ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 ほのぼのが書けた! と思いましたが、なんか違う……。
 時代の設定は何も考えていません。あとがきに謎アイテムの設定があります。


 ごめんなさい。相変わらず、脚注をマウスオーバー(タップ)で表示した際、右側が見切れます。ウインドウの幅によって見え方が変わるようです。
 


〈 すかーとこんこん 〉

 

 盛夏のある日。大型ショッピングセンター的な施設の、広い通路。

 

 フェネックが、店の前で待っていた。

 

 トイレから出てきたサーバルとアライグマが、フェネックのもとへやってきた。

 

フェネック 「うまく付けられたー?」

 フェネックが視線を下げた。いつも通りの、のんびりおっとり、ややクールな感じだった。

 

アライグマ 「やっぱり……へんなかんじなのだ……」

 アライグマは、スカートをさわって、もじもじしていた。異物感があるようだった。

フェネック 「痛くなーい?」

サーバル  「へーきだよ。でもこれで合ってるのかなぁ?」

 サーバルも、不思議そうにスカートをさわった。普段よりも若干スカートの丈が短かった。 *1

アライグマ 「ちゃんと入ってないと、ブルブルして外れちゃうのだ」

サーバル  「てーぷで、ぺたぺたっ! と付けたし、だいじょうぶだよ!」

アライグマ 「てーぷぺたぺた?」

 

フェネック 「じゃじゃーん」

 フェネックは、胸ポケットから*2 スティック型のリモコンを2個取り出し、両手で掲げた。親指で操作する、スライドボリュームスイッチが付いていた。

 

フェネック 「どっちが、どっちのかなー?」

 

サーバル  「なにそれ?」

アライグマ 「フェネックやめるのだ! こんなところで!」

 アライグマが、わたわたとあわてた。

サーバル  「こっちがいいな!」 *3

 サーバルは、自分から見て左(フェネックの右手)のリモコンを指差した。

 

 

フェネック 「 案ずるよりー… 感じろー。 さらば… きもちぃーよー ♡ ……っと ☆ 」 *4

 

 フェネックが、間延びしたゆるい感じで、謎の格言(?)を言って、右手のリモコンのボリュームを、一気に上げた。

 

 

サーバル  「ふみゃあっ!!」

 

 サーバルがビクッと反応し、しっぽが上がって、ボフッ! と膨らんだ。彼女は、頬を赤くして、スカートの前を押さえた。

 

 

 サーバルのスカートから、ブゥーン…… というモーター音がしていた。

 スカートの後ろが、ふわっと上がった。

 

 

 

アライグマ 「よ、容赦ないのだ…… いきなり極大まで上げるとは……」

 アライグマは、若干劇画調で引いていた。

 

 

 

 

 

 サーバルがスカートから手を離すと、スカート全体が、ふわーっとめくれ上がった。

 

 

 

サーバル  「なにこれ くすぐったい!」

 

 サーバルのスカートは、内側から噴き出す風でバタバタなびいていた。スカートの背中側、ベルトの下に、パソコンの冷却ファンのようなものが二つ付いていおり、高速回転していた。 *5

 

フェネック 「『 すかーとえあこん 』、っていうらしいよー。 *6 

       すずしくて気持ちいいでしょー?」

サーバル  「なんだかとってもいい感じ!」

 

アライグマ 「フェネック! アライさんにも ちょうだいなのだ!」 *7

 

フェネック 「アライさんは、はげしいのがお好きー……っと ☆ 」

 フェネックは、左手のリモコンのスイッチを入れた。ボリュームは最大で。

 アライグマの腰に付いたファンが回り、ぶわわわわわーーっと空気を送り込んだ。

 アライグマのスカートが、ふわっと浮き上がり、内側からの風でパタパタ動いた。

 

アライグマ 「 おおー! すかーとこんこん なのだ!! 」

 

フェネック 「 こんこん、えあこん ♪ ……っと ☆ 」

 フェネックは、3個目のリモコン*8 のスイッチを入れた。ボリュームは弱で。 *9

 フェネックのスカートも少し膨らんで、パタパタ揺れた。

 

 フェネックが、少しかがんだ。

フェネック 「ふたりとも、かわいーぃの はいてるねぇ」

 

 サーバルは、スカートと同じ柄のパンツを穿いていた。*10 それは下着ではなく、ふんわり大きめで生地が厚い、見せるパンツだった。 *11

 

 アライグマも、(ある意味)見られても大丈夫な、グレーのものを穿いていた。 *12

 フェネックのスカートの中は、ギリギリの所で映らなかった。

 

 

 3人は、ずらっーと並ぶ店を眺めながら歩いた。エアコンはONのままで。

 

アライグマ 「 すかーとこんこん ♪ 」

 アライグマは、何やらごきげんだった。

 

サーバル  「すかーとこんこん? がなくても、下を夏毛にするだけで すずしくなるよ?」

 

 3人 が 下 を 見た。

 

フェネック 「サーバルらしいけど、色気がないねぇ」

サーバル  「このほうが動きやすいよ、って、かばんちゃんが……」

フェネック 「でも、かばんさんと〔 うみゃうみゃ 〕するときは、ちがうの はく でしょ?」

サーバル  「そうだよ! よろこんでほしくて………って! なーんで知ってるのー!!?」

 サーバルは、舞台のようなオーバーアクションと抑揚をつけて、楽しそうに言った。 *13

フェネック 「まっ白で、飾りがなくて、うすうすで、びろーん…って伸びるやつとかー?」

 フェネックは、普段のクールな感じよりも、ほんの少し、楽しそうな顔をした。

サーバル  「いいね! かばんちゃん そういうの好きそう!」

アライグマ 「アライさんは、あえて はかない のがいいと思うのだ!」

フェネック 「それもいいねぇ」 *14

サーバル  「わたしも、これ、〔 んーみゃっ 〕するとき邪魔だなーって思うけど、

       かばんちゃんは、するするーって脱がすのが、たのしいみたい」

フェネック 「わかる」

 

サーバル  「ふしぎな こだわり があるんだよね……片足に引っかけたままがいいとか……」

フェネック 「わかるなー」

 

アライグマ 「フェネックは、取らない派なのだ!」

 アライグマが、スカートをたくし上げた。

アライグマ 「ここを びりびりーって やぶ…ぅゅっ!」

 突然、アライグマが固まった。目の光が消えた。

 フェネックが、アライグマのしっぽの根元を、先ほどのリモコンで突いていた。 *15

 

フェネック 「……かばんさんって、〔 みゃみゃみゃ 〕のとき、靴下脱がさないタイプかな?」

サーバル  「んー……そうとも限らないんだよ。ぜんぶ取っちゃったり、かたっぽだけ

       下げたり、右と左をちがう色にしたり……毎回変わるのがいいんだって」

フェネック 「まにあっくだねー。なにかと気が合うなー、かばんさん」

 

サーバル  「わたしと〔 んみんみ 〕するとき、声まで変わるんだよ、かばんちゃん!

       あまーい声で、すっごーくかっこいいんだ!」

フェネック 「それは、わからないねぇ…………おー」

 フェネックが何かを見つけた。

フェネック 「よさげかもー」

 フェネックが、陳列されていた商品から、白っぽい砂漠色のものを手に取った。

サーバル  「フェネックにぴったりだね! でもちょっぴり地味じゃない? 

       こっちの黒いのとか似合うと思うな」

アライグマ 「オトナっぽいのだ!」

 

 

フェネック 「やー、変わらないのがいいのさー」

 

 フェネックは、涼しげな形をした砂漠色のサンダルを掲げて見せた。どこか満足げだった。

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

*1
 夏毛なのです。

*2
 3次元ポケットです。

*3
 根拠は無く、野生の勘で選んでいます。

*4
 このセリフ、全体的に力が抜けた感じの棒読みです。『きもちぃーよー♡』だけ、ちょっと明るくロリっぽい声です。でもゆるい感じは崩しません。

*5
 取り付ける時に服に穴を開けちゃったっぽいです。でも、取り外せば元に戻ります。ちなみに、そのままでは不安定だったので、撮影時はスカートの裏側から養生テープ(撮影スタッフが持っていたもの)で固定しています。もちろん、外からは見えません。

*6
 『スカートエアコン』は、冷却ファンでスカート内に空気を送り込む装置です。あとがきに設定を書きました。

 スカートは、夏は地面からの照り返しで熱がこもるので、意外と暑いのです。アラフェネはスカートが短いので不用かもしれませんが。あと、サーバルちゃんはハイウエストスカートなので、おなかが冷えてしまうかもしれません。

*7
 アライさん、さっきまで嫌がっていたような……。

*8
 いつの間にか持っていました。

*9
 フェネックは、自前でラジエーター(けもみみ)を持っているので、弱でいいのです。

*10
『同じ柄』といっても、上の方が黄色のサーバル柄で、クロッチが白いです。元の動物の毛色を意識した、えっちな おしゃれなカラーです。

*11
 アンダースコート的なものです(ちょっと違うけど)。

 これは、後から穿いたものではありません。元の動物の外見など + サーバルちゃんの気持ちで、毛皮(服)が定義されます。サンドスターって便利。サーバルちゃんは下着を見られても平気ですが、かばんちゃんのアドバイスに従ったようです。

*12
 本人は見られても気にしないのです。

*13
 『 そうだよ! (明るく元気に) 』 → 『 よろこんでほしくて……(しおらしく、少しもじもじして、はにかむ) 』 → 微妙な間 → 『 って! (ハッと我に返って) 』→ 『 なーんで知ってるのー!!?(恥ずかしそうに叫ぶ。楽しさを隠しきれない感じで) 』

*14
 ツッコミがいない……。

*15
 フェネックだから出来る技です。絶対にまねしないでください。敏感なしっぽから脊髄に軽いショックを与えて、一時的に中枢神経系を麻痺させています。




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 これで「サンダルを選んでいる場面」というのは無理がありますね。
 後半は曖昧に書いています。私が考えて書いたことよりも、読者の解釈の方が正しいのです。いや、混乱を招いているだけかもしれませんが。

 『すかーとこんこん』というタイトルは割とお気に入りです。

 かばんちゃんがいないのは、別のおはなしで料理を作っていたためです。



 ――― スカートエアコンの設定 ―――

・ スカートエアコンは、冷却ファンでスカート内に空気を送り込む装置。
・ 体を冷やし、スカートの中にこもった熱を、換気(陽圧化)により外に逃がす。
・ 別名『スカートクーラー』『スカート扇風機』『スカートファン』『スカート換気扇』。
・ 暑さに弱いフレンズ向けに開発された。暑さに強いフレンズは、風を弱くして使う。
・ 腰のベルトの背中側に装着し、外気を取り込んで、スカート内へ送風する。
・ 逆にスカート内の空気を外へ出す機種もある。この場合、陰圧により下から空気が入る。
・ ダクト(短くて扁平な断面の管)を持ち、効果的に冷却できる箇所へ気流を導く機種もある。
・ 腰ではなく、片方のふとももにベルトを巻き付けて装着する(下から送風する)機種もある。
 ※ ↑ これ、ちょっとえっち(?)でいいかも。スカートが短いと本体が見えてしまいますね。
・ エアコンと言っても空冷式であり、ヒートポンプのような冷却システムは無い。
・ 様々なメーカーから多くの機種が発売されている。ピンキリ。
・ ヒーター(カイロ)を内蔵している機種もあり、温風を発生させられる。やや高価。
・ ヒーターを使うと電力の消費が激しくなるため、内蔵バッテリーが1時間ほどしか持たない。
・ 無線のスティック型リモコンで操作でき、出力の変更も可能。チープなデザイン。
・ 本体のスイッチで操作する機種もあるが、背中側に付けると操作しにくい。
・ 有線式リモコンもあるが、見た目が完全にアレなので誤解を招きやすい。
・ ほとんどの機種は、外部電源(モバイルバッテリー等)が使える。
・ 通気ダクトにより、スカートに加え、シャツや足回りへ送風できる機種もある。高価。
・ 冷却ファンの個数や大きさは様々。パソコン用のファンを流用している模様。
・ 一部の安物や改造品には、無駄に風力が強いものがある。
  普通は、スカートがめくれ上がるほどの風力は無い。
・ 冷え過ぎ防止のため、オフタイマーが付いている機種もある。
・ 取扱説明書に、『長時間の使用は禁止』『必ず下着を着用すること』との注意書きがある。
・ ショートパンツやキュロット等でも使えるが、空気が上手く流れないので不向き。

 (我ながら、アホなことを考えてるなぁ……)


 [ 初投稿日時 2021/06/26 16:36 ]
 
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