ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 ☆ 後編です。 元は1話でしたが、長いので2話に分割しました。

 セリフの改行位置を調整しました。一行全角44文字とします。
 


〈 ひっつもどるき 後編 〉

 

 サバンナの草むら。

 

キュルル 「……にげないの?」

 キュルルは真剣な顔だった。

カラカル 「あたしが本気になったら……」

 カラカルは、キュルルをにらみつけた。

キュルル 「ぼく、殺されるよね……」

 キュルルは引きつった笑いを見せた。

カラカル 「かばんさんとの約束やぶる気!?」

キュルル 「守るよ……ぎりぎりまで」

 キュルルは、再び真剣な目になった。

カラカル 「ふふ……どうかしら? この前あぶなかったじゃない?」

 カラカルが、挑発するように笑った。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの高台。

 

サーバル 「それはあなたのせいじゃないよ! だいすきだったんでしょ!」

かばん  「うん。すっごくいい子だったんだ……ぼく……わたしにはもったいないくらいの」

 かばんは、言葉の内容の割には明るかった。

サーバル 「かばんさんは、すっごくかっこよくて、いいひとだよ! もったいなくないよ。

      その子も、かばんさんのこと、だいすきだったと思うよ!」

かばん  「まさかサーバルちゃ……に、かっこいいなんて言われるとはね」

サーバル 「あ! かわいい、のほうがよかった?」

かばん  「なんか嫌だね……」

 かばんが、サーバルを見て苦笑いした。

かばん  「昔は、あの子にずっとそう言われてた……かわいいって……」

 かばんは再び遠い目をした。

サーバル 「いい思い出だね」

かばん  「時間が巻き戻せたら……なんて言いたくないけど、ときどき思っちゃうんだ」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの草むら。

 

カラカル 「……ん、んんー……ぷちゅ……」

キュルル 「むぅ……ちゅ……ん、むうう……ちゅぷ……」

 カラカルとキュルルは、横になって向かい合い、抱き合って熱いキスをしていた。

 

 ふたりの唇が離れ、キュルルの唇と、抜かれたカラカルの舌との間に、唾液が糸をひいた。

 カラカルは、ぺろっと上唇をなめてから舌をしまった。

キュルル 「はぁ……カラカル……舌、ざらざらして痛いんだけど……」

カラカル 「んふふ……好きなくせに……んっ」

 再び唇が重なった。

キュルル 「む……んむぅ……」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの高台。

 

サーバル 「かばんさん、もっとわがまま言っていいんだよ? なんかがまんしてるでしょ?」

かばん  「してない、って言ったら嘘になるかな……」

サーバル 「もーっと甘えていいんだよ? わたしでよければ」

かばん  「じゃあ、また“かばんちゃん”って呼んでくれるとうれしいかなー……なんて……」

 かばんは、サーバルから目をそらして、顔を赤くした。

サーバル 「そんなのいくらでも言うよ。かばんちゃん」

かばん  「ん……ちゃんはさすがにはずかしいね……」

サーバル 「うーん……じゃあ、わたしのことは、“サーバルちゃん”って呼んで。

      これでおあいこだよ!」

かばん  「……それはもっとはずかし……」

サーバル 「ん?」

 サーバルが首をかしげた。

かばん  「まあ、いっか……」

 かばんが微笑んだ。

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 草むらから、ふたりの声と、水っぽい音が響いていた。☆*1

 

 ちゅ、ちゅぷ……と、音がしていた。

カラカル 「んんっ……吸っても、なにも出ないわよ?」

 カラカルの声はけだるく、やさしかった。

キュルル 「むうっ!」

カラカル 「いたたた!」

キュルル 「ちゅうぅ……ぷは」

カラカル 「なにするのよー!」

キュルル 「……ちょっと甘かったよ」

カラカル 「そんなわけないでしょ! ふああ! やめてやめて!」

キュルル 「意外とおっきいんだよね、カラカル」

カラカル 「キュルルのは、ちっちゃくてかわいいわ」

キュルル 「…………」

カラカル 「どうしたの? えと、キュルルのは、ふつうの時がちっちゃくてかわいいのよ!

      こんなにおっきくなるんだもん」

 カラカルの声は、ちょっとあわてた感じだった。

キュルル 「うわ! そんな強くにぎらないでっ! んんっ……」

カラカル 「ヒトのオスってみんなこうなのかしら? それに……」

キュルル 「はぁ……それに?」

カラカル 「とげとげがなくてびっくりしたわ」

キュルル 「とげとげ?」

 ☆*2

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの高台。

 

サーバル 「わたし、その子の代わりにはなれないけど……」

 サーバルが、一瞬下を向いて、ものを思う顔をした。

 

 そしてすぐに顔を上げ、まっすぐにかばんを見た。

 

サーバル 「いっしょにいて、いいかな?」

 

かばん  「ええ! ……えっと、いいっていうか……いてほしぃ……」

 かばんは、驚いて口ごもった。どこか子供のようだった。

 

サーバル 「ずっとずっといっしょだよ、かばんちゃん!」

 サーバルは満面の笑みだった。

かばん  「サーバルちゃん! それ、こっちから言いたかったのに!」

サーバル 「あはは!」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 草むらから、ふたりの声と、水っぽい音が響いていた。☆*3

 

カラカル 「んふぅ……じゅぷ、じゅぷ……んん……じゅる……」

キュルル 「うあっ!」

カラカル 「むうぅっ! ぷはっ……けほっけほっ……あいかわらず早いわねぇ……」

キュルル 「いたた……はぁ……あたまぼーっとする……」

カラカル 「あせってむりするから痛くなるのよ?」

キュルル 「カラカルずるいよ! また舌のざらざら使ったね?」

カラカル 「ふふっ、なんのことかしらー?」

 

 少しの間。

 

カラカル 「よかった? まんぞくした?」

 カラカルの声は、ささやくようなやさしい声だった。

キュルル 「……ん……」

 

 少しの間。

 

キュルル 「……べとべとになっちゃったね」

カラカル 「なめてあげる」

キュルル 「うええ! いいよ!」

カラカル 「ほら、きれいにしてあげるから」

キュルル 「いいってば! あとで水浴びするから! んっ、くすぐったいよぅ……」

カラカル 「ちゅ……水浴び? 水場はむこうよ。ついて来なさい」

キュルル 「うん……って! ちょっとまって! 服着てから!」

 ☆*4

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの高台。

 

 かばんが、サーバルを強く抱きしめた。

サーバル 「なにこれ……わたし、へんだよ……だって、痛い……かばんちゃんにぎゅーって

      されると、うれしすぎて、すっごく痛い……むねが引き裂かれるみたいに……

      どうして……」

かばん  「だいじょうぶ。ぼく……わたしも痛いから」

 かばんの声は、とてもやさしかった。

 

サーバル 「強くなったね。かばんちゃん」

 

かばん  「慣れちゃっただけだよ。それに、この痛み、好きになったんだ」

サーバル 「あははっ。へんなのー、痛いのが好きなんて」

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの水場。

 

 岩陰から、バシャバシャという水の音と、楽しげなふたりの声が響いていた。

カラカル 「やああ! ほんとに怖いんだってば!」*5

キュルル 「あはは!」

カラカル 「まちなさい!」

キュルル 「浅いとこならだいじょうぶだよ。ほら!」

カラカル 「わぁ!」

 バッシャーンっと音がした。

キュルル 「つめたくて気持ちいいでしょ?」

カラカル 「やったわね! こっちに来なさい!」

キュルル 「わわっ!」

 再びバッシャーンっと音がした。

カラカル 「ははっ! キュールルー!」

キュルル 「ちょっとカラカル! むうぅ!」

カラカル 「ちゅ……はぁ……洗ってあげるから、じっとしてなさい!」

キュルル 「こっちのセリフっ! えいっ!」

カラカル 「やぁ! そっち深いぃ! って、あはは! やめてやめて! あぅ! んあぁっ!」

キュルル 「はぁ、はぁ……んっ……ちゅ……」

 ふたりの声が静かになり、ちゃぷ、ちゃぷ、と水音が続いた。

 

 ―――― 以下は、カラカルとキュルルの要望により削除されました。 ――――

 ☆*6

 

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 サバンナの高台。

 

 ふたりは抱き合うのをやめて、眼下のサバンナを見ていた。

サーバル 「もうちょっと離れたほうがいいかな……。聞こえちゃうよ」

 サーバルは、先ほどの木よりも少し高台に近い、水場を見つめていた。そこにいるふたりの姿は、遠すぎて見えなかった。

かばん  「なにが?」

 かばんがサーバルの顔を見た。サーバルの表情は明るかったが、いつもの元気さは無く、薄い感じだった。

サーバル 「かばんちゃん、あのふたり、もうすぐ約束やぶっちゃうね」

かばん  「わかってる。最初から、時間の問題だってわかってた」

サーバル 「ゆるしてあげてね」

かばん  「もちろん、止めたりしないよ。ううん、わたしには止められない……」

 

サーバル 「そうだね。だれにも止められないよ」

 

 ふたりが見つめ合った。

 

サーバル&かばん 「わたしたちも」

 ふたりの声が重なった。

 

 見つめ合ったまま、少しの間があった。

 

サーバル 「もう、がまんしなくていいんだよ、かばんちゃん。……よくがんばったね」

 サーバルが微笑んだ。

 

かばん  「……ありがと、サーバルちゃん……」

 かばんは、放心したように、つぶやくように言った。

 

 少しの間。

 

かばん  「……やっと、やっとここまで来れた……」

 かばんは感慨深げに言った。その声は涙を含んでいた。

かばん  「長かったね……ほんとうに……」

 そして、微笑んで目を閉じた。涙が一滴こぼれた。

 

サーバル 「わわ! 泣かないでよ! かばんちゃん、強くなったんだから!」

 サーバルがあわてた。

かばん  「だって、こんなの……泣かないほうがおかし……ぐ……」

 かばんの表情が崩れた。涙があふれ、止まらなくなった。

サーバル 「だめ! 泣いちゃだめだよ! やだぁ、わたしまで……泣いちゃうじゃない……」

 サーバルが涙声になり、ぐいっと目をこすった。そしてうつむいて肩をふるわせた。

 

 ふたりが、がしっと再び強く抱き合った。

 

サーバル 「たのし、うれしいときなのに…………ないちゃ、だめだよぅ……」

かばん  「おもいっきり泣いていいよ……サーバルちゃん……」

 

サーバル 「ぁう、うう……ぐす……かばんちゃん……かばんちゃん、もっともーっとつよく、

      おもいっきり……ぇぐっ……ぎゅーってして。いたいの、すきだからぁ……」

 サーバルは、ぼろぼろに泣きながら、駄々っ子のように言った。

 

かばん  「強くなったね。サーバルちゃん」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
 都合により音声のみです。

*2
 このシーンでは、ふたりでなかよく“サンドスターinゼリー(ゼリー飲料)”を飲んでいました(キュルルの証言によると)。でも、とげとげは謎です。

*3
 都合により音声のみです。

*4
 このシーンでは、ふたりは、ジャパリバー(棒アイス)の早食い対決をしていました(カラカルの証言によると)。痛くなったのはアイスクリーム頭痛です。服を一部着ていなかったようですが、たぶん暑かったのでしょう。なお、この後の水浴びは、ふたりとも裸でした。

*5
 アニメでは、水を怖がるカラカルがかわいかったです。

*6
 このシーンは、カラカルとキュルルがたのしく遊んでいただけなのですが、ふたりは恥ずかしかったようなので、カットしました。裸で体を洗いあったり、その他いろいろしていたので、仕方ないところです。

カラカル 「余計なこと言わないで!」

キュルル 「その他いろいろとかやめてよ!」




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 私の中で、カラカルとキュルルをくっつけたいという、謎ブームがやってきています。
 今さらアニメ2期なんて……と思いますが。

 『いのち』(ジャパリ・フラグメンツとは別の作品として投稿)のあとがきで言っていた、
『カラカルとキュルルをくっつけたうえで、2期のサーバルとかばん(大人)をいちゃいちゃさせたい』という謎の欲求を、そのまま書きました。

 また妙に大人っぽいサーバルになってしまいました。大人なサーバル&かばんに対し、子供バカップルなカラカル&キュルルが暴走してえらいことに……。
 サーかばが主役のはずだったのに、バカップルが持って行っちゃった……。

 最後に泣いちゃうのは、いつものパターンなので避けたいんですが、結局泣いちゃいました。サーバルちゃんも、泣いちゃだめって言ってたのに……。私は大好きなんですよ、こういうの。


 私は、カラカルとキュルルって、いいコンビだな、と思っています。でもしょっちゅう喧嘩していそうです。
 キュルルが浮気っぽいことをしてしまい、カラカルがキレる……と見せかけて泣いちゃうとか(また泣いちゃう話か……)、いいかも。
 あとは、寿命の違いから、避けられない別れが来てしまう、とか(また泣いちゃう話か……)。
 アイデアが出ましたが、書くかどうかは未定です。




 以下は、私自身が混乱していたため、整理したものです。

 私が書いた、“カラカルとキュルルがなかよしの作品”を、時系列にならべると……

〈 危険極まり 〉(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 2期 第1話のIFのおはなし。
  ↓
〈 よだれ 〉(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 2期 第6話の隙間のおはなし。サーバル&かばんがメインです。
  ↓
〈 こくはく 〉(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 2期 最終回直後のおはなし。
  ↓ 
〈 敵 〉〈 れいだい 〉(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 この二つは、いつの出来事かはっきりしない。大体このあたりに収まる。
  ↓
『いのち』(単品で投稿した短編)
〈 こくはく 〉と〈 ひっつもどるき 〉の間の出来事。
  ↓
〈 はずかしさ 〉『いのち』のおまけ。『いのち』の直後の出来事。
  ↓
〈 ひっつもどるき 〉本作。(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 これはサーバル&かばんがメインなんですが、カラカル&キュルルが目立っています。

 ……となります。

 途中に、イエイヌとの交流もあるんですが、話が複雑になるうえに、イエイヌ関係は扱いが難しいので書いていません。

 これらは、直結しているわけではありません。つながっているような、いないような……
という、あいまいな感じです。思いつくままに書いているので、矛盾も生じています。


 他には……

〈 ぽけっと 〉1期と2期のクロスオーバー。(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)

〈 こわれたふたりと。 〉(ジャパリ・フラグメンツ内の短編)
 これは独立した短編です。他のおはなしとはつながっていません。
 あまりにも異質なおはなしですが、一応2期アフターです。

 こんなに書いてたのか……と、自分でもびっくりです。

 
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