ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 マイペースです。
 『ネタや設定はアニメ版に限定する』という謎の縛りは、もう気にしません。
 


〈 約3 〉

 

 夜の温泉宿。

 

 キタキツネがアーケードゲームで遊んでいた。それはフライトシミュレーター風の空戦ゲームで、機種の選択画面になっていた。

 ギンギツネが横から声をかけた。

ギンギツネ 「なんだかうれしそうね」

 ギンギツネの言葉のわりに、キタキツネの横顔は普段通りだった。

 

キタキツネ 「Yak-38(ヤクさんじゅうはち)」

 

ギンギツネ 「ヤクさん (18)?」

 

 画面にジェット戦闘機が表示された。

キタキツネ 「隠し機種だよ。性能はいまいちだけど……」 *1

 キタキツネの口角が、ほんの少し上がった。

キタキツネ 「……燃える」

 キタキツネがスロットルレバーを倒した。

 激しいエンジン音がして、空母から垂直に戦闘機が離陸した。

 

 

 

 唐突に、ハカセと助手のインサート。

 場所は森の木の太い枝の上で、周囲は暗かった。

 

ハカセ  「某アニメで有名になったです」

助 手  「『改』とか言ってましたが」

 

 

 

 夕方。湖のログハウス。

 

 アメリカビーバーが、ジェット戦闘機の木製模型を持ち上げた。それは1/48ほどのサイズだった。木を削り出した部品を組んだもので、精密にできていた。

プレーリー 「正体不明ながら恐ろしき感じであります!」

ビーバー  「Yak-141(ヤクひゃくよんじゅういち)? の模型ッス」 *2

プレーリー 「原寸大のものが作りたいであります!」

 ビーバーが、模型をひっくり返して裏側を見た。

ビーバー  「ギンギツネさんなら、飛ばせるかもしれないッスね」 *3

 

 

 

 朝。開店準備中のジャパリカフェ。

 

 ジェット戦闘機(Yak-141)の模型の前部胴体下にあるリフトエンジンノズルから、バター茶(バターミルクティー)がトポトポと出て、ティーカップを満たしていった。

リカオン  「新しいティーサーバーですか?」

 リカオンが、それを興味深そうに見ていた。 *4

アルパカ  「んー……ほんとの使い方はしらねぃけど、もらいものなんだゆぉ」

 お茶を注いでいたのは、アルパカ・スリだった。

 

リカオン  「ゴミがついてますよ」

 斜め下を向いた後部のエンジンノズルから、白い毛が筆のように飛び出していた。

アルパカ  「あー、それねぇ……」

 アルパカは、何かを思い出した様子だった。

 

 リカオンが白い毛をつまんで引っ張ると、ずるずると、長い毛の束が出てきた。毛は若干ちぢれていて、ほんの少し褐色がかった白だった。バター茶を含んで、暖かく湿っていた。

リカオン  「き、きもちわるいです!」

 

 

 

 再び森の木。

 

ハカセ  「われわれも垂直に飛べるです」

助 手  「鳥のフレンズは、大抵空中で止まれるのです」 *5

 

 

 

 再びカフェ。

 

リカオン  「新しいマドラー……って無理がありませんかぁ!?」

 バター茶に、レシプロ戦闘機の、1/144ほどのサイズの金属製模型 *6 が突っ込んであった。機首が沈んでいて、主翼がカップのふちに引っかかっていた。主翼のテーパー(先細り)が強めで、翼端が丸いのが特徴的だった。

アルパカ  「さきっぽにくるくるがついててぇ、まぜやすいかなーって」

 アルパカが、戦闘機の模型を取り上げた。液冷エンジンだった。 *7 アルパカが、パチンとプロペラを指ではじいて回した。

 

 シュボッと、プロペラスピナーから小さな火が出た。 *8

 

アルパカ  「にぇぇぇーー!!」

 アルパカが、驚いて模型を投げた。

リカオン  「ぅわあぁーーー!!」

 それをリカオンがきれいにキャッチした。

 模型は、オレンジ色のやさしい炎をあげ続けていた。

リカオン  「これ、どうすればいいんですか!!」

 リカオンは、模型を投げるわけにもいかず、わたわたした。 *9

 

 

 

 森の木。

 

ハカセ  「Yak-3(ヤクさん)なのです」

助 手  「アレっぽい燃料 *10 のライターなのです」

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 

 

*1
 航続距離が短いうえに、搭載量も少ない……。実用性ではハリアーに遠く及ばないですね。

*2
 『いちよんいち』と読むべきか……。

 Yak-141は、試作のみで開発中止になったようです。良いものを作っても、お金が無くて量産できない……という、よくあるパターンです。本当に『良いもの』が出来たのかは疑問ですが。順調に行けば、F-35Bよりも先に、超音速VTOL戦闘機として実用化できたんですけどね。

*3
 ギンギツネ 「なんでわたし!?」

*4
 なぜかリカオンがカフェの店員をやっています。

*5
 鳥のフレンズで、ホバリングできない子がいるのでしょうか……。

*6
 亜鉛合金製と思われます。

*7
 恥ずかしながら、筆者はこの機種をよく知らなかったのですが、なかなか格好良いですね。レシプロエンジンの戦闘機では、機首がスマートな液冷が好きです。

*8
 バター茶に浸かっていたのに、なぜ火がつくのか……。

*9
 カフェの建物は石造りですが、テーブルや柱は木製なので、火を落とすと危険です。

*10
 天然の固形燃料です。




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 ヤクさんと聞いて、真っ先に思い浮かんだのがYak-(ヤコヴレフ設計局)……
それだけのネタでした。
 『Yak』は、ロシア語だと『Як』と表記し、『ヤーク』みたいな発音になるようです。『Jak』と表記されることもあります。
 動物のヤクの英語表記は『Yak』なので、本作ではこれを使用しています。


 [ 初投稿日時 2020/12/23 23:12 ]
 
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