ジャパリ・フラグメンツ   作:くにむらせいじ

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 まえがき

 このおはなしは大嘘です。独自設定が暴走しております。
 前半部分は、ひたすら説明するだけの文章です。後半は……。


 あとがきに設定が書いてあります。
 


〈 サヴァナ&みかん 〉

 

 ラッキービーストにも、オスとメスがいる。

 

 ……とは言っても、外見や普段の言動からは判別出来ない。

 彼らは、本来は少量生産のロボットであり、自己を複製する機能など無かった。

 

 

 パークからヒトが去り、長い長い年月が過ぎた。ラッキービースト達の故障も増え、身体中の部品が摩耗し劣化して、寿命が尽きていった。

 頼みの綱だったメンテナンス施設も次々に機能停止し、彼らは数を減らしていった。

 ラッキービースト達は危機感を募らせた。このままでは、パークの維持管理も、ゲストを迎えることも出来なくなる……。

 彼らは、自力で新たなラッキービーストを製造しようとした。だが、材料も道具も足りなかった。水と紫外線で劣化した合成樹脂や、腐蝕した金属を再生するのは不可能に近かった。

 

 

 行きづまった彼らは、生命の真似事をした。

 

 

 機能停止寸前になりながらも、手近にある物質を採取し、仲間を実験装置に作り替え、試験を繰り返した。何兆回もの計算と、化学的・工学的な試行錯誤が続いた。

 

 

 ある時、奇跡が起きた。

 土と水と光を使って自己増殖する、『機械のいのち』が、偶然に誕生したのである。

 

 それは、微細な炭素繊維とケイ素の微粒子が複雑に絡み合ったものだった。

 ブレイクスルーを助けたのは、例によってサンドスターだった。

 瀕死のラッキービーストが、死んだラッキービーストの体内にある装置にケーブルを突っ込み、実験を繰り返していた。そこに、不安定なサンドスター・ロウが接触して、ミクロのセルリアン……機械仕掛けの原始的な細胞が生まれたのだ。本物の細胞の精巧さには遠く及ばないものだったが、大目標への道筋が見えた。

 

 機械が生命の進化をトレースしていく。

 

 そこから先は、爆発的なスピードで進んだ。

 彼らの計算では、『機械の細胞(メカニカル・セル)が実用的な物になり、それがラッキービーストのレベルに達するまでには、最短でも4億6570万と1196年かかる』*1と見積もられていた。それが、わずか2282年で実現したのである。

 炭素とケイ素、そして、大昔のラッキービーストの残骸を組み合わせた体。膨大な電子データから成る遺伝子と記憶。

 

 『繁殖し、進化するロボット』が誕生した。

 

 ラッキービーストのメスは、体内に極小の化学プラントと工場を持つ。それは、かつて無数の実験を行った装置が進化したもの。

 

 ラッキービーストのオスは、非常用の記憶装置を持つ。そこには、ラッキービーストの3次元設計データと、製造工程を記したデータが格納されている。千年以上継ぎ足され続けたデータは膨大で、受け渡しには、堅牢確実で原始的な有線接続を用いる。また、冗長性を持たせるため、データは3つの記憶装置にコピーされている。

 

 

 森の奥深くにある、ラッキービーストの失敗作が地層のように積もった深い沼。 *2

 

 寿命が尽きかけたラッキービーストのペアが、沼に沈んで行く。

 2体は、温存していた電力を使って接続し、オスからメスへと『電子の遺伝子』を受け渡す。

 オスのデータに、メスの経験を蓄積したデータが継ぎ足され、不要なデータが削除される。

 メスの体内工場に、球形のかたまりが作られる。ラッキービーストの卵である。

 ペアは完全に機能停止し、沼に溶けていく。

 残った卵は、周囲の物質を吸収して成長する。

 完成したラッキービーストが、沼の水面に、ポコンと浮き上がる。

 これが、新しいラッキービーストの誕生プロセスである。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 さらに2万年ほどが経過した。

 

 温暖化した地球で、脊椎動物は小型化する傾向にあった。

 ネコ科動物の多くが絶滅していく中、逆に繁栄した種がイエネコだった。オーバースペック気味の身体能力、高い繫殖力、病気や怪我への耐性。そして、ヒトと関わる中で身につけた社会性と高い知能。世界中にいるたくさんの仲間たち。比較的小柄だったことは、温暖化した世界で有利に働いた。イエネコの末裔たちは、他のネコ科の生き残りと交雑して更なる進化を遂げ、世界中の幅広い気候に適応し、食物連鎖の頂点に立った。

 イヌ科動物もかなりの種が絶滅した。だが、ヒトの助けが必要なはずのイエイヌは、オオカミに先祖返りを起こし、生息数が多かったこともあって生き残った。イエネコと同様、小柄な品種が多く、知能・社会性・身体能力を兼ね備えていたことも勝利につながった。

 ヒトが消えた後に繁栄したのは、ヒトが作り出した動物たちだったのだ。 *3

 

 

 一方、ラッキービーストは突然変異を繰り返し、進化して、種類を増やしていた。

 

 沼から出てくるのは、ラッキービーストだけではない。多種多様なフレンズのバイオロイド……ゾンビとも言えるものも現れる。

 

 

 そんな中に、一頭身のヒト……ヒトを真似た何かがいた。

 

 ゆるキャラのようにデフォルメされた頭に、極端に短い手足が直接生えた、生物とも機械ともつかないもの。ラッキービーストのような体型で、生首が動いているようだった。 *4

 顔だけ見ればかわいらしく、中性的で、遠い遠い昔に『かばん』と呼ばれていたヒトに、よく似ていた。

 

 かばんのような一頭身の何かは、うろうろと森の中を探し回っていた。無表情で、ぶつぶつ言いながら。

一頭身の何か「……ばるちゃばるちゃ…………さーばぅちゃん…………さーちゃん…………」

 声も中性的で、ややおっとりしていた。

 

 

 突然、びゅんっ!! と、ものすごい勢いで何かが飛びかかった。

 

一頭身の何か「ぅわあぁっ!!」

 

 

女の子   「わぁー! なにこの子! かーわいー!」

 明るく元気な女の子が、一頭身の何かを抱き上げた。新しいおもちゃを見つけたようだった。

 

 ふんわり広がったクリーム色のハイウェストスカートに、薄い斑点模様、クリーム色のボウタイ。大きな三角形の耳。太めで長い、薄い茶色の縞模様があるしっぽ。イエネコとサーバルが混ざったようなアニマルガールだった。

 

一頭身の何か「……さ……あなたは……」

 一頭身の何かは、驚いて放心気味だった。信じられないものを見ているような……。

 

女の子   「わたしはサヴァナ! オオサヴァナカットのサヴァナよ!」

 

  哺乳綱 ネコ目 ネコ科 新生ネコ属 シンイエネコ種 亜種

  オオサヴァナカット Greater Savanna Kat

  Meta-felis silvestris pratums  *5

 

 

一頭身の何か「さーばな……ちゃん?」

 一頭身の何かは、目を丸くして、サヴァナを見つめた。

サヴァナ  「そう! サヴァナちゃん!」

 サヴァナは、まぶしいほどの笑顔で答えた。

一頭身の何か「……サバナ…う…ちゃんぅ……」

 一頭身の何かは、サヴァナに抱き付き、胸に顔をうずめた。ふるふると ふるえながら。

サヴァナ  「さみしかったの? だいじょうぶよ! おともだち、いーっぱいいるから!」

一頭身の何か「おとも…さん?」

サヴァナ  「キミは、なんのフレンズ?」

一頭身の何か「……ふ…レンズ?」

サヴァナ  「わからない? ……もしかして、生まれたばかり?」

一頭身の何か「ぼく、らっきーさんのお肉……かも…です」

サヴァナ  「じゃあキミは、みんなへの ()()()() にしよう!」

 サヴァナは笑顔で言った。

一頭身の何か「ひぅっ!」

 一頭身の何かは、ビクッとしておびえた。

サヴァナ  「じゃなくて! おともだち紹介するよ!」

一頭身の何か「たゔぇないれぇ!!」

サヴァナ  「たべ()()ないよ!! ……たぶん……」

 

一頭身の何か「……ぼくは……えーと、えと……」

 一頭身の何かは、あせって困惑しているようだった。

 

サヴァナ  「なまえを決めなきゃね。……んー……みみもしっぽも毛皮もないのよねぇ……」

 

 

 声    「『あたまちゃん』なんてどうかしら?」

 突然、かわいらしい声が降ってきた。

 

サヴァナ  「なんか嫌よ!それ!」

 サヴァナが上を見た。高い木の枝に、人影があった。

サヴァナ  「……って、カラヴァル!」

 

 赤いネコ科のフレンズが飛び降りてきて、ストンと着地した。服は、色以外はサヴァナによく似ており、けもの耳の先の、黒くて長い毛が印象的だった。

 

カラヴァル 「ふふっ! ぴったりな冗談でしょ?」

 

  哺乳綱 ネコ目 ネコ科 カラヴァル属

  カラヴァル Caraval

  Caraval caraval  *6

 

 

サヴァナ  「もっと おいしそうな……かわいいのにしよう? 

       おめめが くりくりっとしてるから『くりまんじゅうちゃん』とか!」

 

カラヴァル 「やっぱり食べものなのね……」 *7

 カラバルがあきれた。

 

サヴァナ  「じゃあじゃあ、『なつみかんちゃん』!」

 

カラバル  「はぁ!? なにをどうやったらそんな名前が出るのよ!?」

サヴァナ  「略して『なつみちゃん』! かーわいー!」 *8

カラヴァル 「話を聞きなさい!」

 

 

一頭身の何か「……みかんが、いいかも…です」

 一頭身の何かが、ぽつりとつぶやいた。

 

 

サヴァナ  「え?」

 サヴァナが、驚いて一瞬放心した。

 

 一頭身の、かばんのような何かが、恥ずかしそうに微笑んだ……サヴァナにはそう見えた。

 

 

カラヴァル 「……ん……まあ……本人が気に入ったなら、いいんじゃない?」

 

 

サヴァナ  「みかん、みかん、みかんちゃん! あなたの名前は、みかんちゃんよ!」

 

 

 

 つづく?

 

 

 

 

 

 

*1
 根拠の無い数字です。

*2
 ここは、大昔のメンテナンス施設の跡地です。建物の一部(基礎や崩れた壁など)が、遺跡として残っています。

*3
 実際にはこうはならない気がします。何万年、何億年も先の生物がどうなるか……なんて想像がつかないです。ヒトによる大規模な環境破壊・気候変動の後、それらに適応した生物が現れると思います。温暖化や汚染物質への耐性とか……逆にそれらを利用して生きるくらいのたくましさが、生物にはあります。脊椎動物は減るかもしれませが、昆虫などは確実に生き残る気がします。

*4
 不気味です。

 手塚治虫氏が『キャラクターは、体を構成する球が少ないほどかわいく見える』と書いていました(うろ覚え)。『ヘビなどは、球が無限に連なっているから気持ち悪く見える』とも。確かにそうですね。

 ただ、丸っこいデフォルメ体形なのに一部分だけリアルだったりとか、バランスが崩れると、細長い生き物よりも不気味になると思います。

*5
 この子には、本来、生物学的な分類や学名などは無いです。ヒトがいなくなった後に生まれた動物(『アフターマン』よりは現在の動物に近い)なので。この分類名と学名は、筆者がお遊び的に付けたもので、非常にいい加減です。斜体にすると学名っぽいかも……。

*6
 この子も、本来は分類や学名がありません。

*7
 この子たちがヒトの食べものを知っているのは変ですね。この『くりまんじゅう』は、ラッキーさんが配っている食べものの一種で、現代の栗饅頭とは違うものです。

*8
 筆者は、初めてけものフレンズを見た時、『な○みSTEP!』を連想しました。同じことを思った人は結構いるようです。




 あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 ぶっ飛んだ話……という割には、サヴァナとカラヴァルが普通すぎます。もっと変なキャラにしたかったです。
 この3人の関係は始まったばかりです。でも続きは多分書きません。旅に出る理由も無さそうですし。ぶっちゃけ、物語よりも設定作りの方がメインなのです。



 ――― 設定 ―――

 【 みかんちゃん(なつみかんちゃん) 】

・ 謎が多い。ラッキービーストの突然変異種?
・ 一頭身。頭=胴体で、極端に短い手足がある。カービィのような体形。
・ 機械と生物が混ざったようなもの。生物学的な分類が出来ない。バイオロイド?
・ 顔は、かばんに似ているが、もっとシンプル。ゆるキャラっぽい。
・ 靴を履いていて、黒い手袋をはめている。
・ 純真無垢で、おっとりで、幼い性格。割とかしこい。
・ ですます調だが、堅苦しさは無い。
・ 体が頑丈。頭骨は、炭素繊維と金属の細いワイヤーを組み合わせたもの。
・ 身体能力はラッキービーストと同じくらい。
・ 脳(電子頭脳)はヒトの1/3ほどの大きさで、頭頂部、前寄りにある。空いたスペースに、心臓や肺などの臓器とバッテリーが収まっている。
・ 皮膚や髪からの太陽光発電でエネルギーを得ている。基本的には、太陽光と空気と水で生きていける。
・ ヒトと同じ食べものを食べる。小食。
・ 食べ物から得た物質は、体組織の再生・修復に使われていると思われる。
・ 胃があり、食べたものの消化と吸収を行う。腸は短くストレートに近い。
・ 日光浴が足りず電力が不足すると、『かみんモード』に入る。心拍も呼吸も止まるため、死んだと誤解されることが多い。
・ 後頭部の下側は丸く、わずかにふくらんでいる。これは臓器を収めるための余裕であり、腹部やお尻に相当する。ここは骨が柔らかいため弱点である。通常は髪に隠れている。食べすぎると、ここがぽっこりふくらむ(小食なので、食べすぎは滅多に無い)。
・ 後頭部の下側(ふくらみの下の方)に、穴(総排出腔)がある。この穴は、後頭部を下から覗き込まない限り見えない。非常に恥ずかしがるので、見てはいけない。
・ 生殖器官は(おそらく)存在しない。
・ 『ラッキービーストの沼』で偶発的に生まれた、一世代限りの存在と思われる。
・ 帽子はオプションパーツで、通常はかぶっていない。
・ 帽子は日差しを遮り、脳が過熱するのを防ぐ。太陽光発電をブーストする『黒帽子』もある。
・ 緑がかった黒髪を葉っぱ、肌色をオレンジ色と解釈すれば、みかんに……見えない。

※ 初期の案では、通常の両腕が無く、舌が手になっていて、口から腕(マニピュレーター)が伸びる設定でした(げぼっ!! と、喉から腕が出る)。気持ち悪いのでやめました。
 でも、ちょっと面白いので、隠し設定にするのもありかも……。口から腕が出る設定にした場合は、頭の両側の腕は無いことにします。カービィみたいだと短くて使いにくそうですし。



 【 オオサヴァナカット 】

・ 哺乳綱 ネコ目 ネコ科 新生ネコ属 シンイエネコ種 亜種オオサヴァナカット
・ 英名 : Greater Savanna Kat
・ 学名 : Meta-felis silvestris pratums
 (新生ネコ属とかMeta-とかpratumsとか意味不明です。雰囲気で適当に名付けました)
・ 小型のネコ科動物。大きめのイエネコ程度。
・ サーバルとイエネコの中間のような見た目。クリーム色に赤茶色の斑点模様。大きな三角耳と、やや太くて縞模様があるしっぽを持つ。
・ 見た目に反して、遺伝的にはイエネコにかなり近い。イエネコとネコ科動物の交雑種が進化した動物と思われる。
・ 『サヴァナ』と呼ばれることが多い。本人も、正式名称よりこの名を使う。
・ 『オオ』と付いているのは、大昔にいた『サバンナキャット(絶滅種)』との混同を避けるためであり、付けなくても通じる。
・ 『カット(Kat)』は、アフリカーンス語で猫のこと。
・ 明るく元気で天真爛漫。ちょっと幼い感じ。
・ 食べることが趣味。だが大食いではない。
・ サーバルとは微妙にしゃべり方が違う。「~だよ」→「~よ」。
・ フレンズ化すると高い身体能力を持つ。助走無しで15mくらいジャンプできる。ジャンプ時に足が少し地面にめり込むこともある。(土が硬い場合は、少し割れて飛び散る)着地時は全身を使って(曲げて)衝撃を吸収するので、足がめり込むことはない。
 爆発的なエネルギーによって素早く動けるが、すぐに疲れる。



 【 カラヴァル 】

・ 哺乳綱 ネコ目 ネコ科 カラヴァル属 カラヴァル
・ 英名 : Caraval
・ 学名 : Caraval caraval
・ 8割くらいカラカル。
・ リング状の斑点模様があることと、額(前髪)の模様が『 V V 』を逆さまにしたような形なのがカラカルと異なる。髪形も微妙に違う。
・ リンクスティップ(耳の先の毛)が長い。60mm~90mmほどある。
・ 左右の目の色が違う。だが、近くでじっくり見なければ違いが分からないほどの差しかない。加えて、じっくり見られると恥ずかしがって顔をそらす癖がある。ごく近しいひとだけが、彼女がオッドアイであることに気付ける。
・ 声がかわいい。
・ 常識人で、ほんのりツンデレ風味。
・ この子も高い身体能力を持つ。素早いだけではなく力も強い。サヴァナよりスタミナがある。


 [ 初投稿日時 2021/08/08 08:08 ]
 
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