甘い感じを出そうとして見ました。
鈴ちゃん躍動の回です
鈴の婚約者発言で再び質問攻めと言う名の拷問を受けて、すっかりグロッキーになった状態で迎えたお昼休み。
「い、ち、か〜〜〜〜っ!」
真っ先に教室の中に入り、俺の胸に飛び込んで抱き付く鈴。
「お、おい鈴!皆が見てるぞ!」
「一夏〜。会いたかった〜」
そう言って俺の胸に顔を埋めながら、すりすりと頬擦りしていた。こうして見ると猫が甘えてくるかの様に可愛らしくあるがいかんせん人目があるので落ち着かない。
「一夏、一夏」
「どうした鈴?」
「ん〜」
俺を呼んだ途端鈴は目を閉じて顔を上げて来た。所謂キスして欲しいとせがんで来たのだ。
「ちょ、ちょっと待て鈴!」
危うく流れのままキスをしようとしたの慌てて、我に帰る。
「何よ〜?せっかく可愛い幼なじみ兼婚約者が帰って来たんだから、再会のキスくらいいいじゃないのよ」
と鈴は不満気に言ってくるがツッコミ所が満載だがそろそろここにいるのがキツくなったので―
「とりあえず学食に行こうか。色々と聞きたい事があるからさっさと行こうぜ」
「え〜、あたしはもう少しこのままでもいいのにな……」
俺の提案に鈴は少し不機嫌気味に返事をするがいかんせん鈴の行動を見てるはずの箒とセシリアが何のリアクションをしてこない事が正直不気味なのだ。
「そんな事言わずにさ、一緒に行こうぜ」
「わかったわ、じゃあ行きましょう」
鈴はそう言うと俺の腕に抱き着いて来た。
「お、おい…」
「じゃあ学食に行くわよ」
戸惑う俺を他所に鈴は俺の腕を組んで学食に向かって歩き出したので一緒に行く事にした。
(鈴ってこんなに積極的だっけ?)
再会した嬉しさからのスキンシップなのかわからないがいつの間に鈴と婚約者になったのかすら疑問だ………。
でも鈴の両親は俺の事を気に入っていたから、まさか千冬姉を通してこうなったのか?………一年間会わなかっただけで鈴は変わったな―と考えながら学食に着きそれぞれ昼食を手にテーブルについた。ちなみに俺は日替りランチ、鈴はラーメンだ。
「それにしても久しぶりだな鈴。まさか代表候補生になってだなんて思わなかったぞ」
「まあね、中国に帰ってからやる事はなかったしISの適性能力が高かったのもあってそのまま代表候補生にかけ上がったのよ」
まっ、これも才能よねとふふんとしながら胸を張る鈴。所々に勝ち気な言動が目立つが一年足らずで代表候補生になるのはある意味凄いと思う。
「「…………」」
そういえばさっきから一緒に座っている箒とセシリアは黙ったまま、俺達のやり取りを見ているだけだ。普通なら何か言いそうなのだが…………。
「ちょっと遅れたけど久しぶりね、箒、セシリア」
「へっ?」
鈴は箒とセシリアに向かって声を掛けた事に俺は思わずキョトンとなってしまった。
「ああ、久しぶりだな鈴」
「お久しぶりですわ鈴さん」
鈴が声を掛けた事により、箒とセシリアは笑みを浮かべながらそう返した。
「えっ?三人共知り合いなのか?」
「そうよ。あたし達は一夏の婚約者であり親友よ」
「マジかよ……」
鈴の言葉に俺は頭を抱えたくなった。既に知り合いだったのかよ……。
「まあ、一夏には何も教えてないから仕方ないな」
「それよりも何で今まで黙ったままなのよ?」
「一夏さんとお久しぶりの再会でしたので私達は邪魔はいたしませんわ」
「積もる話でもあるだろう。私達は二人の話を聞いていたのだ」
「別に気を使わなくてもいいじゃないのよ」
そう言いつつも鈴の表情は笑顔だ。この会話のやり取りをしている感じはかなり親しいのは間違いないな。
鈴と再会した嬉しさもあって俺達はお昼休みを会話を楽しんだ。
――――――――――――
夜になり、部屋に戻ってゆっくりとしている。
「一夏〜来たわよ〜」
「お邪魔しますわ〜」
ノックの後、寝間着姿のセシリアと鈴が部屋の中に入ってきた。
「おう。いらっしゃい」
「ふふ、二人共一夏と一緒に寝に来たのだな」
「ええ、そうですわ」
「もちろんよ」
浴衣姿の箒にネグリジェのセシリア、パジャマ姿の鈴が集まっている。ただ目的は俺と一緒に寝るのはちょっと遠慮願いたいな〜〜。
「あたしが一夏の部屋に行くって言ったら笑顔で見送られたのよね……」
何でかしらね?とコテンと首を傾げる姿に可愛らしくあるが鈴のルームメートの表情は何となく想像出来たのは気のせいだろうか………。
(どうしてこうなった……)
俺は今は物凄い焦っているそれは―
「…………」
うっすらと顔を紅くした鈴が俺の胸の上にいる。
何故こうなったかと言うと部屋に集まった俺と三人は談笑しながら楽しい時間を過ごし、さあ、寝ようかと思ったら。
「さて寝るとしよう私は右隣を貰うぞ」
「ではわたくしは左隣をいただきますわ」
「ちょっと!あたしの場所がないじゃないのよ!?」
俺の両隣を占領した箒とセシリアに不満の声をあげる鈴。
「何を言っているんだ鈴。お前にはとっておきの場所があるじゃないか」
「そうですわ、鈴さん」
「とっておきの場所?どこよ?」
「「ここだ(ですわ)」」
と二人が指を指したのは俺の胸だった。
「「……?」」
二人の言った事に訳が解らず鈴と顔を合わせて首を傾げた。
「あー、なるほどな……」
数分後、二人の言った事を理解した。ベッドに寝ると当然と言わんばかりに箒とセシリアが俺の腕に抱き着き、俺の上には顔を合わせる様に鈴が寝そべっている。いわゆる抱き枕みたいな感じになっているのだ。小柄な鈴ならではのとっておきの場所だよな………。
「ね、ねえ一夏。あたし重くない?苦しかったり、辛かったら言ってね」
と髪を下ろして、しおらしく言ってくる鈴にドキッとした。
「い、いや大丈夫だ。重くないし、辛くもないな」
「そう……良かった」
俺の返事を聞いて、鈴の表情はパアッと明るくなりギュッと抱き締める。
(こ、これはヤバイ……)
いくら小柄な体型とは言え鈴は女の子だ。体の起伏が小さいとはいえ、十二分に女性らしさの柔らかさが伝わる。なので―
(お腹に当たるちっぱいがなんともいい感触に…ゲフンゲフン)
ヤバイヤバイ……ただでさえ箒とセシリアの二人でかなりヤバイのに鈴まで加わると更にヤバイ事になってしまった………鈴なら理性を保てるなと考えていたのが脆くも崩れさるとは………。
(恐るべし婚約者マジック!)
と内心震えていたが俺の周りはというと―。
箒とセシリアはすやすやと寝息をたてて眠っている。
「ふにゃ〜一夏〜」
嬉しそうにギュッと俺の体を抱き締めて眠る鈴。
「はあ……」
まあ、いっか。俺と再会出来て鈴は嬉しいのだろう。三人の寝顔を眺めながら少しだけ婚約者として意識するように心掛けよう。
「おやすみ、箒、セシリア、鈴」
俺はそう呟きゆっくりと眠りについた。
ここに来てから久しぶりの安眠が出来たのは良かったのかも知れない……。
とは言えクラス対抗戦が近付いているので必要以上に鈴と接する事が出来ないのはちょっと寂しいかな……鈴もちょっと寂しそうな顔をしていたがクラスのバッシングを喰らいたくはないのだろう。ただ寝る時は時々やって来て一緒に寝たりしたけどな………。
俺は箒とセシリアと一緒に訓練してクラス対抗戦まで実力を上げようと努力し、ある程度の操作技術は上がった。
――そしてクラス対抗戦の日程が決まり、貼り出された対戦カードを見ると1組である俺の最初の相手は鈴のいる2組だった。
楽しみだけどちょっと戦い難いな……手加減したら鈴が怒りそうだ。よし、頑張ろう………あっ!?
「そういえば専用機まだ来てないんだった………」
束さんに頼んでいた専用機の件をすっかり忘れていた事に気付いた。
クラス対抗戦、間に合うのかな?
そんな不安を胸にクラス対抗戦当日を迎えるのだった。
――――――――――――
「出来た♪」
とあるラボにて青と白のワンピースを着た束は歓喜の声を上げた。
「いっくんの注文に合わせるのに苦労したけど、ばっちり出来たね〜」
腕を組んでうんうんと頷く束。
「これをいっくんに渡すんだけど、どうしょうかな?」
束は考えるこのまま渡しても面白くない、ならば華々しく披露してやろうではないかと―。
「ん―。あっ、そうだ!」
束は考え込みある考えが思い付いた。
「このプランならいっくんもこの“白式”も目立つよね」
ちらりと目線を動かすと何かが書かれた紙を見る。
そこには『クラス対抗戦』の日程が書かれていた。
「まずはあの二人に協力と許可を取らないとね、黙ってやるとちーちゃんが怖いし……明日にでも会いに行こう」
束の頭には既に一夏が大活躍する様子を描いていた。
(せっかくだからあの子達の実力を見てみたいな……よし!)
束は足を進めて、別のラボに保管されている一室に入り何かを作り始め暫くの間束は出てくる事はなかった………。
かくして、クラス対抗戦の試合当日を迎えるのだった。
どうでしたか?