「どういうことだ」
「いや、どういうことって言われても……」
時間は放課後、場所は剣道場。今もまたギャラリーは満載で、俺は箒に問い詰められていた。
授業が終わり、箒と合流して昼ご飯を食べていた時に上級生の人が俺達に声を掛けてきた。
内容はISを教えてあげようかとのお誘いだった。
俺としてはお誘いは嬉しいがある程度のメドはついていたし、心配する事はなかったがどうするか迷っていたら、箒が“せっかくだから教えてもらったらどうだ”と言ってきた。
先輩は箒の後押しに嬉しそうにしていたがその後“私もISについて教えてください”と言ったので先輩は複雑な表情を浮かべてしまいそのまま去ってしまった。
まあ、先輩の目的は俺とお近づきになりたかったのだろうが後輩に頼られてしまい、どうしたらいいか迷ってしまって逃げたんだろうな。
それから箒が剣道の全国大会優勝をしていたので興味がわいた俺は放課後に手合わせをする事にした。
「まさかあっさり負けるとは思ってない!」
「まあそうだよな……」
結果としては俺の勝ち、時間はそんなにかからなかったな………。
説明すると俺と箒が打ち合う、箒の素早い強打を受け流してそのまま一本!って形だから箒からしたら何が起こったかわからない状態だ。
「もう一本!もう一本だ一夏!」
剣道に自信があった箒としてまだ納得してないのだろう、俺に再戦を申し込んできた。
まあ、俺も箒も負けず嫌いだからな気が済むまで付き合ってやるか。
そう思い、竹刀をゆっくりと握り、箒との打ち合いに懐かしさを受けた。
――――――――――――
(結局勝てなかったな……)
剣道場の更衣室で着替えながら、私は先程の打ち合いの事を思い返していた。
(あれからさらに強くなっているんだな……)
久しぶりに再会した幼なじみは6年前も強かったが今ではすっかり離された感じになっていた。
しかも大人びていた雰囲気はさらに大人へ成長していた事が私の胸を高鳴らせていた。
(私ももう少し強くならないとな……)
いくら婚約者となって一夏の側に居れるとはいえ、これでは千冬さんの期待に応えられない。
まだまだだな……私は……。
そう思いつつ昨日の事を思い出した。
――――――――――――
放課後、私はセシリアを探していた。
ちょうど角を曲がったところで見慣れた後ろ姿を見つけたので呼び止めた。
「セシリア、ちょっといいか?」
「あら?箒さんどうしました?」
私の声に振り返るセシリア、良家のお嬢様なのでその仕草は優雅さを醸し出している。
「ちょっと聞きたい事がある。いいか?」
「ええ、構いませんわ」
「何でクラス代表の時に一夏を利用したんだ?」
私はセシリアの発言の真意について聞きたかった。
ある程度は理解出来たが私の勘ではそれだけが理由ではないはずだ……。
「ああ、その事ですか……わかりました。お教えします」
私の表情から察したのかセシリアは腕を組み真剣な眼差しに変わった。
「私は織斑一夏さんの事をよく知らないからです。なのでこういう形を取らせて頂きました」
「どういう事だ?」
「箒さんもお分かりでしょう?私の立場を……」
「ああ」
セシリアの言葉を聞き合点がいった
そういえばセシリアは両親が残した財産やオルコット家の存続の為に領主となった。
「ですのでどこぞの馬の骨の方を私は認める訳にはいきませんわ」
セシリア自身努力を重ねてイギリスの代表候補生に上り詰めて、両親の財産を横取りしようとする金の亡者達からオルコット家を守る為に生きてきたからな。
私からしたら、あの重圧に耐えて家を守れるかは自信がない。
代表候補生のおかげでオルコット家が守られるがそれでは弱い。
そこで降ってきたのが一夏との婚約者話。
セシリアが言うには姉さんから政府を通して指名してきたとの事だ。唯一無二の男性操縦者との婚約者として姉さんのお願いでセシリアは引き受けたが両親の財産を守る為に自ら犠牲になった形だからな……。
まあ、そのおかげでセシリアと仲良くなる事が出来た……転校続きで友達が少なかったからな………。
「箒さんは織斑さんの事はご存知でしょうからこの件は受け入れやすいのではなくて」
「と言っても6年前までだがな……」
セシリアな言葉にそう答えながら肩をすくめた。
「最近の事までなら〇と〇〇〇〇〇〇の方がよく知ってるぞ」
「そうですわね。特に〇〇〇〇〇〇さんはこの話を物凄く喜んでいたのを覚えていますわ」
「確かにな……」
そう言って私達は微笑み合う、理由や国籍は違えど心を許せる存在だからな。
「わかった。セシリアのやり方に任せる」
「納得して頂いて助かりますわ」
「ああ、またな」
私はセシリアと別れて自分の部屋に向かう事にした。
そこで私にとって大きな出来事に遭遇する事になるのはこの時は知らなかった。
――――――――――――
「はあ………」
皆が寝静まった夜、俺は寮の屋上に来ていた。
とりあえず今日は一緒に寝るのを回避したまでは良かったが寝付けずに夜風にあたりに来ていた。
「専用機か……」
千冬姉の言葉を思い返した。
「まさかな……」
俺は携帯を取りだしてある人に電話をかける。
『はいはい。いっくんどうしたの?』
俺が電話をかけたのは束さんだ。
「聞きたい事があります」
『何かな?』
「俺の専用機を作っているのは束さんですね」
『ありゃ、わかっちゃった?さすがいっくんだね』
やっぱりか……予想通りだな……。
「お願いがあります。今作っている専用機に今から言うのを追加してください」
『いいけど、それだとクラス代表戦には間に合わないよ?』
「構いません。訓練機で戦います」
『ふ〜ん。まっ、いっか。いっくんなら訓練機でも勝てそうだもんね。それで追加したい機能を教えて』
「はい、では―」
俺は束さんにいくつかの注文をして、電話を切った。
「悔いのないようにするか」
俺はそう決意して1週間をクラス代表戦に向けて準備を始めた。
ISに関しての知識や無理を言って訓練機を借りての実戦についての動きを確認して過ごした。
そうしてクラス代表戦の当日を迎えた。
俺は緊張感はなく、オルコットの実力がどうなのか期待にわくわくしていた。
さあ、楽しみだな。
今回はちょっと短めです