ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

68 / 100
 
 まえがき

 筆者は、あまりの暑さでへんたいになってしまいました(元からです)。

 一応、いつの出来事かの設定があるのですが、原作から遠く離れており、ぼんやりしています。
 


〈 おみず 〉

 

 昼前。岩石と砂の砂漠。

 

 景色を白くする強烈な太陽光が、岩と砂を焼き、

 ガスバーナーであぶるような熱風が吹いていた。 *1

 

アライグマ 「……にじの橋が……見えるのら……」

 アライグマが、ぼーっと、焦点の会わない目で空を見ていた。

フェネック 「微妙に間違ってるよアライさん」 *2

 

 砂を掘って作られたくぼみに、わずかな日陰ができていた。 アライグマは、その日陰に、あおむけにぐったりと横になっていた。そばにはフェネックがしゃがんでいて、アライグマの顔を見下ろしていた。 *3

アライグマ 「……アライさ……ぱりっぱりに乾いちゃうのだ……」 *4

 

フェネック 「しょうがないなー。わたしのお水をあげるよー」

 フェネックが立ち上がった。

アライグマ 「……そんなこと言って……お水はもうないのだ……」

 アライグマが、フェネックにやさしく微笑んだ。

 

アライグマ 「フェネック……長いあいだ、ありがとなのだ……さきに、むこうへ逝くのだ……」

 

フェネック 「急いじゃだめだよ、アライさん……」

 フェネックは、自分のスカートを少しめくって、『何か』を、するするとずり下げた。 *5

 

フェネック 「お水はここにあるよー」

 フェネックは、『何か』を、ぽいっと投げ捨てた。

 

アライグマ 「なんで脱ぐのだ!?」

フェネック 「んふ……わたしまで熱でおかしくなっちゃったかもー」

 フェネックは、熱っぽい目でアライグマを見たが、セリフは棒読みっぽかった。

 

 フェネックが、アライグマの頭をまたいで、顔の真上に立った。 *6

アライグマ 「ななな、なにする気なのだぁ!」

 アライグマは、上を直視して、顔を赤くしていった。 *7

フェネック 「お口をあけてねー」

 フェネックは、片手でスカートをつまみ上げ、

アライグマの顔に向かって、ゆっくりとしゃがんで…………

 

 

アライグマ 「フェネックやめっ! むぐぅ!」

 

 ―――― 自主規制により削除されました。 ――――    *8

 

 

フェネック 「ふぃー……」

 フェネックが、スッキリした顔で立ち上がり、スカートを整えた。 *9

 アライグマは、赤い顔のまま放心していた。

 

フェネック 「おいしかったー? わたしのお水」

 フェネックは再びアライグマのそばにしゃがんで、アライグマの顔をのぞき込んだ。フェネックも頬が赤かった。

 

アライグマ 「すっごくおいしかったのだ……はじめは、鼻にぬける香りが強くてびっくりしたけど、お口いっぱいに、濃厚なうまみと、ほどよい苦みが広がって……においは、ドキドキをもり上げてくれるのだ。濃いぃのに、のどごしがいいから、ごくごくいけちゃうのだ。ほんのり甘酸っぱい、さわやかな後味で、もっと飲みたくなるのだ……」 *10

 

フェネック 「だからって、ちゅーちゅーしちゃだめだよっ☆」

 フェネックは子供に注意するみたいに言って、アライグマの唇を、人差し指で、ちょんっと突っついた。

 

アライグマ 「うぅ……ちゅ……してないのぁ……」

 アライグマは、ヒトの耳まで赤くして、目をぎゅっと閉じた。

 

フェネック 「お水、しばらく出ないからさぁ……」

 フェネックが、アライグマの耳に顔を近づけ……

 

フェネック 「夜までがまんしてね、へんたいアライさん☆」  *11

 ……やさしく耳をくすぐるような声でささやいた。

 

アライグマ 「くっはぁー……」

 アライグマは両手で顔を覆って、そっぽを向いた。

 

 

 2時間ほど経って。

 

 太陽が動き、日陰が小さくなって、アライグマの足を光が熱し始めていた。

 

 アライグマは、再び空をぼんやりと見ていた。

アライグマ 「フェネック……ごめんなさいなのだ……やっぱり、さきに逝くのだ……」 *12

 フェネックが、アライグマの顔をのぞき込んだ。

フェネック 「逝っちゃだめだってば」

 

 間があった。

 

フェネック 「……アライさん、まだお水が足りないみたいだねぇ」

 フェネックが、自分の右の手袋を、シュルっと取った。

アライグマ 「フェネックぅ?」

 

フェネック 「アライさん知ってるよね? けもののカラダは、お水がたーっぷりだって」 *13

 

アライグマ 「からだ?」

 

フェネック 「かぷっ」

 フェネックが、右の手首に噛みついた。

 

フェネック 「むぅ、むぐむぐぅ……」

 フェネックが少し顔をしかめた。

 アライグマがハッとして、血相を変えた。

アライグマ 「なにやってるのだフェネック!! やめるのだっ!!」

 

フェネック 「ぷぁ……」

 フェネックが、手首を噛むのをやめて、噛んだところを左手でおさえた。

フェネック 「これ飲めば塩分とれるし、わたしが、ぐーって力をいれて、アライさんがちゅーちゅーすれば、いっぱい出ると思うよー」

アライグマ 「そんなことしたらフェネックが死んじゃうのだ!! ぜったいだめなのだぁ!!」

フェネック 「……ごめんごめん、ちょっとした冗談さー」

 フェネックがアライグマに手首を見せた。歯形が付いて赤くなっていたが、出血は無かった。  *14

 

 少し間があった。

 

アライグマ 「フェネック! 冗談でもやっていいことと悪いことがあるのだ! フェネックを死なせるなんて、アライさんがゆるさないのだ!」

フェネック 「わー、ほんとにごめん! そんな怒るとは思わなかったよー」

 

アライグマ 「逆だったら……アライさんがフェネックを助けて死んじゃったら、フェネックはどうするのだ!」

 

フェネック 「ん……」

 フェネックは、ほんの少しぴくっとして、目を閉じた。

フェネック 「……痛いとこ突くねぇ…………」

フェネック 「でも……」

 フェネックが目を開け、いつも通りの表情に戻った。

フェネック 「ふつうに生きていくんじゃないかなー?」

 

アライグマ 「ふつうに?」

 アライグマは、きょとんとした。

 

フェネック 「わたしのココロが、だれかさんに引き裂かれてさ、わたしダメな子だなーって、自分のココロを、グサグサ穴だらけにしちゃってさ、あたまが押しつぶされるみたいに痛くなるよ。苦しくて、苦しくて、苦しくて……けど、助けてもらった命だから、死ねない……」

 

アライグマ 「そういうときは、思いーっきり泣き叫ぶのだ! ちょっと楽になるのだ」

 アライグマは明るく言った。

フェネック 「それができたらいいんだけどねぇ」

 フェネックが苦笑いした。

アライグマ 「フェネックは、そういうの苦手なのだ」

 アライグマが微笑んだ。

 

フェネック 「悲しいのは、しばらくすれば忘れるからさ。深すぎる傷は、一生……いやー、もっと長ーく残るかもだけど、わたしは、がんばって生きていくよ。 …………生きてきたよ」

アライグマ 「フェネックはつよい子なのだ……」

 

フェネック 「たまーに、うっかり傷にさわっちゃって、目からお水がこぼれるけどねー」

フェネック 「……アライさんみたいに、さ……」

 フェネックは、少し悲しげな顔をした。

 

アライグマ 「ふぇぇ?」

フェネック 「ごめんねぇ。思い出させちゃったかなー?」

 アライグマの目から、水滴がいくつもぽろぽろとこぼれた。

アライグマ 「あれれぇ? なんで、なんでアライさん……」    *15

 

フェネック 「お水がもったいないよアライさん。 ん……」

 フェネックが、アライグマの涙をぺろぺろとなめ取った。

 

アライグマ 「ふあぁっ、んぁうぅ……フェネッ……フェ……」

 アライグマは、くすぐったそうな顔をして、何かを言おうとした。

 

フェネック 「んちゅっ」

アライグマ 「むっ!」

 フェネックが、唇でアライグマの言葉をふさいだ。

 

 ふたりとも目を閉じた。

 フェネックが唇の角度を少し変えて、密着させた。    *16

アライグマ 「んんっ」

 アライグマが、ぴくぴくっと反応した。

 

 ふたりの唇が離れた。唇の間に飛んだ水滴が、キラッと光った。 *17

 

 

アライグマ 「はぁ……」

 アライグマは、色っぽいため息をついて、ゆっくりと目を開けた。

 フェネックは、ぱちっと目を開け、笑顔を抑えつつ、ほんの少し、ぺろっと舌なめずりした。

 

 

フェネック 「ところでアライさん、風にお水がまじってるの、気づいてるかな?」

 フェネックが立ち上がった。

 

アライグマ 「へ?」  *18

 

 フェネックが遠くを指差した。指し示す先に、赤い岩山があった。

フェネック 「あのむこうに、川かなにかがー」

アライグマ 「ええーー!!」

アライグマ 「フェネックのお水飲む必要なかったのだ! フェネックもへんたいさんなのだ!」

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

*19

*1
 気温は50℃以上ありますが、湿度は10%以下で、乾燥しています。デスバレーっぽいです。日本の高温多湿とは違います。オーブンの中にいるような感じで、呼吸困難になるほど暑いです。

*2
 アライさんはペットじゃないですからね。

*3
 アライさん視点では、フェネックのスカートの中が見えます。ですが、カメラ視点では(斜め横からのアングルのため)スカートの中はギリギリ見えません。

*4
 ドライグマの、ドライさん……。

*5
 スカートより下は見切れていて、フェネックの足と『何か』は、カメラに映っていません。

*6
 互いの顔が普通に見える向きで立っています。逆さまに見える向きではありません。(説明が難しいです)

*7
 アライさん視点では、フェネックのスカートの中が、もろに見えます。もちろん、カメラ視点ではスカートの中は見えません。

*8
 ここは撮影までしたのですが、ちょっとあぶないのでカットしました。

 撮影時は、フェネックは下着を穿いていたはずですし、飲ませるのは演技でした……たぶん。でも、撮影後、ふたりは顔を赤くして、気まずい雰囲気になっていました。

*9
 脱いだものはどこへ……。

*10
 食レポですが、筆者は、『フェネックのお水』がどんな味か知りません(当たり前)。砂漠に生息する肉食動物なので、猫みたいに強烈なにおいかも。いや、フレンズはヒトと同じかな……。

*11
(はかせ) 今夜は、逆にアライグマがちゅーちゅーされてしまうです。

(助手)  ……いい声が出ちゃう……なんて、想像してはいけないのです。

*12
 アライさんが虹の橋のたもとで再会するのは、フェネック以外考えられません。

*13
 ヒトの体重の65%ほどは水らしいです。(大人より子供の方が水分の割合が大きいとか)

*14
 冗談と言う割には、強く噛んでいます。

*15
 筆者も、なんでなのか分かりません。私が以前書いたアレと、関係あるかもです。

*16
 ふたりとも、キスには慣れています。

*17
 ごく小さな水滴です。サンドスターのせいか、お水のせいか、唇もキラキラしています。

*18
 普段のアライさんなら、水のにおいや湿気などに気付くのですが、暑さで感覚が麻痺していたようです。

*19

 フェネック 「やー、お水を飲まないと、アライさん、川にたどり着く前に死んじゃってたかもしれないよ? 緊急事態だし、しかたなかったのさー」(まさか、ぺろぺろちゅーちゅーされちゃうなんてねー。きもちよかったなー)




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 なんかもう、いろいろと開き直って書いています。似たものばかり……。

 涙をなめてキスしちゃうのは、台本には無く、撮影前にフェネックが提案してくれたものに、アドリブを加えた結果です。というか、フェネックがキスしたかっただけなんじゃないかと……。

 このおはなし、元は、フェネックが手首を食いやぶって、アライさんに無理やり血を飲ませて、失血により倒れて、おわり、というものでした。それではあんまりなので、今の形にしました。
 砂漠に生息する肉食動物は、獲物の肉から水分を得ているようです。また、少ない水分で生きるため、おしっこが濃いらしいです。
 暑すぎるからって、私は、フェネックのお水が飲みたいなんて思ってないですよ。


 時代から取り残されている感がありますが、まだ、くだらないネタのストックがあります。でも本当に断片の状態で、公開できるものではありません。そのうちちゃんと書いて投稿したいな……と思っています。
 『ごーすとたうん』の、イエネコとごしゅじんの過去とか、プロングホーンとロードランナーの出会いとか、昔話のパロディとか、壊れたモノレールとか、グロいサイボーグとか……。






 けもフレ3、アニメ化しませんかね……無理かな。
 アニメ化すると、ゲームとは別物になりそうですし。
 いや、別物でも良い作品になれば良いんですけど、原作と別物にして高評価を得るには、原作を超えるものを作らないといけないんですよね。大抵、原作のファンから大ブーイングが起きて黒歴史になります(アニメ・漫画・ゲームの実写化は特に危険)。

 「明確な原作が無く、自由度が高い」(原作は動物)というのは、けものフレンズの強みかもしれません。だから二次創作が作りやすいんですよね。私は、好き勝手しすぎですが。


 [ 初投稿日時 2020/08/28 18:38 ]
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。