ、冗談はいいとして」

キュルル 「冗談だったんだ……」

はかせ  「われわれなら、Iさんが何者なのか、とっても気になるのです」

助手   「です」

かばん  「同じ状況でも、みんなそれぞれ、どう捉えてどう考えるのかが違うよね。そして考えと同時に、感情も浮かんでくるね」

キュルル 「考えと感情ってどう違うの?」

かばん  「えっと、カラカルのが分かりやすいね。『なにのんきに遊んでるの』が考えで、怒ってるよね。この『怒り』が感情だよ」

サーバル 「なんかよくわかんないよ」

かばん  「一言で言い表せるのが感情、かな」

キュルル 「あれ? さっきカラカルは、ほっとするって言ったよね。これも感情かな?」

かばん  「『ほっとする』、は安堵とか安心だね。これも感情だよ」

助手   「浮かんでくる考えや感情は」

はかせ  「一つとは限らないのです」

カラカル 「たしかに、怒るだけじゃなくて、いろいろ浮かんだわ。見つける前と後じゃ、気持ちが全然違うし」※3

かばん  「見つける前はどうだった?」

カラカル 「どこへ行ったんだろう、とか、怖い目にあってるんじゃないか、とか……すっごい心配したわ。もう会えないんじゃないかって、不安だったし……」

キュルル 「そんなふうに思ってたんだ……」

カラカル 「あ! わたしがこのCさんだったら、って話よ!」

かばん  「『怖い目にあってるんじゃないか』は考えで、『心配』や『不安』が感情だね。でも状況が変わったら、考えも感情も変わったね」

サーバル 「すっごい怒ってたよね。気持ちがひっくり返っちゃったのかな?」

キュルル 「極端だね……」

カラカル 「思いだしたらなんかまたムカついてきたわ……」

かばん  「考えと感情に加えて、ドキドキする、とかの身体反応があるんだけど、ここでは省略するね」※4

 

かばん  「じゃあちょっと状況を追加してみよう」

かばん  「KさんとIさんが、Cさんに、『いっしょに遊ぼう』って言ってきました」

 

サーバル 「なんだかたのしそうだね!」

カラカル 「そんなこと言われたらめちゃくちゃ怒るわ!」

キュルル 「どうして?」

カラカル 「さんざん心配かけといて、なにが遊ぼうよ!」

かばん  「まあまあ落ち着いて」

助手   「これは例題なのです」

はかせ  「感情移入しすぎなのです」

 

キュルル 「あれ? ちょっとまって。かばんさん、Kさんがいなくなった理由がわからないよ」

かばん  「そうだね、ごめん。Kさんは、無理やりIさんの所へ連れてこられたんだ。Iさんが呼び寄せたんだよ」

 

キュルル 「やっぱりどこかで聞いたような……というかそれ誘拐だよね……」

サーバル 「すっごくさびしかったんだよ。きっと」

カラカル 「どんだけさびしいのよ!」

助手   「誘拐犯といっしょに遊んでたのですか?」

はかせ  「ちょっと不自然なのです」

かばん  「そこは、Iさんが人懐っこくて、すぐに仲良くなれたってことにしよう」

カラカル 「なにそれ……。なんかムカつくわ……」

キュルル 「さっきからなに怒ってるのカラカル?」

サーバル 「カラカルはイエもごっ」

 助手がサーバルの口をふさいだ。

かばん  「CさんとIさんね」

サーバル 「あいさんのことが、うらやましいんだよ」

カラカル 「ふん、べつに、うらやましくなんかないわ」

助手   「例題なんですよね?」

はかせ  「過去のことが混ざってるのです」

キュルル 「あ! 『ムカつく』とか『うらやましい』も感情かな?」

かばん  「その通り」

カラカル 「そう言われるとなんかすっごい恥ずかしい!」

 

かばん  「次に進むよ。このあとCさんはどうしたと思う?」

サーバル 「みんなといっしょに遊んだんだよ」

キュルル 「ちょっといやな気持ちがあったけど、結局いっしょに遊んだんじゃないかな?」

カラカル 「Kさんに説教したのよ」

助手   「これまた極端なのです」

はかせ  「カラカルはKさんに恨みでもあるのですか?」

サーバル 「うらみじゃなくて、だいすきなんだよ!」

カラカル 「なんでそうなるのよ!」

キュルル 「カラカルの考えだと、Cさんはすっごく怒ったんだよね? 説教じゃすまないんじゃないかな?」

カラカル 「たしかにそうね。怒鳴りつけて、文句言わなきゃ気がすまないわ」

 

かばん  「次は、セリフを考えてみよう。一つに絞るよ。カラカルの考えが極端でいいね」

助手   「始めからそうするつもりだったのでは?」

はかせ  「かばんの計画通りなのです」

かばん  「CさんはKさんにどんなことを言うかな?」

 

カラカル 「ったく、こっちの気も知らないで、なにが遊ぼうよ……。どんだけ心配したかわかってんのっ!!」

カラカル 「急にいなくなったと思ったら、こんなとこで遊んでたなんて!」

 

サーバル 「すっごーい!」

キュルル 「迫真の演技だね……」

 

カラカル 「でもよかったじゃん。おうちにも帰れたし、これでようやくお別れできるし!」

カラカル 「はーあ、たいへんだったわ。だれかさんのせいで」

 

キュルル 「なんか関係ないセリフが出てるよ!」

サーバル 「熱くなりすぎだよ!」

はかせ  「だれもおうちに帰るなんて言ってないのです」

助手   「お別れでもないのです」

かばん  「カラカル、ちょっと落ち着いて、深呼吸してみて。ゆーっくりと吸って……」

カラカル 「すー……」

かばん  「ながーく吐いてー……」※5

カラカル 「はーー……」

かばん  「落ち着いた?」

カラカル 「まだムカムカするぅ……」

かばん  「それで十分。無理に抑える必要はないよ」

助手   「さすがかばん」

はかせ  「猛獣使いなのです」

カラカル 「猛獣じゃないわよ!」※6

 

かばん  「じゃあ次。カラカルのようなセリフを言われたら、Kさんはどう思うかな?」

キュルル「怒るんじゃないかなあ。無理やり連れてこられたんだから、悪いことはしてないよね」

カラカル 「悪いことはしてないですって! こっちが心配して探してたのに遊んでたのよ! 十分悪いわ!」

かばん  「怒るだけじゃないよね? キュルルちゃん」

キュルル 「Cさんが怖いって思うし、悲しくなるね。あとは、やっちゃったーって思うかも。ごめんなさいっていう気持ちもあるよ」

カラカル 「……ちょっとは反省するのね」

キュルル 「でもやっぱり、怒る気持ちが強いかな」

かばん  「CさんとKさんは両方とも、すっごく怒ってる」

サーバル 「けんかになっちゃうよ!」

かばん  「そうだね。Kさんがこらえないと、けんかになるよ」

キュルル 「ここでがまんするのは無理なんじゃないかな?」

はかせ  「たしかに、爆発的な怒りをコントロールするのは、とても難しいのです」

助手   「ですが先ほどのように、深呼吸だけで冷静になることもあるのです」

かばん  「“まずちょっと冷静になる”っていうのが大事だね。怒りで我を忘れて行動すると、大切なものを壊したり、失うかもしれないからね」

カラカル 「耳の痛い話ね……。でも深呼吸だけじゃおさまらないこともあるわよ?」

かばん  「そういう時は、いったん相手から、その場から離れよう。時間を置いて、落ち着いてから、もう一回相手と話そう」

サーバル 「お昼寝して、起きたら忘れてるよ!」

カラカル 「そんな単純じゃないわよ!」

かばん  「いや、サーバルの意見は正しいよ。リラックスできることや、好きなことをして気を紛らわせるのもいいことだから」

キュルル 「それ、相手に変に思われないかな?」

かばん  「変に思われるかもしれないけど、けんかになるよりはいいよね」

カラカル 「本気で怒ってるときは、深呼吸しようとか離れようとか思わないわ」

かばん  「まず、自分が怒っていることに気付いて、このままじゃあぶないって思わなきゃいけないね」

はかせ  「難しいのです」

助手   「それができれば苦労しないのです」

サーバル 「だれか、そばにいる人が教えてあげるといいかも。『ちょっと落ち着いて』って」

はかせ  「なるほど」

助手   「さすが相方」

キュルル 「それはたぶん、Sさんの役割だね」

カラカル 「そんなひといたわね。忘れてたわ」

サーバル 「カラカル、イライラしてるとしっぽがぶんぶん動くんだよ。本気で怒ってるときは、下向きでまっすぐ。みみがぴーんってなったり、へにゃって倒れたり、すっごくわかりやすいよ」

キュルル 「すごい、よく知ってるね!」

サーバル 「付き合い長いからね」

カラカル 「やめて、なんか恥ずかしい……」

キュルル 「でも、そういう人がいなかったら?」

かばん  「すっごく怒っている時、体はどうなるかな? どんな感じがする?」

カラカル 「どきどきしたり、あつくなったり、体がふるえたりするわ」

かばん  「それが、自分が怒っていることのサイン。それを覚えておけば、自分が怒っていることに気づいて、我に帰れるかも。……これも難しいけどね」

 

キュルル 「Kさんが、怒っていることに気づいて冷静になれば、とりあえず、けんかにはならないかもってことだね」

はかせ  「その前にカラ……ごほん」

助手   「Cさんが、怒鳴ったりしなければよかったのです」

 

かばん  「じゃあ、前置きが長くなったけど、ここからが本題。Cさんは、どうすれば良かったのかな?」

 

サーバル 「いっしょに遊べばよかったんだよ!」

カラカル 「あんたは単純でいいわね……」

キュルル 「Cさんは、すっごく怒ってるんだよね? がまんして、むりにいっしょに遊んだら、つらくないかな?」

かばん  「最初に、Cさんがこの状況でどんなことを考えるかって訊いたら、みんな違うとらえ方をしていたよね。サーバルみたいにシンプルに、『いっしょに遊びたい』って思れえば、いっしょに遊べばいいんだけど、カラカルみたいに怒ったら、嫌な感情を抱えたまま遊ぶ ※7 ことになるね」

カラカル 「やっぱり怒鳴りつければいいのよ」

はかせ  「だからそれではけんかになるのです」

助手   「誘いを断ればいいのです」

はかせ  「むりにいっしょに遊ぶ必要はないのです」

かばん  「それなら、やんわりと断るといいかも」

サーバル 「でもカラカルは、いっしょに遊びたいんだよね?」

カラカル 「ええ!? そ、そんなことないわよ!」

キュルル 「怒ってるのに、その相手といっしょに遊びたいの?」

かばん  「状況に『CさんはKさんのことを大切な友達だと思っている』とあるから、『いっしょに遊びたい』と思っても不思議ではないよ」

はかせ  「難儀なのです」

助手   「理解しがたいツンデレなのです」

カラカル 「ぐぬぬぅ……」

かばん  「難しいね。どうすればいいのかな?」

 

カラカル 「えっと、まずは、さっきみたいに冷静になることね」

 

キュルル 「次はセリフだね。えっと……むずかしいね……」

 

助手   「セリフはそのままで、声をふつうにすればいいのでは?」

はかせ  「ゆっくりおだやかにしゃべればいいのです」

かばん  「表情はどんな感じがいいかな?」

サーバル 「笑顔で! 楽しそうに!」

かばん  「それは、ちょっとこの場面には合わないかもね……」

キュルル 「悲しげ……だと行きすぎだから、困ったような顔がいいと思う」

助手   「最後はちょっと明るく」

はかせ  「笑顔まではいらないのです」

 

カラカル 「こっちの気も知らないで、なにが遊ぼうよ……」

 カラカルは腰に手をあてて、、困ったような顔で、ため息をつくように言った。

カラカル 「どんだけ心配したかわかってんの?」

カラカル 「急にいなくなったと思ったら、こーんなとこで遊んでたなんて」

 カラカルは、少し明るめの声と表情で言った。

 

サーバル 「ずいぶん変わったね!」

キュルル 「でもなんか怖いよ……」

はかせ  「まだちょっと“とげ”があるのです」

助手   「なにかが足りないのです」

かばん  「カラカルのセリフには、三つ足りないものがあるよ」

キュルル 「Kさんがどうしていなくなったのか、とか考えてないと思う」

かばん  「そうだね。相手の事情を考えずに、一方的にしゃべってる。もう二つは?」

キュルル 「うーん……」

かばん  「難しい?」

サーバル 「わかんないよ」

かばん  「Cさんはこの状況でどう思った?」

カラカル 「なに遊んでんのよ! ひどいじゃない! って思ったわ」

かばん  「Cさんは、Kさんにどうしてほしかったと思う?」

カラカル 「えっと……まずあやまって、なにがあったのか言うべきだわ」※8

かばん  「それを言えばいいんだよ。どう思ったのか、どうしてほしいのか」

キュルル 「でも、『ひどい』とか『まずあやまるべき』って、カラカルが勝手にそう思ってるだけじゃない?」

カラカル 「なんですって!」

かばん  「いいところに気がついたね。最初にみんなに訊いたように、感じ方、考え方は人それぞれだから、自分の考えを押し付けようとすると、相手は反発するかもしれないよ?」

カラカル 「ぐぬぬぅ……」

かばん  「こういう時は『わたしはこう感じた』『わたしはこう思う』って、『わたしは』を主語にするといいかもね」

カラカル 「なんだか遠まわしな言い方ね……」

かばん  「今回は『親しい友達』という設定だから、主語を省略したり、くだけた言い回しにしてもいいよ」

サーバル 「あとは、もっとやさしい言葉にしようよ」

 

 ………………。

 

かばん  「じゃあ、練習してみようか」

 

かばん  「どの役を誰がやる?」

助手   「もう決まっているのです」

はかせ  「Cさんがカラカル、Kさんがキュルル、Sさんがサーバル、なのです」

サーバル 「あいさんがいないよ?」

かばん  「Iさんは、はかせか助手に……」

 

イエイヌ 「わたしがやります!」

 唐突にイエイヌが現れた。※9

 

6人   「ええー!」

サーバル 「イエイヌ!」

カラカル 「あんたどっから現れたのよ!」

イエイヌ 「お気になさらず! ヒトの命令に従うのがわたしの使命ですから!」

はかせ  「答えになってないのです!」

かばん  「キュルルちゃん、この子を呼んだの?」

キュルル 「ぼくは呼んでないよ!」

助手   「いったい誰が……」

イエイヌ 「それはひみつですぅ!」

かばん  「ま、まあいいや……はまり役だし……」

 

 

 役を与えられたフレンズたちが、立ち位置についた。※10

 

かばん  「よーい、スタート!」

 

イエイヌ 「どうです? せっかくですから、みなさんで遊びませんか?」

キュルル 「そうだよ。ふたりとも入りなよ!」

イエイヌ 「さっきのあれ、もう一回やりませんか?」

キュルル 「ああ! いいね!」

サーバル 「ほら、カラカルも!」

カラカル 「あたしはいい……」

サーバル 「もしかして、あの子がうらやましいのー?」

 サーバルは、ちょっとからかうように言った。

カラカル 「そんなことないわよ!」

 カラカルが目を閉じた。

カラカル 「すー……はー……」

 カラカルは深呼吸した。

サーバル 「カラカル?」

 

カラカル 「あのねぇ、あたし、キュルルがいなくなってすっごーく心配したのよ? なのに楽しそうに遊んでたから、いやな気持ちになったわ。遊ぼうの前に、あやまってほしかったの」

 カラカルは、腰に手をあてて、ちょっと困ったような様子で、おだやかに、一言一言をていねいに言った。

キュルル 「えっと、ごめん……なさい」

 キュルルは若干戸惑っていた。

カラカル 「なにがあったのか、おしえて?」

 カラカルは、明るい声と表情だった。

キュルル 「えっと、ぼくはにここに連れてこられたんだ。イエイヌさんは、ひとりでとってもさびしかったらしくて、遊ぶの大好きみたいだから、いっしょに遊んでたんだ」

イエイヌ 「すいませんでした。なんか無理やりになってしまって……」

カラカル 「そう。今回はしょうがなかったのね」

 カラカルは、笑顔で明るく言った。

キュルル 「ほあー……」

 キュルルは驚いて、一瞬放心していた

カラカル 「キュルルー」

キュルル 「ぅえ?」

カラカル 「またいなくなったらいやよ? もうこんなことないようにしてね!」

 カラカルは頬を赤くして、恥ずかしそうに笑った。

キュルル 「うっ」

 

カラカル 「って、気持ちわるっ!」

 カラカルが素に戻った。

 

サーバル 「じゃあ、みんないっしょに遊ぼうよ!」

 

かばん  「終了ー!」

 

 Cさん側の会話。

カラカル 「めちゃくちゃはずかしかったわ……」

かばん  「すごく良かったよカラカル。実際にここまでやるのは難しいけど、ちょっとでも活かせていけたらいいね」

かばん  「それにすごいよサーバルちゃ……サーバル! 見事にカラカルを冷静にさせたね!」

サーバル 「へへっ……でしょー!」

カラカル 「あたしはサーバルのセリフじゃなくて、深呼吸で冷静になったの!」

 

 Kさん側では、Cさん側とは別の会話をしていた。※11

イエイヌ 「ん? どうしたんですか? キュルルさん」

 イエイヌが、不思議そうにキュルルを見た。

 キュルルは顔を赤くして、自分の胸に手を当ててうつむいていた。少し呼吸が荒くなっていた。

キュルル 「……わからない……すごくドキドキする……」

助手   「ギャップにハマったのです」

はかせ  「言葉にできない感情が生まれたのです」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

※1 かばんは、状況の説明や、各キャラの意見をホワイトボードに書いています。ですが、カラカルとサーバルは文字が読めません。かばんは、なるべく図を描いて説明をしています。

 

※2 探偵のSeちゃんとAさんは、状況が複雑になるので登場させませんでした。

 

※3 第9話のあれは、大きな【心配】や【不安】が、【安堵】と共に大きな【怒り】へ転じたのだと思います。そこに、イエイヌに対する【嫉妬】、【恐れ】ていたことが現実になってしまった【ショック】、別れの【悲しみ】、旅の終わりの【寂しさ】が重なり、さらに「いっしょに遊ぼう」と神経を逆撫でされ、自分でもわけがわからなくなるほどの感情が爆発したのでしょう。

 キュルルが見つかった【うれしさ】や、みんなで遊べるかもしれない【期待】も埋もれているかもしれません。いろいろな【疑問】もあるでしょうし、理屈では説明できない【名前の無い感情】もあるかもしれません。

 これらの感情のほとんどは、キュルルが【好き】であることから生まれたのでしょう。

 【 】内が感情です(違うのもあるかも)。

 状況も感情も複雑なので、本編ではかなり削りました。

 ここからすぐに冷静になるのは難しいはずです。

 

※4 身体反応は、心拍数や血圧の変化、呼吸が荒くなる、発汗、赤面、震え、頭痛、眠気などです。フレンズの場合は、耳やしっぽが意図せず動く、毛や羽が逆立つなどもありそうです。

 

※5 深呼吸で効果的にリラックスするためには、鼻から吸って口から吐くことと、吸うよりも長くゆっくりと吐くのが良いそうです。吐く息に重点を置くと良いようです。

 

※6 カラカルは肉食の特定動物なので、猛獣です。

 

※7 筆者はアニメ2期の視聴後に、この状態に陥りました。

 

※8 第9話でもキュルルは謝っており、事情を説明しようとしているのですが、カラカルの勢いが強すぎて、打ち消されてしまった感じです。

 

※9 「“あるキャラの話をしていたらそのキャラが現れる”のは不自然」「いないはずのキャラが突然現れるはNG」というのは、〈 こくはく 〉のあとがきに書いたことです。でもこういう描き方なら許されるのではないかと思います。

 

※10 立ち位置は、ホワイトボードの前で、カラカルとサーバルの組(Cさん側)と、キュルルとイエイヌの組(Kさん側)に分かれていて、両組が向かい合っています。かばん、はかせ、助手は、それを少し離れて見ています。

 

※11 Kさん側の会話のバックで、Cさん側が騒いでいる感じです。(二組が同時にしゃべっています)アニメでも、そんなシーンが複数あります。

 




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 アニメ2期第9話のカラカルは、かなり偏った極端な考えと感情をもとに行動していたので、良い方向に持って行けないかと考えたのがこのおはなしです。でもこんなことしたら、カラカルらしさがなくなってしまい、脚本の流れも成立しなくなります。
 本人も「気持ちわるっ!」って言ってますし、今後はもうちょっとやわらかい表現にできたらいいのかな、と思います。

 まえがきにも書いた通り、間違っているかもしれません。また、このような言動をしても、良い人間関係が保てるとは限らないですし、意見を激しくぶつけ合った方が良い場合もあるでしょう。もちろん、怒りを無理に抑える必要はありません。



 キュルル誘拐事件について

 イエイヌが探偵コンビにちゃんと事情を説明して、探偵コンビがキュルル達に事情を説明していれば、キュルルを誘拐する必要は無かったと思います。事情を説明すれば、キュルルは普通にイエイヌのもとを訪れていたでしょうから。コミュニケーション不全です。
 でもこれは、後からならいくらでも言えるだろう、という話でもあります。また、誘拐する流れにしないと、2期の脚本全体が崩れます。


 「キャラが、自分の意思ではなく、物語の流れを成立させるために行動している」ように見えるのは問題です。これは、私もよくやってしまうので、気を付けないといけませんね。でも、面白い展開とキャラの自然な言動を両立させるって難しいです。私は、両立どころか、両方とも出来ていない気がします。




 おまけ

 例題その2 一部抜粋
イエイヌ 「そうだ! 最後に、言ってもらえませんか?『おうちにおかえり』って」

キュルル 「……いっしょにお……」

イエイヌ 「だめです!!」

イエイヌ 「でもイエイヌさん!」
イエイヌは、目を閉じてうつむいた。
イエイヌ 「『おうちにおかえり』です!」
 イエイヌは、絞り出すような声だった。

キュルル 「……おうちに、おかえり」

イエイヌ 「…………」
 イエイヌが顔を上げて、涙をこぼした。
イエイヌ 「……ありがとう! じゃあ!」
 イエイヌはキュルルに背を向けて、駆け足で去って行った。



 2期はキャラが「じゃあ」とか言って、背を向けて去っていくパターンが多かったですね。別れ際がそっけないというか、妙にさっぱりしています。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。